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{{参照方法|date=2019年4月}} [[Image:Polarography workplace.jpg|thumb|240px|ポーラログラフィー用の装置]] '''ポーラログラフィー''' (polarography) は、[[電気化学]]における測定法のひとつ。[[ボルタンメトリー]]として最初に考案された方法で、作用[[電極]]として滴下水銀電極を用い、直線的に電極[[電位]]を掃引して応答[[電流]]を測定する<ref>[http://goldbook.iupac.org/P04716.html IUPAC Gold Book - polarography]</ref>。 [[ヤロスラフ・ヘイロフスキー]]らによって考案・発展され、ヘイロフスキーはこの業績によって[[1959年]]の[[ノーベル化学賞]]を受賞した。歴史的に重要な手法であるが、取扱いが面倒な[[水銀]]を使用すること、他にすぐれた固体電極や測定法が開発されたことなどにより、今日ではあまり使用されない。 == 装置構成 == ポーラログラフィーは、他の多くの電気化学測定法と同様に3極式の[[電気化学セル]]で行う。作用極に[[滴下水銀電極]]を用いることが特徴である。 滴下水銀電極は、水銀溜めからコックとチューブを介してガラス[[キャピラリー]]を接続したもので、キャピラリー先端から水銀が滴下するようになっている。コックで水銀が数秒に一滴の割合で滴下するように調整する。キャピラリーの先端を電解液に浸し、水銀溜めに[[ポテンシオスタット]]から電位を印加すれば、キャピラリー先端の水銀滴が作用電極として作用する。滴下した水銀は電気化学セル下部に設置した受皿に溜める。 == ポーラログラム == ポーラログラフィーの結果として得られる電位-電流曲線を'''ポーラログラム''' (polarogram) という。他の電気化学測定法とは異なり、ポーラログラフィーでは作用電極である水銀滴の表面積が時間と共に変化するため、ポーラログラムは電極反応と電極表面積変化を反映したものとなり、水銀滴成長時の電流増加と滴下時の急激な電流減少が規則的にあらわれる。ただし、一般的なポーラログラフィーでは電位をゆっくりと掃引するため、電極表面積変化に由来する数秒レベルでの規則的な電流変動は深刻な問題とはならない。 電極表面積の変動を無視すれば、ポーラログラムの形状は[[ノーマルパルスボルタンメトリー]]の結果と類似した形状となる。測定対象がCd<sup>2+</sup>などの金属イオンであれば、還元電位より大きく正の電位では電流値はほぼゼロ、酸化還元電位前後で電流が増加しはじめ、最終的に次の'''イルコビッチの式''' (Ilkovic) であらわされる[[限界電流]]値に達する。 :<math> I_d(t) = -708 n \sqrt{D_o} C_o^* m^\frac{2}{3} t^\frac{1}{6}</math> ''I''<sub>d</sub> は電流値 (A) 、''n'' は反応にかかわる[[電子]]数、''D''<sub>o</sub> は[[拡散係数]] (cm<sup>2</sup>·s<sup>−1</sup>)、''C''<sub>o</sub> は[[基質]][[濃度]] (mol·cm<sup>−3</sup>)、''m'' は水銀の流出速度 (mg·s<sup>−1</sup>) 、''t'' は[[時間]] (s) である。イルコビッチの式は、[[コットレルの式]]を滴下水銀電極に由来する表面積変化と拡散層の減少を考慮して修正したものである。 == 特徴 == ポーラログラフィーでは、滴下水銀電極を用いるために、電極反応は常に新しい表面で進行する。このため、固体電極でしばしば生じる電極表面への[[吸着]]等の影響を避けることができる。 また、水銀は白金等に比べて大きな水素発生[[過電圧]]をもつため、負電位側の[[電位窓]]が広い。ただし、水銀に他の金属が混入して[[アマルガム]]になると性能が劣化するため、扱いには注意を要する。 == 脚注 == <references /> == 参考文献 == {{Commonscat|Polarography}} * Sawyer 他著、藤嶋 他訳 『電気化学測定法の基礎』 丸善、2003年。 * 大堺・桑畑・加納 著 『ベーシック電気化学』 化学同人、2000年。 {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:ほらろくらふい}} [[Category:電気分析法]] [[Category:水銀]]
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