ハーバー・ボッシュ法のソースを表示

{{Multiple image
| image1=Fritz Haber.png
| image2=Carl Bosch.jpg
| width=150
| footer=開発者の[[フリッツ・ハーバー]]（左）と[[カール・ボッシュ]]（右）
}}
'''ハーバー・ボッシュ法'''（ハーバー・ボッシュほう、独:Haber-Bosch-Verfahren, 英:Haber–Bosch process）または単に'''ハーバー法'''（Haber process）とは、[[鉄]]を主体とした[[触媒]]上で[[水素]]と[[窒素]]を {{Val|400|-|600|ul=degC}}、{{Val|200|-|1000|ul=atm}}の[[超臨界流体]]状態で直接[[反応速度|反応]]させる、下の化学反応式によって[[アンモニア]]を生産する方法である<ref>{{Cite book|和書|title=超臨界流体のはなし|publisher=日刊工業新聞|page=21|isbn=4-526-05708-8}}</ref>。世界的な食糧不足が予想されていた中、ハーバー・ボッシュ法は[[肥料|化学肥料]]の大量生産を可能にした事で食糧生産量を急増させ、[[20世紀]]以降の[[人口爆発]]を支えてきた<ref>{{Cite web |title=｢空気からパンを作る技術｣に100年越しの革命を。東工大ベンチャーの挑戦 |url=https://www.businessinsider.jp/post-263588 |website=BUSINESS INSIDER JAPAN |date=2022-12-23 |access-date=2024-04-10 |language=ja |first=三ツ村 |last=崇志}}</ref>。常に手法の改良は試みられている<ref>{{Cite web |title=アンモニア合成を通して人類を支えた研究者たち |url=https://www.titech.ac.jp/public-relations/about/stories/ammonia-synthesis |website=東京工業大学 |access-date=2024-04-10 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=ハーバーボッシュ法の欠点を大幅改善、アンモニアの地産が可能に |url=https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01513/00005/ |website=日経クロステック（xTECH） |date=2021-01-14 |access-date=2024-04-10 |language=ja |last=日経クロステック（xTECH）}}</ref>が、[[21世紀]]に至るもハーバー・ボッシュ法の基礎理論は完全に置き換わることなく活用され続けている。
:<chem>{N2} + {3H2} -> {2NH3}</chem>
[[ファイル:Haber_Ammonia.JPG|右|320x320ピクセル|ベルリンのユダヤ博物館に展示されている1909年にフリッツハーバーがアンモニアを合成するために使用した実験装置]]
現代[[化学工業]]における[[窒素化合物]]合成の基本的製法であり、[[フリッツ・ハーバー]]と[[カール・ボッシュ]]が1906年に[[ドイツ帝国|ドイツ]]で開発した<ref>{{Cite book|和書|title=天文学入門 星とは何か|publisher=[[丸善出版]]|page=118|isbn=978-4-621-081167}}</ref>{{疑問点|date=2023年5月|talksection=ハーバー・ボッシュ法の開発年について}}。ボッシュは1909年にドイツの研究所で[[窒素固定#化学的窒素固定|窒素固定]]に成功し<ref>Smil 2001, pp. 61–82</ref><ref>Hager 2008, pp. 63–108</ref>、1913年には、ボッシュ率いる[[BASF]]の研究グループが現在ハーバー・ボッシュ法と呼ばれている工業化された合成法を開発した<ref>Smil 2001, pp. 83–107</ref><ref>Bosch 1931</ref>。[[IG・ファルベンインドゥストリー|ロイナ工場]]で実用化されて、[[褐炭]]から[[肥料]]を生産した。それまでは[[ユストゥス・フォン・リービッヒ]]の理論に基づき、[[チリ硝石]]を用いていた。

== 反応過程 ==
現代の[[工業化学]]では、[[メタン]]から[[触媒#不均一系触媒|不均一系触媒]]を使って単離された[[水素]]と[[大気]]中の[[窒素]]とを反応させてアンモニアを合成している。
=== 水素の合成 ===
まず、[[メタン]]を[[精製]]して[[触媒]]を失活させる[[硫黄]]分を除去する。約{{Val|1000|u=degC}}、{{Val|3|u=MPa}}で[[精製]]した[[メタン]]を[[酸化ニッケル(II)]]を触媒として[[水蒸気]]と反応させる。これは[[水蒸気改質]]と呼ばれる。
:<chem>{CH4} + H2O -> {CO} + 3H2 </chem>

[[水素]]量に対応する化学量論量の[[窒素]]を含有するだけの[[空気]]を加えて、[[水蒸気改質]]で残存した[[メタン]]を[[酸化]]させる。[[水素]]の一部も[[燃焼]]する。いずれも大きな[[発熱反応]]であり、発生した熱（およそ{{Val|1000|ul=degC}}に達する）を利用して[[水蒸気改質]]に用いる高温高圧の[[水蒸気]]を得る。
:<chem>{2CH4} + {O2} -> {2CO} + {4H2}</chem>
:<chem>{CH4} + {2O2} -> {CO2} + {2H2O} </chem>
:<chem>{2H2} + {O2} -> {2H2O} </chem>
高転化率と高い[[反応速度]]を両立するため、Fe-Cr系触媒とCu-Zn系触媒を用いた二段階の[[水性ガスシフト反応]]によって、[[一酸化炭素]]と水蒸気から[[二酸化炭素]]と[[水素]]を得る。本反応は平衡反応であるため、濃度0.5 %程度の一酸化炭素が残存する。
:<chem>{CO} + {H2O} -> {CO2} + {H2} </chem>

[[炭酸カリウム]][[水溶液]]により、[[二酸化炭素]]を除去する。生成した[[炭酸水素カリウム]]は再生塔で[[炭酸カリウム]]に再生される。
:<chem>{CO2} + {K2CO3} + {H2O} -> {2KHCO3}</chem>

混合気体はメタン化炉へ送られ、ニッケル系の触媒を用いて、[[アンモニア]]合成反応で触媒毒になる[[一酸化炭素]]を10 [[ppm]]以下までメタン化により除去する。
:<chem>{CO} + {3H2} -> {CH4} + {H2O}</chem>

=== アンモニア合成 - ハーバー法 ===
最後に二重促進鉄を触媒としてアンモニアを合成する。
:<chem>{N2(g)} + {3H2(g)} <=> {2NH3(g)}</chem><math> \quad \Delta H^\circ = -92.4\ \mathrm{kJ/mol}</math>

初期の合成実験では約 {{Val|20|u=MPa}}、約 {{Val|1000|u=degC}}で行われていた<ref name=titech />が、現代の量産プラントでは、{{Val|25|-|35|u=MPa}}・約{{Val|500|u=degC}}で反応させ<ref name=esaki>江崎正直、{{PDFlink|[https://www.chart.co.jp/subject/rika/scnet/27/Sc27-2.pdf アンモニア合成]}}</ref>、触媒を通した後アンモニアは{{Val|-33|u=degC}}程度まで冷却され、液体の状態で排出し適当な[[平衡定数]]を維持する。未反応の水素と窒素は循環し、再び触媒床に通される。

== 鉄触媒 ==
ハーバー法を成功させた鍵の1つは、[[化学平衡]]を有利にし、かつ高い[[反応速度]]を得るために必要な高温高圧反応装置を開発できたことであり、もう1つは反応を促進する[[触媒]]を開発できたことである。窒素分子は非常に強い窒素原子間結合を有しており、その[[解離 (化学)|解離]]には大きな[[活性化エネルギー]]が必要となるため、極めて反応性に乏しい。実際、多くの場合、[[不活性気体|不活性ガス]]として取り扱われる。従って、窒素解離の活性化エネルギーを低減できる[[触媒]]の開発が極めて重要であった。

; 二重促進鉄触媒:ハーバーらは[[鉄鉱石]]（[[酸化鉄]]を主体とし、[[酸化アルミニウム]]、[[酸化カリウム]]を含む）を触媒に用いた。このとき注意すべきことは、[[酸化鉄]]を触媒として装填するが、実際に反応しているのは[[水素]]によって還元されて生じた[[単体]]の[[金属]]鉄であることである。酸化アルミニウムは還元されず単体として鉄の単体が[[シンタリング]]するのを防ぎ、酸化カリウムは[[塩基]]として鉄に[[電子]]を供与して触媒能力を高めている。これらの作用から二重促進鉄触媒と呼ばれる。これらの機構は後に[[ゲルハルト・エルトル]]により解明された。
:: <chem>Fe3O4-Al2O3-K2O</chem>
: [[ファイル:Mittasch,Alwin 1928 München (Ausschnitt).jpg|サムネイル|253x253ピクセル|アルヴィン・ミタッシュ]]触媒開発を担当した[[アルヴィン・ミタッシュ]]により見出された。ミタッシュは、様々な[[鉄鉱石]]を触媒として用いたところ、スウェーデン産の[[磁鉄鉱]]が非常に高い活性を示すことを発見した。そしてさらに検討を重ね、微量のアルミナと[[カリウム]]が必要であると結論付けた。この結論に至るまで、ミタッシュは約2万種類の触媒を試したと言われている<ref name=webpark1495 />。
; 三重促進鉄触媒:より高効率で生成可能な触媒として {{chem|CaO}} を付加した三重促進鉄触媒が開発された<ref name=webpark1495 /><ref name=titech>
[http://www.titech.ac.jp/about/stories/ammonia_synthesis.html アンモニア合成を通して人類を支えた人たち] 東京工業大学博物館</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.cent.titech.ac.jp/DL/DL_Publications_Archives/contribution03_low.pdf アンモニア合成を通して人類を支えた人たち]}}</ref>。
:: <chem>Fe3O4-Al2O3-CaO-K2O</chem>

== 歴史 ==
;諸国
{{Main|{{仮リンク|ハーバー・ボッシュ法の歴史|en|History of the Haber process}}}}
ハーバー・ボッシュ法の開発前は、[[アーク放電]]により[[窒素]]を[[酸化]]して[[窒素]]固定を行う手法が発明されたが、1トンの窒素を固定するのに6万[[キロワット時]]以上の[[電力量]]を消費するため、ほとんど使用されていなかった{{sfn|大阪朝日新聞経済部|1929}}。1901年、ドイツ人のフランクとカロは[[炭化カルシウム|カーバイド]]を{{Val|700|-|1000|u=degC}}で[[窒化]]させ、[[石灰窒素]]を合成することに成功した。石灰窒素を加水分解するとアンモニアが生成し、世界で初めて工業的にアンモニアを製造した<ref name="kahaku-047_215">{{cite journal |url=https://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/047.pdf |format=pdf |language=ja |title=肥料製造技術の系統化 |author=牧野功 |page=215 |journal=国立科学博物館 技術の系統化調査報告 |volume=第12集 |publisher=国立科学博物館 |date=2008-03-28 |accessdate=2022-08-27}}</ref>。1919年の第一次世界大戦終結後、ハーバー・ボッシュ法も技術公開の対象となり、イタリアの{{仮リンク|ルイージ・カザレー|it|Luigi Casale}}による[[カザレー法]]、{{仮リンク|ジャコモ・ファウザー|it|Giacomo Fauser}}による[[ファウザー法]]、フランスの[[クロード法]]が生まれた<ref name="kahaku-047_218-219">{{cite journal |url=https://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/047.pdf |format=pdf |language=ja |title=肥料製造技術の系統化 |author=牧野功 |pages=218-219 |journal=国立科学博物館 技術の系統化調査報告 |volume=第12集 |publisher=国立科学博物館 |date=2008-03-28 |accessdate=2022-08-27}}</ref>。なお、これらの[[アンモニア]]合成法は原料ガスの製造方法や窒素・水素混合ガスの反応条件、触媒の差異はあるものの、いずれもハーバー・ボッシュ法が基礎となっている。

ハーバー・ボッシュ法が完成し、第1次世界大戦を経たあとの1925年には、[[ヴァイマル共和政]]のドイツに、[[カール・ボッシュ]]を社長とする化学工業大手の[[IG・ファルベンインドゥストリー|IG・ファルベン]]社が発足し、これに対抗して[[大英帝国|イギリス]]の化学業界は[[インペリアル・ケミカル・インダストリーズ]]を設立した。国際貿易上では硫酸アンモニウム肥料の激しいダンピング競争が生じた。

1928年には、化学工業の国際大手の化学工業社のあいだで、硫酸アンモニウム肥料に関する強力な国際カルテルである[[ヨーロッパ国際窒素協定]]が締結された <ref>[[#コトバンク]]。</ref>。

;日本国内
日本政府は[[第1次世界大戦]]時の1917年にハーバー・ボッシュ法の特許権を敵国資産として接収し、1921年4月設立の[[東洋窒素]]組合（1926年に株式会社東洋窒素工業に改組）がその特許権の払下げを受けた<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.suzukishoten-museum.com/footstep/company/cat10/post-65.php|title=クロード式窒素工業の歴史①|publisher=鈴木商店記念館|accessdate=2021-11-14}}</ref>。その目的は肥料となる硫安（[[硫酸アンモニウム]]）製造のためとされていたが、実際に生産されることはなかった一方、ハーバー・ボッシュ法を使用した商品が輸入される際に日本国内における特許権使用料を東洋窒素が得ることになった{{sfn|兒玉州平|2014}}{{efn|それ以前に[[財閥|15大財閥]]のひとつである[[日窒コンツェルン]]が1908年にイタリアで[[フランク・カロー式石灰窒素法]]の特許権、1927年に[[カザレー式アンモニア合成法]]の特許権を買収し、[[水俣市|水俣]]などでの硫安製造やその輸出を行っていた。}}。

1930年、日本の硫安産業の企業は、前述の[[IG・ファルベンインドゥストリー|IG・ファルベン]]社、[[インペリアル・ケミカル・インダストリーズ]]のカルテルに対抗して、[[窒素協議会]]及び[[硫安配給組合]]を組織し{{efn|参加企業は、[[チッソ|日本窒素肥料]]，[[電気化学工業]]，[[日産化学|大日本人造肥料]]、[[三井化学|三池窒素]]、[[昭和電工|昭和肥料]]、[[住友化学工業]]、[[旭化成|旭ベンベルグ]]、[[東洋高圧]]、[[東亞合成|矢作工業]]、[[宇部興産|宇部窒素工業]]。}}、政府に輸入規制を要求するなど政治問題をひきおこした。

1931年11月には国際窒素協定の継続が決まり<ref>[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2957924/5 1931年11月5日官報]。大蔵省印刷局。</ref>、1931年12月、政府は「硫酸アンモニア輸出入許可規則」を公布し、その名のとおり硫酸アンモニアの輸入を制限した。また硫安配給組合は1932年、第二次国際窒素協定の代表者との間に、硫安の輸出入についての協定を行った。1936年には、輸出量が輸入量を上回るほどになった{{sfn|大阪毎日新聞|1936}}。

日本窒素肥料はイタリアから[[カザレー法]]を導入して水力発電所の電力で水を電気分解して水素を作る方式のアンモニア合成工場を[[延岡市]]に建て1923年（大正12年）10月から年産1万2,500トンの硫安の製造を開始した。一般に言われる石炭ではなく'''水と電気と空気から'''生産する方式を採用していた、この方式は石炭から水素を作る方法に比べると触媒を失活させる[[硫黄]]や一酸化炭素が発生しないため水素を生産する工程が簡単で、安い電力を安定供給する水力発電所があるから可能な方法で、同じ水力発電を元にする工場は戦前に現在の北朝鮮にも作られていた。
{{節スタブ}}

== 結果 ==
[[パン]]の原料である[[コムギ|小麦]]を始めとして、農作物を育てるには、窒素・リン・カリウムの[[肥料の三要素]]が不可欠だが、ハーバー・ボッシュ法は、窒素を供給する[[化学肥料]]の大量生産を可能とし、結果として農作物の収穫量は飛躍的に増加した。このためハーバー・ボッシュ法は、'''水と石炭と空気からパンを作る方法'''とも称された<ref name=webpark1495>西林仁昭、{{PDFlink|[http://webpark1495.sakura.ne.jp/paper/img/201306.pdf 鉄触媒は「窒素固定能」を秘めていた！]}} 化学 Vol.68 No.6 (2013)</ref>。

化学肥料の誕生以前は、単位面積あたりの農作物の量に限界があるため、農作物の量が人口増加に追いつかず、人類は常に[[貧困]]と[[飢餓]]に悩まされていた（[[トマス・ロバート・マルサス|マルサス]]の[[人口論]]）<ref name="hiryou">[http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/104/mgzn10408.html 独立行政法人農業環境技術研究所「情報：農業と環境 No.104 (2008年12月1日) 化学肥料の功績と土壌肥料学」]</ref>。

しかし、ハーバー・ボッシュ法による窒素の化学肥料（[[硫酸アンモニウム]]も参照）の誕生や、[[過リン酸石灰]]による[[リン]]の化学肥料の誕生により、[[ヨーロッパ]]や[[アメリカ大陸]]では、[[人口爆発]]にも耐えうる生産量を確保することが可能となった<ref name="hiryou" />。これは1940年代から1960年代にかけて起きた、[[18世紀]]の[[農業革命]]に続く「[[緑の革命]]」の先駆けとなった<ref name="def">[http://wparks.myweb.uga.edu/ppt/green/ Defining the Green Revolution] - [http://wparks.myweb.uga.edu/ppt/green/tsld003.htm What Was the Green Revolution?]</ref>。また日本などでは従来肥料として用いられてきた[[屎尿]]による[[寄生虫]]の感染も避けられるようになった。

ハーバー・ボッシュ法は同時に爆薬の原料となる[[硝酸]]の大量生産を可能にしたことから、'''平時には肥料を、戦時には火薬を空気から作る'''とも形容された。[[硝石]]の鉱床が無い国でも国内で火薬の生産が可能となり、その後の戦争が長引く要因を作った。例として[[第一次世界大戦]]において、[[ドイツ帝国]]は[[海上封鎖]]により、[[チリ硝石]]の輸入が不可能となったが、戦争で使用した火薬の原料の窒素化合物の全てを国内で調達できた（[[火薬]]・[[爆薬]]を参照）。

本法による[[アンモニア]]合成法の開発以降、生物体としての[[ヒト]]の[[バイオマス]]を、従来よりもはるかに多い量で保障するだけの窒素化合物が、世界中の[[農地]][[生態系]]に供給され、世界の人口は急速に増加した。現在では地球の生態系において最大の[[窒素固定]]源となっている。さらに、農地生態系から直接間接双方の様々な形で、他の生態系に窒素化合物が大量に流出しており、地球全体の生態系への窒素化合物の過剰供給をも引き起こしている。この現象は、地球規模の環境破壊の一端を成しているのではないかとする懸念も生じている<ref>[http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/9712/N.html 世界の人口を養う“窒素”の光と影：日経サイエンス 1997年12月号]</ref>。

ハーバーは本法の業績により、[[1918年]]に[[ノーベル化学賞]]を受賞したが、[[第一次世界大戦]]中にドイツ帝国の[[化学兵器|毒ガス]]開発を主導していたために物議を醸した<ref>[[イーゲーファルベン裁判]]。</ref><ref>{{Cite |和書 |author = 井上尚英 |title = 生物兵器と化学兵器 |date = 2003 |edition = 初 |publisher = 中央公論新社 |isbn = 4121017269 |series = 中公新書 |ref = harv }}</ref>。またボッシュは実用化の業績により、[[1931年]]にノーベル化学賞を受賞している。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
* {{Cite journal|和書|author=兒玉州平 |url=https://doi.org/10.20624/sehs.80.3_349 |title=戦間期硫安業界における東洋窒素工業株式会社の活動 |journal=社会経済史学 |issn=0038-0113 |publisher=社会経済史学会 |year=2014 |volume=80 |issue=3 |pages=349-371 |naid=110009893095 |doi=10.20624/sehs.80.3_349 |accessdate= 2021-06-01 |ref=harv}}
* {{cite journal|author1= 森川豊|author2= 中洋一|author3=尾崎葦|url= https://doi.org/10.1246/nikkashi.1972.1023 |title= {{chem|Fe-Al|2|O|3}}(-重促進鉄)および Fe-K{{sub|2}}0触媒上における窒素分子間の同位体交換反応|journal= 日本化学会誌 |volume= 1972 |year= 1972|number= 6 |pages= 1023-1028 |doi= 10.1246/nikkashi.1972.1023 |accessdate=2017-07-17}}
* {{cite book| title =『[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1442593/175 経済問題の話]』| last =[[大阪朝日新聞]]経済部 | first = | author-link = | publisher = 大阪朝日新聞| page=| location = 大阪| year = 1929 |quote=「計画続出の硫安事業」| oclc =| isbn=| ref = harv}}
*{{cite book| title =[{{新聞記事文庫|url|0100096940|title=愈々輸出旺盛の硫酸アンモニア|oldmeta=00497296}} 「愈々輸出旺盛の硫酸アンモニア」 （1936年8月29日号）]| last = [[大阪毎日新聞]]| first = | author-link = | publisher = [[神戸大学]]デジタルアーカイブ [http://www.lib.kobe-u.ac.jp/sinbun/ 新聞記事文庫]| page=| location = 神戸| year = 1936 | oclc =| isbn=| ref = harv}}
*{{anchors|コトバンク}}{{コトバンク|ヨーロッパ国際窒素協定}}
*{{cite book| title =[https://books.google.co.jp/books?id=DCsn1sxasXoC&pg=PA28&lpg=PA28&dq=imperial+chemical+industries+ig+farben+nitrogen+agreement+cartel&source=bl&ots=kB7vizgCBe&sig=ACfU3U2lw2OgmgoVIqOQcDW10N5ZndLiaA&hl=en&sa=X&ved=2ahUKEwjZpdXlka3wAhWVIaYKHU2SCQ0Q6AEwCXoECBAQAw#v=onepage&q=imperial%20chemical%20industries%20ig%20farben%20nitrogen%20agreement%20cartel&f=false Dyes: Prepared in Response to Requests from the Committee on Finance of the United States Senate and the Committee on Ways and Means of the House of Representatives]| last =United States | first = | author-link = | publisher =U.S. Government Printing Office| page=| location = Washington D. C.| year = 1946 | oclc =| isbn=| ref = harv}}

*{{cite journal|author1= [[工藤章]]|author2= |author3=|url=https://doi.org/10.5029/jrbh1984.5.88 |title= I. G. Farben's Japan Strategy: The Case of Synthetic Oil |journal= Japanese Yearbook on Business History, [https://bhsj.smoosy.atlas.jp/ja Business History Society of Japan]（[[日本経営史学会]]） |volume=  |year= 1989|number=  |pages= |doi= 10.5029/jrbh1984.5.88|accessdate= 2021-01-01}}

== 関連項目 ==
* [[アンモニア]]
* [[アンモニア電解合成]]
* [[窒素固定]]
* [[水素脆化]]

== 外部リンク ==
* [https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1918/haber/biographical/ フリッツ・ハーバー伝] - ノーベル賞公式サイト {{en icon}}
* [https://archive.is/20140210085650/http://www.basf.com/group/corporate/en/news-and-media-relations/science-around-us/ammonia/story 空気から作る肥料 (Fertilizer out of thin air)] - [[BASF]]公式サイト {{en icon}}
* [https://www.ausetute.com.au/haberpro.html アンモニアの製造と利用 (Uses and Production of Ammonia)] - オーストラリアの[[eラーニング]]サイト {{en icon}}
* {{Kotobank|はーばーぼつしゆ法|title=ハーバー・ボッシュ法}}

{{Authority control}}

{{DEFAULTSORT:はあはあほつしゆほう}}
[[Category:無機反応]]
[[Category:人名反応]]
[[Category:アンモニア]]
[[Category:窒素]]
[[Category:BASF]]
[[Category:化学工業]]
[[Category:産業用ガス]]
[[Category:ドイツの発明]]
[[Category:フリッツ・ハーバー]]
[[Category:カール・ボッシュ]]