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{{Chembox | ImageFile = MeLi.png | ImageSize = | IUPAC名 = Methyllithium<br />メチルリチウム | 別称 = Lithium methanide<br />リチウムメタニド | Section1 = {{Chembox Identifiers | CAS番号 = 917-54-4 | PubChem = 2724049 | 日化辞番号 = J1.231I | ChemSpiderID = 10254338 | EINECS = 213-026-4 | ChEBI = 51486 | Beilstein = 3587162 | Gmelin = 288 | SMILES = [Li]C | StdInChI = 1S/CH3.Li/h1H3; | StdInChIKey = DVSDBMFJEQPWNO-UHFFFAOYSA-N }} | Section2 = {{Chembox Properties | C = 1 | H = 3 | Li = 1 }} }} '''メチルリチウム''' (methyllithium) は化学式 CH<sub>3</sub>Li で表される[[有機リチウム化合物]]である。[[メチル基]]を Me と略記し、MeLi とも表記される。溶液中および固体状態では会合体([[クラスター (物質科学)|クラスター]])を形成している。反応性が非常に高く、[[炭化水素]]溶液や[[エーテル (化学)|エーテル]]溶液として[[有機合成]]などに用いられる。水や酸素に弱いため、無水・無酸素条件下で取り扱う必要がある。普通は実験室で調製されることはなく、溶液が広く市販されている。 ==合成== 直接法では、[[ブロモメタン]]を[[ジエチルエーテル]]中にけん濁した金属[[リチウム]]と反応させることによって合成される。 : <chem>2 Li\ + CH3Br -> CH3Li\ + LiBr</chem> 副生する[[臭化リチウム]]はメチルリチウムと錯体を形成するため、通常、メチルリチウムはこの錯体として存在する。ハライドを含まないメチルリチウムが必要な場合には[[クロロメタン]]から合成したものが利用される<ref>{{OrgSynth|author=Lusch, M. J.; Phillips, M. V.; Sieloff, W. V.; Nomura, G. S.; House, H. O. |title=Preparation of Low-Halide Methyllithium|collvol= 7|collvolpages= 346 |year=1984|volume= 62|pages=101 |prep=cv7p0346 }}</ref>。[[塩化リチウム]]はメチルリチウムとほとんど錯形成せず、エーテル溶媒中では沈殿するので、[[ろ過]]して除去すれば純粋なメチルリチウムが得られる。 ==反応== 強塩基であると同時に[[求核剤|求核性]]も高い。炭素原子は形式的に負電荷を持ち、求電子剤やプロトン供与剤と反応する。主に[[メチル化]]剤、[[リチオ化]]剤として使われる。 例えば[[フェロセン]]はメチルリチウムで処理するとリチオ化される。有機化学などで溶媒として用いられる[[テトラヒドロフラン]]とも反応する。水や[[アルコール]]とは激しく反応する。メチルリチウムを使った反応は多くの場合大きく発熱的なため、低温で行う必要がある。 メチルリチウムはメチルアニオン等価体として用いられる。ケトンと反応させるとメチル化し、中間体を加水分解すると三級アルコールが得られる。 : <chem>R2C = O\ + CH3Li -> R2C(CH3)\ - OLi</chem> : <chem>R2C(CH3)\ - OLi\ + H2O -> R2C(CH3)\ - OH\ + LiOH</chem> 非金属ハロゲン化物に作用させるとメチル基が導入された生成物を与える。[[三塩化リン]]との反応を例示する。 : <chem>2 Li\ + CH3Br -> CH3Li\ + LiBr</chem> : <chem>PCl3\ + 3 CH3Li -> P(CH3)3\ + 3 LiCl</chem> 一般的に上記の目的には、より安全に取り扱うことができ、同等の反応性を有する[[グリニャール試薬|メチルマグネシウムハライド]]が用いられる。 メチル基を持つ遷移金属錯体はメチルリチウムを使って合成することができる。 : <chem>ZrCl4\ + 6 CH3Li -> Li2Zr(CH3)6\ + 4 LiCl</chem> ==構造== [[単結晶]]の[[X線回折|X線結晶構造解析]]および<sup>6</sup>Li、<sup>7</sup>Li、[[炭素13核磁気共鳴|<sup>13</sup>C]]の[[核磁気共鳴分光法|NMR分光法]]から、2種類の構造が確認されている。ひとつはゆがんだ[[キュバン]]のような形を持つ四量体[[クラスター (物質科学)|クラスター]]で、炭素原子とリチウム原子はそれぞれ立方体の頂点に位置する。Li−Li間の距離は2.68 Åであり、これは気相中のLi<sub>2</sub>分子における距離とほぼ等しい。C−Li間の距離は2.31 Åである。炭素原子はそれぞれ3つの水素原子、3つのリチウム原子と結合している。(CH<sub>3</sub>Li)<sub>4</sub> には揮発性がなく、炭化水素溶媒に不溶であるが、これはクラスター間の[[アゴスティック相互作用]]によるものである。よりかさ高い[[tert-ブチルリチウム|''tert''-ブチルリチウム]]の四量体 (''tert''-C<sub>4</sub>H<sub>9</sub>Li)<sub>4</sub> の場合、立体反発によってクラスター間の相互作用が抑えられるため、揮発性・溶解性を持つ<ref>Elschenbroich, C. "Organometallics"; Wiley-VCH: Weinheim, 2006. ISBN 3527293906.</ref>。 <div style="text-align: center"> [[Image:Methyllithium-tetramer-1-3D-balls.png|200px|メチルリチウムの四量体。紫はリチウム原子、黒は炭素原子、白は水素原子]] [[Image:Methyllithium-tetramer-2-3D-balls.png|200px|結合の描画を変えたもの]] </div> もうひとつは六量体で、LiとCがそれぞれ交互に頂点に配置された、ゆがんだ六面体型のクラスターである。 <div style="text-align: center"> [[Image:Methyllithium-hexamer-2-3D-balls.png|200px|メチルリチウムの六量体。紫はリチウム原子、黒は炭素原子、白は水素原子]] [[Image:Methyllithium-hexamer-3-3D-balls.png|200px|結合の描画を変えたもの]] </div> どちらのクラスターが生成しやすいかは溶媒や添加剤(臭化リチウムなど)の有無によって決まる。[[ベンゼン]]などの炭化水素溶媒中では六量体が<ref name="Brown">{{cite journal|author=Brown, T. L.; Rogers, M. T. |title=The Preparation and Properties of Crystalline Lithium Alkyls|journal=[[J. Am. Chem. Soc.]]|year=1957|volume=79|pages= 1859–1861|doi=10.1021/ja01565a024}}</ref>、エーテル溶媒中では四量体が得られやすい。 ===結合=== 上記のクラスターは[[オクテット則]]を満たさない原子を含む、[[電子不足]]な化合物である。つまり一般的な[[有機化合物]]に見られる2中心2電子結合を形成するのに十分な電子を持っていない。六量体には30個の電子([[価電子]])があるが、そのうち18個はC−H結合に使われ、のこり12個がクラスター形成に使われる。リチウム−リチウム結合に6個の電子が割り当てられ、6個のメチル基はおのおの1個ずつの電子によって[[ハプト数|η<sup>3</sup>]]型の結合をリチウム原子と形成する。 [[赤外分光法|IR]]測定からC−Li結合の[[結合エネルギー|エネルギー]]は57 kcal/molと見積もられている<ref name="Brown" />。 ==参考文献== {{reflist}} ==関連項目== *[[N-ブチルリチウム|''n''-ブチルリチウム]] *[[Sec-ブチルリチウム|''sec''-ブチルリチウム]] *[[Tert-ブチルリチウム|''tert''-ブチルリチウム]] {{DEFAULTSORT:めちるりちうむ}} [[Category:有機リチウム化合物]] [[Category:有機反応試剤]]
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