ペンローズ・タイルのソースを表示


[[ファイル:Penrose_Tiling_(Rhombi).svg|代替文=|サムネイル|菱形を用いたペンローズタイリング。5回対称性を持っている。]]
'''ペンローズ・タイル'''とは、[[イギリス]]の[[物理学者]][[ロジャー・ペンローズ]]が考案し1970年代に研究した[[平面充填形]]である。'''ペンローズ・タイリング'''、つまりペンローズ・タイルによるタイリング（[[タイル張り]]）は非周期タイリングの一例である。ここで、タイリングとは、多角形あるいは別の形状を重ならないように用いて、[[平面]]を覆うことであり平面充填ともいう。[[正多角形]]を利用したタイリングの場合、周期的なパターンが現れるが、ペンローズ・タイルを利用すると周期的なパターンでタイリングすることができず、非周期的な並べ方が強制される。タイリングが非周期的であるとは、そのタイリングが任意の大きさの周期領域を持たないことを言う。ペンローズ・タイリングは[[並進対称性]]を持たないが、[[鏡像対称性|鏡映対称性]]および5回回転対称性を持ちうる。

ペンローズ・タイリングにはいくつかの異なる種類があり、それぞれタイルの形が異なっている。元のペンローズ・タイリングでは4つの異なるタイルの形を用いてたが、その後2つ1組のタイルだけを用いるようになった：それは、2つの異なる[[菱形]]の組、あるいは2つの異なる四辺形であるカイト（凧）およびダート（矢）の組である。これらのタイルの接合に、周期タイリングを避けるような制限をかけることにより、ペンローズ・タイリングが得られる。この制限をかけるには、マッチング規則、代入タイリングあるいは[[:en:Finite_subdivision_rule|有限細分化則]]、切断射影法、および被覆法などさまざまな異なる方法がある。どの制限のもとでの接合でも、無数の異なるペンローズ・タイリングを生成することができる。
[[ファイル:RogerPenroseTileTAMU2010.jpg|代替文=|サムネイル|ペンローズ・タイリングが施された床の上に立つロジャーペンローズ。テキサスA&M大学のミッチェル基礎物理学・天文学研究所のホワイエ。]]
ペンローズ・タイリングは[[自己相似]]的である。つまり、ペンローズ・タイリングは、インフレーションおよびデフレーションと呼ばれる操作を用いて、構成タイルの大きさが異なる等価なペンローズ・タイリングに変換できる。ペンローズ・タイリングに含まれる有限のパッチ（区域）で表されるパターンは全て、タイリング全体の中に無限回だけ出現する。ペンローズ・タイリングは[[準結晶]]である。つまり、ペンローズ・タイリングを物理的構造として作成すると、[[ブラッグピーク|ブラッグ・ピーク]]からなり5回対称性を持っていて、繰り返しパターンとタイルの方向を示す回折像を生ずる{{sfn|Senechal|1996|pages=241–244}}。ペンローズ・タイリングの研究は、準結晶を形成する物理的材料を理解するために重要である{{sfn|Radin|1996}}。ペンローズ・タイリングは建築や装飾にも用いられている（写真参照）。

== 背景と歴史 ==

=== 周期的タイリングと非周期的タイリング ===
[[ファイル:RegularRhombs.svg|代替文=|右|サムネイル|図1. 2つのプロトタイルを使った周期的タイリングの一部。]]
平らな表面（「平面」）を、幾何学的形状（「タイル」）のなんらかのパターンで、重なりも隙間もなく覆うことをタイリングと呼ぶ。角と角が接する正方形で床を覆うような最も馴染み深い[[タイリング]]は、周期的タイリングの一例である。正方形タイリングを、タイルの一辺に平行にタイル幅だけ移動すると、移動する前と同じタイリングが得られる。このようにタイリングを変更しない移動（正式には[[並進]]）を、タイリングの周期と呼ぶ。2つの異なる方向に周期を持つタイリングを周期的であるという<ref name=":0">この文書に関する一般的参考文献は {{Harvnb|Gardner|1997|pp=1&ndash;30}}, {{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|pp=520&ndash;548 &amp; 558&ndash;579}}, and {{Harvnb|Senechal|1996|pp=170&ndash;206}}.</ref>。

正方形タイリングのタイルは1種類だけである。そして他のタイリングでもタイルの形状の個数は有限であることがよくある。これらの形状はプロトタイル（prototile, 原型タイル）と呼ばれる。あるプロトタイルの集合だけを使った平面のタイリングが存在するならば、そのプロトタイルの集合は「タイリングを許容する」あるいは「平面をタイル貼りする」と言う。つまり、このタイリングの各タイルはプロトタイルの1つと合同でなければならない<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|pp=20, 23}}</ref>。

周期を持たないタイリングを非周期的（non-periodic）であるという。あるプロトタイルの集合を使った全てのタイリングが非周期的であるとき、そのプロトタイルの集合を非周期的（aperiodic）と言い、このプロトタイルによるタイリングを非周期的タイリング（aperiodic tiling）と言う<ref>{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|p=520}}</ref>。既知の有限個のプロトタイルによる平面の非周期タイリングの中で、ペンローズ・タイリングは最も単純な例の1つである<ref name=":0" />。

=== 最初期の非周期タイリング ===
[[ファイル:Wang_tiles.svg|代替文=|左|サムネイル|[[ワンのタイル]]の非周期集合<ref>{{Harvnb|Culik|Kari|1997}}</ref>。]]
1960年代に論理学者[[ハオ・ワン]]が[[決定問題]]とタイリングとの関連に言及したこと<ref>Wang 1961</ref>をきっかけに、非周期タイリングの問題が新たに注目された。ワンは、現在では[[ワンのタイル]]またはドミノとして知られている色つきの辺を持つ正方形によるタイリングを導入し、ドミノ問題を提示した。ドミノ問題は、与えられたワンのドミノの集合により、隣り合うドミノの辺の色を一致させつつ平面をタイリングできるかどうかを決定する問題である。ワンは、この問題が決定不可能ならば、非周期的なワンのタイルが存在しなければならないことを発見した。この時点では、これはありそうもないことであったため、ワンは非周期的なワン・タイル集合は存在しないと推測した。
[[ファイル:Robinson_tiles.svg|代替文=|右|サムネイル|ロビンソンの6つのプロトタイル]]
ワンの学生のロバート・バーガーは1964年の論文<ref>{{MathGenealogy|id=114475|title=Robert Berger}}</ref>で、ドミノ問題は決定不可能であることを証明し（つまりワンの推測は誤りであった）、20426個のワン・ドミノからなる非周期集合を得た<ref name=":1">{{Harvnb|Austin|2005a}}</ref>。バーガーはプロトタイル104個までの削減についても触れているが、バーガーの出版論文<ref>{{Harvnb|Berger|1966}}</ref>には書かれていない。1968年に[[ドナルド・クヌース]]は、92個のドミノだけからなる修正版バーガーの集合を詳述した<ref>{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|p=584}}</ref>。

ワンのタイルによるタイリングでは同じ色を持つ辺を合わせる必要があるが、辺に色をつける代わりにジグソー・パズル・ピースのようにタイルの辺を変形して特定の辺だけが合致するようにしてもよい<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|p=5}}</ref>。ラファエル・ロビンソンは1971年の論文<ref>{{Harvnb|Robinson|1971}}</ref>でバーガーの手法と決定不可能性の証明を簡単化したが、その論文ではこの手法を用いてたった6つのプロトタイプからなる非周期集合を得た<ref>{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|p=525}}</ref>。

=== ペンローズ・タイリングの発展 ===
[[ファイル:Penrose_Tiling_(P1_over_P3).svg|代替文=|左|サムネイル|五角形ペンローズ・タイリング（P1）を黒線で描いた。色つきの菱形ペンローズ・タイリング（P3）は黄色の辺で描いた<ref name="S:173-174">{{Harvnb|Senechal|1996|pp=173–174}}</ref>。]]
最初のペンローズ・タイリング（あとに示すタイリングP1）は、ロジャー・ペンローズが1974年の論文<ref>{{Harvnb|Penrose|1974}}</ref>で導入した6つのプロトタイルからなる非周期集合で、四角形ではなく五角形に基づいている。平面を正五角形でタイリングしようとしても必ず隙間ができるが、[[ヨハネス・ケプラー]]が1619年の著作「世界の調和」で示したようにその隙間は[[五芒星]]（星形多角形）、[[十角形]]およびそれらに関連する形になる<ref>{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|loc=section 2.5}}</ref>。ケプラーはこのタイリングを5つの多角形によるタイリングに拡張して周期パターンがないことを発見し、どのように拡張しても新しい特徴が導入される<ref>{{Cite book |title=The harmony of the world |publisher=American philosophical society |date=1997 |location=Philadelphia (Pa.) |isbn=978-0-87169-209-2 |series=Memoirs of the American philosophical society held at Philadelphia for promoting useful knowledge |first=Johannes |last=Kepler |first2=Eric J. |last2=Aiton |first3=Alistair Matheson |last3=Duncan |first4=Judith Veronica |last4=Field}}</ref>ため非周期タイリングになるということを既に推測していた。このようなアイディアの痕跡は[[アルブレヒト・デューラー]]の著作にも見られる<ref>{{Harvnb|Luck|2000}}</ref>。ケプラーから着想を得たことを認めつつ、ペンローズはこれらの形の組み合わせ規則を発見し、非周期集合を得た。ワンのタイルと同じように、辺を修飾することによって組み合わせ規則を導入できる。ペンローズ・タイリングは、ケプラーの有限Aaパターンの完成形とみなすことができる<ref name=":2">{{Harvnb|Senechal|1996|p=171}}</ref>。
[[ファイル:Tiling_at_Zelena_Hora.jpg|サムネイル|チェコ共和国の[[ゼレナー・ホラの聖ヤン・ネポムツキー巡礼教会]]にある、五角形および細い菱形による非ペンローズ・タイリング。]]
続いてペンローズはプロトタイルの個数を2に減らし、カイト（kite、凧）およびダート（dart、矢）によるタイリング（タイリングP2、下記参照）、および菱形によるタイリング（タイリングP3、下記参照）を発見した<ref name=":3">{{Harvnb|Gardner|1997|p=6}}</ref>。菱形タイリングは1976年にロバート・アムマンによって独立に発見された<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|p=19}}</ref>。ペンローズと[[ジョン・ホートン・コンウェイ|ジョン・H・コンウェイ]]はペンローズ・タイリングの性質を調べ、その階層的性質を代入則で説明できることを発見した。この発見は[[マーティン・ガードナー]]によって1977年1月の[[サイエンティフィック・アメリカン]]の「[[:en:List_of_Martin_Gardner_Mathematical_Games_columns|数学ゲーム]]」コラムで発表された<ref name=":4">{{Harvnb|Gardner|1997|loc=chapter 1}}</ref>。

1981年に[[ニコラース・ホーヴァート・ド・ブラウン|N. G. ド・ブラウン]]は、ペンローズ・タイリングの2つの構成法「マルチ・グリッド法」および「切断射影法」を提案した。マルチ・グリッド法では、5つの平行線族によって作られるアレンジメントの[[双対グラフ]]としてペンローズ・タイリングが得られる。切断射影法では、5次元立方構造の2次元への射影としてペンローズ・タイリングが得られる。これらの方法ではペンローズ・タイリングを単にタイルの頂点の集合とみなしているが、タイルは頂点を辺で結んで得られる幾何学的形状である<ref>{{Harvnb|de Bruijn|1981}}</ref>。

== ペンローズ・タイリング ==
[[ファイル:Penrose_Tiling_(P1).svg|代替文=|サムネイル|ペンローズの最初の6つのプロトタイルからなる集合で構成した P1タイリング]]
[[ファイル:Penrose_P1_tile_rules_overlay.png|サムネイル|ペンローズのP1タイルに、タイリング規則に準拠するための円弧および節点を重ねて描いた。]]
P1からP3までの3種類のペンローズ・タイリングを図に示した<ref>P1からP3という記法は{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|loc=section 10.3}}から採用した。</ref>。これらは多くの共通する性質を持っている。どのタイルも五角形に（したがって黄金比に）関係する形状であるが、非周期的にタイル貼りするために必要なマッチング規則を基本的なタイル形状に追加しなければならない。プロトタイルの非周期集合を得るためのマッチング規則を表現する方法として、頂点や辺にラベルをつける、タイル表面にパターンを描く、あるいは（たとえば凹凸をつけることによって）辺の性質を変更する方法がある<ref name=":1" /><ref>{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|loc=section 10.3}}</ref>。

=== 最初の五角形ペンローズ・タイリング（P1） ===
ペンローズの最初のタイリングでは、五角形以外に３つの形状のタイル、すなわち5つの先端を持つ「星」（五芒星）、「ボート」（星のおよそ3/5）、および「ダイアモンド」（細い菱形）を用いる<ref name=":5">{{Harvnb|Penrose|1978|p=32}}</ref>。全てのタイリングが非周期的になることを保証するために、各辺の接合方法を特定するためのマッチング規則がある。五角形については、３種類の異なるマッチング規則がある。これらの三種の異なる五角形を別のプロトタイルとして扱うと、全部で6個のプロトタイプをもつ集合になる。五角形のタイルの異なる３種を、異なる３つの色で表すことが一般的である<ref>{{Harvnb|Austin|2005a}}; {{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|loc=figure 10.3.1}}, では、プロトタイプの非周期集合が得られるために必要な辺の変更が示されている。</ref>。

=== カイトとダート（P2） ===
[[ファイル:Step7wPaper600DPI.png|サムネイル|ペンローズ・タイリングP2（カイトとダート）で覆われた平面の一部。数回のデフレーションによって生成した。]]
ペンローズ・タイリングP2はカイトとダートと呼ばれる四辺形を使う。カイトとダートはある組み合わせで菱形を形成するが、そのような組み合わせはマッチング規則により禁止されている<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|pp=6&ndash;7}}</ref>。カイトとダートはどちらもいわゆるロビンソン三角形２つからなる。ロビンソン三角形は１９７５年のロビンソンの手記にちなむ<ref name=":6">{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|pp=537&ndash; 547}}</ref>。
{{Multiple image|align=left|direction=vertical|footer=上図：カイトとダート。 下図：P2タイリングにおける7つの可能な頂点図形（下図）。これらには以下のあだ名がついている：第1行：左からスター、エース、サン。第2行：左からキング、ジャック、クイーン、デュース。|image1=Kite Dart.svg|image2=Penrose vertex figures.svg|width=225}}

* カイトは４つの内角がそれぞれ72、72、72、および144度の四辺形である。カイトを対称軸で２分割すると、２つの（内角が３６、７２、および７２度の）鋭角ロビンソン三角形になる。
* ダートは内角が36、72、36、および216度の非凸四辺形である。ダートを対称軸で2分割すると、２つの（内角が36、36、および108度の）鈍角ロビンソン三角形になる。これはカイトを分割して得られる鋭角ロビンソン三角形より小さい。

マッチング規則はさまざまな形で表現できる。たとえば、頂点に（たとえば白と黒のように二色の）色をつけて、隣り合うタイルが同じ色の頂点を持つようにする規則である<ref name=":7">{{Harvnb|Senechal|1996|p=173}}</ref>。別の方法として、（図の緑および赤の曲線のように）円弧パターンを用いてタイルの配置を制限する方法がある。この方法では、２つのタイルが１つの辺を共有するときに、これらの円弧が連続するように配置しなければならない<ref name=":3" />。

これらのマッチング規則により、あるタイルの配置は確定することになる。たとえば、ダートの凹頂点は必ず2つのカイトが接合して埋めることになる。その図形はコンウェイの命名により「エース」と呼ばれている（図参照）。エースの形状はカイトを大きくしたタイルであるが、カイトと同じようにタイリングするわけではない<ref name=":8">{{Harvnb|Gardner|1997|p=8}}</ref>。同じように、2つのカイトが短辺で接して形成される凹頂点は、必ず2つのダートが接合して埋めることになる（図の「デュース」）。実際、1つの頂点において接するタイルの組み合わせ図形の個数は7つだけである。これらの図形のうち2つ（「スター」および「サン」）は5回の二面体対称性を持つ。それ以外の図形は1つの鏡映軸を持っている<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|pp=10&ndash;11}}</ref>。これらの頂点図形のうちエースとサンを除く全ての頂点図形は、追加されるタイルの配置を決定してしまう<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|p=12}}</ref>。

=== 菱形タイリング（P3） ===
[[ファイル:Penrose_rhombs_matching_rules.svg|代替文=|右|サムネイル|円弧あるいは辺の変形を用いたペンローズ菱形のマッチング規則]]
[[ファイル:Penrose_Rhombuses_with_Parabolic_Edges.svg|右|サムネイル|放物線辺を用いたペンローズ菱形のマッチング規則]]
[[ファイル:PenroseFlowers.png|左|サムネイル|放物線辺を持つペンローズ菱形を用いたペンローズ・タイリング]]
3つ目のタイリングは、辺の長さが等しく角が異なる2つの菱形を使う<ref name=":1" />。このタイリングは[[等面菱形多面体]]による[[空間充填形]]の二次元の投影図にもなっている。通常の菱形タイルは平面を周期的にタイリングできるから、タイルの集合方法に制限が必要である。たとえば二つのタイルが平行四辺形を形成することはない。なぜならそれを許すと周期的タイリングが可能になるからである。しかしこの条件は非周期タイリングのための十分条件ではない。

2種類のタイルがあり、どちらもロビンソン三角形に分解できる<ref name=":6" />。

* 細菱形'''t'''の頂点の角度は36、144、36、および144度である。'''t'''菱形を短いほうの対角線で分割すると、2つの鋭角ロビンソン三角形になる。
* 太菱形'''T'''の頂点の角度は72、108、72、および108度である。'''T'''菱形を長いほうの対角線で分割すると、2つの鈍角ロビンソン三角形になる。P2タイリングと対照的に、これらの三角形は鋭角ロビンソン三角形より大きい。

マッチング規則によって、タイルの辺は区別されており、タイルはある特定の方法では並置できるが別の方法では並置が禁止される。これらのマッチング規則のうち2種類を図に示した。一方の方式では、タイル表面の円弧の色と位置が辺上で一致するようにタイルを接合しなければならない。もう一方の方式では、タイルの辺の凹凸が一致するように接合しなければならない<ref name=":1" />。

'''t'''菱形と'''T'''菱形の角度が与えられたとき、合計して360度になる円順列は54個あるが、マッチング規則によってそのうち7種類だけが許される（ただしその1つは2種類の形で現れる）<ref>{{Harvnb|Senechal|1996|p=178}}</ref>。

頂点の角度と辺の曲率を多種多様にすることで、ペンローズ・チキン<ref>{{cite web |url=http://www.murderousmaths.co.uk/books/BKMM7xpc.htm |title=The Penrose Tiles |website=Murderous Maths |access-date=2023-07-04}}</ref>のように複雑なタイルを構成することもできる。

== 特徴および構成 ==

=== 黄金比および局所五角形対称性 ===
ペンローズ・タイリングのいくつかの特徴と性質は、[[黄金比]]<math display="inline">\varphi = (1 + \sqrt{5})/2</math>（近似的に1.618）に関係している<ref name=":6" /><ref name=":7" />。これは[[五角形|正五角形]]の弦の長さと辺の長さの比であり、<math display="inline">\varphi = 1 + 1/\varphi</math>を満たす。
[[ファイル:Rhomb_pentagon.svg|代替文=|左|サムネイル|五角形に、太菱形（薄灰色）、鋭角ロビンソン三角形（灰色）、および小さい鈍角ロビンソン三角形（濃灰色）を描いた。破線はカイトとダートの辺を描いている。]]
結果として、（[[二等辺三角形]]である）ロビンソン三角形の長辺と短辺の長さの比は<math>\varphi:1</math>になる。したがってカイトとダート両方の長辺と短辺の比も<math>\varphi:1</math>である。細菱形'''t'''の一辺と短い対角線の比、および太菱形'''T'''の長い対角線と一辺の比も同じである。P2およびP3タイリングのどちらにおいても、大きいロビンソン三角形と小さいロビンソン三角形の面積比も<math>\varphi:1</math>である。したがってカイトとダートの面積比、および太菱形と細菱形の面積比も同じである。図に示した五角形に含まれる（薄灰色で示した太菱形の半分である）大きい鈍角ロビンソン三角形と底辺にある濃灰色の小さい鈍角ロビンソン三角形の相似比は<math>\varphi</math>であるから面積比は<math>\varphi^{2}:1</math>である。

任意のペンローズ・タイリングは、タイリング内にタイルの対称配置で囲まれた点が存在するという意味で局所5回対称性を持っている。ここでいうタイルの対称配置は、中心点に関して5回[[回転対称性]]、および中心点を通る5本の鏡映線に関する[[鏡像対称性|鏡映対称性]]の[[二面体群]]の対称性を持つ<ref name=":1" />。この対称性は一般には中心点の周囲のパッチ（区域）でしか保存しないが、そのパッチは非常に大きくなりうる。コンウェイとペンローズは、P2またはP3タイリングの色つき曲線が閉曲線になる場合は常にその閉曲線内の領域は五角形対称性を持つことを示し、さらに任意のタイリングにおいて各色の曲線のうち閉曲線にならないものは多くとも2つであることを示した<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|p=9}}</ref>。

大域的5回対称性の中心点は多くとも1つである。仮に1つより多くの中心点があるとすると、一方の点を中心に他方の点を回転移動することで距離がより近い2つの5回対称中心ができて、これは数学的矛盾である<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|p=27}}</ref>。（P1、P2およびP3の各タイプについて）ただ2つのペンローズ・タイリングだけが大域的五角形対称性を持っている。カイトとダートからなるP2タイリングの場合、対象中心は「サン」あるいは「スター」である<ref>{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|p=543}}</ref>。

=== インフレーションとデフレーション ===
[[ファイル:Pentagon_with_half_dodecahedral_net.svg|代替文=|右|サムネイル|6つの小さい五角形に分解された五角形。正十二面体の展開図の半分である。]]
各種のペンローズ・タイリングに共通する特徴の多くは代入則で与えられる五角形階層構造に由来している。代入則はしばしばタイリングあるいはタイルの集合のインフレーションおよびデフレーション、あるいは合成（composition）および分解（decomposition）と呼ばれる<ref name=":1" /><ref name=":4" /><ref>{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987}}では、他の著者が「デフレーション」（およびその後の再スケーリング）と呼ぶものを「インフレーション」と呼んでいる。多くの著者が使っている「構成」と「分解」は、それに比べると曖昧ではない。</ref>。代入則によって、各タイルはもとのタイリングで使われていたタイルと同じ形状でより小さいタイルに分解される。その逆の操作を行えば、小さいタイルからより大きいタイルが「合成」されることになる。このことから、ペンローズ・タイリングは自己相似性を持っておりフラクタルと見なせることがわかる<ref>{{cite journal|last1=Ramachandrarao|first1=P|year=2000|title=On the fractal nature of Penrose tiling|url=http://www.iisc.ernet.in/currsci/aug102000/rc80.pdf|journal=Current Science|volume=79|page=364}}</ref>。

ペンローズが最初にP1タイリングを発見したときは、五角形を6つの小さい五角形（[[正十二面体]]の展開図の半分）と5つの半ダイアモンドに分解した（図参照）。この過程を繰り返すと五角形の間の隙間がスター、ダイアモンド、ボート、および他の五角形で埋め尽くされることを発見した<ref name=":5" />。ペンローズは、この過程を無限に繰り返すことで五角形対称性を持つP1タイリングの1つを得た<ref name=":1" /><ref name=":2" />。

==== ロビンソン三角形の分解 ====
[[ファイル:Robinson_triangle_decompositions.svg|代替文=|左|サムネイル|ロビンソン三角形とそれらの分解]]
P2およびP3タイリングに関する代入則は異なる大きさのロビンソン三角形を用いて表現できる。P2タイリングでカイトとダートを分割してできるロビンソン三角形を<math>\mathrm{A}</math>タイルと呼び、P2タイリングで菱形を分割してできるロビンソン三角形を<math>\mathrm{B}</math>タイルと呼ぶ<ref name=":6" />。記号<math>\mathrm{A_S}</math>で表される小さいほうのAタイルは鈍角ロビンソン三角形であり、大きいAタイル<math>\mathrm{A_L}</math>は鋭角ロビンソン三角形である。逆に、小さいロビンソン三角形<math>\mathrm{B_S}</math>および大きいロビンソン三角形<math>\mathrm{B_L}</math>はそれぞれ鋭角および鈍角ロビンソン三角形である。

具体的には、<math>\mathrm{A_S}</math>の辺の長さが<math>(1, 1, \varphi)</math>であるとすると<math>\mathrm{A_L}</math>の辺の長さは<math>(\varphi, \varphi, 1)</math>である。<math>\mathrm{B}</math>タイルはこれらの<math>\mathrm{A}</math>タイルと以下の2つの方法で関係づけられる：

* <math>\mathrm{B_S}</math>が<math>\mathrm{A_L}</math>と同じ大きさであるとすると、<math>\mathrm{B_L}</math>は<math>\mathrm{A_S}</math>を<math>\varphi</math>倍に拡大した<math>\varphi\mathrm{A_S}</math>であり辺の長さは<math>(\varphi, \varphi, \varphi^{2} = 1 + \varphi)</math>である。この<math>\mathrm{B_L}</math>は長さ1の辺を共有する1つの<math>\mathrm{A_L}</math>と1つの<math>\mathrm{A_S}</math>とに分解できる。
* <math>\mathrm{B_L}</math>が<math>\mathrm{A_S}</math>と同じ大きさであるとすると、<math>\mathrm{B_S}</math>は<math>\mathrm{A_L}</math>を<math>1/\varphi</math>倍に拡大した<math>(1/\varphi)\mathrm{A_L}</math>であり辺の長さは<math>(1/\varphi, 1/\varphi, 1)</math>である。この<math>\mathrm{A_L}</math>は長さ1の辺を共有する1つの<math>\mathrm{B_L}</math>と1つの<math>\mathrm{B_S}</math>とに分解できる。

これらの分解において不明確な点があるように見える：二等辺三角形は鏡映対称軸を持つから、上述のロビンソン三角形の1つの分解に対してその鏡映にあたる分解も可能であるから、2通りに分割できることになる。しかしペンローズ・タイリングにおいては、マッチング規則によって一方の分解だけが許される。さらに、合成によってタイリング内の小さい三角形を大きい三角形にする方法についてもマッチング規則によって決まる<ref name=":6" />。

{{Multiple image|image1=Penrose tilings P2 and P3.svg|image2=Penrose tilings P3 and P2.svg|direction=vertical|total_width=300|align=right|footer=スターを菱形にする部分インフレーション（上図）、および菱形の集まりをエースにする部分インフレーション（下図）。}}

以上のことから、P2およびP3タイリングは'''相互局所導出可能'''である。つまり、一方のタイル集合を用いたタイリングを用いて、他方のタイリングを生成することができる。例えば、カイトとダートによるタイリングは、分割によって<math>\mathrm{A}</math>タイルによるタイリングへ変換することができ、それは適切な方法で<math>\mathrm{B}</math>タイルで形成することができるから、細菱形と太菱形で形成することができる<ref name="S:173-174">{{Harvnb|Senechal|1996|pp=173–174}}</ref>。P2およびP3タイリングは、P1タイリングとも相互局所導出可能である（図2参照）<ref>{{Harvnb|Grünbaum|Shephard|1987|p=546}}</ref>。

<math>\mathrm{B_S}</math>が<math>\mathrm{A_L}</math>と同じサイズであるとする慣習を採用すると、<math>\mathrm{B}</math>タイルの<math>\mathrm{A}</math>タイルへの分解は<math display="block">\mathrm{B_S} = \mathrm{A_L}, \quad \mathrm{B_L} = \mathrm{A_L} + \mathrm{A_S}</math>と書ける。この2式を'''代入行列'''方程式<ref>{{Harvnb|Senechal|1996|pp=157&ndash;158}}</ref>にまとめると<math display="block">\begin{pmatrix}
\mathrm{B_L}\\
\mathrm{B_S}
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
1 & 1\\
1 & 0
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\mathrm{A_L}\\
\mathrm{A_S}
\end{pmatrix}</math>となる。拡大した<math>\varphi \mathrm{A}</math>タイルから<math>\mathrm{B}</math>タイルへの分解に上式を組み合わせると、代入則<math display="block">\begin{pmatrix}
\varphi \mathrm{A_L}\\
\varphi \mathrm{A_S}
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
1 & 1\\
1 & 0
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\mathrm{B_L}\\
\mathrm{B_S}
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
2 & 1\\
1 & 0
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\mathrm{A_L}\\
\mathrm{A_S}
\end{pmatrix}</math>になる。したがって拡大タイル<math>\varphi\mathrm{A_L}</math>は2つの<math>\mathrm{A_L}</math>および1つの<math>\mathrm{A_S}</math>に分解される。マッチング規則では以下の特定の代入だけが許される：<math>\varphi\mathrm{A_L}</math>タイル内の2つの<math>\mathrm{A_L}</math>はカイトを形成しなければならず、したがってカイトは分解して2つのカイトと2つの半ダートになり、ダートは分解して1つのカイトと2つの半ダートになる<ref name=":9">{{Harvnb|Austin|2005b}}</ref><ref name=":10">{{Harvnb|Senechal|1996|p=183}}</ref>。拡大<math>\varphi\mathrm{B}</math>タイルも同様に（<math>\mathrm{A}</math>タイルを経由して）<math>\mathrm{B}</math>タイルへと分解される。



合成および分解はくりかえすことができて、たとえば<math display="block">\varphi^n
\begin{pmatrix} 
\mathrm{A_L} \\
\mathrm{A_S}
\end{pmatrix}
= 
\begin{pmatrix} 
2 & 1 \\ 
1 & 1 
\end{pmatrix}^n
\begin{pmatrix} 
\mathrm{A_L} \\ 
\mathrm{A_S}
\end{pmatrix}</math>となる。合成の第<math>n</math>回目のくりかえしに含まれるカイトとダートの個数は代入行列の<math>n</math>乗：<math display="block">\begin{pmatrix}
 2 & 1\\
 1 & 1
\end{pmatrix}^{n}
=
\begin{pmatrix}
 F_{2n+1} & F_{2n}\\
 F_{2n} & F_{2n-1}
\end{pmatrix}</math><math display="block">\begin{pmatrix} 
2 & 1 \\ 
1 & 1 
\end{pmatrix}^n
=
\begin{pmatrix} 
F_{2n + 1} & F_{2n}\\
F_{2n} & F_{2n-1}
\end{pmatrix}</math>によって決まる。ここで<math>F_{n}</math>は第<math>n</math>[[フィボナッチ数]]である。したがって、任意の十分に大きなP2ペンローズ・タイリングに含まれるカイトとダートの個数比は近似的に黄金比<math>\varphi</math>になる<ref>{{Harvnb|Gardner|1997|p=7}}</ref>。P3ペンローズ・タイリングに含まれる太菱形と細菱形の個数比についても同じ結果が成立する<ref name=":9" />。

==== P2およびP3タイリングに対するデフレーション ====
[[ファイル:AnimSun2k.gif|サムネイル|P2型ペンローズ・タイリングに含まれる「サン」頂点のデフレーションのくりかえし]]
[[ファイル:Penrose_P3_Deflations.gif|サムネイル|P3型ペンローズ・タイリングに含まれるタイル集合のデフレーションのくりかえし]]
[[ファイル:AnimSun_13.png|サムネイル|P2型ペンローズ・タイリングに含まれる「サン」頂点に8回のデフレーションを施した結果]]
与えられた1つのタイル、平面全体のタイリング、あるいは任意のタイルの集まりに、デフレーションを1回施すと「世代」が1つ増えるという。デフレーションの一世代で、各タイルは元のタイリングで使われていたタイルより小さい、2つ以上のタイルに置き換えられる。代入則によって、新しいタイルの配置はマッチング規則に従っていることが保証される<ref name=":9" />。デフレーションの世代を経るごとに、形状は同じでより小さいタイルからなるタイリングが生成される。

タイルの分割規則は[[:en:Finite_subdivision_rule|細分化則]]である。
{| class="wikitable"
!名称
!最初のタイル
!世代1
!世代2
!世代3
|-
|半カイト
|[[ファイル:Penrose_kile_0.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_kile_1.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_kile_2.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_kile_3.svg|120x120ピクセル]]
|-
|半ダート
|[[ファイル:Penrose_dart_0.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_dart_1.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_dart_2.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_dart_3.svg|120x120ピクセル]]
|-
|サン
|[[ファイル:Penrose_sun_0bis.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_sun_1.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_sun_2.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_sun_3.svg|120x120ピクセル]]
|-
|スター
|[[ファイル:Penrose_star_0.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_star_1.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_star_2.svg|120x120ピクセル]]
|[[ファイル:Penrose_star_3.svg|120x120ピクセル]]
|}
この表を使うには注意が必要である。半カイトと半ダートのデフレーションはサンとスターのデフレーションのときにだけ使わなければならない。単独のカイトやダートに用いると誤った結果を与える。

また、単純な細分化則によってタイリングの端に穴ができることがある。こういった穴は右3図の上と下に見ることができる。個の問題を解決するには別の規則が必要である。

==== 結果と応用 ====
インフレーションとデフレーションを使って、カイトとダートのタイリング（P2）あるいは菱形タイリング（P3）を構成するためのアップ・ダウン生成と呼ばれる方法を作ることができる<ref name=":8" /><ref name=":9" /><ref name=":10" />。

ペンローズ・タイリングは非周期的であるから並進対称性を持たない。つまりペンローズ・タイリングを平行移動して、全平面にわたってそれ自身と一致させることはできない。しかし任意の有界領域は、それがどれだけ大きくてもタイリング内に無限回だけくりかえし現れる。したがって有限パッチを使ってペンローズ・タイリング全体を一意的に決めることはできないし、有限パッチがタイリング全体のどの位置にあるか決めることもできない<ref>「...タイリング内の有限の大きさの任意のパッチを選択すると、インフレーションされた1つのタイルについてインフレーションの階層を十分にさかのぼれば、その中にその選択したパッチが存在している。このことから、インフレーション階層のその段階においてそのタイルが出現する位置には必ず、元のタイリング内においてその選択したパッチが出現する。したがってその選択したパッチは元のタイリング内に無限に出現するし、実際、他のタイリングでも同様である」{{Harvnb|Austin|2005a}}</ref>。

このことから異なるペンローズ・タイリングの個数は非加算無限個であることがわかる。アップ・ダウン生成はタイリングをパラメータ化する方法の1つを与える。他の方法ではアムマン・バー、ペンタグリッド、あるいは切断射影法を用いる<ref name=":9" />。

== 関連するタイリングと話題 ==

=== 十角形被覆と準結晶 ===
[[ファイル:Gummelt_decagon.svg|代替文=|サムネイル|カイトとダートへの分解を破線で示したグムメルトの十角形（左）。太く暗い色の線は埋め込まれたエースと太菱形の輪郭を示している。可能なオーバーラップ（右）は、1つまたは2つの赤いエースを重ねて得られる<ref name="LR">{{Harvnb|Lord|Ranganathan|2001}}</ref>。]]
一種類の十角形タイルが二種類の領域において重なることを許すと、その十角形タイルによってペンローズ・タイリングと等価なカバリング（被覆。重なりのないタイリングと区別するためにこう呼ぶ）を構成できることを、ドイツの数学者ペトラ・グムメルトが1996年に示した<ref>{{Harvnb|Gummelt|1996}}</ref>。その十角形タイルは色つきパッチで修飾されており、カバリング則で許される重なりは、その色つきパッチが一致するものだけである。その十角形タイルをカイトとダートに適切に分解すると、カバリングはペンローズP2タイリングに変換される。同じように、十角形タイルに太菱形を描き込むことによりP3タイリングが得られる。残りの空間は細菱形で埋められることになる。

カバリングは[[準結晶]]の成長に対する現実的なモデルであると考えられている。[[ポール・スタインハート]]によれば、結晶を構成する[[単位胞]]に対応して重なる十角形は準結晶を構成する「準単位胞」であり、カバリング則によってある種の原子クラスタの密度が最大化される<ref name="LR">{{Harvnb|Lord|Ranganathan|2001}}</ref><ref>{{Harvnb|Steinhardt|Jeong|1996}}; 次の文献も参照のこと：{{Citation|title=A New Paradigm for the Structure of Quasicrystals|last=Steinhardt|first=Paul J.|date=1999-11|url=http://www.worldscientific.com/doi/abs/10.1142/9789812815026_0017|edition=2|publisher=WORLD SCIENTIFIC|volume=16|pages=603–618|isbn=978-981-02-4155-1|language=en|doi=10.1142/9789812815026_0017|access-date=2023-08-22}}</ref>。カバリングの非周期性によって[[ブロッホの定理]]が成立しないため、例えば電気的性質のような物理的性質に関する理論的研究が困難になる。しかし準結晶のスペクトルは誤り制御によって計算できる<ref>{{cite journal|last1=Colbrook|last2=Roman|last3=Hansen|year=2019|title=How to Compute Spectra with Error Control|url=https://www.repository.cam.ac.uk/handle/1810/295873|journal=Physical Review Letters|volume=122|issue=25|page=250201|bibcode=2019PhRvL.122y0201C|doi=10.1103/PhysRevLett.122.250201|pmid=31347861|s2cid=198463498}}</ref>。

=== 関係のあるタイリング ===
[[ファイル:Tie_and_Navette_Tiling.png|左|サムネイル|タイおよびナヴェットのタイリング（ペンローズ・タイリングを背景に、赤で示した）]]
ペンローズ・タイリングの3つの変種は、相互局所導出可能である。P1タイリングの頂点からいくつかの部分集合を選び出すと、別の非周期タイリングを作ることができる。P1タイリング内の1つの五角形の頂点に順に<math display="inline">1, 3, 5, 2, 4</math>と番号をつけると、曖昧さなく全ての五角形の頂点に右回りまたは左回りに番号付けすることができる。同じ番号を持つ点によってロビンソン三角形によるタイリングが得られ、そのタイリング上の3番と4番の点によりタイおよびナヴェットタイリングが得られる<ref>{{cite journal|last1=Luck|first1=R|year=1990|title=Penrose Sublattices|journal=Journal of Non-Crystalline Solids|volume=117–8|issue=90|pages=832–5|bibcode=1990JNCS..117..832L|doi=10.1016/0022-3093(90)90657-8}}</ref>。
[[File:Variable_penrose_tiling.svg|リンク=https://en.wikipedia.org/wiki/File:Variable_penrose_tiling.svg|サムネイル|準結晶ではない変種タイリング。タイルの配置規則に従っていないので、ペンローズ・タイリングではない。]]
他にも、たとえば六角形・ボート・星・タイリングおよびミクラ・ロス・タイリングなどの、等価ではない関連するタイリングがある。たとえば、菱形タイリングのマッチング則を変更して各頂点における角度に関する制限をかけることにすると、2タイルによるあるタイリングが得られる<ref>{{Harvnb|Lançon|Billard|1988}}</ref>。このタイリングは5回対称性を持つが準結晶ではない。このタイリングは元のタイリングの菱形を小さい菱形で修飾する方法、あるいは代入則によっても得られるが、ド・ブラウンの切断射影法では得られない<ref>{{Harvnb|Godrèche|Lançon|1992}}; see also {{cite encyclopedia |url=http://tilings.math.uni-bielefeld.de/substitution/binary |title=Binary |author=Dirk Frettlöh |author2=F. Gähler |author3=Edmund Harriss |name-list-style=amp |encyclopedia=Tilings Encyclopedia |publisher=Department of Mathematics, University of Bielefeld}}</ref>。

== ペンローズ・タイリングに関連する話題 ==
=== 美術と建築 ===
<gallery mode="packed" caption="建造物に見られるさまざまなパターン">
File:Roof hafez tomb.jpg|シーラーズのハーフェズ廟の天井
File:Window Apartments of the Crown Prince.JPG|[[イスタンブール]]にある、[[トプカプ宮殿]]のTwin Kioskの窓
File:Isfahan Lotfollah mosque ceiling symmetric.jpg|レモンの形の組み合わせによるタイリング。平らな化粧漆喰で象眼された模様で中心から周囲に向けて徐々にサイズが大きくなっている。
File:Green mosque archway.JPG|トルコ、[[ブルサ]]のグリーンモスクにあるスルタンロッジの通路のインテリアアーチ道
File:Darb-i_Imam_shrine_spandrel.JPG|スパンドレル上の五角形および十角形の[[ギリータイル]]・パターン。イランの[[エスファハーン]]にあるダルベ・イマーム廟 (1453 C.E.)
File:Salesforce_Transit_Center_main_entrance.jpg|サンフランシスコのセールスフォース・トランジット・センター。白色アルミ製の外壁表面にはペンローズ・タイリングのパターンでパンチングが施されている。
File:Penrose_tiling_in_CC-3,_IIIT_Allahabad.jpg|alt=|イラーハーバードIIIT計算機センター3の床のペンローズ・タイリング。
</gallery>タイリングの美的価値は古くから認められており、タイリングに対する興味の源となっている。ペンローズ・タイリングの外観も注目を集めている。これまで、ペンローズ・タイリングと北アフリカおよび中東で使われるある種の装飾パターンとの類似が指摘されてきた<ref>{{Harvnb|Zaslavskiĭ|Sagdeev|Usikov|Chernikov|1988}}; {{Harvnb|Makovicky|1992}}</ref><ref>{{Cite news |first=Sebastian R. |last=Prange |author2=Peter J. Lu |title=The Tiles of Infinity |date=2009-09-01 |publisher=Aramco Services Company |url=http://www.saudiaramcoworld.com/issue/200905/the.tiles.of.infinity.htm |work=Saudi Aramco World |pages=24–31 |access-date=2010-02-22}}</ref>。物理学者の P. J. ルーおよび P. スタインハートは、エスファハーンのダルベ・イマーム廟にある[[ギリー・タイル|ギリータイリング]]のような中世イスラム幾何学パターンにはペンローズ・タイリングに基づくものがあるという証拠を示した<ref>{{Harvnb|Lu|Steinhardt|2007}}</ref>。

1970年、ドロップ・シティの芸術家 [[:en:Clark_Richert|C. リカート]]はペンローズ菱形を作品に用いた。　この作品は[[菱形三十面体]]の影を平面に映して、非周期タイリングを構成する太菱形と細菱形を観察して導き出されたものである。芸術歴史家 M. ケンプは菱形タイリングの同様のモチーフを [[アルブレヒト・デューラー|A. デューラー]]がスケッチしたことを述べている<ref>{{Harvnb|Kemp|2005}}</ref>。

1979年、[[マイアミ大学 (オハイオ州)|マイアミ大学]]は数学統計学科の学士会館中庭を装飾する[[人造大理石]]にペンローズ・タイリングを施した<ref>''[http://www.lib.miamioh.edu/epub/tilings/david.pdf The Penrose Tiling at Miami University] {{Webarchive|url=https://web.archive.org/web/20170814145333/http://www.lib.miamioh.edu/epub/tilings/david.pdf|date=14 August 2017}}'' by David Kullman, Presented at the Mathematical Association of America Ohio Section Meeting Shawnee State University, 24 October 1997</ref>。

イラーハーバードのインド情報技術研究所（IIIT）では、建築の初期である2001年からペンローズ・タイリングを真似た「ペンローズ幾何学」に基づいて研究棟をデザインしている。これらの建物の多くの場所で、床はペンローズ・タイリングからなる幾何学パターンになっている<ref>{{Cite web |title=Indian Institute of Information Technology, Allahabad |url=https://www.archnet.org/sites/6240 |website=ArchNet |access-date=2023-09-22}}</ref>。

西オーストラリア大学ベイリス棟の[[アトリウム]]の床はペンローズ・タイリングが施されている<ref>{{cite web |url=https://www.treasures.uwa.edu.au/#66-1 |title=Centenary: The University of Western Australia |website=www.treasures.uwa.edu.au |access-date=2023-09-22}}</ref>。

2013年10月時点で<ref>{{cite web |url=http://www.maths.ox.ac.uk/new-building |title=New Building Project |access-date=30 November 2013 |archive-url=https://web.archive.org/web/20121122033241/http://www.maths.ox.ac.uk/new-building |archive-date=22 November 2012 |url-status=dead}}</ref>オクスフォード大学の数学科がある[[アンドリュー・ワイルズ]]棟の入り口の舗装にペンローズ・タイリングが使われている部分がある<ref>{{cite web |title=Penrose Paving at the Mathematical Institute |url=https://www.atlasobscura.com/places/penrose-paving-at-the-mathematical-institute |access-date=2023-09-22}}</ref>。

[[ヘルシンキ]]の歩行者天国であるケスクスカツはペンローズ・タイルを使って舗装されている。この舗装は2014年に完成した<ref>{{cite web |url=https://www.hs.fi/tiede/art-2000002751157.html?share=a77bc9103d565c475aa5484e15932ea3 |title=Keskuskadun kävelykadusta voi tulla matemaattisen hämmästelyn kohde |date=6 August 2014 |website=Helsingin Sanomat |access-date=2023-09-22}}</ref>。

サンフランシスコの2018トランスベイ・トランジット・センターの外壁は、波状の白色金属にペンローズ・パターンのパンチングを施している点を特色としている<ref>{{cite journal|last=Kuchar|first=Sally|date=11 July 2013|title=Check Out the Proposed Skin for the Transbay Transit Center|url=http://sf.curbed.com/archives/2013/07/11/check_out_the_proposed_skin_for_the_transbay_transit_center.php|journal=Curbed}}</ref>。

=== 商品 ===
このペンローズ・タイルは無断で[[トイレットペーパー]]の図柄に使われたが、裁判の結果、ペンローズに対する不遜を理由として使用禁止となった<ref>{{Cite web |url=https://collection.sciencemuseumgroup.org.uk/objects/co439558/pack-of-four-rolls-quilted-toilet-paper-with-penrose-tiling-packaging-toilet-paper |title=Pack of four rolls quilted toilet paper with Penrose tiling |access-date=2023-09-23}}</ref>。特許となったペンローズ・タイルは、ペンタプレックス社がパズルとして商品化している<ref>{{Cite book|和書|author=竹内薫|authorlink=竹内薫|year=1999|title=ペンローズのねじれた四次元|publisher=講談社|pages=pp. 18-20|isbn=4-06-257260-5}}</ref>。また近年、電気剃刀用の網刃として実用化されている<ref>[http://www.braun.co.jp/products/shaver/activator_2.html ブラウン アクティベーター Xのマルチパターン網刃]<br>[http://patent.astamuse.com/ja/granted/JP/No/4137789/%E8%A9%B3%E7%B4%B0 その日本特許4137789号]</ref>。

== 脚注 ==
<references group="" responsive="1"></references>

== 参考文献 ==
=== 1次資料 ===

* {{Cite book |first=R. |last=Berger |title=The undecidability of the domino problem |series=Memoirs of the American Mathematical Society |volume=66 |year=1966 |isbn=9780821812662 |url=https://books.google.com/books?id=mLfTCQAAQBAJ|和書 |publisher=Amer Mathematical Society |ref=harv}}.
* {{Cite journal|last=de Bruijn|first=N. G.|author-link=ニコラース・ホーヴァート・ド・ブラウン|year=1981|title=Algebraic theory of Penrose's non-periodic tilings of the plane, I, II|url=http://alexandria.tue.nl/repository/freearticles/597566.pdf|journal=Indagationes Mathematicae|volume=43|issue=1|pages=39–66|ref=harv|doi=10.1016/1385-7258(81)90017-2}}.
* {{Cite journal|last=Gummelt|first=Petra|year=1996|title=Penrose tilings as coverings of congruent decagons|journal=Geometriae Dedicata|volume=62|issue=1|ref=harv|doi=10.1007/BF00239998}}.
* {{Cite journal|last=Penrose|first=Roger|author-link=ロジャー・ペンローズ|year=1974|title=The role of aesthetics in pure and applied mathematical research|journal=Bulletin of the Institute of Mathematics and Its Applications|volume=10|page=266ff|ref=harv}}.
* {{Cite patent|title=Set of tiles for covering a surface|inventor-surname=Penrose|inventor-last=Roger|publication-date=1979-01-09|URL=https://worldwide.espacenet.com/patent/search/family/010251048/publication/US4133152A?q=pn%3DUS4133152|ref=harv|patent-number=4133152|country-code=US}}.
* {{Cite journal|last=Robinson|first=R.M.|year=1971|title=Undecidability and non-periodicity for tilings of the plane|journal=Inventiones Mathematicae|volume=12|issue=3|pages=177&ndash;190|ref=harv|bibcode=1971InMat..12..177R|doi=10.1007/BF01418780}}.
* {{Cite journal|last=Schechtman|first=D.|last2=Blech|first2=I.|last3=Gratias|first3=D.|last4=Cahn|first4=J.W.|year=1984|title=Metallic Phase with long-range orientational order and no translational symmetry|journal=Physical Review Letters|volume=53|issue=20|pages=1951–1953|ref=harv|bibcode=1984PhRvL..53.1951S|doi=10.1103/PhysRevLett.53.1951}}
* {{Cite journal|last=Wang|first=H.|author-link=ハオ・ワン|year=1961|title=Proving theorems by pattern recognition II|journal=Bell System Technical Journal|volume=40|pages=1&ndash;42|ref=harv|doi=10.1002/j.1538-7305.1961.tb03975.x}}.

=== 2次資料 ===

* {{Cite web |first=David |author=Austin |title=Penrose Tiles Talk Across Miles |publisher=American Mathematical Society |year=2005a |url=https://www.ams.org/featurecolumn/archive/penrose.html |access-date=2023-07-01 |ref=harv}}.
* {{Cite web |first=David |author=Austin |title=Penrose Tilings Tied up in Ribbons |publisher=American Mathematical Society |year=2005b |url=https://www.ams.org/featurecolumn/archive/ribbons.html |access-date=2023-07-01 |ref=harv}}.
* {{Cite journal|last=Colbrook|first=Matthew|last2=Roman|first2=Bogdan|last3=Hansen|first3=Anders|year=2019|title=How to Compute Spectra with Error Control|url=https://www.repository.cam.ac.uk/handle/1810/295873|journal=Physical Review Letters|volume=122|issue=25|pages=250201|ref=harv|bibcode=2019PhRvL.122y0201C|doi=10.1103/PhysRevLett.122.250201|pmid=31347861}}
* {{Cite book|洋書 |first=Karel |last=Culik |first2=Jarkko |last2=Kari |title=Foundations of Computer Science |series=Lecture Notes in Computer Science |volume=1337 |pages=153&ndash;162 |year=1997 |doi=10.1007/BFb0052084 |chapter=On aperiodic sets of Wang tiles |isbn=978-3-540-63746-2 |publisher=Springer |ref=harv}}
* {{Cite book |author-link=マーティン・ガードナー |last=Gardner |first=Martin |title=Penrose Tiles to Trapdoor Ciphers |year=1997 |publisher=Cambridge University Press |isbn=978-0-88385-521-8|洋書 |ref=harv}}. (First published by W. H. Freeman, New York (1989), {{ISBN2|978-0-7167-1986-1}}.)
** 第１章（pp. 1&#x2013;18）は以下の再版： {{Cite magazine|last=Gardner|first=Martin|date=1977-01|title=Extraordinary non-periodic tiling that enriches the theory of tiles|pages=110-121|bibcode=1977SciAm.236a.110G|doi=10.1038/scientificamerican0177-110|magazine=Scientific American}}.
* {{Cite journal|last=Godrèche|first=C|last2=Lançon|first2=F.|year=1992|title=A simple example of a non-Pisot tiling with five-fold symmetry|url=http://inac.cea.fr/sp2m/L_Sim/Publications/1992/Godreche_Lancon-1992-5_fold_non_Pisot_tiling.pdf|journal=Journal de Physique I|volume=2|issue=2|pages=207–220|ref=harv|bibcode=1992JPhy1...2..207G|doi=10.1051/jp1:1992134}}.
* {{Cite book|洋書 |author-link= |last=Grünbaum |first=Branko |last2=Shephard |first2=G. C. |title=Tilings and Patterns |location=New York |publisher=W. H. Freeman |year=1987 |isbn=978-0-7167-1193-3 |url=https://archive.org/details/isbn_0716711931 |ref=harv}}.
* {{Cite journal|last=Kemp|first=Martin|year=2005|title=Science in culture: A trick of the tiles|journal=Nature|volume=436|issue=7049|page=332|ref=harv|bibcode=2005Natur.436..332K|doi=10.1038/436332a}}.
* {{Cite journal|last=Lançon|first=Frédéric|last2=Billard|first2=Luc|year=1988|title=Two-dimensional system with a quasi-crystalline ground state|url=http://inac.cea.fr/sp2m/L_Sim/Publications/1988/Lancon-Billard-1988-binary_tilings.pdf|journal=Journal de Physique|volume=49|issue=2|pages=249–256|ref=harv|doi=10.1051/jphys:01988004902024900}}.
* {{Cite journal|last=Lord|first=E.A.|last2=Ranganathan|first2=S.|year=2001|title=The Gummelt decagon as a 'quasi unit cell'|url=http://materials.iisc.ernet.in/~lord/webfiles/actagum.pdf|journal=Acta Crystallographica|volume=A57|issue=5|pages=531&ndash;539|ref=harv|doi=10.1107/S0108767301007504|pmid=11526302}}
* {{Cite journal|last=Lu|first=Peter J.|last2=Steinhardt|first2=Paul J.|year=2007|title=Decagonal and Quasi-crystalline Tilings in Medieval Islamic Architecture|url=http://www.peterlu.org/sites/peterlu.org/files/Science_315_1106_2007.pdf|journal=[[Science (journal)|Science]]|volume=315|issue=5815|pages=1106–1110|ref=harv|bibcode=2007Sci...315.1106L|doi=10.1126/science.1135491|pmid=17322056}}.
* {{Cite journal|last=Luck|first=R.|year=2000|title=Dürer-Kepler-Penrose: the development of pentagonal tilings|journal=Materials Science and Engineering|volume=294|issue=6|pages=263&ndash;267|ref=harv|doi=10.1016/S0921-5093(00)01302-2}}.
* {{Cite book |first=E. |last=Makovicky |year=1992 |chapter=800-year-old pentagonal tiling from Maragha, Iran, and the new varieties of aperiodic tiling it inspired |editor=I. Hargittai |title=Fivefold Symmetry |pages=67&ndash;86 |publisher=World Scientific |location=Singapore&ndash;London |isbn=9789810206000 |chapter-url=https://books.google.com/books?id=-Tt37ajV5ZgC&pg=PA67|洋書 |ref=harv}}.
* {{Cite magazine|last=Penrose|first=Roger|author-link=ロジャー・ペンローズ|year=1978|date=1978-04|title=Pentaplexity|url=https://www.archim.org.uk/eureka/archive/Eureka-39.pdf|journal=Eureka|volume=39|pages=16-22|ref=harv|magazine=[[Eureka (University of Cambridge magazine)|Eureka]]}}（ここで引用したページ番号は以下の複製物による：{{Cite journal|last=Penrose|author=Penrose|first=R.|year=1979–80|title=Pentaplexity: A class of non-periodic tilings of the plane|journal=The Mathematical Intelligencer|volume=2|pages=32&ndash;37|ref=Penrose1979|doi=10.1007/BF03024384}}.)
* {{Cite journal|last=Radin|first=Charles|date=April 1996|title=Book Review: Quasicrystals and geometry|url=https://www.ams.org/publications/journals/notices/199604/radin.pdf|journal=[[Notices of the American Mathematical Society]]|volume=43|issue=4|pages=416–421|ref=harv}}
* {{Cite book |title=Quasicrystals and geometry |first=Marjorie |last=Senechal |publisher=Cambridge University Press |year=1996 |isbn=978-0-521-57541-6|洋書 |ref=harv}}.
* {{Cite journal|last=Steinhardt|first=Paul J.|last2=Jeong|first2=Hyeong-Chai|year=1996|title=A simpler approach to Penrose tiling with implications for quasicrystal formation|journal=Nature|volume=382|issue=1 August|pages=431&ndash;433|ref=harv|bibcode=1996Natur.382..431S|doi=10.1038/382431a0}}.
* {{Cite journal|last=Zaslavskiĭ|first=G.M.|last2=Sagdeev|first2=Roal'd Z.|last3=Usikov|first3=D.A.|last4=Chernikov|first4=A.A.|year=1988|title=Minimal chaos, stochastic web and structures of quasicrystal symmetry|journal=Soviet Physics Uspekhi|volume=31|issue=10|pages=887&ndash;915|ref=harv|bibcode=1988SvPhU..31..887Z|doi=10.1070/PU1988v031n10ABEH005632}}.
*{{Cite book|和書|author=谷岡一郎|authorlink=谷岡一郎|year=2010|month=6|title=エッシャーとペンローズ・タイル|series=PHPサイエンス・ワールド新書 022|publisher=PHP研究所|isbn=978-4-569-79062-6}}
*{{Cite book|和書|author=Martin Gardner|authorlink=マーチン・ガードナー|others=[[一松信]]訳|year=1992|month=7|title=ペンローズ・タイルと数学パズル|publisher=丸善|isbn=4-621-03731-5}}

== 関連項目 ==
*[[平面充填]]
*[[菱形]]
*[[等面菱形多面体]]
*[[準結晶]]
*[[タイル張り]]
*[[アインシュタイン・タイル]]
*{{Commons&cat-inline|Penrose tiling|Penrose tilings}}

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[[カテゴリ:タイル]]
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