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[[Image:Phenyl-group.png|thumb|150px|right|R基と結合したフェニル基の構造]] '''フェニル基'''(フェニルき、phenyl group)または'''フェニル環''' (phenyl ring) は[[化学式]] C<sub>6</sub>H<sub>5</sub> で表される[[ベンゼン]]に似た原子団である。6つの[[炭素]]原子が平面をつくり、そのうち5つは[[水素]]と結合している。フェニル基は[[有機化学]]の分野で頻繁に登場する<ref>March, J. “Advanced Organic Chemistry” 4th Ed. J. Wiley and Sons, 1992: New York. ISBN 0-471-60180-2.</ref>。[[石炭]]から得られる物質によく見られるため、ギリシャ語のpheno(明かりを灯す)に由来する。 == 命名法 == フェニル基はしばしば '''Ph''' と略され、たとえばベンゼンを PhH と表記することができる。Φと略記することも可能。フェニル基は分子内のほかの原子と結合している。[[トリフェニルメタン]] ({{chem|Ph|3|CH}}) はその一例である。フェニル化合物は複数の名称を持つ事が多く、中には"フェニル"という文字を含まないものもある。たとえば塩素と結合した {{chem|C|6|H|5|Cl}} はふつうは[[クロロベンゼン]]と呼ばれるが、塩化フェニルと呼ぶこともできる。稀なケースでは、[[フェニルアニオン]] ({{chem|C|6|H|5||-}})、[[フェニルカチオン]] ({{chem|C|6|H|5||+}})、フェニル[[フリーラジカル]] ({{chem|C|6|H|5}}) のような単独のフェニル基が検出される。 {{chem|C|6|H|5}} と表される原子団はフェニル基ぐらいしかないので、その置換体の[[示性式]]でフェニル基の存在を強調することができる。たとえば {{chem|O|2|NC|6|H|4}} はニトロフェニル基 (3つの異性体を持つ) で、{{chem|F|5|C|6}} はペンタフルオロフェニル基である == 化学的性質 == フェニル化合物は[[ベンゼン]]から ({{math|C{{sub|6}}H{{sub|6}}}}) 誘導されたとみなすことができる。電子的性質に着目したとき、フェニル基は[[ビニル基]]と似ている。フェニル基は[[疎水性]]である。フェニル化合物は非常に安定なので、酸化・還元を受けにくい。<!--In <sup>1</sup>H-[[nuclear magnetic resonance|NMR]] spectroscopy, protons of a phenyl group typically absorb [[chemical shift]]s around 7.27 ppm. The position of these chemical shifts is influenced by [[aromatic ring current]], and these values may change depending on substituents.--> フェニル化合物はたいてい、フェニルアニオンやフェニルカチオンを供給する試薬から誘導される。代表的な試薬は[[フェニルリチウム]] ({{math|C{{sub|6}}H{{sub|5}}Li}}) と [[フェニルマグネシウムブロミド]] ({{math|C{{sub|6}}H{{sub|5}}MgBr}}) である。[[求電子試薬]]はベンゼンを攻撃し、フェニル化合物を与える。 : <math>\rm C_6H_6 + E^+ \longrightarrow C_6H_5E + H^+</math> : {{math|E{{sup|+}}}} (electrophile、求電子試薬) として代表的なものは、{{math|Cl{{sup|+}}}}、{{math|NO{{sub|2}}{{sup|+}}}}、{{math|SO{{sub|3}}H{{sup|+}}}}である。これらの反応は[[芳香族求電子置換反応]]と呼ばれる。 <gallery widths="180" heights="120" perrow="5" class="skin-invert-image" caption="代表的なフェニル化合物"> ファイル:Atorvastatin.svg|[[アトルバスタチン]]は画期的新薬で、2つのフェニル基と1つの''p''-フルオロフェニル基を持つ。 ファイル:Fexofenadine.svg|[[フェキソフェナジン]]も画期的新薬で、ジフェニルメチル基を持つ。 ファイル:Phenylalanin - Phenylalanine.svg|[[フェニルアラニン]]はα-アミノ酸の代表である。 ファイル:Bifenyl.svg|[[ビフェニル]]は2つのフェニル基を持ち、2つの環は同一平面上には無い。 ファイル:Chlorobenzene2.svg|[[クロロベンゼン]]は溶媒として使われる。 </gallery> フェニル基は多くの天然・合成有機化合物に含まれている。天然物の中で最も多量に存在するのは[[フェニルアラニン]]で、これはフェニル基を持つ[[アミノ酸]]である。[[石油化学工業]]における主要生成物であるベンゼン、トルエン、キシレンは、フェニル化合物の骨格を担う。[[ポリスチレン]]はフェニル基を持つモノマーから合成され、その剛性や疎水性はフェニル環の存在によるものである。 [[フェノール]]、{{math|C{{sub|6}}H{{sub|5}}OH}} は最も単純なフェニル化合物の1つである。フェノールは[[エタノール]]のような[[脂肪族アルコール]]より酸性度が強い。フェノールとエタノールの[[酸解離定数|{{pKa}}]]はそれぞれ 9.95 と 15.9 である。このことはしばしば[[共鳴理論]]により説明されるが、フェノールのsp<sup>2</sup>[[α炭素]]と脂肪族アルコールのsp<sup>3</sup>α炭素の[[電気陰性度]]の違いも重要である<ref>"Inductive and Resonance Effects on the Acidities of Phenol, Enols, and Carbonyl α-Hydrogens." Pedro J. Silva [[J. Org. Chem.]] 2009 (Solvation effects on the relative acidities of acetaldehyde enol and phenol described in the Supporting Information)</ref>。 == 出典 == {{Reflist}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:ふえにるき}} [[Category:芳香族炭化水素]] [[Category:フェニル化合物|*]]
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