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{{Chembox | Name = '''ニトロベンゼン'''<br/>nitrobenzene | ImageFile = Nitrobenzol.svg | ImageSize = 100px | ImageName = Nitrobenzene | ImageFileL1 = Nitrobenzene-3D-vdW.png | ImageSizeL1 = 100px | ImageNameL1 = Nitrobenzene | ImageFileR1 = Nitrobenzene-balls.png | ImageSizeR1 = 100px | ImageNameR1 = ニトロベンゼンの球棒モデル | ImageFile2 = Sample of Nitrobenzene.jpg | ImageSize2 = 150px | ImageName2 = ニトロベンゼンのサンプル | OtherNames = ニトロベンゾール<br />ミルバン油 | Section1 = {{Chembox Identifiers | SMILES = c1ccccc1[N+](=O)[O-] | CASNo = 98-95-3 | RTECS = QJ0525000 }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>NO<sub>2</sub> | RationalFormula =C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>NO<sub>2</sub> | MolarMass = 123.06 g/mol | Appearance = 淡黄色液体 | Density = 1.199 g/cm<sup>3</sup> | Solubility = 0.19 g/100 ml at 20 °C | MeltingPt = 5.85 °C | BoilingPt = 210.9 °C }} | Section7 = {{Chembox Hazards | ExternalMSDS = | EUClass = 有毒 ('''T''')<br />[[発癌性|Carc. Cat. 3]]<br />Repr. Cat. 3<br />環境への危険性 ('''N''') | RPhrases = {{R-phrases|23/24/25|40|48/23/24|51/53|62}} | SPhrases = {{S-phrases|1/2|28|36/37|45|61}} | FlashPt = 88 °C | Autoignition = 525 °C }} | Section8 = {{Chembox Related | OtherCpds = [[アニリン]]<br />[[ベンゼンジアゾニウム]]<br />[[ニトロソベンゼン]] }} }} '''ニトロベンゼン''' (nitrobenzene) は、有機化合物で、ベンゼン環に[[ニトロ基]]が置換した構造を持つ。ニトロベンゾール (nitrobenzol)、ミルバン油 (oil of mirbane) とも呼ばれる。黄色油状で甘い味覚がある。有毒で水に溶けにくい。[[杏仁豆腐]]のような、あるいは桃を腐らせたような芳香を持つ。日本法における劇物。 == 反応 == [[硝酸|濃硝酸]]と[[硫酸|濃硫酸]]を混合した[[混酸]]を[[ベンゼン]] (C<sub>6</sub>H<sub>6</sub>) に反応させて作る。このような反応は[[ニトロ化]]と呼ばれ、[[芳香族求電子置換反応]]の代表例である。混酸中では反応活性種としてニトロニウムイオン (NO<sub>2</sub><sup>+</sup>) が発生している。 : <chem>H2SO4\ + HNO3 -> HSO4^- \ + H2NO3^+</chem> : <chem>H2NO3^+ -> NO2^+ \ + H2O</chem> : <chem>C6H6\ + NO2^+ -> C6H5NO2\ + H^+</chem> ニトロベンゼンを[[スズ]]または[[鉄]]と[[塩酸]]と共に反応させると[[アニリン塩酸塩]]を生じ、これに[[水酸化ナトリウム]]を加えることで[[アニリン]]が生成する。 他の多くの[[ニトロ化合物]]とは異なり[[爆発]]性はなく、[[消防法]]上は[[危険物|第4類危険物]](第3石油類)に指定されている。 == 用途 == 主にアニリンおよびその誘導体、例えば[[ジフェニルメタンジイソシアネート|メチレンジフェニルイソシアネート]] (methylene diphenyl diisocyanate, MDI) などをはじめとして、ゴム、殺虫剤、農薬の製造に用いられる。靴や床の研磨剤、革製品の仕上げ剤、塗料の溶剤、不快臭を隠すための製品にも利用される。ニトロベンゼンの置換反応は ''m''-誘導体を得るのに使われる (Mannsville 1991; Sittig 1991{{Full citation needed|date=2018年12月}})。蒸留精製することにより、ミルバン油として[[石鹸]]用の安価な香料として用いられる。[[鎮痛薬]]のひとつ、[[アセトアミノフェン]](別名パラセタモール)の製造原料としての市場価値も高い (Mannsville 1991{{Full citation needed|date=2018年12月}})。また、非常に大きい[[カー効果|カー定数]]を持つためカーセルに使われる。 == 生体への影響 == 急性症状としてニトロベンゼンの蒸気を吸引したり、皮膚より吸収することで、[[メトヘモグロビン血症]]を引き起こし疲労感、めまい、頭痛、吐き気を催す。慢性症状として肝障害を引き起こす。[[発癌性]]はIARCリスク評価では動物実験では発癌性が疑われるものの、ヒトでの疫学調査では発癌性が証明できない「ヒトに対して発癌性があるかもしれない」Group 2Bに分類される。 毒性を引き起こさない限界量 (NOAEL) は、1.2 mg/m<sup>3</sup>(吸引)、0.36 mg/kg/day(経口)と推定されている。 [[毒物及び劇物取締法]]により劇物に指定されている<ref>[http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe2.cgi?MODE=hourei&DMODE=SEARCH&SMODE=NORMAL&KEYWORD=%93%c5%95%a8&EFSNO=739&FILE=FIRST&POS=0&HITSU=293 毒物及び劇物取締法 昭和二十五年十二月二十八日 法律三百三号 第二条 別表第二]</ref>。 == 事故 == [[2005年]]11月13日、[[中国]][[吉林省]]吉林市で石油化学工場爆発事故が発生し、大量のニトロベンゼンをはじめとする有毒物質が現地を流れる[[松花江]]へ流入し、さらに下流である[[アムール川]]に越境流入した。 同24日、[[ハルビン]]市にて高濃度のニトロベンゼンが検出され、水道用の取水口に達したことに伴い、水道水供給が停止されたため、数百万人の生活に深刻な影響が出た。また、アムール川下流域の[[ハバロフスク]]でも警戒が高まり、[[ロシア]]政府は24日、アムール川での数年間の魚釣禁止を検討していると発表した。このため中国・ロシア政府間での問題に発展した。 さらに日本でも、[[北海道]]や[[オホーツク海]]地域における水産業や観光業への影響が懸念された。これは流氷が汚染物質を含むアムール川河口でできて流れてくるためだとされた<ref>平原 かや子「[https://hdl.handle.net/10191/18110 アムール川汚染報道に関する一考察]」『環東アジア研究センター年報』5号、111-132頁。</ref>。 その後[[北海道大学]]大学院の研究により、[[松花江]]の魚の体内におけるニトロベンゼンの含有量は2006年から徐々に減り、2007年に採取した試料ではほぼ影響は見られなくなったとしている。一方で、化学工場近くの排水溝などでは高濃度のニトロベンゼンが堆積していることが確認されている<ref>田中恵理子(2007年、北海道大学大学院環境科学院、修士論文)「[http://www.ees.hokudai.ac.jp/division/kigaku/pdf/abstract/200803_tanaka_eriko.pdf 化学工場爆発事故後に採取した松花江の環境試料中のニトロベンゼンの量]」</ref>。 ==出典== {{reflist}} == 関連項目 == *[[ジニトロベンゼン]] *[[トリニトロベンゼン]] *[[ヘキサニトロベンゼン]] ==外部リンク== *<!--<ref name="naid10025980217">-->{{Cite journal |和書|author1=田中恵理子 |author2=代英杰 |author3=林永波 ほか |date=2009-09-05 |title=化学工場爆発事故後に採取した松花江の魚試料中のニトロベンゼンの定量 |journal=分析化学 |volume=58 |issue=9 |pages=807-813 |naid=10025980217 |doi=10.2116/bunsekikagaku.58.807 |url=https://doi.org/10.2116/bunsekikagaku.58.807}} * [https://www.kikakurui.com/k8/K8723-2019-01.html ニトロベンゼン (試薬) JISK8723:2019] {{authority control}} {{DEFAULTSORT:にとろへんせん}} [[Category:ニトロベンゼン|*]] [[Category:ニトロ化合物]] [[Category:溶媒]] [[Category:第3石油類]] [[Category:労働災害]] [[Category:非線形光学材料]] [[Category:劇物]] [[Category:SVHC]] [[Category:フェニル化合物]]
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