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ポアソン核
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[[数学]]の[[ポテンシャル論]]における'''ポアソン核'''(ポアソンかく、{{Lang-en-short|Poisson kernel}})とは、[[単位円板]]上の[[ディリクレ境界条件]]を伴う二次元[[ラプラス方程式]]を解く際に用いられるある[[積分核]]のことを言う。ラプラス方程式に対する[[グリーン函数]]の[[微分]]として解釈することが出来る。[[シメオン・ドニ・ポアソン]]の名にちなむ。 ポアソン核は[[制御理論]]や、[[静電気学]]の二次元問題への応用において広く用いられている。実際、ポアソン核の定義は ''n''-次元問題まで拡張されることもしばしばある。 == 二次元ポアソン核 == === 単位円板上のポアソン核 === 複素平面において、単位円板に対するポアソン核は次で与えられる。 :<math>P_r(\theta) = \sum_{n=-\infty}^\infty r^{|n|}e^{in\theta} = \frac{1-r^2}{1-2r\cos\theta +r^2} = \operatorname{Re}\left(\frac{1+re^{i\theta}}{1-re^{i\theta}}\right), \ \ \ 0 \le r < 1.</math> これには二つの解釈が存在する。一つは ''r'' と ''θ'' の函数という解釈、もう一つは ''r'' によって添え字付けられた ''θ'' の函数の族という解釈である。 <math>D = \{z:|z|<1\}</math> が '''C''' 内の開[[単位円板]]で、'''T''' はその円板の境界、''f'' は ''L''<sup>1</sup>('''T''') に属する '''T''' 上の函数とする。このとき、次の式 :<math>u(re^{i\theta}) = \frac{1}{2\pi}\int_{-\pi}^\pi P_r(\theta-t)f(e^{it}) \, \mathrm{d}t, \ \ \ 0 \le r < 1 </math> で与えられる函数 ''u'' は、'''D''' 内で調和的であり、円板の境界 '''T''' 上の[[ほとんど (数学)|ほとんど至る所]]で ''f'' と一致する極限を持つ。 ''u'' の境界での値が ''f'' であるということは、''r'' → 1 につれて函数 ''P''<sub>''r''</sub>(''θ'') が畳み込み多元環 ''L''<sup>p</sup>('''T''') 内の{{仮リンク|近似的単位元|en|approximate identity}}を形成するという事実より示される。線型作用素と同様に、それらは ''L<sup>p</sup>''('''T''') 上で[[ディラックのデルタ関数|ディラックのデルタ函数]]に各点収束する。[[最大値原理]]より、''u'' はそのような ''D'' 上の調和函数として唯一つのものである。 この近似的単位元との畳み込みは、''L''<sup>1</sup>('''T''') 内の函数のフーリエ級数に対する{{仮リンク|総和可能核|en|summability kernel}}の例を与える{{harv|Katznelson|1976}}。''f'' ∈ ''L''<sup>1</sup>('''T''') はフーリエ級数 {''f<sub>k</sub>''} を持つとする。フーリエ変換ののち、''P''<sub>''r''</sub>(''θ'') との畳み込みは列 {''r<sup>|k|</sup>''} ∈ ''l''<sup>1</sup>('''Z''') との乗算になる。その結果得られる積 {''r<sup>|k|</sup>f<sub>k</sub>''} に逆フーリエ変換を施すことで、次のような ''f'' の[[アーベル総和法#フーリエ級数の収束|アーベル平均]]<math>A_r f</math>が得られる: :<math> A_r f(e^{2 \pi i x}) = \sum _{k \in \mathbf{Z}} f_k r^{|k|} e^{2 \pi i k x}.</math> この絶対収束級数を再び整理することで、''f'' は ''D'' 上のある正則函数 ''g'' と反正則函数 ''h'' の和 ''g'' + ''h'' の境界値であることが示される。 調和函数が[[正則函数|正則]]であるためには、解は[[ハーディ空間]]の元であることとなる。これは ''f'' の負のフーリエ係数がすべて消失する場合に真となる。特に、ポアソン核は単位円板上のハーディ空間と単位円の同値性を論証する上で一般に用いられる。 ''H<sup>p</sup>''(''z'') 内の函数の T 上の極限であるような函数の空間は、''H<sup>p</sup>''('''T''') と呼ばれることがある。これは(少なくとも ''p''≥1 に対して)''L<sup>p</sup>''('''T''') の閉部分空間である。''L<sup>p</sup>''('''T''') は(1 ≤ ''p'' ≤ ∞ に対して)[[バナッハ空間]]であるため、''H<sup>p</sup>''('''T''') もまたバナッハ空間である。 === 上半平面でのポアソン核 === [[単位円板]]は、[[メビウス変換]]の意味で[[上半平面]]への[[等角写像]]によって写される。調和函数の等角写像はまた調和的であるため、ポアソン核は上半平面全体へ拡張される。この場合、<math>y>0</math> に対するポアソン積分方程式は次の形を取る: :<math>u(x+iy)=\frac{1}{\pi}\int_{-\infty}^\infty P_y(x-t)f(t) dt. </math> この核それ自身は次で与えられる。 :<math>P_y(x)=\frac {y}{x^2 + y^2}.</math> 実数直線上の可積分函数からなる[[Lp空間]]内のある函数 <math>f\in L^p(\mathbb{R})</math> が与えられたとき、''u'' は ''f'' の上半平面への調和拡張と解釈される。単位円板の場合と同様に、''u'' が上半平面において正則であるなら、''u'' はハーディ空間 <math>u\in H^p</math> の元で、特に :<math>\|u\|_{H^p}=\|f\|_{L^p}</math> が成立する。したがって、上半平面上のハーディ空間 ''H''<sup>p</sup> はふたたび[[バナッハ空間]]となり、特にその実軸への制限は <math>L^p(\mathbb {R})</math> の閉部分空間となる。この状況は単位円板の場合に類似しているが、同じというわけではない。単位円に対する[[ルベーグ測度]]は有限であるが、実数直線に対するルベーグ測度は有限ではない。 == 球上のポアソン核 == '''R'''<sup>n</sup> 内の半径 r の球 <math>B_{r}</math> に対するポアソン核は、次の形状を取る。 :<math>P(x,\zeta) = \frac{r^2-|x|^2}{r\omega _{n-1}|x-\zeta|^n}. </math> ここで <math>x\in B_{r}</math> であり、<math>B_{r}</math> の表面 <math>S</math> に対して <math>\zeta\in S</math> であり、<math>\omega _{n-1}</math> は[[単位球面|単位 n-1-球面の表面積]]である。 このとき、''u''(''x'') を ''S'' 上で定義されるある連続函数とすると、対応するポアソン積分は次のような函数 ''P''[''u''](''x'') で定義される。 :<math>P[u](x) = \int_S u(\zeta)P(x,\zeta)d\sigma(\zeta).\,</math> ''P''[''u''](''x'') は球 <math>B_{r}</math> 上で調和的であり、''P''[''u''](''x'') は半径 ''r'' の閉球上のある連続函数へと拡張され、境界の函数は元の函数 ''u'' に一致することが示される。 == 上半平面上のポアソン核 == [[上半平面]]でのポアソン核の表現を得ることも出来る。標準的な '''R'''<sup>''n''+1</sup> のデカルト座標を :<math>(t,x) = (t,x_1,\dots,x_n) </math> で表す。上半平面は、次の集合で定義される。 :<math>H^{n+1} = \{ (t;\mathbf{x}) \in\mathbf{R}^{n+1} \mid t>0\}.</math> ''H''<sup>''n''+1</sup> に対するポアソン核は、次で与えられる。 :<math>P(t,x) = c_n\frac{t}{(t^2+|x|^2)^{(n+1)/2}}.</math> ただし :<math>c_n = \frac{\Gamma[(n+1)/2]}{\pi^{(n+1)/2}}</math> である。 上半平面に対するポアソン核は、''t'' が補助パラメータの役割を果たすアーベル核 :<math>K(t,\xi) = e^{-2\pi t|\xi|}</math> の[[フーリエ変換]]として現れる。すなわち :<math>P(t,x) = \mathcal{F}(K(t,\cdot))(x) = \int_{\mathbf{R}^n} e^{-2\pi t|\xi|} e^{-2\pi i \xi\cdot x}\,d\xi </math> となる。特にフーリエ変換の性質より、畳み込み :<math>P[u](t,x) = [P(t,\cdot)*u](x)</math> は、少なくとも形式的には、上半平面におけるラプラス方程式の解となる。''t'' → 0 に対して、弱い意味で ''P''[''u''](''t'',''x'') → ''u''(''x'') となることも示すことが出来る。 == 関連項目 == * [[シュワルツの積分公式]] == 参考文献 == *{{citation |first=Yitzhak |last=Katznelson |authorlink=:en:Yitzhak Katznelson |title=An introduction to Harmonic Analysis |year=1976 |publisher=Dover |isbn=0-486-63331-4}} *{{citation | first = John B. |last=Conway | title = Functions of One Complex Variable I | publisher = Springer-Verlag | year = 1978 | isbn=0-387-90328-3 }}. *{{citation | first1 = S. |last1=Axler|first2=P.|last2=Bourdon|first3=W.|last3=Ramey | title = Harmonic Function Theory | publisher = Springer-Verlag | year = 1992 | isbn=0-387-95218-7 }}. *{{citation | first = Frederick W. |last = King | title = Hilbert Transforms Vol. I |publisher = Cambridge University Press | year = 2009 | isbn = 978-0-521-88762-5 }}. * {{citation|first1=Elias|last1=Stein|authorlink1=:en:Elias Stein|first2=Guido|last2=Weiss|title=Introduction to Fourier Analysis on Euclidean Spaces|publisher=Princeton University Press|year=1971|isbn=0-691-08078-X}}. * {{MathWorld | urlname=PoissonKernel | title=Poisson Kernel}} *{{citation|author1-link=:en:David Gilbarg|author2-link=:en:Neil Trudinger|first1=D.|last1=Gilbarg|first2=N.|last2=Trudinger|title=Elliptic Partial Differential Equations of Second Order|isbn=3-540-41160-7}}. {{DEFAULTSORT:ほあそんかく}} [[Category:フーリエ解析]] [[Category:調和解析]] [[Category:ポテンシャル論]] [[Category:シメオン・ドニ・ポアソン]] [[Category:数学に関する記事]]
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