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{{出典の明記|date=2021-06-13 11:38(UTC)}} {{Chembox | 出典=[https://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_lang=ja&p_card_id=0017&p_version=2 国際化学物質安全性カード] | Name = 1,3-ブタジエン | Watchedfields = changed | verifiedrevid = 413089537 | ImageFileL1 = Butadiène.PNG | ImageSizeL1 = 120px | ImageNameL1 = 1,3-Butadiene | ImageFileR1 = Butadiene-skeletal.png | ImageSizeR1 = 120px | ImageNameR1 = 1,3-Butadiene | ImageFile2 = Buta-1,3-diene-3D-vdW.png | ImageSize2 = 150px | IUPACName = Buta-1,3-diene | Section1 = {{Chembox Identifiers | SMILES = C=CC=C | ChemSpiderID_Ref = {{chemspidercite|correct|chemspider}} | ChemSpiderID = 7557 | KEGG_Ref = {{keggcite|correct|kegg}} | KEGG = C16450 | InChI = 1/C4H6/c1-3-4-2/h3-4H,1-2H2 | InChIKey = KAKZBPTYRLMSJV-UHFFFAOYAZ | ChEMBL_Ref = {{ebicite|correct|EBI}} | ChEMBL = 537970 | StdInChI_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChI = 1S/C4H6/c1-3-4-2/h3-4H,1-2H2 | StdInChIKey_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChIKey = KAKZBPTYRLMSJV-UHFFFAOYSA-N | CASNo_Ref = {{cascite|correct|CAS}} | CASNo = 106-99-0 | UNNumber = [[List of UN Numbers 1001 to 1100|1010]] | RTECS = EI9275000 | PubChem = 7845 }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = C<sub>4</sub>H<sub>6</sub> | MolarMass = 54.0916 | Appearance = 無色の気体(常圧常圧) | Density = 0.64 g/cm<sup>3</sup> (-6 {{℃}}, 液体) | Solubility = 735 ppm | MeltingPt = −108.9 {{℃}}, 164.3 K, −164.0 {{°F}} | BoilingPtC = -4.4 | Viscosity = 0.25 c[[ポアズ|P]] (0 {{℃}}) }} | Section3 = {{Chembox Structure | Dipole = }} | Section7 = {{Chembox Hazards | ExternalMSDS = [https://inchem.org/documents/icsc/icsc/eics0017.htm ECSC 0017] | MainHazards = 引火性, 刺激性, [[発癌性]] | FlashPt = -85 {{℃}} | RPhrases = {{R-phrases|45|46|12}} | SPhrases = {{S-phrases|45|53}} }} | Section8 = {{Chembox Related | Function = [[アルケン]]<br />[[ジエン]] | OtherFunctn = [[イソプレン]]<br />[[クロロプレン]] | OtherCpds = [[ブタン]] }} }} '''ブタジエン''' ({{lang-en-short|butadiene}}) は、[[化学式|分子式]]{{chem|C|4|H|6}}で表される[[二重結合]]を2つ持つ[[不飽和炭化水素]]の一つである。単純にブタジエンと言った場合、ほとんどの場合は'''1,3-ブタジエン''' (CH<sub>2</sub>=CH-CH=CH<sub>2</sub>) を指す。1,3-ブタジエンはもっとも単純な[[共役ジエン]]であり、SBR([[スチレン・ブタジエンゴム]])などの合成[[ゴム]]生産における重要な工業中間体である。 もう一方の異性体として[[集積ジエン]]の'''1,2-ブタジエン''' (CH<sub>2</sub>=C=CH-CH<sub>3</sub>) が存在するが、どちらも常温常圧下で無色の気体である。 1,2-ブタジエンは工業的に重要ではないため、以下は特に断らない限り1,3-ブタジエンについて詳述する。 == 歴史 == [[1863年]]、[[フランス]]の化学者が[[アミルアルコール]]の[[熱分解]]により[[炭化水素]]を[[単離]]したと報告したが、当時は[[構造決定]]にまでは至らなかった<ref name=Caventou>Caventou, E. (1863), '' Annalen der Chemie und Pharmacie'' '''127''', 93.</ref>。[[1886年]]に[[ヘンリー・アームストロング]]が[[石油]]の熱分解により単離し、この炭化水素が1,3-ブタジエンであると決定された<ref name=Armstrong>Armstrong, H.E. Miller, A.K. (1886). "The decomposition and genesis of hydrocarbons at high temperatures. I. The products of the manufacture of gas from petroleum." ''Journal of the Chemical Society'' '''49''', 80.</ref>。[[1910年]]には[[ロシア]]の化学者{{仮リンク|セルゲイ・レベデフ (化学者)|en|Sergei Vasilyevich Lebedev|label=セルゲイ・レベデフ}} が、ブタジエンを[[重合反応|重合]]させゴム状の[[高分子]]を合成した。しかしながらこの高分子は天然ゴムに比べると柔らかすぎたため、自動車の[[タイヤ]]などに使用することはできなかった。 ブタジエンは[[第二次世界大戦]]の少し前に工業利用されるようになった。大戦前、[[イギリス帝国|大英帝国]](イギリス)は天然ゴム生産をコントロールする立場にあり、対戦国に対して天然ゴムの供給制限をかけることが可能な状況であった。しかし1929年に[[ドイツ]]の[[IG・ファルベンインドゥストリー|IG・ファルベン社]]の社員であった[[エドゥアルト・チュンカー]] (Eduard Tschunker) と[[ヴァルター・ボック]] (Walter Bock) が、自動車のタイヤに利用できる程度の強度を持った[[スチレン・ブタジエンゴム|スチレンとブタジエンの共重合体]]を開発した。この合成法は急速に世界中に広まり、[[ソビエト連邦]]と[[アメリカ合衆国]]では[[エタノール]]を原料として、ドイツでは[[石炭]]由来の[[アセチレン]]を原料として製造されるようになった。 == 構造 == [[アレン (化学)|アレン]]骨格を有する1,2-ブタジエンより、[[共役ジエン]]である1,3-ブタジエンが安定である。実際、1,2-ブタジエンは1,3-ブタジエンより{{Val|53.2|ul=kJ/mol}}だけ不安定である。 1,3-ブタジエンの[[ビニル基]]C<sub>2</sub>H<sub>3</sub>間の結合長{{Val|1.48|ul=Å}}は通常の炭素-炭素間の[[単結合]]長{{Val|1.54|u=Å}}より短い。このことは、ビニル基間の結合が単結合ではなく、[[二重結合]]性を帯びていることを示唆している。 == 製造 == アメリカ合衆国や西ヨーロッパ、日本などではブタジエンは[[接触分解]]を用いて、[[エチレン]]や他の[[不飽和炭化水素|オレフィン類]]と同時に製造している。[[脂肪族炭化水素]]を蒸気と一緒に{{Val|900|ul=degC}}以上の高温に加熱すると、[[脱水素]]を起こしブタジエンなどの不飽和炭化水素へと変換される。エタンなどの分子量が小さな脂肪族炭化水素を用いるとエチレンが合成されるが、より分子量の大きい脂肪族炭化水素を用いるとブタジエンや芳香族炭化水素が合成される。 接触分解により製造された炭素数が同じ[[炭化水素]]群からブタジエンのみを単離する際には、通常[[アセトニトリル]]や[[ジメチルホルムアミド]]などを用いて液-液[[抽出]]を行った後に[[蒸留]]により精製している<ref name=ECT4thEd>Sun, H.P. Wristers, J.P. (1992). Butadiene. In J.I. Kroschwitz (Ed.), ''Encyclopedia of Chemical Technology, 4th ed.'', vol. 4, pp. 663–690. New York: John Wiley & Sons.</ref>。 ブタジエンは[[ブタン]]の触媒的脱水素によっても合成される。[[1957年]]、商業プラントがアメリカ[[ヒューストン]]に最初に設立された際には、年間65,000トンのブタジエンが製造された<ref name=Beychok>Beychok, M.R. and Brack, W.J., "First Postwar Butadiene Plant", ''Petroleum Refiner'', June 1957.</ref>。 === エタノールからの製造 === 東ヨーロッパや中国、インドなどでは[[エタノール]]からブタジエンが合成されている。接触分解により大量に合成されるブタジエンと比較すると価格面では劣るが、エタノール経由の製造法は初期投資が小さいため小スケールの[[プラント]]で製造するのに好都合だったためである。大きく分けて2つの合成法がある。 1つめの合成法はセルゲイ・レベデフにより発見されたもので、エタノールを金属触媒下で高温に加熱してブタジエンと[[水素]]、[[水]]へと変換するものである<ref name=ECT3rdEd>Kirshenbaum, I. (1978). Butadiene. In M. Grayson (Ed.), ''Encyclopedia of Chemical Technology, 3rd ed.'', vol. 4, pp. 313–337. New York: John Wiley & Sons.</ref>。 : <chem>2CH3CH2OH -> CH2=CH-CH=CH2\ + 2H2O\ + H2</chem> このプロセスは第二次世界大戦中、および戦後のソビエト連邦の[[合成ゴム]]製造の中心となった方法であり、2006年現在でもわずかながらロシアや東ヨーロッパでプラントが稼働している。 もう一つの方法はロシアの化学者{{仮リンク|イヴァン・オストロミスレンスキー|en|Ivan Ostromislensky}}により発見された方法であり、エタノールを酸化し[[アセトアルデヒド]]とした後に、[[タンタル]] / [[二酸化ケイ素]]の[[触媒]]下でエタノールを加え{{Val|325|-|350|u=degC}}に加熱することでブタジエンを得るというものである。 : <chem>CH3CH2OH\ + CH3CHO -> CH2=CH-CH=CH2\ + 2H2O</chem> このプロセスは第二次世界大戦中のアメリカの合成ゴム製造の中心となった方法であり、2006年現在でも中国やインドで用いられている。 == 利用 == ほとんどのブタジエンは合成ゴム合成に用いられる。[[ポリブタジエン]]は液体といっても差支えない程に柔らかいが、ブタジエンと[[スチレン]]、または[[アクリロニトリル]]とを混合して重合させた[[スチレン・ブタジエンゴム]]、[[ニトリルゴム|ニトリル・ブタジエンゴム]]はどちらも硬さと伸縮性を備え持っている。スチレン・ブタジエンゴムは自動車の[[タイヤ]]の素材として多用されている。また家電製品や雑貨に広く用いられる[[合成樹脂|プラスチック]]である[[ABS樹脂]]の主原料の1つでもある。 他にも[[ナイロン]]合成の[[前駆体]]である[[アジポニトリル]]の合成や、[[クロロプレンゴム]]の前駆体である[[クロロプレン]]、[[溶媒]]である[[スルホラン]]、合成中間体として重要な[[1,4-ブタンジオール]]の合成などに用いられている。また三量化による[[シクロドデカトリエン]]の工業的製造にも用いられている。 == 参考文献 == {{Reflist}} == 関連項目 == * [[C4H6|{{chem|C|4|H|6}}]] - 異性体。 * [[シクロブタジエン]] * [[ゴム]] * [[ジエン]] * [[ウッドワード則]] == 外部リンク == * [http://www.npi.gov.au/database/substance-info/profiles/16.html National Pollutant Inventory - 1,3-Butadiene] * {{Kotobank}} {{DEFAULTSORT:ふたしえん}} [[Category:アルケン]] [[Category:ジエン]] [[Category:モノマー]]
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