ミラー効果のソースを表示

'''ミラー効果'''（ミラーこうか、[[英語|英]]: '''Miller effect'''）とは、[[利得]]が A である反転[[増幅回路]]の入出力端子間に[[静電容量]]（帰還容量） C が接続されているとき、入力端子からは (1+A) C の容量が接続されているようにみえる作用のこと<ref>電子情報通信学会編『電子通信用語事典』コロナ社、1984年、ISBN 4-339-00413-8、pp.783-784</ref>。この効果を積極的に利用した回路をミラー積分回路（ミラー積分器）という。

== 概要 ==
[[File:Miller-Effect-circuit.png|thumb|ミラー効果]]
入力インピーダンスが無限大、出力インピーダンスがゼロ、利得が <math>A</math> である反転増幅器において、入出力端子間に静電容量 <math>C</math> を接続して帰還回路を構成した場合（回路としての利得は <math>-A</math> になる）を考える。（右図 (a)）

[[交流]]入力信号を <math>V_{in}</math>、出力信号を <math>V_{out}</math>、入力電流を <math>I_{in}</math> とすると、

{{Indent|<math>I_{in} = j \omega C ( V_{in} - V_{out} )</math>}}

{{Indent|<math>V_{out} = -A V_{in}</math>}}

したがって、

{{Indent|<math>I_{in} = j \omega C (1 + A) V_{in}</math>}}

となり、この回路の入力端子からみたインピーダンス <math>Z_{in}</math> は、

{{Indent|<math>\begin{align}
Z_{in} &= \frac {V_{in}}{I_{in}}\\
&= \frac{1}{j \omega (1 + A) C}
\end{align}</math>}}

である。つまり、入力端子に (1 + A)倍の容量 C が接続されているのと等価である。（右図 (b)）

利得が大きいほどこの効果は大きく現れるため、微少な静電容量であっても等価的な容量は大きくなる<ref>松澤昭『電気学会大学講座 基礎電子回路工学 -アナログ回路を中心に-』オーム社、2009年、ISBN 978-4-88686-276-1、pp.114-115</ref><ref>桜庭一郎ほか『電子回路』森北出版、1986年、ISBN 4-627-70530-1、pp218-219</ref>。また、入力信号が変化の無い一定信号の場合、<math>\omega=0</math> であるため、<math>|Z_{in}|=\infty</math> となるので、ミラー効果は消失する。

== 回路動作への影響 ==
一般に、信号源と接続する増幅回路間には何らかの[[インピーダンス]]が存在するため<ref group="注">例えば、トランジスタに接続するベース抵抗なども含む</ref>、そのインピーダンスとミラー効果容量により[[ローパスフィルタ]]が構成されるため高周波特性が制限される<ref>高木相『半導体電子回路』培風館、1984年、ISBN 4-563-03295-6、pp.83-85</ref>。

したがって、高周波特性の良い増幅回路とするためには、帰還容量の小さな増幅素子を用いるか、帰還容量の影響を小さくする回路構成が求められる。

== 考慮する素子 ==
以下の増幅機能を持つ素子については影響を考慮する必要がある。
*[[トランジスタ]] - ベース・コレクタ間容量
*[[FET]] - ゲート・ドレイン間容量
*[[オペアンプ]] - 入力・出力間容量
*[[真空管]] - グリッド・プレート間容量
*[[IGBT]] - ゲート・コレクタ間容量

== 脚注==
=== 注釈 ===
<references group="注" />
=== 出典 ===
<references />

== 関連項目 ==
* [[電子工学]]、[[電子回路]]

{{DEFAULTSORT:みらあこうか}}
[[Category:アナログ回路]]