ハッシュチェインのソースを表示

'''ハッシュチェイン'''とは、あるデータに対して[[暗号学的ハッシュ関数]]を繰り返し適用したものである。[[コンピュータセキュリティ]]において、ハッシュチェインは一つの[[鍵 (暗号)|鍵]]と[[パスワード]]から大量の[[ワンタイムパスワード]]を作り出すのに使われる。また、[[否認不可|否認防止]]のために、データの追加部分に対してハッシュ関数を次々に適用することで、データの存在を時系列に沿って記録するのにも使われる。

==定義==

ハッシュチェインは、文字列に対して[[暗号学的ハッシュ関数]]<math>h(x)</math>を繰り返し適用すること（[[写像の合成]]）で作成される。例えば、

:<math>h(h(h(h(x))))</math>

は長さ4のハッシュチェインを与える。これは<math>(h \circ h \circ h \circ h)(x)</math>や<math>h^{4}(x)</math>のように書かれることもある。

==応用==

{{main|S/KEY}}

[[レスリー・ランポート]]は、安全でない環境におけるパスワードの保護にハッシュチェインを利用することを提案している。<ref name="lamporthash">L. Lamport, “Password Authentication with Insecure Communication”, Communications of the ACM 24.11 (November 1981), pp 770-772. [https://scholar.google.de/scholar?num=100&hl=de&lr=&cluster=10450198314466995215] [http://citeseer.ist.psu.edu/context/2064887/0]</ref>認証を行うサーバは[[平文]]のパスワードの代わりにハッシュチェインを保管しておくことで、通信経路上でパスワードが盗まれることやサーバからパスワードが盗まれることを防ぐ。例えば、ユーザから与えられた<math>h^{1000}(\mathrm{password})</math>がサーバに保存されていたとする。認証を行う際には、ユーザはサーバに<math>h^{999}(\mathrm{password})</math>を送信する。サーバは<math>h(h^{999}(\mathrm{password}))=h^{1000}(\mathrm{password})</math>を計算し、これが保存されているハッシュチェインと一致することを確かめる。その後、サーバは次回の認証で使うために<math>h^{999}(\mathrm{password})</math>を保存しておく。

サーバへ送信された<math>h^{999}(\mathrm{password})</math>が盗聴されていたとしても、同じハッシュチェインをサーバへ再送して認証を行うことはできない。なぜなら、サーバはその時点では<math>h^{998}(\mathrm{password})</math>を期待しているためである。また、[[暗号学的ハッシュ関数]]の[[一方向性関数|一方向性]]により、盗聴者がハッシュ関数を逆転させてハッシュチェイン中の一つ前のハッシュ得ることは不可能である。この例では、ユーザはハッシュチェインを使い尽くすまでに1000回認証を行うことができる。ハッシュ値は毎回異なるので、攻撃者が複製をすることも不可能である。

==関連項目==

* {{ill|チャレンジレスポンス認証|en|Challenge–response authentication}}
* {{ill|ハッシュリスト|en|Hash list}} - ハッシュチェインの再帰的な構造と違い、ハッシュリストの各要素は独立している。
* [[ワンタイムパスワード]]

==参考文献==
<references />

{{デフォルトソート:はつしゆちえいん}}
[[Category:暗号アルゴリズム]]