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{{Infobox scientist |name = Paul Flory<br />ポール・フローリー |image = Paul Flory 1973.jpg |image_size = 200px |birth_name = Paul John Flory | birth_date = {{Birth date|1910|6|19|mf=y}} | birth_place = {{USA}} [[イリノイ州]][[ホワイトサイド郡 (イリノイ州)|ホワイトサイド郡]] | death_date = {{Death date and age|1985|9|9|1910|6|19|mf=y}} | death_place = {{USA}} [[カリフォルニア州]][[ビッグサー]] | nationality = {{USA}} | field = [[物理化学]]<br>[[高分子化学]]<br>[[高分子物理学]] | work_institution = [[デュポン]]<br />[[スタンフォード大学]]<br />[[カーネギーメロン大学]]<br />[[コーネル大学]] | alma_mater = [[オハイオ州立大学]] | doctoral_advisor = | known_for =[[フローリー・ハギンズ理論]] | prizes = [[ノーベル化学賞]](1974)<br>[[プリーストリー賞]](1974)<br>[[アメリカ国家科学賞]](1974) }} {{thumbnail:begin}} {{thumbnail:ノーベル賞受賞者|1974年|ノーベル化学賞|高分子化学の理論、実験両面にわたる基礎研究}} {{thumbnail:end}} '''ポール・ジョン・フローリー'''(Paul John Flory, [[1910年]][[6月19日]] - [[1985年]][[9月9日]])は、[[アメリカ合衆国]]の[[化学者]]で、[[ポリマー]]や[[高分子化合物]]に関する膨大な研究によって知られている。溶液中の高分子の挙動の研究に関する草分けである。1974年に高分子化学の理論、実験両面にわたる基礎研究によって[[ノーベル化学賞]]を受賞した。 ==伝記== ===初期=== [[イリノイ州]][[ホワイトサイド郡 (イリノイ州)|ホワイトサイド郡]]{{仮リンク|スターリング (イリノイ州)|en|Sterling, Illinois|label=スターリング}}出身。1927年に[[エルジン (イリノイ州)|エルジン]]のエルジン高校を卒業した後、フローリーは1931年にインディアナ州の{{仮リンク|マンチェスター大学 (インディアナ州))|en|Manchester University (Indiana)|label=マンチェスター大学}}から学士号を、1934年に[[オハイオ州立大学]]から博士号を得た。その後[[デュポン]]の[[ウォーレス・カロザース]]のもとで初めての仕事を得た。 ===高分子化学=== 高分子化学に関する彼の初期の研究は[[重合反応]]の[[キネティクス]]に関するもので、デュポンの研究所で行われた。彼は、[[縮合重合]]において末端の反応性が減少することを見積もり、反応性は分子のサイズに関係ないことを見つけ、鎖の数はサイズとともに指数関数的に減少することを発見した。[[付加重合]]においては、彼はキネティックの方程式の改善とポリマーのサイズの分布の説の矛盾を解消するために[[ラジカル反応]]の概念を導入した。 1938年、カロザースが亡くなると彼は[[シンシナティ大学]]の基礎科学研究所に移籍した。ここでは彼は二つ以上の[[官能基]]を持つ化合物の重合に関する数学的な理論と、ポリマーが[[ゲル]]を作る理論を完成させた。 1940年に彼は[[ニュージャージー州]][[リンデン (ニュージャージー州)|リンデン]]にある[[スタンダード・オイル]]の研究所に移り、ポリマー混合物の統計的理論を作った。1943年にはポリマー研究グループのリーダーとして[[グッドイヤー]]に移った。1948年の春、[[コーネル大学]]の化学研究科長だった[[ピーター・デバイ]]は一年間の講義のためにフローリーを招聘した。同年秋には、彼はここで働くことを要請された。彼はここでの授業を大著''Principles of Polymer Chemistry''にまとめ、1953年にコーネル大学出版局より出版した。この本はすぐにこの分野で働く人全ての標準的なテキストとなり、今日でも広く使われている。 フローリーは1934年に[[ワーナー・クーン]]が考えた[[排除体積]]の概念をポリマーに導入した。排除体積の概念によって、ある分子鎖の一部分は、既に同じ分子の別の部分が占めている空間には存在することができないという考えが生まれる。またこの概念によって、ポリマー鎖の末端は、排除体積がないとした時よりもポリマーの中心から遠くへ追いやられるということが言える。溶液中の長鎖分子の解析に排除体積の概念が重要な役割を果たすことがわかったのは、この分野の研究のブレイクスルーとなり、当時は解決困難と考えられていた多くの問題に説明を与えた。また排除体積の影響が中和される実験条件であるゼータポイントの概念も考えられた。ゼータポイントでは分子鎖は理想的な鎖の振る舞いを示さず、排除体積による長距離の相互作用が働かず、構造や結合、隣接分子間の静的な相互作用といった特性を容易に測定することができる。フローリーは、排除体積の影響がゼータポイントでなくなれば、理想溶液中でのポリマーのサイズが測定できると期待した。 彼の業績には、理想溶液の中でポリマーのサイズを推定する独自の方法や、溶液中でのポリマーの動きを把握するためのフローリー指数を拡張した、フローリー-ハギンズの溶液理論([[フローリー・ハギンズ理論]])がある。 1953年には、[[国際理論物理学会]] 東京&京都 で来日した。 ===フローリー変換=== 高分子中の原子の配置を[[ベクトル]]で表すには、[[直交座標系]]を[[角座標系]]に変換してやらなければならないことがよくある。このような時にフローリー変換が用いられる。例えば[[ペプチド結合]]中の全原子の位置は直交座標系またはフローリー変換で表される。ここでは[[結合距離]]<math>l_i</math>、[[結合角]]<math>\theta_i</math>、[[二面角]]<math>\phi_i</math>の3つの値が必要である。直交座標系とフローリー変換で得られた角座標系は同じ三次元構造を表す。 ===晩年=== 彼は1961年に[[スタンフォード大学]]の教授になり、1975年に退官した<ref> [https://chemistry.stanford.edu/people/in-memoriam スタンフォード大学化学科]</ref>。彼は退官した後も活躍を続け、近年は[[IBM]]のコンサルタントをしている。彼と妻のエミリー・キャサリン・タボールは3人の子供に恵まれ、3人とも物理学の道に進んでいる。彼は1985年に[[カリフォルニア州]]ビッグ・サー (Big Sur) で、[[心臓発作]]のため死亡した。 == 主要論文 == *Flory, Paul. (1953) ''Principles of Polymer Chemistry''. Cornell University Press. {{ISBN|0-8014-0134-8}}. *Flory, Paul. (1969) ''Statistical Mechanics of Chain Molecules''. Interscience. {{ISBN|0-470-26495-0}}. Reissued 1989. {{ISBN|1-56990-019-1}}. *Flory, Paul. (1985) ''Selected Works of Paul J. Flory''. Stanford Univ Press. {{ISBN|0-8047-1277-8}}. == 受賞歴 == *[[1962年]] - [[ウィリアム・H・ニコルズ賞]] *[[1969年]] - [[ピーター・デバイ賞]] *[[1971年]] - [[エリオット・クレッソン・メダル]] *[[1973年]] - [[ウィラード・ギブズ賞]] *1973年 - [[化学パイオニア賞]] *1974年 - ノーベル化学賞 *1974年 - [[プリーストリー賞]] *1974年 - [[アメリカ国家科学賞]] *[[1977年]] - [[パーキンメダル]] == 関連項目 == *[[モーリス・ハギンズ]] {{Commons category|Paul Flory}} == 脚注 == {{reflist}} == 外部リンク == *[https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1974/flory/facts/ Paul J. Flory Facts] Nobel Foundaiton *[https://othmerlib.sciencehistory.org/record=b1023972~S6 . "Finding Aid to the Paul J. Flory papers, 1931–1985 bulk 1950–1978"] *[https://oac.cdlib.org/findaid/ark:/13030/kt000030qk/?query=paul%20j%20flory Flory (Paul J.) papers] *[https://www.nasonline.org/publications/biographical-memoirs/memoir-pdfs/flory-paul.pdf PAUL JOHN FLORY 1910–1985] {{ノーベル化学賞受賞者 (1951年-1975年)}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:ふろおりい ほおる}} [[Category:20世紀アメリカ合衆国の化学者]] [[Category:アメリカ合衆国の高分子化学者]] [[Category:アメリカ合衆国の高分子物理学者]] [[Category:アメリカ合衆国のノーベル賞受賞者]] [[category:ノーベル化学賞受賞者]] [[Category:プリーストリー賞受賞者]] [[Category:アメリカ国家科学賞受賞者]] [[Category:グッゲンハイム・フェロー]] [[Category:アメリカ物理学会フェロー]] [[Category:米国科学アカデミー会員]] [[Category:アメリカ哲学協会会員]] [[Category:アメリカ芸術科学アカデミー会員]] [[Category:スタンフォード大学化学科の教員]] [[Category:コーネル大学の教員]] [[Category:デュポンの人物]] [[Category:オハイオ州立大学出身の人物]] [[Category:イリノイ州ホワイトサイド郡出身の人物]] [[Category:ドイツ系アメリカ人]] [[category:1910年生]] [[category:1985年没]]
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