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{{出典の明記|date=2017年9月}} [[ファイル:Fotodiode.jpg|thumb|right|200px|フォトダイオード]] [[ファイル:photodiode.jpg|right|thumbnail|75px|フォトダイオード]] '''フォトダイオード'''({{lang-en-short|photodiode}})は、[[光検出器]]として働く[[半導体]]の[[ダイオード]]である。フォトダイオードにはデバイスの検出部に光を取り込むための窓や[[光ファイバー]]の接続部が存在している。[[真空紫外線]]や[[X線]]検出用のフォトダイオードは検出窓が存在しないものもある。 '''フォトトランジスタ'''は、基本的には[[バイポーラトランジスタ]]で、バイポーラトランジスタのベース・コレクターの[[pn接合]]に[[光]]が到達するようなケースに封入している。フォトトランジスタはフォトダイオードの様に動作するが、光に対してはより高感度である。これは、光子によりベースコレクター間の接合に電子が生成され、それがベースに注入されるからで、この電流がトランジスター動作で増幅される。しかし、フォトトランジスタはフォトダイオードより応答時間が遅い。 ほとんどのフォトダイオードは右の写真の様な形状をしており、発光ダイオードと形状が似ている。2端子(もしくはワイヤー)がそこより出ている。端子の長さの短い方がカソードで、長い方がアノードである。下に回路図が示してあり、電流はアノードからカソードの方向に矢印の向きに流れる。 == 動作原理 == {{main|光起電力効果}} フォトダイオードはpn接合、もしくは、[[pin構造]]を持っている。十分なエネルギーを持った[[光子]]がダイオードに入射した際に、それは電子を励起し、[[自由電子]]と[[自由正孔]]の[[生成再結合|ペアを生成]]する。もし、光子の吸収が接合部の[[空乏層]]で生じるか、空乏層から拡散距離内で生じる場合、これらのキャリアは空乏層の[[ビルトインポテンシャル]]により接合部から移動し、光電流が流れる。 フォトダイオードはゼロ[[電圧|バイアス]](光電池モード?)もしくは逆バイアス(光導電モード?)の元で使用することが可能である。ゼロバイアスのもとでは、ダイオードに入射した光はデバイスを流れる電流となり、光電流と逆向きに流れる「暗電流」とは逆の向きの順方向のバイアスを作り出す。これは、[[光起電力効果]]と呼ばれ、[[太陽電池]]の基本である。実際太陽電池は大きなフォトダイオードを多数並べたものである。 逆バイアスの印加は電流としてはその方向に僅かにしか流れない(逆方向リーク電流等と呼ばれる)。しかし、重要な点は逆バイアスは空乏層を広げ(それにより反応する領域を広げ)、光電流を強める。この効果を利用した回路は光起電力に基づくものより光に敏感となり、端子間容量も小さくなる。これは、応答速度を上げる効果がある。その一方で、光電池モードでの使用はノイズが小さいと言う特徴がある。 [[アヴァランシェフォトダイオード|アヴァランシェ・フォトダイオード]]は同様の構造を持っているが、使用時にはもっと高い逆方向電圧を印加する。この高い電圧により、光により生成したキャリアが[[アヴァランシェ・ブレークダウン]]により増加し、フォトダイオードの内部利得を高める効果がある。これにより、「受光感度」が向上する。 == 材料 == <!--{{main|半導体材料一覧}}--> フォトダイオードに使用される材料は、検出に使用する光の波長により異なるものが使用される。これは、入射した光が電子と正孔を励起する必要があるため、材料のバンドギャップが光の波長のエネルギー以下である必要があるからである。 一般に使用される材料は以下のとおりである。 {| class="wikitable" ! 材料 !! 波長/nm |- | [[シリコン]] || 190–1100 |- wrtgrhrth | [[ゲルマニウム]] || 400–1700 |- | [[ヒ化インジウムガリウム|インジウム・ガリウム・ヒ素]] || 800–2600 |- | [[硫化鉛]] || <1000–3500 |} バンドキャップが広いため、シリコン製のフォトダイオードはゲルマニウム製のフォトダイオードより低ノイズであるが、ゲルマニウム製のフォトダイオードは約1 µm近い長波長まで使用することができる。 トランジスタやICは半導体で作製され、pn接合をもっているため、全ての能動素子は潜在的にフォトダイオードとなる可能性がある。特に、小電流に敏感な素子は、光電流が流れるため照明下では正しく動作しない。ほとんどの素子において、これは予期できないものであり、そのため、素子は不透明なパッケージに封入される。パッケージはX線や高エネルギーの放射に対しては不透明ではないため、これらの放射により、ほとんどのICは光電流が流れることにより正常動作をしなくなる。 == 特性 == フォトダイオードの重要な特性としては以下のものがある。 ;[[受光感度]]: この値は光伝導モードで使用する場合の、入力光のパワーと生成する光電流の比であり、[[アンペア|A]]/[[ワット|W]]の単位で表される。受光感度は、[[量子効率]]としても知られており、入射した光子と光電子効果で生成されたキャリアの数の比であり、この場合単位無しの量となる。 ;[[暗電流]]: 光伝導モードで使用している場合に、光の入射が無い時にフォトダイオードを流れる電流。暗電流は、バックグラウンド放射による光電流と、半導体接合を流れる逆方向電流がある。暗電流はフォトダイオードを光の強度を評価するために使用する場合は、[[校正]]の要素として考えなければならない。また、この電流はフォトダイオードを[[光通信]]システムに利用する場合、[[ノイズ源]]となる。 ;[[雑音等価入力]]: (NEP) 光電流を作り出すために必要な最小の光パワー、1ヘルツのバンド幅を持つ[[二乗平均平方根|rms]]ノイズ電流に等しい。関連する特性に「比検出度」がある。これはNEPの逆数(1/NEP)で、「固有比検出度(''specific detectivity'')」 (<math>D^\star</math>)は、光検出器の面積(A)で規格化した比検出度である。 <math>D^\star=D\sqrt{A}</math>入力換算ノイズ電力はフォトダイオードの検出可能な最低入力パワーとほぼ等しい。 フォトダイオードを光通信システムに使用する場合、これらのパラメータは、光受信器の感度に関連し、これは、受信器においてある[[ビット誤り率]]を達成するための最小入力パワーを示している。 == 用途 == [[ファイル:Photodiode symbol.svg|class=skin-invert-image|right|250px|thumb|フォトダイオードの回路図記号]] PN接合型のフォトダイオードは、[[フォトレジスタ]]、[[CCDイメージセンサ|CCD]]、[[光電子増倍管]]の様な他の[[光検出器]]と同じ用途に使用される。 フォトダイオードは、[[コンパクトディスク]]プレイヤー、[[火災報知器|煙検出器]]、[[ビデオテープレコーダ]]や[[テレビ]]の[[リモコン]]の受信装置の様な[[家電機器|一般用途の電子素子]]に利用される。 カメラの[[露出計]]([[光度計]])、無線時計(あたりが暗いと、表示部を暗くするもの)、[[街灯]]の様な他の一般用途のアイテムにおいては、原理的に両者とも利用可能ではあるが、光検出器の方が良く使用される。 フォトダイオードは[[科学]]的用途や[[工業]]的用途における光強度の正確な測定において利用される。フォトダイオードはフォトレジスタより[[線型性|線型]]的な応答を示す。 これらは、様々な[[医学]]的用途に広く使用される。例えば、([[シンチレータ]]と一緒に)[[断層X線写真器]]や、([[免疫試験]]の様な)検体を調べる装置の検出部がある。また、[[パルスオキシメーター|血液中のガス濃度検出器]]にも使用される。 PINダイオードは[[pn接合]]ダイオードより高速で高感度である。そのため、[[光通信]]システムや光制御に利用される。 PNフォトダイオードは極端な低光量の測定には使用されない。代わりに、高[[感度 (電子工学)|感度]]が必要であれば、[[アバランシェ・フォトダイオード]]、[[CCDイメージセンサ|CCD]]、[[光電子増倍管]]が使用され、[[天文学]]、[[分光器]]、[[暗視装置]]、[[光波測距儀]]などが用途としてある。 === 光電子増倍管との比較 === 光電子増倍管と比較した場合の利点は # 照射された光に対して出力電流が高[[線型性]]を示す。 # [[ケイ素|シリコン]]の場合、190 [[ナノメートル|nm]]から1100 nm、他の[[半導体材質|材質]]の場合、長[[波長]]に対して、応答を示す。 # 低[[ノイズ]] # 機械的[[応力|ストレス]]に強い # 低コスト # 小型、低重量 # 長[[寿命]] # 高い[[量子効率]]、約80 % # 高[[電圧]]を必要としない 光電子増倍管と比較した場合の欠点は # [[面積]]が小さい # 内部[[利得 (電気工学)|利得]]がない([[アヴァランシェフォトダイオード|アヴァランシェ・フォトダイオード]]は除くが、この場合でも、光電子増倍管の利得10<sup>8</sup>と比較して、10<sup>2</sup> – 10<sup>3</sup>程度の利得しかない) # 全体的に見ると感度が低い # [[光子]]の数を数えるには、特殊な方法が必要。通常、[[冷却]]したフォトダイオードと特殊な[[電子回路]]を用いる。 # [[応答時間]]が遅い === pn接合とpin構造フォトダイオードの比較 === # i層のため、PINフォトダイオードは逆バイアス(Vr)の印加が必要である。Vrは空乏層幅を広げ、電子・ホールペアの大量の生成を可能とし、バンド幅の増加による容量を減少させる。 # Vrはノイズ電流ノイズも増加させ、[[S/N比]]を悪化させる。したがって、逆方向バイアスは、高バンド幅用途や広いダイナミックレンジが必要な用途に使用するべきである。 # PNフォトダイオードは、低光量への用途に適切である。これは、PNフォトダイオードはバイアスを印加しない動作が可能であるためである。 == 使い方 == === 逆バイアスを掛ける方法 === カソード側にVcc側、アノード側にGND側に接続する。(逆バイアスと言う。この時必要に応じて電流制限抵抗を挿入すること)。 光が入らない時は、普通のダイオードのように動作する。 しかし、光が入るとカソードからアノードへ電流が流れ始める。 V-I特性のグラフで見ると、全体的に−V側に下がる形になる。 == フォトダイオードのアレイ == フォトダイオードは光センサーの中では高速・高感度の部類に属し、かつ素子を並べることにより並列検知が可能である。受光部を2分割したフォトダイオードは[[光ディスク]]レーザー光線のサーボトラッキング用に、一列に並べた数百から数千のフォトダイオードアレイがセキュリティー用途向けX線スキャナ<ref group="注釈">空港の手荷物検査や輸出入貨物の検査用</ref>や[[高速液体クロマトグラフィー]]の吸光度検出器などに使用されている。なおCMOSやCCDのセンサーでは順次走査しかできないため、高速かつ同時性を要求される用途では利用できない。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist}} == 関連項目 == * [[エレクトロニクス]] * [[バンドギャップ]] * [[赤外線]] * [[光エレクトロニクス]] * [[半導体デバイス]] * [[直接遷移]] * [[間接遷移]] * [[光起電力効果]] * [[光電子]] * [[ライトガン]] == 参考文献 == {{参照方法|date=2019-03-13}} :''この文章の一部には、[[Federal Standard 1037C]]と、FAA Glossary of Optical Communications Termsからの文章が存在する。'' :''この文章は、アメリカ合衆国政府の文章である、Federal Standard 1037Cからの文章が存在する。この文章はパブリックドメインである。'' * Gowar, John, ''Optical Communication Systems'', 2 ed., Prentice-Hall, Hempstead UK, 1993 (ISBN 0-13-638727-6) * {{Cite web|和書|format=pdf|url=https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/ssd/01_handbook.pdf|title=光半導体素子ハンドブック/第1章 はじめに|publisher=[[浜松ホトニクス]]|accessdate=2017-09-30|archive-url=https://web.archive.org/web/20211020100902/https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/ssd/01_handbook.pdf |archive-date=2021-10-20 |url-status=dead |url-status-date=2024-09-16}} * {{Cite web|和書|format=pdf|url=https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/ssd/02_handbook.pdf|title=光半導体素子ハンドブック/第2章 Siフォトダイオード|publisher=[[浜松ホトニクス]]|accessdate=2017-09-30|archive-url=https://web.archive.org/web/20210917183113/https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/ssd/02_handbook.pdf |archive-date=2021-09-17 |url-status=dead |url-status-date=2024-09-16}} == 外部リンク == * [http://sales.hamamatsu.com/assets/html/ssd/si-photodiode/index.htm Technical Information Hamamatsu Photonics] * [http://www.emant.com/324003.page Using the Photodiode to convert the PC to a Light Intensity Logger] * [http://g2n.uwaterloo.ca/ X-Ray Imaging Group, University of Waterloo] * [http://www.cs.yorku.ca/~visor/ VISOR lab, York University] * [http://www.epigap.de Epigap] * [http://www.nocturnolightscapes.com/viewarticle-en_detektorji.htm Use of photodetectors in lighting systems] Principles and techniques of integrating photodiodes into regulation lighting systems * [http://www.udt.com/techsupport_faq01.html OSI PIN Photodiode FAQ Page] * [http://www.fermionics.com/fothome.htm Fermionics Opto-Technology information about InGaAs Photodiodes] * [http://www.fairchildsemi.com/an/AN/AN-3005.pdf Design Fundamentals for Phototransistor Circuits] * [http://ece-www.colorado.edu/~bart/book/book/chapter4/ch4_7.htm Working principles of photodiodes] {{Electronic components|state=collapsed}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:ふおとたいおおと}} [[Category:光学]] [[Category:ダイオード]] [[Category:光学機器]] [[Category:光半導体素子]]
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