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[[Image:Charge screening.PNG|350px|thumb|正イオンプール中の負に電荷した粒子の遮蔽]] '''フリーデル振動'''({{lang-en-short|Friedel oscillation}})<ref name=HarrisonTheory> {{cite book |author= W. A. Harrison |title=Solid State Theory |year=1979 |publisher= Dover Publications |url=https://books.google.com/books?id=5Y_Z4F95cacC |isbn=978-0-486-63948-2 }} </ref>は、[[フェルミ気体]]や[[フェルミ液体]]の欠陥により起こる金属系や半導体系の局所的な摂動に由来する<ref name="gravitynlevity">{{Cite web | date=June 2, 2009 | website=Gravity and Levity | title=Friedel Oscillations: wherein we learn that the electron has a size | url=http://gravityandlevity.wordpress.com/2009/06/02 | access-date=December 22, 2009}}</ref>。この名はフランスの物理学者[[Jacques Friedel]]にちなむ。イオンプール内の荷電種の電荷[[遮蔽]]と量子力学的に類似したものである。電荷遮蔽がイオンプールの構造を記述するために点実体の処理を用いるのに対し、フェルミ液体やフェルミ気体中のフェルミオンを記述するフリーデル振動は、準粒子や散乱の処理を必要とする。このような振動は摂動付近のフェルミオン密度の特徴的な指数関数的減衰を示し、その後、[[sinc関数]]に似た正弦波的な減衰が続く。 ==散乱の説明== [[金属]]や[[半導体]]の中を移動する電子は、[[平面波]]のような[[波動関数]]を持つ[[フェルミ気体]]の[[自由電子]]のように振る舞う。つまり、 :<math>\psi_{\boldsymbol{k}}(\boldsymbol{r}) = \frac{1}{\sqrt{\Omega}} \exp(i \boldsymbol{k} \cdot \boldsymbol{r})</math>. 金属中の電子は、電子は[[フェルミオン]]であり[[フェルミ分布関数|フェルミ・ディラック統計]]に従うため、通常の気体中の粒子とは異なる振る舞いをする。この振る舞いは、気体中の全ての'''k'''状態が反対の[[スピン角運動量|スピン]]を持つ2つの電子によってのみ占有されることを意味する。占有状態は一定のエネルギー準位、いわゆる[[フェルミエネルギー]]まで[[バンド構造]] '''''k''''' 空間の球を満たす。'''''k'''''空間の球の半径''k''<sub>F</sub>は、フェルミ波動ベクトルと呼ばれている。 金属や半導体に外来原子、いわゆる[[不純物]]が埋め込まれている場合、固体中を自由に移動する電子は不純物の偏向電位により散乱される。散乱の過程で、電子波動関数の初期状態の波動ベクトル'''''k'''''<sub>i</sub>は、最終状態の波動ベクトル'''''k'''''<sub>f</sub>に散乱される。電子気体は[[フェルミ気体]]であるため、フェルミ準位に近いエネルギーを持つ電子のみが散乱過程に関わるが、これは散乱状態に跳ぶための空の最終状態が必要であるからである。フェルミエネルギー'' E''<sub>F</sub>よりもずっと低いエネルギーを持つ電子は、非占有状態に跳ぶことができない。散乱されるフェルミ準位周辺の状態は、'''''k'''''値や波長の限られた範囲を占有する。そのため、フェルミエネルギー付近の限られた波長の範囲内の電子だけが散乱され、結果として不純物の周りでは :<math>\rho(\mathbf{r}) = \rho_0 + \delta n \frac{\cos(2 k_{\rm F}|\mathbf{r}| + \delta)}{|\mathbf{r}|^3}</math>.{{Explain|reason=no more details about the equation|date=August 2018}} のような密度変調が生じる。 ==定性的な説明== [[File:Co ellipse.png|thumb|300px|[[走査型トンネル顕微鏡]]による、Cu表面上にCo原子により作られた楕円形の量子柵(quantum corral)の画像]] 電荷遮蔽の古典的なシナリオでは、帯電した物体が存在すると、可動電荷を運ぶ流体で電場の減衰が観察される。電荷遮蔽では流体中の可動電荷を点として考えるため、これらの電荷の濃度は点からの距離に対して指数関数的に減少する。この現象は[[ポアソン=ボルツマン方程式]]により支配されている<ref>Hans-Jürgen Butt, Karlheinz Graf, and Michael Kappl, ''Physics and Chemistry of Interfaces'', Wiley-VCH, Weinheim, 2003.</ref>。1次元フェルミ流体中の摂動の量子力学的な記述は、[[朝永–ラッティンジャー液体]]によりモデル化される<ref>D. Vieira ''et al''., “Friedel oscillations in one-dimensional metals: From Luttinger’s theorem to the Luttinger liquid”, ''Journal of Magnetism and Magnetic Materials'', vol. 320, pp. 418-420, 2008. ,[https://arxiv.org/abs/0710.0358], (arXiv Submission)</ref>。遮蔽に関わる流体中のフェルミオンは点の実体と考えることができず、記述するためには波動ベクトルが必要である。摂動から離れた電荷密度は連続体ではなく、摂動から離れた離散的空間にフェルミオンが配置されている。この効果が不純物の周りに円状の波紋を作る原因となっている。 注記:古典的には荷電摂動の地殻で圧倒的な数の逆に荷電した粒子が観測されるが、フリーデル振動の量子力学的シナリオでは、同じ荷電領域を持つ空間に続いて逆に荷電したフェルミオンの周期的配列が観測される<ref name="gravitynlevity" />。 右の図において、2次元のフリーデル振動がきれいな表面の[[走査型トンネル顕微鏡|STM]]画像で示されている。<!-- ORIGINAL IMAGE MISSING containing an [[Indium arsenide|InAs]] pillar with a net positive charge. The electron density around pillar in the center of the images can be visualized by the dark regions depicting high electronic density and light regions low density. -->この画像は表面でとられているため、電子密度の低い領域は原子核が「露出」したままになっており、結果として正味正の電荷が発生している。<!-- The figure also shows the change in the wavelength of the Friedel Oscillations as a function of electron energy, an increase in wavelength with decreasing electron energy.<ref name="2Degassys">Physical Science Laboratory, ''Friedel Oscillations in 2D Electron Gas Systems at Semiconductor Surfaces'', [http://www.brl.ntt.co.jp/E/activities/file/report00/E/2000_e.html]. (Accessed: Dec 22, 2009)</ref> --> ==脚注== {{reflist}} ==外部リンク== * https://gravityandlevity.wordpress.com/2009/06/02/friedel-oscillations-wherein-we-learn-that-the-electron-has-a-size/ - a simple explanation of the phenomenon {{DEFAULTSORT:ふりいてるしんとう}} [[Category:物性物理学]] [[Category:振動と波動]] [[Category:物理学のエポニム]]
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