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'''ポスト・ニュートン展開'''(ポスト・ニュートンてんかい)または'''ポスト・ニュートニアン展開''' ({{en|post‐Newtonian expansions}})・'''ポスト・ニュートン近似''' ({{en|post‐Newtonian approximation}}) は、[[一般相対性理論]]における[[近似]]の一つであり、弱い重力場を表現する場合に、[[アインシュタイン方程式]]をすべてのオーダーで解かずに、物質の速度 <math>v</math> の光速度 <math>c</math> に対する比 <math>\varepsilon \equiv (v/c)^2 \ll 1 </math> を展開パラメータとして、方程式・計量を展開する手法である<ref>Maggiore, p.236-237.</ref>。 例えば、太陽系では、重力ポテンシャルの大きさ <math>U</math> は、 <math>c=G=1</math> の単位系で、オーダー <math>O(10^{-5})</math> 程度であり、惑星の速さ <math>v</math> は[[ビリアル定理]]によって <math>v^2 \leq U </math> であるので、ポスト・ニュートン展開が十分良く適用できる。つまり、 ポスト・ニュートン近似された式を解くことによって、ほぼ正しい物理的描像が得られるので、一般相対性理論の式をきちんと解く必要がない。 近年、[[重力波 (相対論)|重力波]] 観測に絡んで、[[連星]][[中性子星]]系・[[連星]][[ブラックホール]]系の合体による重力波の波形やエネルギーを計算する手段として、精力的に計算が進められている。合体そのものの現象でなければ、高次のポスト・ニュートン展開で、ある程度の描像が得られるからである。重力波が放出されると、重力波自身が重力源となる輻射反作用力(radiation reaction)が発生する。この輻射反作用は、ポスト・ニュートン展開の2.5次から発生する。次数計算に、0.5という端数が登場するのは、上記のように、次数を <math>\varepsilon \equiv (v/c)^2 </math> で数えるからである。 高次の展開式は、非常に複雑になる。近年、[[アインシュタイン方程式]]をフルに数値計算することが可能になりつつあり、その際の計算結果の照合にも利用されるようになってきている。 より一般的に、太陽系などの弱い重力場での重力理論の検証のために、一般相対性理論だけではなく、他の重力理論の可能性も含めて計量を表現する[[PPN形式]] ({{en|parametrized post-Newtonian formalism}}) もある。 == 定式化 == 以下では Maggiore (2008) に従い、展開パラメータを重力源の速度 <math>v</math> と光速 <math>c</math> の比 <math>\epsilon := v / c</math> とし、<math>\mathcal{O} ( \epsilon^n )</math> の量を添え字 <math>(n)</math> により表す。また、物質場は非相対論的でありその[[エネルギー・運動量テンソル]] <math>T^{\mu \nu}</math> は <math>\left| T^{i j} / T^{0 0} \right| = \mathcal{O} ( \epsilon^2 )</math> を満たすものと仮定する。また光速 <math>c</math> を1とする単位系を採用する。 物質場が存在しない[[ミンコフスキー空間|ミンコフスキ時空]]では[[計量テンソル]] <math>g_{\mu \nu}</math> は <math>g_{0 0} = -1</math>, <math>g_{i j} = \delta_{i j}</math> と書けるため、ポスト・ニュートン展開ではこの計量に対する補正項を <math>\epsilon</math> のべき級数という形で求めることになる。[[重力波 (相対論)|重力波]]放射を無視する近似では、時間反転対称性のため例えば <math>g_{0 0}</math> には <math>\epsilon</math> の奇数次の項は現れないため、この展開を次のように表示することができる<ref>Maggiore, p.239.</ref>。 :<math>g_{0 0} = -1 + {}^{(2)} g_{0 0} + {}^{(4)} g_{0 0} + {}^{(6)} g_{0 0} + \cdots</math> :<math>g_{0 i} = {}^{(3)} g_{0 0} + {}^{(5)} g_{0 0} + \cdots</math> :<math>g_{i j} = \delta_{i j} + {}^{(2)} g_{0 0} + {}^{(4)} g_{0 0} + \cdots</math> 同様に、エネルギー・運動量テンソルは次の形に展開される。 :<math>T^{0 0} = {}^{(0)} T^{0 0} + {}^{(2)} T^{0 0} + \cdots</math> :<math>T^{0 i} = {}^{(1)} T^{0 0} + {}^{(3)} T^{0 0} + \cdots</math> :<math>T^{i j} = {}^{(2)} T^{0 0} + {}^{(4)} T^{0 0} + \cdots</math> === ニュートン極限 === [[アインシュタイン方程式]]に上記展開を代入し <math>\epsilon</math> のべきで整理すると、[[調和ゲージ]]条件(De Donderゲージとも呼ぶ) <math> \partial_\mu \left( \sqrt{ - g } g^{\mu \nu} \right) = 0</math> のもとで、時間成分の最低次の項からは <math>{}^{(2)} g_{0 0}</math> に関する方程式 :<math>\nabla^2 {}^{(2)} g_{0 0} = - 8 \pi G {}^{(0)} T^{0 0}</math> が導かれる<ref>Weinberg, p.212-218. Maggiore, p.242-243.</ref>。<math>T^{0 0}</math> は物質場のエネルギー密度であることから、この結果は計量の最低次の補正項 <math>{}^{(2)} g_{0 0}</math> はニュートン理論における[[重力ポテンシャル]] <math>\phi ( t, x ) = - G \int \frac{ {}^{(0)} T^{0 0} ( t, x' ) }{ | x - x' | } d^3 x'</math> と :<math>{}^{(2)} g_{0 0} = - 2 \phi</math> という関係にあることを示している。同様に、アインシュタイン方程式の空間成分から <math>{}^{(2)} g_{i j}</math> が :<math>{}^{(2)} g_{i j} = - 2 \phi \delta_{i j}</math> と表示できることが従う<ref name="#1">Maggiore, p.242-243.</ref>。 一方、アインシュタイン方程式の <math>(0, i)</math> 成分の最低次の項は :<math>\nabla^2 {}^{(3)} g_{0 i} = 16 \pi G {}^{(1)} T^{0 i}</math> という方程式であり、<math>{}^{(3)} g_{0 i}</math> はある種のベクトルポテンシャル :<math>{}^{(3)} g_{0 i} = \zeta_i , \ \ \zeta_i ( t, x ) = - 4 G \int \frac{ {}^{(1)} T^{0 i} ( t, x' ) }{ | x - x' | } d^3 x'</math> に等しいことが導かれる<ref name="#1"/>。なお <math>\phi</math> と <math>\zeta_i</math> は独立ではなく、ゲージ条件に対応する拘束条件 <math>\frac{ \partial \phi }{ \partial t } + \mathbf{\nabla} \cdot \mathbf{\zeta} = 0</math> を満足する<ref>Maggiore, p. 234, Eq (5.30).</ref> == 脚注 == {{Reflist}} == 参考文献 == * {{Cite book |last=Maggiore |first=Michele |year=2007 |title=Gravitational Waves: Theory and Experiments |publisher=Oxford University Press |isbn=978-0198570745 }} * {{Cite book |last=Weinberg |first=Steven |year=1972 |title=Gravitation and cosmology |publisher=Wiley |isbn=978-0471925675}} ==関連項目== *[[一般相対性理論]] | [[アインシュタイン方程式]] *[[重力波 (相対論)|重力波]] *[[ブラックホール]] *[[PPN形式]] {{physics-stub}} {{DEFAULTSORT:ほすとにゆうとんてんかい}} [[Category:天体物理学]] [[category:一般相対性理論]]
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