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ヨードメタン
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{{Chembox | ImageFile = Methyl-iodide-CRC-MW-IR-dimensions-2D.png | ImageSize = 150px | ImageFileL1 = Iodomethane.svg | ImageSizeL1 = 100px | ImageFileR1 = Iodomethane-3D-vdW.png | ImageSizeR1 = 100px | IUPACName = ヨードメタン | OtherNames = ヨウ化メチル, モノヨードメタン, MeI, ハロン10001, UN 2644 | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 74-88-4 | CASNo_Ref = {{cascite}} | EINECS = 200-819-5 | PubChem = 6328 | SMILES = CI | InChI = 1/CH3I/c1-2/h1H3 | RTECS = PA9450000 | KEGG = C18448 }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = CH<sub>3</sub>I | MolarMass = 141.94 g/mol | Appearance = 刺激臭を持つ無色透明の液体 | Density = 2.2789 g/cm<sup>3</sup> (20 °C) | MeltingPt = -66.45 °C (206.70 K) | BoilingPt = 42.43 °C (315.58 K) | Solubility = 1.4 g/100 mL (20 °C) | LogP = 1.51 | VaporPressure = 50 kPa at 20 °C <br> 53.32 at 25.3 °C <br> 166.1 kPa at 55 °C | RefractIndex = 1.531 }} | Section3 = {{Chembox Structure | MolShape = Tetrahedral }} | Section4 = {{Chembox Hazards | EUClass = 毒性('''T'''), [[発癌性]] | ExternalMSDS = [http://ptcl.chem.ox.ac.uk/MSDS/IO/iodomethane.html MSDS at Oxford University] | FlashPt = | Autoignition = | NFPA-H = 3 | NFPA-F = 1 | NFPA-R = 1 | NFPA-O = | RPhrases = {{R21}}, {{R23/25}}, {{R37/38}}, {{R40}} | SPhrases = {{S1/2}}, {{S36/37}}, {{S38}}, {{S45}} | ExploLimits = 8.5 - 66% }} }} '''ヨードメタン'''({{lang-en-short|iodomethane}})は、分子式 {{chem|CH|3|I}} で表される[[有機化合物]]である。別名、'''ヨウ化メチル'''({{lang-en-short|Methyl Iodide}})ともいう。常温で無色透明の液体で、[[エタノール]]、[[ジエチルエーテル]]に任意の割合で溶ける。空気中で一部が光により分解し薄い紫色を帯びることがあるため、褐色ビンを用いて暗所保存する。その際には[[銅]]を[[安定化剤]]として用いる場合がある。[[有機合成化学]]においてはメチル化剤として良く用いられ、[[求核置換反応#SN2反応|S<sub>N</sub>2反応]]によりメチル基を付加することが多い。毒性が高い。 == 性質 == S<sub>N</sub>2反応で[[メチル化]]剤として非常に良く用いられる反応試薬である。例として、[[フェノール]]や[[カルボン酸]]のメチル化が挙げられる。 [[Image:Iodomethane_rxn1.png|350px|カルボン酸・フェノールのメチル化]] この2つの例では[[塩基]]([[炭酸カリウム]]や炭酸リチウム)がプロトンを捕捉しアニオンを生成させることで、S<sub>N</sub>2反応における求核剤を供給している。 [[HSAB則]]に従うと、ヨウ素は「ソフト」な脱離基であるため、最終生成物は「ソフト」な求核剤と結合したものであることが多い。例えば[[チオシアネート]]イオン({{chem|SCN|-}}) は「ハード」な窒素Nと「ソフト」の硫黄Sを併せ持つが、このチオシアネートとヨードメタンとを反応させると、[[メチルチオシアナート]] ({{chem|CH|3|SCN}}) が主生成物となり、[[メチルイソチオシアナート]] ({{chem|CH|3|NCS}}) が副生成物となる。HSAB則は[[エノラート]](1,3-ジカルボニル化合物の誘導体など)をメチル化させる際には重要となる。エノラートをヨードメタンでメチル化させる際には、「ハード」な酸素よりも「ソフト」な炭素を好んで攻撃するということになる。即ちヨードメタンを用いると、他の原子のメチル化より炭素のメチル化が優先して進行しやすいという傾向がある。 また[[グリニャール試薬]]である{{chem|MeMgI}}の前駆体となる。[[モンサント法]]ではヨードメタンが[[ロジウム]]錯体と反応し、[[ヨウ化アセチル]]を生成する。 ==製法== [[リン|赤リン]]と[[メタノール]]の混合物に[[ヨウ素]]を反応させると、発熱反応によりヨードメタンが生成する。これはヨウ化剤である[[三ヨウ化リン]]が''[[in situ]]''で生成するためである。 :<chem>10CH3OH\ + 2P\ + 5I2 -> 10CH3I\ + 2H3PO4\ + 2H2O</chem> 反応混合物を[[蒸留]]し、[[チオ硫酸ナトリウム]]水溶液(ヨウ素の除去)と[[炭酸ナトリウム]]水溶液([[リン酸]]の除去)で洗浄し、乾燥後に再度蒸留すると目的物が得られる。またシリカゲル[[カラムクロマトグラフィー]]やアルミナカラムクロマトグラフィーにより精製する方法もある。 他にも、[[炭酸カルシウム]]を加えた[[ヨウ化カリウム]]水溶液中へ[[硫酸ジメチル]]を加えることでも得ることができる。 :<chem>(CH3O)2SO2\ + KI -> CH3I\ + CH3OSO2OK</chem> どちらの反応を用いても高い収率でヨードメタンが得られる。 ==メチル化剤としてのヨードメタン== メチル化剤として非常に多用されるが、欠点も存在する。等物質量のヨードメタンと[[クロロメタン]]とを比較すると、ヨードメタンの方が2倍の重量となってしまう。しかしながらクロロメタンが気体であるのに対しヨードメタンは液体であるため、比較的扱いやすい。またメチル化の能力自体も、ヨードメタンの方が優れている。また一般にヨウ化物は対応する塩化物や臭化物と比較すると高価であるが、ヨードメタンは安価である。 脱離基のヨウ素原子は脱離と同時に求核剤となるため、副反応の原因となる。ヨードメタンのメチル化の能力は非常に高く、塩化メチルや臭化メチルと比較してもより危険である。しかし代替化合物を選択しようとする場合は、コスト、取り扱いの容易さ、危険性、選択性、精製の容易さなどを考慮に入れる必要がある。 ==安全性== 動物実験により[[変異原|変異原性]]があることが確認されている。ヒトに対する発がん性については、[[国際がん研究機関]](IARC)による[[IARC発がん性リスク一覧|リスク分類]]でグループ3、すなわち分類できない(不明である)とされている。 ヒトに対する刺激性が高く、経口・経皮接触・吸入などにより、呼吸器や中枢神経系などに障害が起こりうる。このため取り扱う際にはドラフトを用いるべきである。日本では[[毒物及び劇物取締法]]により[[劇物]]に指定されている。また、[[労働安全衛生法]]の[[特定化学物質#第2類物質|第2類特定化学物質]]に指定されている。 ==関連項目== *[[メチル化]] *[[C1化学]] *[[硫酸ジメチル]] == 参考文献 == # March, J. (1992). ''Advanced Organic Chemistry (4th Edn.)'', New York:Wiley. ISBN 0-471-60180-2 # Sulikowski, G. A.; Sulikowski, M. M. (1999). in Coates, R.M.; Denmark, S. E. (Eds.) ''Handbook of Reagents for Organic Synthesis, Volume 1: Reagents, Auxiliaries and Catalysts for C-C Bond Formation'' New York: Wiley, pp. 423–26. {{ハロメタン}} {{chem-stub}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:よとめたん}} [[Category:ハロメタン]] [[Category:有機ヨウ素化合物]] [[Category:有機反応試剤]] [[Category:劇物]]
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