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{{出典の明記|date=2015年10月}} {{変調方式}} '''パルス幅変調'''(パルスはばへんちょう、{{lang-en|pulse width modulation}}、'''PWM''')とは[[変調]]方法の一つであり、パルス波の[[デューティ比]]を変化させて変調すること。 * [[制御工学]]、[[電子工学]]などにおいて、[[デューティ比]]を変化させる手法。 * [[シンセサイザー]]で、[[パルス波]]の[[デューティ比]]を変化させること。 == パルス幅変調の式 == パルス幅変調の数学的扱いは次のようになる<ref>初等的な信号変調の教科書にならどの本でも書いてある。例えば、{{Harv|F.R.コナー|1985}}などを参照。</ref>。簡単のため、入力信号として正弦波 <math>\;v(t) = v \sin \omega t\;</math> の場合を考える。 ここで <math>\;v\;</math> は[[物理量]]を表す定数、<math>\;\omega\;</math>、<math>\;t\;</math> はそれぞれ角振動数、時間である。 また、変調されていないときのパルス波は、周期 <math>\;T\;</math> ごとに幅 <math>\;\tau\;</math> (ただし<math>\;0<\tau<T\;</math>)の パルスを出力するものと仮定する。 このとき、パルス幅変調された信号 <math>\;S(t)\;</math> は、周期 <math>\;T\;</math> ごとに幅 <math>\;\Delta T= \tau(1+ m \sin \omega t)\;</math> のパルスが出力されるように変調される。 <math>\;m\;</math> は変調度で、<math>\;0<\Delta T<T\;</math> でなければならないので <math>\;0 < m < \frac{T}{\tau}- 1\;</math> を満足しなければならない。 :<math>\;S(t) = W \sum^\infty_{n=-\infty}\left(\Theta\left(t - n T\right) - \Theta\left(t - \left(nT + \Delta T\right)\right)\right),\;</math> ここで、<math>\;\Theta(x)\;</math>は[[ヘヴィサイドの階段関数]]、 <math>\;W\;</math>は次元を持ったなんらかの定数である。 ヘヴィサイドの階段関数の[[フーリエ変換]]表示 :<math>\;\Theta(x) = \lim_{\epsilon\to +0}\int^\infty_{-\infty} \frac{dp}{2 \pi i} \frac{1}{p - i\epsilon} e^{ i p x}, \quad i :=\sqrt{-1\,},\;</math> や公式 :<math>\;\frac{1}{2\pi}\sum^\infty_{n=-\infty}e^{2\pi i n x} = \sum^\infty_{l=-\infty}\delta(x-2\pi l), \qquad x\in\mathbb{R},\;</math> を用い(ただし、<math>\;\delta(x)\;</math>は[[ディラック]]の[[デルタ関数]]) <ref><math>\;x\;</math>の定義域に注意。<math>\;x\;</math>は有限区間<math>\;[0,1]\;</math>に制限されていないので右辺の<math>\;l\;</math>の和を忘れてはいけない。</ref>、 適時積分と和の入れ替えを行うと、 <math>\;S(t)\;</math>は :<math>\;S(t) = S_0(t) + S'(t),\;</math> :<math>\;\begin{align}S_0 (t) &= \lim_{l,\epsilon\rightarrow +0}\frac{W}{2\pi i l + \epsilon} \left(e^{2\pi i l t/T} - e^{2\pi i l (t - \Delta T)/T}\right) = W \frac{\Delta T}{T},\\ S'(t) &= \sum_{l\neq 0} \frac{W}{i}\frac{1}{2\pi l - i \epsilon}e^{2\pi i l t/T}(1 - e^{-2\pi i l \Delta T / T})\end{align}\;</math> と書ける。 ここで、<math>\;S(t)\;</math>が時間の並進<math>\;t\longrightarrow t + \Delta T /2 \;</math>に対して 不変であることを用いると<ref><math>\;t\in(-\infty,\infty)\;</math>なので有限の並進に対して不変である。</ref>、 <math>\;S'(t)\;</math>をもう少しきれいに書き直すことができて、 :<math>S'(t)=\sum^\infty_{l=1}\frac{2W}{\pi l }\cos\left(\frac{2\pi l }{T}t\right) \sin\left(\frac{\pi l }{T}\Delta T\right)</math> である。最後の項<math>\;\sin\left(\pi l / T \Delta T\right)\;</math>に<math>\;\Delta T = \tau(1 + m \sin \omega t)\;</math>を代入すると、 これは[[FM]]変調の式であることがわかる。 <math>\;S_0 (t) = W \frac{\tau}{T} (1 + m \sin \omega t)\;</math>であるから、 ローパスフィルタで<math>\;S'(t)\;</math>を除去できれば、<math>\;W\frac{\tau}{T}\;</math>分シフトされて 元の信号が復調される。 {{clear}} == 用途 == === アナログシンセサイザー === [[エンベロープ]]ジェネレーターや[[LFO (電子楽器)|LFO]]など[[サブオシレータ]]でパルス幅を変化させ、 * 発振するほどの高速変化により、独特の非整数[[倍音]]を生成すること。 * 音量エンベロープのような低速変化により、連続的に音色変化(パルス波から矩形波など)させること。 === 音源チップ === * [[ゲームボーイアドバンス]]で使用されている。 * [[P/ECE]]で使用されている。 * [[スーパー32X]]で使用されている。{{要検証|date=2012年6月}} * [[ファミリーコンピュータ ディスクシステム]]音源が[[波形メモリ音源|波形メモリ]]からの出力に採用しているとの説あり。{{要検証|date=2012年6月}} ** ファミコンディスクシステム音源は波形メモリに周波数変調をかけることができ、出力はPWM、という説あり。{{要検証|date=2012年6月}} * [[ワンダースワン]]音源が[[波形メモリ音源|波形メモリ]]からの出力に採用しているとの説あり。{{要検証|date=2012年6月}} === 電源回路 === [[インバータ]]により[[直流]]を[[交流]]に変換したり、[[チョッパ制御]]により直流電圧を制御する他、[[直流電化#整流方式|整流器]](PWMコンバータともいう)としても用いられる。いずれも電源電圧より高い電圧を得るためには[[リアクトル]]の充放電機能を用いる。また[[脈流]]や[[高調波]]となって出力されるため、やはりリアクトルを用いてそれらを平滑化する必要がある。 ==== チョッパ制御 ==== [[ファイル: Chopper_jp_02.gif|thumb|right|チョッパ制御におけるPWMの例]] {{main|チョッパ制御}} 高周波分巻式を除くチョッパ制御の場合、パルスの周波数は一定であり、パルスの幅だけを変化させることで平均電圧を可変とする。パルス幅が狭い場合は平均電圧が下がり、パルス幅が広いときは平均電圧が上がる。例えば次のパルスまでを10等分したとして、ON:OFFを2:8とすれば元の電圧の2/10つまり1/5になり、8:2なら8/10=4/5の電圧が得られる。100%の電圧が必要なときは単にONのままにするが、チョッパ装置そのものも抵抗となるため、それを短絡して直接負荷に流すこともある。 {{clear}} ==== インバータ ==== [[ファイル: Pwm-VVVF.png|thumb|right|インバータにおけるPWMの例]] {{main|インバータ}} [[マイクロコンピュータ|マイコン]]により、[[スイッチング電源|スイッチング素子]]のゲート電極に信号を流すタイミングを決めるためには、搬送波(もしくはキャリア)と呼ばれる[[三角波 (波形)|三角波]]と、基本波(もしくは信号波)と呼ばれる[[正弦波]]を用いて、PWMで制御するインバータが一般的である<ref>搬送波はスイッチング素子の動作周波数を示し、基本波は出力する交流の波形を示している</ref>。ゲート電極に信号を流すゲートドライブが搬送波と基本波の交点を検出し、4個(三相交流では6個)のスイッチング素子をオン/オフする。すると、右図のようなパルス(黄色い矩形)が得られ、その平均電圧(赤い線)が疑似正弦波交流になる。 これ以外にも信号を流すタイミングを決める方法はあるがここでは割愛する。 上記は2レベルインバーターである。2レベルというのは、パルスの電圧として100%、0%の2つを使っているという意味である。100%、50%、0%の3つの出力電圧を使うインバーターを3レベルインバータという。このようなインバータを'''マルチレベルインバータ'''と称する。 ==脚注== <references/> ==参考文献== {{Refbegin}} *{{Cite book|和書|author=F.R.コナー |translator=高原幹夫 |series=電子通信工学シリーズ5 |title=変調入門 |publisher=森北出版 |year=1985 |isbn=4-627-73350-X |ref=harv}} {{Refend}} {{DEFAULTSORT:はるすははへんちよう}} [[Category:電子音源の合成方式]] [[Category:音声処理]] [[Category:変調方式]] {{Electronics-stub}}
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