ホワイトノイズのソースを表示

{{otheruses|確率過程|イングランドのバンド|ホワイト・ノイズ (バンド)|映画|ホワイト・ノイズ (映画)|8=[[Official髭男dism]]の楽曲|9=ホワイトノイズ (Official髭男dismの曲)}}
{{出典の明記|date=2017年12月}}
{{Expand English|White noise|date=2024年5月}}
{{カラードノイズ}}
[[Image:White noise.png|thumb|300px|right|'''ホワイトノイズの例''']]
'''ホワイトノイズ'''（{{lang-en-short|white noise}}）は平均 <math>0</math>・分散 <math>\sigma^{2}</math> で互いに無相関な[[確率変数]]列からなる[[確率過程]]である<ref name=":0">"平均 0，分散 σ<sup>2</sup> で互いに無相関な確率変数列からなる確率過程をホワイトノイズ WN(0, σ<sup>2</sup>) と呼ぶ" {{Harv|小池|2018|p=5}}</ref>。広義にはそのような確率過程の[[標本 (統計学)|標本]]である。[[音響学]]では{{読み仮名|'''白色雑音'''|はくしょくざつおん}}とも<ref group="注釈">「ノイズ」という語は音以外のあらゆる信号類に混入する非信号成分を指して使われるため、文脈を見ずに機械的に訳すと誤訳を招く。</ref>。

== 概要 ==
ホワイトノイズは平均 <math>0</math>・分散 <math>\sigma^{2}</math> で互いに無相関な[[確率変数]]列からなる[[確率過程]]である<ref name=":0" />（⇒ [[#定義]]）。広義にはその[[標本 (統計学)|標本]]つまり実現値もホワイトノイズと呼ぶ（⇒ [[#標本としてのホワイトノイズ]]）。[[可視光線]]の[[色]]と[[周波数スペクトル]]の関係になぞらって「ホワイト」[[ノイズ]]と呼ばれ（⇒ [[#名称]]）、平坦な周波数スペクトルを特徴とする<ref group="注釈">理論上、直流から無限大Hzまで全て含む、といったような連続的な信号は存在し得ない（ステップ信号のような一過的現象では異なる）ので、実際の所、可聴周波数域とか可視領域などを対象として議論することになる。</ref>（⇒ [[#特徴]]）。特別なホワイトノイズとしてホワイトガウスノイズがある（⇒ [[#ホワイトガウスノイズ]]）。

== 定義 ==
以下では[[実数]]のホワイトノイズを定義する（[[複素数]]に対しても定義可能<ref group="注釈">相関演算の定義に複素共役の演算が入るため定義がやや変化する</ref>）。

=== 連続での定義 ===
以下の2つの条件を満たす連続時間[[確率過程]] <math>w(t)</math> はホワイトノイズと定義される：

* <math>\mu = E[w(t)] = 0</math>
* <math>R(t_{1}, t_{2}) = E[w(t_{1}) w(t_{2})] = \sigma^{2}\delta(t_{1} - t_{2})</math>

ただし、''&sigma;''{{sup|2}} は '''w''' の[[分散 (確率論)|分散]]で、''&delta;'' は[[ディラックのデルタ関数]]である。1つ目の式は平均ゼロを表している。そして2つ目の式は[[自己相関]]は ''&sigma;''{{sup|2}} であり[[相互相関]]はゼロであることを表している。

=== 離散での定義 ===
以下の2つの条件を満たす離散時間[[確率過程]] <math>\boldsymbol{w}</math> はホワイトノイズと定義される：

* <math>\mu = E[\boldsymbol{w}] = 0</math>
* <math>\boldsymbol{R} = E[\boldsymbol{w} \boldsymbol{w}^{T}] = \sigma^{2}\boldsymbol{I}</math>

ただし<sup>T</sup>は転置を、'''I'''は[[単位行列]]である。1つ目の式は平均ゼロを表している。2つ目の式は相互相関行列が、対角成分が&sigma;&sup2;でそれ以外はゼロということを表している。

== 名称 ==
ホワイトノイズの「ホワイト」とは、可視領域の広い範囲の周波数成分をまんべんなく含んだ光が白色であることから来ている形容である<ref group="注釈">人間の視覚の特性上、RGBがあればそれぞれに集中していても白く見せることはできるので、逆は真ではない。</ref>。[[カラードノイズ]]と対比される。

== 特徴 ==

=== 平坦なスペクトル ===
[[Image:White noise spectrum.png|thumb|ホワイトノイズ標本のパワースペクトル]]
ホワイトノイズは全ての[[周波数]]で同一の強度をもつ。

これは[[ウィーナー＝ヒンチンの定理|Wiener-Khintchineの定理]]から、[[自己相関]]関数が[[ディラックのデルタ関数|デルタ関数]]となることと同じである。統計学の言葉で言うと、定常独立であることを意味していて、簡単にいえば非常に不規則なノイズということである。

自己相関を[[フーリエ変換]]するとホワイトノイズの[[スペクトル密度|パワースペクトル]]が得られる：
* <math>|W(\omega)|^{2} = \sigma^{2}</math>
パワースペクトルの値は&omega;に依存しないので、全ての周波数で一定の値になっている。

== 標本としてのホワイトノイズ ==
広義には、平均 <math>0</math>・分散 <math>\sigma^{2}</math> で互いに無相関な[[確率変数]]列の[[標本 (統計学)|標本]]をホワイトノイズと呼ぶ。

（狭義の）ホワイトノイズは[[確率過程]]である。広義には、この確率過程の標本（実現値）もホワイトノイズと呼ぶ（以下、ホワイトノイズ標本）。ホワイトノイズ標本は値の平均が0に近い傾向がある（ランダムサンプルなので一般には0にはならない）。また周波数スペクトルが平坦な傾向を持つ（ランダムサンプルなので一般には完全フラットにならない）。

=== 生成 ===
典型的には、平均が 0 で分散が有限値な任意の[[独立同分布]]をもってホワイトノイズとする<ref>"平均 0 で有限の分散を持つ同一の分布に従う独立な確率変数列がホワイトノイズの典型的な例" {{Harv|小池|2018|p=5}}</ref>。つまり[[正規分布]]や[[一様分布]]を1つ選んでそこから独立にサンプルを取り出して列をなすことでホワイトノイズ標本が生成される。

実際上は[[乱数列#正規分布（正規乱数）|正規乱数]]をホワイトノイズとして利用する。なおこのときガウス性も満たすので、[[ホワイトノイズ#ホワイトガウスノイズ|ホワイトガウスノイズ]]となる。

=== 聞こえ方 ===
{{Listen|filename=White_noise.ogg|title=ホワイトノイズの音|description=|format=[[Ogg]]}}

[[音]]としてのホワイトノイズ（白色雑音）標本は「シャー」と聞こえる。

== ホワイトガウスノイズ ==
ホワイトノイズならば[[ガウス雑音|ガウスノイズ]]（[[正規分布]]のノイズ）であるとしばしば誤解されるが、白色という概念とガウス性という概念は異なるものである。しかし、系のモデルで白色とガウス性の2つを同時に仮定することは多い。ホワイトガウスノイズ（白色ガウス雑音）は実世界のノイズとしてよい近似であるからである（[[中心極限定理]]）。これらのモデルは加法性ホワイトガウスノイズ (AWGN、additive white Gaussian noise) と呼ばれる。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}

=== 出典 ===
{{Reflist}}

== 参考文献 ==

* {{Citation|和書|title=UTokyo Online Education 統計データ解析Ⅱ|last=小池|first=祐太|date=2018-07-05|year=2018|publisher=東京大学|chapter=統計データ解析 (II) 第 12 回|pages=1-17|url=https://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_files/11481/sp161/notes/ja/%E8%AC%9B%E7%BE%A9%E8%B3%87%E6%96%9912.pdf}}

== 関連項目 ==
* [[独立成分分析]]
* [[カラードノイズ|有色雑音]]

== 外部リンク ==
* [http://simplynoise.com/ SimplyNoise.com] {{en icon}}{{リンク切れ|date=2021年6月}}
* [http://whitenoisemagic.com/ whitenoisemagic.com] {{en icon}} {{リンク切れ|date=2021年6月}}

{{DEFAULTSORT:ほわいとのいす}}
[[Category:ノイズ]]
[[category:信号処理]]
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