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'''マンテル検定'''(マンテルけんてい、{{lang-en-short|Mantel test}})は、{{ill|ナイサン・マンテル|en|Nathan Mantel}}にちなんで名付けられた2つの[[行列]]の間の[[相関係数|相関関係]]を検定する[[ノンパラメトリック検定|ノンパラメトリック]]な[[仮説検定|検定方法]]である。用いる[[行列]]は同じ[[行列の階数|階数]]のものでなければならない;ほとんどの場合、適用となるのは対象の[[行列#素朴な定義|ベクトル]]が同じ[[行列]]同士の[[相関係数|相関関係]]である。マンテル検定は[[アメリカ国立衛生研究所]]の生物統計専門職であったマンテルによって1967年に最初に発表された<ref name="Mantel1967">{{cite journal | last1 = Mantel | first1 = N. | year = 1967 | title = The detection of disease clustering and a generalized regression approach | url = | journal = Cancer Research | volume = 27 | issue = 2| pages = 209–220 | pmid = 6018555 }}</ref>。詳しい説明は専門的な統計に関する書籍などで見ることができる(例;Sokal & Rohlf (1995)<ref name="Sokal1995">{{cite book |author=Sokal RR, Rohlf FJ |year=1995 |title=Biometry |edition=3rd |location=New York |publisher=Freeman |isbn=0-7167-2411-1 |pages=813-819}}</ref>)。 == 利用 == マンテル検定は一般に[[生態学]]の分野で用いられる。[[生態学]]におけるデータの検定は、生物の[[種 (分類学)|種]]などの対象の間の“距離”の推定となることが多いからである。例えば、一つの行列が[[分子系統学]]の手法によって得られるような、研究において全てのとりうる種の組み合わせ相互の間の遺伝的距離(例;2つの異なる[[ゲノム]]の間の違いの量)の推定値を含むような場合である;一方、ある[[種 (分類学)|種]]の地理的分布と他の全ての[[種 (分類学)|種]]の分布との地理的な距離の推定などにも用いられる。 == 方法== もし''n''個の対象があり[[行列]]が[[対称行列]]であるなら(つまり対象物 ''a''から対象物''b''までの距離は''b''から ''a''までと同じになる)、この[[行列]]は次の式で表される距離を含む :<math>{\frac{n(n-1)}{2}}</math> 距離は相互に独立していないので– 一つの対象物の位置を変えることはこれらの距離の<math>n-1</math>を変えることになり(動かした対象物の他のそれぞれの対象物への距離) – 二つの距離のセットの間の[[ピアソンの積率相関係数|相関係数]]を単純に評価することで調べられなくなり、また統計学的な[[有意|有意性検定]]を行うこともできなくなる。マンテル検定はこの問題を取り扱うものである。 ここで用いられる手順はある種のランダム化、あるいは[[置換検定]]である。2つの<math>n(n-1)/2</math>で表される距離のデータのセットの間の[[相関係数|相関関係]]を計算する。これは[[相関係数|相関関係]]の大きさであると同時に検定統計量となる。原則的にはどのような[[相関係数]]を用いることもできる。しかし通常は[[相関係数|ピアソンの積率相関係数]]が用いられる。 通常の[[相関係数]]の使用とは対照的に、[[相関係数|相関関係]]の有意性を解析するために一方の[[行列]]の行および列に対して繰り返し[[置換 (数学)|ランダム置換]]を行う。そして[[相関係数|相関関係]]も[[置換 (数学)|置換]]ごとに再計算する。観測された[[相関係数|相関関係]]の重要性の程度は、高い[[相関係数|相関関係]]を導くことになったこれらの[[置換 (数学)|置換]]の割合に該当する。 その理由はもし2つの[[行列]]の間に関係がないという[[帰無仮説]]が正しければ、[[行列]]の行および列の[[置換 (数学)|置換]]から大きい係数も小さい係数も同じような確率で導き出されるはずだ、というものである。2つの[[行列]]の各要素の統計上の依存性から来る問題を克服することに加えて、[[置換検定]]を用いることで行列の要素の統計的な分布を推測する必要がなくなる。 多くの[[:Category:統計処理ツール|統計ソフト]]にはマンテル検定が標準で組み込まれている。 == 批判 == マンテル検定やその拡張である[[偏マンテル検定]]を導入した論文において[[帰無仮説]]とその[[対立仮説]]を十分に明示した明確な統計的な枠組みを欠いている例が散見される。こうしたことはこの検定方法がいろんな場面で用いることが可能であるという誤った考えを広めることになっている。例えば、マンテル検定および偏マンテル検定は[[空間分析#空間分析の種類|空間的自己相関分析]]において欠点があり、誤って低い''p''値を返すことがある。(例;Guillot and Rousset, 2013)<ref name="Guillot2013">{{cite journal2|arxiv=1112.0651|author=Guillot G, Rousset F |year=2013 |title=Dismantling the Mantel tests |journal=Methods in Ecology and Evolution |volume=4 |number=4| pages=336-344|doi=10.1111/2041-210x.12018}}</ref>) == 関連項目 == *[[ノンパラメトリック検定]] *{{仮リンク|ソーレンセン-ダイス係数|en|Sørensen–Dice coefficient|}} *{{仮リンク|置換検定|en|Resampling#Permutation test|}} *{{仮リンク|ランダム置換統計学|en|Random permutation statistics}} *[[リサンプリング]] *[[空間分析#空間分析の種類]] == 脚注 == {{Reflist}} == 外部リンク == *[http://www.nceas.ucsb.edu/files/scicomp/doc/SpatialEcologyMantelTest.pdf The Mantel test in ecology] {{統計学}} {{Statistics-stub}} {{DEFAULTSORT:まんてるけんてい}} [[Category:数学に関する記事]] [[Category:統計検定]] [[Category:数学のエポニム]]
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