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{{出典の明記|date=2012年9月23日 (日) 13:10 (UTC)}} '''ポリトロープ'''({{lang-en|polytrope}})とは、[[宇宙物理学]]、[[流体力学]]および[[熱力学]]で用いられる、[[流体]]の状態に関する関係式である。分野により若干の意味の相違がある。 == 宇宙物理学におけるポリトロープ == [[宇宙物理学]]や[[流体力学]]において、'''ポリトロープ'''とは、[[圧力]]と[[密度]]がある関係式('''[[ポリトロピック]]な関係'''という)を満たし、力学平衡にある球対称な[[流体]]である。'''ポリトロープ流体'''、'''ポリトロープ球'''、'''ポリトロープガス球'''などとも呼ばれる。ポリトロープの内部構造は[[静水圧平衡]]や[[レーン=エムデン方程式]]を用いて記述される。 一般に、圧力''P'' と密度ρの間に、 : <math> P = K \rho^{1 + \frac{1}{n}} </math> の関係があるとき、この関係式を'''ポリトロピック'''と呼ぶ。ここで、''n'' はポリトロピック指数、''K'' は比例定数である。この条件に従う気体は実際にレーン=エムデン方程式に対するポリトロピックな解として現れるが、この関係式は[[状態方程式 (熱力学)|状態方程式]]と解釈される必要はない。むしろ、単純にρの変化に伴う''P'' の変化についての仮定を表す関係式である。 <!--「ポリトロープ」という用語は、[[熱力学]]における上記の関係式や熱力学過程を指して用いられることもあるが、この記事ではレーン・エムデン方程式の解に対応する密度分布を示す流体そのものを指す名称とする。--> ポリトロープ流体の状態方程式については、[[流体力学]]でよく知られる[[流体|完全流体]]を用いれば一般的に十分である。 === ポリトロピック指数による分類 === ポリトロープは様々な[[天体]]を記述する[[モデル (自然科学)|モデル]]として用いられる。ポリトロピック指数''n'' が大きくなるにつれて、流体の中心密度は高くなる。 *''n'' = 0.5~1のポリトロープ…[[中性子星]]。 *''n'' = 1.5のポリトロープ…[[赤色巨星]]の[[核 (天体)|核]]のような[[縮退星]]の核や[[白色矮星]]、[[褐色矮星]]、[[木星]]のような[[ガス惑星]]、[[地球型惑星]]。 *''n'' = 3のポリトロープ…[[太陽]]などの[[恒星]]。 *''n'' = 5のポリトロープ…半径が無限大になる。 *''n'' = ∞のポリトロープ…等温ガス球と呼ばれ、[[球状星団]]と同様の星同士が衝突する構造を持つ。 === ポリトロープの密度分布 === 以下の図はポリトロープの密度分布である。横軸はポリトロープの半径を1としたときの中心からの距離、縦軸は平均密度を1としたときの密度を表す。 <gallery widths="320px" heights="320px"> Image:Polytrope1.svg|''n'' = 1のポリトロープの密度分布。 Image:Polytrope1 5nn.svg|''n'' = 1.5のポリトロープの密度分布。 Image:Polytrope3n.svg|''n'' = 3のポリトロープの密度分布。 </gallery> == 熱力学におけるポリトロープ == [[熱力学]]において'''ポリトロープ過程'''<ref>{{Cite book|和書|author = 佐藤俊|coauthors= 国友孟|title = 熱力学|year = 1984|publisher = 丸善|isbn = 4-621-02917-7|page = 32}}</ref>とは、[[気体]]の[[準静的過程]]の一種である。摩擦、放熱などの若干の損失をともなう装置における準[[断熱過程]]の近似として用いられる。'''ポリトロープ指数'''を''n'' とし、以下の気体(ここでは[[理想気体]]とする)の圧力''P'' 、密度ρ、温度''T'' の間の関係式で表される: :<math>P/\rho^n = \text{const.}</math> :<math>T/\rho^{n-1} = \text{const.}</math> ポリトロープ過程(1→2)の間に気体に加えられる熱量''q'' は :<math>q = \frac{n-\kappa}{n-1}c_\mathrm{v}(T_2-T_1)</math> で与えられる。ここで''c''{{sub|v}}は[[定積比熱]]、κは[[比熱比]]である。この式から、 :<math>c_\mathrm{n} = \frac{n-\kappa}{n-1}c_\mathrm{v}</math> を'''ポリトロープ比熱'''と呼ぶことがある。 以下のより基本的な過程はポリトロープ過程の特別の場合に帰着される: * [[定圧過程]]:''n'' = 0 * [[等温過程]]:''n'' = 1 * 可逆[[断熱過程]]:''n'' = κ * [[定積過程]]:''n'' = ∞ == 脚注 == <references/> == 参考文献 == * Chandrasekhar, S. [ 1939 ] ( 1958 ). ''An Introduction to the Study of Stellar Structure'', New York : Dover. ISBN 0-486-60413-6 * Hansen, C.J., Kawaler S.D. & Trimble V. ( 2004 ). ''Stellar Interiors - Physical Principles, Structure, and Evolution'', New York : Springer. ISBN 0-387-20089-4 * Horedt, G.P. ( 2004 ). ''Polytropes. Applications in Astrophysics and Related Fields'', Dordrecht : Kluwer. ISBN 1-4020-2350-2 == 関連項目 == * [[順圧]] <!--== 外部リンク ==--> {{DEFAULTSORT:ほりとろおふ}} [[Category:天文学に関する記事]] [[Category:流体力学]] [[Category:熱力学行程]]
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