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[[ファイル:Phosphine oxide.svg|right|thumb|ホスフィンオキシドの一般式。]] '''ホスフィンオキシド''' ({{lang-en-short|phosphine oxide}}) は、[[化学式]]が Cl<sub>3</sub>P=O で表される[[塩化ホスホリル]]のような無機リン化合物や、POR<sub>3</sub>(R = [[アルキル基]]、[[アリール基]])で表される[[有機リン化合物]]である。有機ホスフィンオキシドはもっとも安定な有機リン化合物であると考えられ、[[トリフェニルホスフィンオキシド]]や[[トリメチルホスフィンオキシド]]は450 {{℃}}以上でのみ分解する<ref>D. E. C. Corbridge "Phosphorus: An Outline of its Chemistry, Biochemistry, and Technology" 5th Edition Elsevier: Amsterdam 1995. ISBN 0-444-89307-5.</ref>。 == 結合 == [[ファイル:Phosphoryl-halide-structure.svg|right|thumb|300px|ホスフィンオキシドの供与結合。]] ホスフィンオキシドの[[リン]]と[[酸素]]の「[[二重結合]]」の性質には、長い間論争があった。5価のリンは[[オクテット則]]を満たさないが、[[五フッ化リン]]や[[リン酸]]のように、リンがいずれにしろこれを満たさないことは知られている。現在[[アミンオキシド]]を表すのに使われているように、以前は P=O 結合は[[配位結合]]として表されてきた。この結合へのリンの[[d軌道]]の関与は[[計算化学]]によって否定されている。他の理論は[[イオン結合]]による解釈 X<sub>3</sub>P<sup>+</sup>-O<sup>-</sup> を支持し、これは P=O 結合の[[結合長]]の短さを説明する。[[分子軌道法]]では、短い結合長は酸素の[[孤立電子対]]が X-P [[反結合性軌道]] σ<sup>*</sup> に供与されていることに起因するとした。この[[非経験的分子軌道法|非経験的]] (''[[ab initio]]'') 計算で支持されている提案は、化学界で意見の一致を得ている<ref>{{cite journal | title = The Electron Localization Function (ELF) Description of the PO Bond in Phosphine Oxide | author = Chesnut, D. B.; Savin, A. | journal = [[J. Am. Chem. Soc.]] | year = 1999 | volume = 121 | issue = 10 | pages = 2335–2336 | doi = 10.1021/ja984314m }}</ref><ref>G. L. Miessler and D. A. Tarr “Inorganic Chemistry” 3rd Ed, Pearson/Prentice Hall publisher, ISBN 0-13-035471-6.</ref>。 == 合成 == ホスフィンオキシドの大部分は、[[ウィッティヒ反応]]の副産物として得られる。 : <chem>{R3PCR'2} + R''2CO -> {R3PO} + R'2C=CR''2</chem> もう一つの一般的な合成ルートは、[[水酸化ホスホニウム]]の[[熱分解]]である。実験室では、しばしば偶然に3価[[ホスフィン]]の酸化によって発生する。 : <chem>{R3P} + 1/2 O2 -> R3PO</chem> == 利用 == ホスフィンオキシドは[[ウィッティヒ反応]]の副産物として得られる。類似の反応でこれら自身を使うことができる。[[メトキシメチル(ジフェニル)ホスフィンオキシド]]を使って、2段階で[[ベンズアルデヒド]]を[[β-メトキシスチレン|''β''-メトキシスチレン]]に変換する。第1段階で、ホスフィンオキシドは[[テトラヒドロフラン|THF]]または[[ジエチルエーテル]]中の[[リチウムジイソプロピルアミド]]によって−90 {{℃}}で[[脱プロトン化]]され、それからアルデヒドを加える。後処理した後、付加体が遊離する。[[カリウム tert-ブトキシド|カリウム ''tert''-ブトキシド]]によって、付加体は室温でスチレンに変化する。付加物は[[光学異性体]]や[[メソ体]]の混合物として存在し、最終的なスチレンは純粋な''E''体または''Z''体として得られる<ref>T.A.M. van Schaik ''et al.'', published in 1982 or 1983 in the "recueil des travaux chimique des Pays Bas" (own work)</ref>。 == 出典 == {{Reflist}} {{DEFAULTSORT:ほすふいんおきしと}} [[Category:官能基]] [[Category:有機ホスフィンオキシド|*]] [[Category:ホスフィンオキシド|*]]
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