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ブラウアー群
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[[数学]]において、[[可換体|体]] {{mvar|K}} に対するブラウアーの'''多元環類群'''(たげんかんるい、{{lang-en-short|''algebra class group''}})あるいは単に {{mvar|K}} の'''ブラウアー群'''(ブラウアーぐん、{{lang-en-short|''Brauer group''}}){{math|Br(''K'')}} は、体 {{mvar|K}} 上の[[中心的単純環]]の[[森田同値]]類(多元環類、ブラウアー類)を元とする[[アーベル群]]で、その演算は多元環の[[テンソル積]]から誘導される。ブラウアー群は体上の[[斜体 (数学)|斜体]]の分類の過程で考え出されたもので、名称は代数学者の[[リチャード・ブラウアー]]に由来する。さらに一般に、[[概型|スキーム]]のブラウアー群の概念も[[東屋多元環]](東屋代数)を用いて定義される。 == 構成 == 体 {{mvar|K}} 上の(階数有限な<ref group="*">多元環が「単純」であることの要件に有限階数となることを含めることも多く、その場合は特に強調する意図が無ければ明記しない。</ref>)[[中心的単純環]]とは、{{mvar|K}} 上の階数が有限(多元環を加法とスカラー倍に関して {{mvar|K}} 上の[[ベクトル空間]]と見たときの次元が有限)な[[体上の多元環|結合多元環]]であって、それ自身環として[[単純環|単純]]で、その[[環の中心|中心]]がちょうど {{mvar|K}} に一致する({{mvar|K}} 上中心的である)ものをいう。中心的単純環は、一般には斜体になるとは限らないが、しかし斜体によって類別することができることに注意しよう。 例えば、複素数体 {{math|'''C'''}} はそれ自身の上の中心的単純環だが、実数体 {{math|'''R'''}} 上中心的ではない({{math|'''C'''}} の中心は {{math|'''C'''}} だから、{{math|'''R'''}} 上中心的となるには大きすぎるということ)。[[フロベニウスの定理 (代数学)|フロベニウスの定理]]によれば {{math|'''R'''}} を中心に持つ有限階数の斜体は実数体 {{math|'''R'''}} と四元数体 {{math|'''H'''}} のみである。またそれらの上の全行列環 {{math|''M''(''n'', '''R''')}} および {{math|''M''(''n'', '''H''')}} は {{math|'''R'''}} 上の中心的単純環になるが({{math|1=''n'' = 1}} でなければ)斜体でない。 {{mvar|K}} 上の中心的単純環 {{mvar|A, B}} が与えられれば、それらの[[多元環のテンソル積|多元環としてのテンソル積]] {{math|''A'' ⊗{{msub|''K''}} ''B''}} を考えることができるが、これは常に {{mvar|K}} 上中心的になる。このことを見るには「体 {{mvar|K}} 上の中心的単純環 {{mvar|S}} は {{mvar|K}} の[[代数閉包]] {{math|{{hat|''K''}}}} への[[テンソル積|係数拡大]]を行えば[[全行列環]] {{math|''M''(''n'', ''{{hat|K}}'')}} に同型: {{math|''S'' ⊗{{msub|''K''}} {{hat|''K''}} ≅ ''M''(''n'', {{hat|''K''}})}} になる」(これを中心的単純環 {{mvar|S}} は {{mvar|{{hat|K}}}} で分解する、{{mvar|{{hat|K}}}} は {{mvar|S}} の[[中心的単純環の分解体|分解体]]<ref group="*">多項式の[[最小分解体]]あるいは[[根体]]を分解体と呼ぶことがあるが、それらと混同してはいけない。</ref>であるなどと言い表す)という特徴づけを利用すると理解が容易である(行列環のテンソル積がふたたび行列環となることは、行列の[[クロネッカー積]]を考えればよい)。 一般に中心的単純環に関する閉包性質が与えられれば、それを満たす中心的単純環の全体はテンソル積のもとで[[モノイド]]を成すことに注意する。これを利用して群を得るために、[[アルティン–ウェダーバーンの定理]](の、実際にはウェダーバーンの部分)を用いれば、中心的単純環を適当な斜体 {{mvar|D}} 上の全行列環 {{math|''M''(''n'',''D'')}} の形に書くことができるが、このとき行列のサイズ {{mvar|n}} は気にせずに、斜体 {{mvar|D}} のほうだけに注目すればよい。つまり、任意の正整数 {{mvar|m, n}} に対して、{{math|''M''(''m'', ''D'')}} と {{math|''M''(''n'', ''D'')}} を同一視するような関係は[[同値関係]]であり、その同値類はテンソル積に関して[[可逆元|可逆]]になる。ここで、中心的単純環 {{mvar|A}} の属する類の逆元となる類は、{{mvar|A}} の[[逆転多元環]] {{math|''A''{{msup|op}}}} の属する類で与えられる(埋め込み像 {{math|''K'' → ''A''}} は {{mvar|A}} の中心に入るから、逆転環 {{math|''A''{{msup|op}}}} への {{mvar|K}} の作用は {{mvar|A}} に対するそれと一致する)。これは、中心的単純環 {{mvar|A}} の {{mvar|K}} 上の階数を {{mvar|n}} とすれば : <math>A\otimes_K A^\text{op} \cong M(n^2, K)</math> が成り立つというように述べることもできる(ブラウアー群における逆元を与えるというのは、これだけでも逆転多元環の概念を考える意義は十分にある)。 == 例 == * 以下の各場合については、体 {{mvar|K}} 上の有限次元中心的斜体が {{mvar|K}} 自身のみとなるから、従ってそのブラウアー群 {{math|Br(''K'')}} は[[自明群|自明]]である。 ** {{mvar|K}} が[[代数閉体]]の場合、 ** {{mvar|K}} が[[有限体]]の場合([[ウェダーバーンの小定理]])、 ** ''K'' が代数閉体上の[[代数曲線]]の[[代数多様体の函数体|函数体]]の場合({{仮リンク|曾の定理|en|Tsen's theorem}})。 * [[実数]]体 {{math|'''R'''}} のブラウアー群 Br('''R''') は位数 {{math|2}} の[[巡回群]]である。これは、{{math|'''R'''}} 上有限次元の中心的斜体が {{math|'''R'''}} 自身と[[四元数]]体 {{math|'''H'''}} の([[同型を除いて]])ちょうど二つであることを示している。実際、{{math|'''H''' ⊗{{msub|'''R'''}} '''H''' ≅ ''M''(4, '''R''')}} であるから、{{math|'''H'''}} の属する類はブラウアー群の位数 2 の元であることがわかる。 == 類体論との関係 == ブラウアー群の概念は[[類体論]]の現代的な定式化において重要な役割を演ずる。[[局所類体論]]によれば、体 {{mvar|k}} が[[局所体]]ならば、自然な中への同型(局所不変量、ハッセの不変数){{math|inv: Br(''k'') → '''Q'''/'''Z'''}} が存在する。例えば実数全体の成す局所体 {{math|'''R'''}} のブラウアー群 {{math|Br('''R''')}} は同型 {{math|inv}} によって {{math|{{sfrac|1|2}}'''Z'''/'''Z'''}} と同一視される。ブラウアー群の位数 {{mvar|n}} の元は {{mvar|k}} 上 {{math|''n''{{exp|2}}}}-次元の[[巡回多元環|巡回多元体]]に対応する。 [[大域体]] {{mvar|K}} の場合にも[[大域類体論]]による同様の記述がある。{{mvar|D}} が体 {{mvar|K}} 上中心的な多元環で {{mvar|v}} をその賦値とすれば、{{mvar|K}} の素点(賦値){{mvar|v}} における[[環の局所化|局所化]] {{mvar|K{{ind|v}}}} に対して {{math|''D'' ⊗{{msub|''K''}} ''K''{{ind|''v''}}}} は局所体 {{mvar|K{{ind|v}}}} 上の中心的単純環であるから、これにより {{mvar|K}} のブラウアー群から {{mvar|K{{ind|v}}}} のブラウアー群への準同型が定まる。与えられた中心的単純環 {{mvar|D}} は[[ほとんど (数学)|有限個の例外を除くすべて]]の賦値 {{mvar|v}} に対して({{mvar|K{{ind|v}}}} で)分解するから、先ほどの準同型による {{mvar|D}} の像はほとんど全てについて {{math|0}} となり、ブラウアー群 {{math|Br(''K'')}} は次の[[完全列]] : <math>0\to\operatorname{Br}(K)\to\bigoplus_{v\in S}\operatorname{Br}(K_v)\to\mathbb{Q/Z}\to 0</math> を満足することがわかる。ただし {{mvar|S}} は {{mvar|K}} の賦値全体の成す集合であり、矢印は各素点 {{mvar|v}} ごとに定まる局所不変量 {{math|inv{{ind|''v''}}}} の直和を考えることによって与えられる。左側の完全性(二番目の写像の単射性)は{{仮リンク|アルバート–ブラウアー–ハッセ–ネーターの定理|en|Albert–Brauer–Hasse–Noether theorem}}の内容であり、中央の完全性は大域類体論の深い事実に基づく。また、右辺の群 {{math|'''Q'''/'''Z'''}} は {{mvar|K}} に付随するイデール類の[[類構造]]の「ブラウアー群」であると解釈することができる。 ==性質== * 体 {{mvar|K}} から[[体の拡大|拡大体]] {{mvar|L}} への{{仮リンク|係数体の取り換え|en|Base change}}は、{{math|Br(''K'')}} から {{math|Br(''L'')}} への'''制限写像'''を与える。(この制限の)核は、{{mvar|L}} 上で分解する {{mvar|K}}-代数のクラスの群 {{math|Br(''L''/''K'')}} である。 * 任意の体のブラウアー群は[[ねじれ群]]である<ref>Lorenz (2008) p.194</ref>。 == 一般論 == 勝手な体 {{mvar|K}} に対して、そのブラウアー群を[[ガロワコホモロジー]]の言葉を使って :<math>\operatorname{Br}(K)\cong H^2(\operatorname{Gal}(K^\text{sep}/K),(K^\text{sep})^\times)</math> と書き表すことができる。ここで、{{math|''K''{{msup|sep}}}}は {{mvar|K}} の[[分離閉包]]である({{mvar|K}} が[[完全体]]ならば、これは {{mvar|K}} の代数閉包に一致する)。 ブラウアー群の[[可換環]]に対する一般化はM.オースランダーとO.ゴールドマンによって成され、より一般に[[アレクサンドル・グロタンディーク|グロタンディーク]]の導入した[[概型|スキーム]]へも一般化される。このような一般化においては、中心的単純環は体の代わりに[[東屋代数]]の上で考える。 == 注釈 == {{reflist|group="*"}} == 関連項目 == * [[代数的K理論]] == 参考文献 == * {{SpringerEOM|title=Brauer group of a field ''k''|author=V.A. Iskovskikh|urlname=Brauer_group}} * Richard Pierce, ''Associative algebras''. [[Graduate Texts in Mathematics]], 88. Studies in the History of Modern Science, 9. Springer-Verlag, New York-Berlin, 1982 ISBN 0-387-90693-2 == 外部リンク == * {{PlanetMath|urlname=BrauerGroup|title=Brauer group}} * {{MathWorld|urlname=BrauerGroup|title=Brauer Group}} {{DEFAULTSORT:ふらうああくん}} [[Category:環論]] [[Category:代数的整数論]] [[Category:数学に関する記事]]
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