ラカーパラメータのソースを表示

[[原子]]が2つ以上の[[電子]]を持っている場合、電子の間に[[静電的]]な反発力が働く。反発の強さは、電子の数と[[スピン角運動量|スピン]]、占めている[[原子軌道|軌道]]に依存して変化する。反発力の合計は ''A''、''B''、''C'' という3つのパラメータで表現することができ、これら最初に記述した{{仮リンク|ジュリオ・ラカー|en|Giulio Racah}}にちなんで'''ラカーパラメータ'''（{{Lang-en-short|Racah parameter}}）と呼ぶ。

ラカーパラメータは、[[気相]]における原子の分光実験から実験的に得られている<ref>{{cite book|last=Ballhausen|first=C.J.|title=Molecular Electronic Structure of Transition Metal Complexes |year=1980|publisher=McGraw-Hill|isbn= 0070034958}}</ref>。
[[遷移金属]]化学において、ある[[項記号]]における反発エネルギーを記述する場合にラカーパラメータは用いられる。たとえば、項記号 <sup>3</sup>P の電子間反発は ''A'' + 7''B''、<sup>3</sup>F では ''A'' - 8''B'' と表され、これらの差は 15''B'' である。

[[スレーター積分]]''F<sub>k</sub>''とは次の関係がある。
:<math>A=F_0 -49 F_4</math>
:<math>B=F_2 -5 F_4</math>
:<math>C=35F_4</math>

== ラカーパラメータの決定 ==
ラカーパラメータは自由イオンの[[吸収スペクトル]]を、[[結晶場理論]]における[[摂動論]]の計算結果と比べることに寄って決めることができる。

ただしAは、吸収スペクトルの実験で観察される準位間のエネルギー差には関係しない。

また錯体中で波動関数の動径部分が変わってBとCが変化しても、その比は自由イオンのときと変わらないと予想される。よってC/Bの値は、3d電子に対する有効電荷によらず、波動関数の広がりにもよらない。つまりC/Bの値は、BあるいはCそのものの変化ほど大きい変化を受けない。<ref>{{Cite book|和書|author1=上村洸|authorlink1=上村洸|author2=菅野暁|authorlink2=菅野暁|author3=田辺行人|authorlink3=田辺行人|year=1969|title=配位子場理論とその応用|publisher=[[裳華房]]|id=ISBN 978-4-7853-2404-9}}
</ref>

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
<!-- *{{cite journal |author=Junge L, Parlitz U |title=Phase synchronization of coupled ginzburg-landau equations |journal=Phys Rev E Stat Phys Plasmas Fluids Relat Interdiscip Topics |volume=62 |issue=1 Pt A |pages=438–41 |year=2000 |month=July |pmid=11088478 |doi= |url=}} -->
* [http://www.cond-mat.de/events/correl12/manuscripts/eder.pdf Multiplets in Transition Metal Ions] in E. Pavarini, E. Koch, F. Anders, and M. Jarrell (eds.): Correlated Electrons: From Models to Materials, J&uuml;lich 2012, ISBN 978-3-89336-796-2

== 関連項目 ==
<!-- {{Commonscat|Racah parameter}} -->
* [[田辺・菅野ダイアグラム]]
* [[電子雲膨張効果]]

<!-- == 外部リンク == -->

{{デフォルトソート:らかあはらめえた}}
[[Category:分光学]]
[[Category:エポニム]]