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[[数学]]における'''ヤコビ和'''(ヤコビわ、{{Lang-en-short|Jacobi sum}})とは、[[ディリクレ指標]]によって形成されるある種の{{仮リンク|指標和|en|character sum}}のことを言う。簡単な例として、ある素数 ''p'' を法とする二つのディリクレ指標 <math>\chi</math> と <math>\psi</math> に対するヤコビ和 <math>J(\chi, \psi)</math> は、次のように定義される。 : <math> J(\chi,\psi) = \sum \chi(a) \psi(1 - a). \, </math> ここで和は ''p'' を法とする全ての剰余(ただし ''a'' も 1 − ''a'' も 0 でない場合の) ''a'' = 2, 3, ..., ''p'' − 1 についてとる。ヤコビ和は[[ベータ関数]]の有限体における類似物である。このような和は[[1の冪根|円周等分]]の理論との関連で19世紀初頭に[[カール・グスタフ・ヤコブ・ヤコビ|ヤコビ]]によって導入された。ヤコビ和は一般に、[[ガウス和]] <math>g</math> の冪乗の積へと分解できる。例えば、指標 <math>\chi\psi</math> が非自明であるときに、<math>J(\chi, \psi) = g(\chi)g(\psi) / g(\chi\psi)</math> となるが、これはベータ関数を[[ガンマ関数]]で表す公式の類似である。非自明なガウス和 <math>g</math> の絶対値は ''p''<sup>1/2</sup> であるので、指標 <math>\chi\psi,\chi,\psi</math> が非自明であれば、<math>J(\chi, \psi)</math> の絶対値もまた ''p''<sup>1/2</sup> となる。ヤコビ和 ''J'' の値が属する円分体は、非自明なガウス和 <math>g</math> の値が属する[[円分体]]よりも小さい。例えば <math>J(\chi, \psi)</math> の被加数には [[1の冪根|1の ''p'' 乗根]]は含まれないが、1 の (''p'' − 1)-乗根の円分体に属する値が含まれる。ガウス和と同じように、ヤコビ和は円分体における素イデアル分解のことを知っている。このことについては{{仮リンク|シュティッケルベルガーの定理|en|Stickelberger's theorem}}を参照されたい。 <math>\chi</math> が[[ルジャンドル記号]]である時は、<math>J(\chi, \chi) = -\chi(-1) = -(-1)^{(p+1)/2}</math> となる。一般にヤコビ和の値は、{{仮リンク|対角形式|en|diagonal form}}の[[合同ゼータ関数|局所ゼータ関数]]に関連して現れる。ルジャンドル記号に関するヤコビ和の結果は、''p'' 個の元からなる有限体上の[[射影直線]]である[[円錐曲線|円錐断面]]上の点の数 ''p'' + 1 に対する公式を導く。1949年の[[アンドレ・ヴェイユ]]の論文は、この議論に多くの注目を再び集めるものであった。実際、20世紀後半の[[ハッセ=ダベンポートの関係]]により、ガウス和の冪の性質は再び現代的な話題となっている。 Weil (1952) は、一般のヤコビ和による対角超曲面に対して局所ゼータ関数を記述できる可能性を指摘するとともに、ヤコビ和の[[ヘッケ指標]]としての性質を示した。 これは[[CMアーベル多様体|アーベル多様体の虚数乗法]]が確立されるとともに、重要な概念となった。問題におけるヘッケ指標は、例えば{{仮リンク|フェルマー曲線|en|Fermat curve}}の[[ハッセ・ヴェイユのゼータ函数]]を表現する際に必要となるものであった。それらの指標の[[導手]]については、Weil によって未解決問題とされていたが、それらは後の研究によって決定された。 == 参考文献 == *B. C. Berndt, R. J. Evans, K. S. Williams, ''Gauss and Jacobi Sums'', Wiley, 1998. ISBN 978-0-471-12807-6. *[[サージ・ラング|S. Lang]], ''Cyclotomic fields'', Graduate texts in mathematics vol. 59, Springer Verlag 1978. ISBN 0-387-90307-0. See in particular chapter 1 (Character Sums). *André Weil, ''Numbers of solutions of equations in finite fields'', Bull. Amer. Math. Soc. 55 (1949), 497–508. *André Weil, ''Jacobi sums as Grössencharaktere'', Trans. Amer. Math. Soc. 73 (1952), 487–495. {{DEFAULTSORT:やこひわ}} [[Category:円分体]] [[Category:数学に関する記事]]
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