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{{Chembox | verifiedrevid = 414415928 | ImageFileL1 = Pyridine-2D-full.svg | ImageSizeL1 = 120px | ImageNameL1 = ピリジンのケクレ構造式 | ImageFileR1_Ref = {{chemboximage|correct|??}} | ImageFileR1 = Pyridine_numbers.svg | ImageSizeR1 = 90px | ImageNameR1 = ピリジンの骨格構造式 | ImageFileL2 = Pyridine-CRC-MW-3D-balls.png | ImageSizeL2 = 130px | ImageNameL2 = ピリジンの球棒モデル | ImageFileR2 = Pyridine-CRC-MW-3D-vdW.png | ImageSizeR2 = 120px | ImageNameR2 = ピリジンの空間充填モデル | IUPACName = Pyridine<br />ピリジン | OtherNames = アザベンゼン<br />アジン | Section1 = {{Chembox Identifiers | SMILES = c1ccncc1 | UNII_Ref = {{fdacite|correct|FDA}} | UNII = NH9L3PP67S | KEGG_Ref = {{keggcite|correct|kegg}} | KEGG = C00747 | InChI = 1/C5H5N/c1-2-4-6-5-3-1/h1-5H | InChIKey = JUJWROOIHBZHMG-UHFFFAOYAY | ChEMBL_Ref = {{ebicite|correct|EBI}} | ChEMBL = 266158 | StdInChI_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChI = 1S/C5H5N/c1-2-4-6-5-3-1/h1-5H | StdInChIKey_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChIKey = JUJWROOIHBZHMG-UHFFFAOYSA-N | CASNo_Ref = {{cascite|correct|CAS}} | CASNo = 110-86-1 | PubChem = 1049 | ChemSpiderID_Ref = {{chemspidercite|correct|chemspider}} | ChemSpiderID = 1020 | EINECS = 203-809-9 }} | Section2 = {{Chembox Properties | C=5|H=5|N=1 | Appearance = 無色の液体 | Density = 0.9819 g/cm<sup>3</sup>, 液体 | Solubility = 混和性 | MeltingPtC = -41.6 | BoilingPtC = 115.2 | Viscosity = 0.88 mPa s | Dipole = 2.2 [[デバイ|D]]<ref name="roempp">{{cite book|work=Thieme Chemistry|title=RÖMPP Online – Version 3.5|publisher=Georg Thieme |place=Stuttgart|year=2009}}</ref> | RefractIndex = 1.50920 (20 {{℃}}) | VaporPressure = 18 mmHg | pKa = 5.25,<ref>{{cite journal|last1=Linnell|first1=Robert|journal=Journal of Organic Chemistry|volume=25|pages=290|year=1960|doi=10.1021/jo01072a623}}</ref><ref>{{cite journal|last1=Pearson|first1=Ralph G.|last2=Williams|first2=Forrest V.|journal=Journal of the American Chemical Society|volume=75|pages=3073|year=1953|doi=10.1021/ja01109a008}}</ref> (C<sub>5</sub>H<sub>5</sub>NH<sup>+</sup> の酸性度) }} | Section7 = {{Chembox Hazards | Reference=<ref>[https://fscimage.fishersci.com/msds/19990.htm Pyridine MSDS]</ref> | NFPA-H = 3 | NFPA-F = 3 | NFPA-R = 0 | FlashPt = 21 °C , 294 K | TLV-TWA = 5 ppm | EUClass = Flammable ('''F''')<br />Harmful ('''Xn''') | RPhrases = {{R-phrases|20|21|22|34|36|38}} | SPhrases = | RSPhrases =}} | Section8 = {{Chembox Related | Function = [[アミン]] | OtherFunctn = [[ピコリン]]<br />[[キノリン]] | OtherCpds = [[アニリン]]<br />[[ピリミジン]]<br />[[ピペリジン]] }} | 出典=[https://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_lang=ja&p_card_id=0323&p_version=2 ICSC] }} '''ピリジン''' ({{en|pyridine}}) は化学式 C<sub>5</sub>H<sub>5</sub>N、分子量 79.10 の[[複素環式化合物|複素環式芳香族化合物]]のアミンの一種である。[[ベンゼン]]に含まれる6つの C−H 構造のうち1つが[[窒素]][[原子]]に置き換わった構造をもつ。[[融点]] −41.6℃、[[沸点]] 115.2℃。 腐り果てた魚のような臭いを発する[[液体]]である。 石油に含まれるほか、誘導体(ピリジン[[アルカロイド]])が植物に広範に含まれる。[[ニコチン]]や[[ピリドキシン]]などもピリジン環を持つ。酸化剤として知られる[[クロロクロム酸ピリジニウム]] (PCC) の原料として重要。また有機合成において[[溶媒]]として用いられる。 [[消防法]]による[[危険物]](第四類 引火性液体、第一石油類(水溶性液体)(指定数量:400L))に指定されており、一定量以上の貯蔵には消防署への届出が必要である。 人間の[[皮膚]]と接触すると[[メラニン]]と反応を起こし黒く色素沈着を残すため保護手袋での取り扱いが必要である。 == 物性 == [[File:Pyridine sample.jpg|thumb|right|180px|瓶に入ったピリジン]] [[ベンゼン]]とよく似た構造を持ち、ピリジンの[[窒素]]原子は[[混成軌道|sp<sup>2</sup>混成]]している。窒素原子は芳香族π[[共役系]]に 1電子を提供しており、炭素から提供された 5電子をあわせると 6電子となり[[ヒュッケル則]]を満たすため、[[芳香族]]としての性質を示す。 ピリジンはベンゼンと同じように[[溶媒|無極性溶媒]]に容易に溶けるが、極性溶媒である[[水]]にも溶ける。これはピリジンの窒素原子が水と[[水素結合]]を形成して[[溶媒和]]するためである。 窒素は炭素と比べて[[電気陰性度]]が高いため、分子内で窒素原子がわずかに負電荷を、残りの部分は陽電荷を帯び極性が生じていることも、極性溶媒に溶ける大きな要因である。 ピリジンは[[アミン]]類と同様に[[塩基]]性を示す。しかしその塩基性は[[アミン]]と比べてきわめて弱い。これは窒素原子の混成の差によるものである。 == 反応 == ピリジンは酸と反応して塩を作る。これはピリジニウム塩と総称される。[[塩化水素]]とは以下のように反応し塩化ピリジニウムとなる。 : <chem>C5H5N\ + HCl -> C5H5N^+\ H \cdot Cl^-</chem> === 求電子置換反応 === ピリジンは芳香族でありながら、[[ニトロ化]]や[[フリーデル・クラフツ反応|アシル化]]などの[[芳香族求電子置換反応|求電子置換反応]]を受けにくい。そのためには強い酸触媒と高温条件が必要になり、収率も低いことが多い。この理由は、窒素の電気陰性度のために環がわずかに[[電子不足]]であることと、求電子置換反応は通常酸性条件下で行われるので、ピリジン窒素がプロトン化を受けて環の電子密度がさらに低下するためである。 置換反応は主に C-3位に起こる。これは陽イオン中間体である[[パラトルエンスルホン酸ピリジニウム|ピリジニウム]][[イオン (化学)|イオン]]の陽電荷が C-2,4位に非局在化しており、それらの位置が求電子的攻撃を受けにくいためである。 === 求核置換反応 === 求電子置換反応に比べ、[[芳香族求核置換反応|求核置換反応]]は起こりやすい。例えば、2-クロロピリジンや2-ブロモピリジンは酸性条件でヨウ化物イオンを作用させて、2-ヨードピリジンに変えることができる<ref>例: Schlosser, M.; Cottet, F. "Silyl-Mediated Halogen/Halogen Displacement in Pyridines and Other Heterocycles." ''Eur. J. Org. Chem.'' '''2002''', 4181–4184. {{doi|10.1002/1099-0690(200212)2002:24<4181::AID-EJOC4181>3.0.CO;2-M}}</ref>。酸の付加により環が陽電荷を帯び、求核剤の攻撃を受けやすくなるためである。 === ラジカル反応=== ピリジンは一連の[[ラジカル (化学)|ラジカル]]反応を起こす。これは二量化によるビピリジンの形成に使われる。金属ナトリウムまたは[[ラネーニッケル]]を使ったピリジンのラジカル二量化により[[4,4'-ビピリジン]]<ref>{{cite book|last1=Badger|first1=G|last2=Sasse|first2=W|title=Advances in Heterocyclic Chemistry|volume=2|pages=179|year=1963|doi=10.1016/S0065-2725(08)60749-7|chapter=The Action of Metal Catalysts on Pyridines|series=Advances in Heterocyclic Chemistry|pmid=14279523|isbn=9780120206025}}</ref>または{{仮リンク|2,2'-ビピリジン|en|2,2'-Bipyridine|preserve=1}}<ref>{{cite journal|author=Sasse, W. H. F.|title=2,2′-bipyridine|journal=Organic Syntheses|year=1966|volume=46|pages=5–8|url=http://www.orgsyn.org/orgsyn/pdfs/CV5P0102.pdf|doi=10.1002/0471264180.os046.02|isbn=0471264229|url-status=dead|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120121055946/http://www.orgsyn.org/orgsyn/pdfs/CV5P0102.pdf|archivedate=21 January 2012|df=dmy-all}}</ref>が選択的に得られる。これらは化学産業における重要な前駆体試薬である。フリーラジカルが関与する[[人名反応]]の1つが[[ミニスキ反応]]である。この反応は[[硫酸]]酸性条件でピリジンと[[ピバル酸]]、[[硝酸銀]]、[[アンモニウム]]塩を反応させて、97%の収率で2-''tert''-ブチルピリジンを生成することができる<ref name=jou10>{{cite book|last1=Joule |first1=J. A. |last2=Mills |first2=K. |ref=Joule|url=https://books.google.com/books?id=cwe-Ebc64bkC&printsec=frontcover |title=Heterocyclic Chemistry|edition=5th|publisher= Blackwell Publishing|place= Chichester|year= 2010|isbn=978-1-4051-3300-5|pages=125–141}}</ref>。 === 酸化 === ピリジンまたはその誘導体を[[過酸化水素]]や[[過カルボン酸]]などで酸化すると、環の窒素上に酸素原子が結びついた[[ピリジン N-オキシド|ピリジン ''N''-オキシド]]が生成する<ref>[[落合英二 (薬学者)|Ochiai, E.]] "Recent Japanese work on the chemistry of pyridine 1-oxide and related compounds." ''J. Org. Chem.'' '''1953''', ''18'', 534–551. DOI: [https://doi.org/10.1021/jo01133a010 10.1021/jo01133a010]</ref>。ピリジン ''N''-オキシドに対しては[[混酸]]による[[ニトロ化]]などの求電子置換反応を行うことができ、それらは4位へと選択的に起こる。ピリジン窒素上の酸素は[[三臭化リン]]などにより後に除去することができるため、ピリジンの 4-ニトロ化物を合成したい場合に ''N''-オキシドを通る経路は有力である。 == ピリジン環を有する化合物 == ===有機反応試剤=== *[[N,N-ジメチル-4-アミノピリジン|''N'',''N''-ジメチル-4-アミノピリジン]] - 求核性の触媒・塩基。 *[[ピコリン]] - ピリジンに[[メチル基]]が1つついた化合物。 *[[ビピリジン]] - 二座配位子。 *[[2,6-ルチジン]] - 求核性の低い塩基。 *[[クロロクロム酸ピリジニウム]] - 酸化剤。 *[[ピリジニウムパラトルエンスルホナート]] - 酸触媒。 === 天然物 === *[[トリゴネリン]] - オシロイバナやコーヒーに含まれるアルカロイド。 *[[ナイアシン]] - ビタミンB<sub>3</sub>。 *[[ニコチン]] - タバコの葉に含まれるアルカロイド。 *[[ピリドキシン]]、[[ピリドキサール]]、[[ピリドキサミン]] - [[ビタミンB6|ビタミンB<sub>6</sub>]]。 *[[ベルベリン]] - キハダやオウレンなどに含まれるアルカロイド。 *[[膣分泌液]] - 人体から分泌される酸。<ref>{{Cite web |title=Woman Health: Female Body Fluids |url=http://www.sinepenis.com/ |accessdate=2007-10-18 |language=en-US}}</ref> === 農薬 === *[[イミダクロプリド]] (imidacloprid) -[[ネオニコチノイド]]系殺虫剤。 *[[パラコート]] (paraquat) -除草剤。 *[[ピリプロキシフェン]] (pyriproxyfen) -[[幼若ホルモン]]様殺虫剤。 === 殺菌消毒薬 === *[[塩化セチルピリジニウム]] == 関連項目 == *[[ピペリジン]] *[[ピリミジン]] *[[キノリン]] *[[アクリジン]] == 脚注 == {{Reflist}} {{官能基}} {{芳香環}}{{アルカロイド}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:ひりしん}} [[Category:ピリジン|*]] [[Category:溶媒]] [[Category:第1石油類]] [[Category:含窒素複素環式化合物]] [[Category:芳香族化合物]] [[Category:六員環化合物]]
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