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バリスタ (電子部品)
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[[ファイル:Varistor S14K385 photo.jpg|thumb|200px|酸化金属バリスタ, 385 V]] [[ファイル:Varistor.PNG|thumb|150px|バリスタの回路図記号]] [[File:Typische Varistorkennlinien.gif|thumb|right|150px|酸化亜鉛(ZnO)および炭化ケイ素(SiC)デバイスのバリスタ電圧(U/V)と電流(I/A)<ref>電圧(U)や電流(I)は[[:de:Formelzeichen|ドイツDIN規格]]による表示。VやAは[[国際単位系]]による表示。</ref>]] '''バリスタ''' (varistor) は、2つの[[電極]]をもつ[[電子部品]]で、両端子間の[[電圧]]が低い場合には[[電気抵抗]]が高いが、ある程度以上に電圧が高くなると急激に電気抵抗が低くなる性質を持つ。 主要な電子機器・電子部品を落雷や短絡、[[電動機|モーター]]や[[継電器|リレー]]などのオンオフで生じる高電圧ノイズ([[サージ電圧]])から保護するための[[バイパス]]として用いられる。 名称は'''vari'''able resi'''stor'''から作られた造語であり、非直線性抵抗素子の意味である。ただし直訳の「[[可変抵抗器|可変抵抗]]」では別の電子部品を表してしまうため、英語での別称はvoltage-dependent resistor (VDR、電圧依存性抵抗器)が用いられる。 バリスタの両端子間の電圧Vと流れる電流Iの関係を<math> I \propto V ^ \alpha\ </math>で近似した場合、通常の抵抗体([[オームの法則|オーム]]抵抗)ならばα=1であるが、バリスタではα>1となる。このαを非直線性係数と呼ぶ。 == バリスタの定格値 == === バリスタ電圧 === バリスタ電圧は、バリスタの動作する電圧の目安となる数値である。 ある基準電流が流れるときバリスタの両端子間に発生する電圧で定義する。 一般には基準電流を1mAとし、記号V<sub>1mA</sub>で表す。 === サージ耐量、エネルギー耐量 === バリスタが耐えることのできるサージの大きさを表す数値である。 バリスタに対して決まった波形のパルス電圧を印加したとき、バリスタが破壊しない限界のピーク電流をサージ耐量と呼ぶ。また、その時のパルスの持つエネルギーの大きさをエネルギー耐量と呼ぶ。 === 寿命に対する注意 === バリスタ電圧、サージ耐量、エネルギー耐量、および、機器や回路を保護するために想定するサージ波形から、寿命を適切に確保することのできる定格のものを選定する必要がある。これらの定格を超える場合、破損し飛散する場合がある<ref>{{Cite web|和書 | url = http://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/va-j/va-sepa-j/va-precaution-j-150701.pdf | archiveurl = https://web.archive.org/web/20150927060506/chemi-con.co.jp/catalog/pdf/va-j/va-sepa-j/va-precaution-j-150701.pdf | format = PDF | title = セラミックバリスタ 使用上の注意 | publisher = [[日本ケミコン]] | accessdate = 2015-11-06 | archivedate = 2015-09-27 | url-status=dead|url-status-date=2019-10-01 }}</ref>。 == 構造 == バリスタは非直線性抵抗特性を持つ[[半導体]][[セラミックス]]を2枚の電極ではさんだ構造を持つ。 セラミック[[コンデンサ]]に類似した構造であり、セラミックコンデンサの[[誘電体]]セラミックスを半導体セラミックスで置き換えたものと言ってよい。 形態もセラミックコンデンサと同様にディスク型および積層チップ型がある。 == 素材 == === 酸化亜鉛 === [[酸化亜鉛]]に数種類の添加物を加えたセラミックスは、非直線性係数およびエネルギー耐量が大きいことから、バリスタの素材として最も一般的に用いられる。 添加物としては[[ビスマス]]または[[プラセオジム]]が非直線性抵抗特性を発生させるために不可欠である。さらに特性を向上させるために[[コバルト]]、[[マンガン]]、[[クロム]]、[[アンチモン]]等が添加される。 === チタン酸ストロンチウム === [[チタン酸ストロンチウム]]は[[誘電率]]が高いため、コンデンサ兼用バリスタとして用いられる。 === 炭化珪素 === [[炭化珪素]]はバリスタ素材として最も初期に実用化された素材である。現在では[[絶縁破壊]]電圧が高い性質を利用して高電圧用バリスタとしてのみ用いられる。 == 原理 == 非直線性抵抗特性の発生原理はいまだ完全には解明されていないが、[[多結晶]]体の[[結晶粒界]]に形成されるダブル[[ショットキー障壁]]によるものと推定されている。 == 用途 == バリスタは高電圧に弱い[[集積回路]]等の部品を突発的な高電圧(サージ)から保護するためのバイパスとして用いられる。 代表的な用途として次のようなものがある。 === 落雷サージからの保護 === {{See|避雷器}} === 静電気放電(ESD)からの保護 === 現在のデジタル集積回路は[[プロセスルール]]の微細化により耐電圧が低下し、[[静電気]]放電による破壊を起こしやすくなっている。 特に[[携帯電話]]や[[携帯音楽プレーヤー]]など小型の機器や[[ユニバーサル・シリアル・バス|USB]]などの外部[[インタフェース (情報技術)|インタフェース]]端子を持つ機器では筐体による静電気シールドが困難であるため、保護用の部品を用いることが一般的である。 従来、そのような用途には[[ツェナーダイオード]]が多く用いられていたが、小型で低価格の積層チップバリスタ([[2006年]]現在で0603タイプ:0.6mm×0.3mmのものまで実用化されている)が開発されたことにより、ESD保護部品としてもバリスタが用いられるようになった。 === 整流子の火花抑制 === [[整流子電動機|整流子モーター]]では回転時の[[整流子]]の断続によって誘導される高電圧によって火花が発生し、[[ブラシ]]の消耗や[[ノイズ]]発生の原因となる。 これを防止するためにバリスタが用いられる。モーターに組み込むために専用のリング型のバリスタが製造されている。 === 開閉器の接点保護 === [[直流電動機|直流モーター]]や[[ソレノイド]]などといった直流の誘導性負荷は、電源を切った際に[[インダクタンス|自己誘導作用]]による高圧の逆起電圧を生じる。これをバリスタによって[[バイパス]]させることにより吸収し、モーターのブラシを摩耗から保護したり、負荷を制御している[[電磁開閉器]]や[[継電器|リレー]]などの接点を保護することができる。 == 出典 == <references /> == 関連項目 == *[[ダイオード]] *[[放電ギャップ]] *[[スナバ回路]] == 外部リンク == *[http://www.tdk.co.jp/techmag/illustrated/200401/index.htm 静電気の攻撃をカットする 積層チップバリスタ]([[TDK]]、テクの図鑑) {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:はりすた}} [[Category:電子部品]] {{Electronic components|state=collapsed}} {{electronics-stub}}
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