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[[位相空間論]]、[[集合論]] や [[ゲーム理論]]において、'''[[ステファン・バナフ|バナッハ]]・[[:en:Stanislaw Mazur|マズール]]・ゲーム''' とは、二人で行う[[topological game]]の一種で、空間からピンとなる元を得られるかどうかを問題にするものである。バナッハ・マズール・ゲームのコンセプトは[[ベール空間]]のコンセプトとも関連がある。[[完全情報]]な無限[[陣取りゲーム]]で最初期に研究されたものである。 == 定義と性質 == 一般的なバナッハ・マズール・ゲームの定義は次のようにする: [[位相空間]] <math>Y</math>, 固定された部分集合 <math>X \subset Y</math>, <math>Y</math> の部分集合族 <math>W</math> が次の性質を満たしているとする。 * <math>W</math> の各元は空でない内部を持つ。 * <math>Y</math> の空でない開集合は <math>W</math> の元を部分集合として含む。 ここで、ゲーム <math>MB(X,Y,W)</math> を次のように定める。二人のプレイヤー <math>P_1</math> と <math>P_2</math> は交互に <math>W</math> の元 <math>W_0</math>, <math>W_1</math>, <math>\cdots</math> を、<math>W_0 \supset W_1 \supset \cdots</math> が成り立つように取っていく。<math>P_1</math> が勝つのは <math>X \cap (\cap_{n<\omega} W_n) \neq \emptyset</math> であるときかつ、そのときのみである。 このとき、以下のことが成り立つ。 * <math>P_2 \uparrow MB(X,Y,W)</math> であるのは <matH>X</math> が <math>Y</math> において ''第一類'' (集合が[[第一類集合|第一類]]とか [[痩集合|meager]] であるとは、それが nowhere-dense な集合の可算和として得られること。)であるとき、かつそのときのみである。 * <math>Y</math> が完備距離空間であるとすると、<math>P_1 \uparrow MS(X,Y,W)</math> であるのは、<math>Y</math> の空でないある開部分集合の中に <math>X</math> がresidual(なんらかのmeager setの補集合であること)であるとき、かつそのときのみである。 * <math>X</math> が <math>Y</math> で[[ベールの性質|Baire property]]を持つとき、<math>MB(X,Y,W)</math> はdeterminedである。 * <math>P_2</math> のいかなるwinning strategy(必勝戦略)も、stationaryなwinning strategyとして実現できる。 == winning strategy に関する事実 == どんな集合 <math>X</math> が <math>P_2</math> を必勝にしうるかという問題はごく自然なものである。もちろん、<math>X</math> が空だったら <math>P_2</math> は明らかに必勝である。なので、<math>P_2</math> が winning strategy を持つことを保証するために<math>X</math> はどれだけ"小さ"ければよいか、補集合がどれだけ"大き"ければよいかといった非公式的な概念を考えているものと捉えることができる。 winning strategiesに関する証明の例を挙げておく。 '''事実''': <math>X</math> が可算で、<math>Y</math> が[[T1 space|T<sub>1</sub>]]で、<math>Y</math> が[[孤立点]]を持たないなら、<math>P_2</math> がwinning strategyを持つ。 '''証明''': <math>X</math> の要素を <math>x_1, x_2, \cdots</math> と番号付けしておく。<math>W_1</math> が <math>P_1</math> に選ばれたとする。<math>U_1</math> を <math>W_1</math> の空でない内部とする。このとき、<math>U_1 \setminus \{x_1\}</math> は <math>Y</math> の空でない開集合である。なので、<math>P_2</math> は <math>W</math> の元 <math>W_2</math> を、これに部分集合として含まれるように取ることができる。<math>P_1</math> は<math>W_3</math> を <math>W_2</math> の内側に取ることができる。<math>P_2</math> は先ほどと同様の理由で、<math>W_4 \subset W_3</math> で <math>x_2</math> を持たないようにとれる。この方法により、各点 <math>x_n</math> はそれぞれ <math>W_{2n}</math> には属さない、よって全ての <math>W_n</math> の共通部分は <math>X</math> のどの点も避けてしまう。'''Q.E.D''' '''事実''': <math>Y</math> を位相空間とし、<math>W</math> を<math>Y</math> の部分集合の族で最初に挙げてある、ゲームをするために必要な二つの性質を満たすものとし、<math>X</math> は <math>Y</math> の部分集合とする。<math>P_2</math> がwinning strategyを持つのは <math>X</math> が[[痩集合|meagre]]であるとき、かつそのときのみである。 ただし、<math>X</math> がmeagreでないからといって、<math>P_1</math> がwinning strategyを持つと言えるわけではないことに注意。プレイヤーのいずれもwinning strategyを持っていないことだってありうる。: <math>Y</math> が <math>[0,1]</math> であって、<math>W</math> が閉区間 <math>[a,b]</math> から成り立っているとする。このとき、target set <math>X</math> が[[ベールの性質|Baire Property]]を持つなら、ゲームがdeterminedである。[[選択公理]]の下では、<math>[0,1]</math> の部分集合でバナッハ・マズール・ゲームをdeterminedにしないものがある。 ==参考文献== [1957] Oxtoby, J.C. ''The Banach–Mazur game and Banach category theorem'', Contribution to the Theory of Games, Volume III, Annals of Mathematical Studies '''39''' (1957), Princeton, 159–163 [1987] Telgársky, R. J. ''Topological Games: On the 50th Anniversary of the Banach–Mazur Game'', Rocky Mountain J. Math. '''17''' (1987), pp. 227–276.[http://www.telgarsky.com/1987-RMJM-Telgarsky-Topological-Games.pdf] (3.19 MB) [2003] Julian P. Revalski ''The Banach-Mazur game: History and recent developments'', Seminar notes, Pointe-a-Pitre, Guadeloupe, France, 2003-2004 [http://www1.univ-ag.fr/aoc/activite/revalski/Banach-Mazur_Game.pdf] {{デフォルトソート:はなつはますうるけえむ}} [[Category:位相空間論]] [[Category:記述集合論]] [[Category:ゲーム理論]] [[Category:数学に関する記事]]
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