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[[File:Borophene.png|thumb|ボロフェンのB<sub>36</sub>クラスター]] '''ボロフェン'''とは、[[ホウ素の同素体]]として提唱されている物質であり、平面構造を取る[[グラフェン]]に類似した物質であるとされる<ref name=k1401>{{cite web|url=http://www.kurzweilai.net/will-borophene-replace-graphene-as-a-better-conductor-of-electrons|title=Will ‘borophene’ replace graphene as a better conductor of electrons?|publisher=KurzweilAI|accessdate=2014-03-10}}</ref>。これまでは[[計算化学]]などによって予想された理論上の存在であったが、2014年に[[ブラウン大学]]のLai-Sheng Wang([[:zh:王来生|王来生]])らによってボロフェンの単位クラスターの存在を示唆する実験的な証拠が確認されている<ref>{{cite Journal|author=Lai-Sheng Wang et al.|title=Planar hexagonal B<sub>36</sub> as a potential basis for extended single-atom layer boron sheets|year=2014|journal=NATURE COMMUNICATIONS|volume=5|doi=10.1038/ncomms4113}}</ref>。 == 理論 == ホウ素は炭素よりも電子がひとつ少ないため、安定した平面構造であるグラフェンにおける[[ハニカム構造]]のような構造を形成することはできない。しかしながら、三角形のホウ素格子を並べたユニットの中央に六角形の空孔が存在することで、ホウ素によって形成された平面状のクラスターを安定的に存在させることが可能であることが理論計算によって予想されており、その単位クラスターとして36個のホウ素原子によって形成される準平面構造が想定されている。[[半金属 (バンド理論)|半金属]]としての性質を有しているグラフェンとは対照的に、ボロフェンの性質は金属的であると予想されている。また、ホウ素-ホウ素結合は[[炭素-炭素結合]]よりも強いことから、ボロフェンはグラフェンよりも機械的に強靭であると予想されている<ref name=brown>{{Cite web|title=New boron nanomaterial may be possible|url=http://news.brown.edu/pressreleases/2014/01/borophene|publisher=ブラウン大学|accessdate=2014-03-10}}</ref>。 == 歴史 == 2014年、[[ブラウン大学]]のLai-Sheng Wangらによってボロフェンの存在を示唆する論文が発表された。実験的に作成されたB<sub>36</sub>クラスターを[[光電子分光]]によって測定したスペクトルは理論計算によって予想されたスペクトルと一致しており、B<sub>36</sub>クラスターの中央に六角形の空孔が存在している対称性を有した構造を有していることが実験的に確認された<ref name=brown/>。<br> 2015年、米国[[アルゴンヌ国立研究所]]のA.Mannixらによってボロフェンの合成に成功したことが報告された。この報告では真空中で固体ボロフェンを電子ビーム照射によって蒸発させ、高温下で銀の表面に堆積させることによってホウ素のみから成る原子層物質が形成された。その結果、ボロフェンは電気を通す金属的な性質を持つことが明らかになった。<ref>[http://science.sciencemag.org/content/350/6267/1513 Synthesis of borophenes: Anisotropic, two-dimensional boron polymorphs. Science 18 Dec 2015:Vol.350, Issue6267, pp.1513-1516]</ref><br> その一方、2010年、これらの研究に先行して二ホウ化ジルコニウム(0001)表面上に同様の構造単位(Bハニカムの他、Bハニカムの中央上方にさらにB原子が1つ存在)をもつ2次元ホウ素物質の存在が、日本の国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)のグループによって、実験データ<ref>[https://doi.org/10.1088/0953-8984/20/26/265006 Surface phonon dispersion of ZrB2(0001) <math>\sqrt{3} \times \sqrt{3}</math>-B Journal of Physics : Condensed matter 20 265006 (2008)]</ref>の理論計算解析により明らかにされていた(2010年発見当初はボラフェン(Boraphene)と表現されたが、現在ではボロフェン(Borophene)としてカテゴライズされると思われる)。<ref>[http://journals.aps.org/prb/abstract/10.1103/PhysRevB.81.085423 Graphenelike surface boron layer: Structural phases on transition-metal diborides (0001) Physical Review B 81, 085423 (2010)]</ref> == 出典 == {{reflist}} {{DEFAULTSORT:ほろふえん}} [[Category:ホウ素]] [[Category:同素体]] [[Category:仮説上の化合物]]
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