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ラマン効果
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[[ファイル:Spectral image of Rayleigh and Raman scattering of ethanol.jpg|thumb|回折格子で分光したエタノールのレイリー散乱(最も明るい輝線)とラマン散乱(ほかの輝線).]] '''ラマン効果'''(ラマンこうか)または'''ラマン散乱'''は、[[物質]]に光を入射したとき、[[散乱]]された光の中に入射された光の[[波長]]と異なる波長の光が含まれる現象。[[1928年]]インドの物理学者[[チャンドラセカール・ラマン]]と{{仮リンク|K・S・クリシュナン|en|K. S. Krishnan}}が発見した。 == 概要 == ラマン効果は、入射する[[光子|フォトン]]と物質との間にエネルギーの授受が行われるために起こる光の非弾性散乱である。ラマン効果による散乱光と入射光とのエネルギー差は、物質内の分子や結晶の[[振動準位]]や[[回転準位]]、もしくは[[電子準位]]のエネルギーに対応している。分子や結晶はその構造に応じて分子振動や[[光学フォノン]]など、特有の振動エネルギーを持つため、単色光源である[[レーザー]]を用いることで物質の同定などに用いられている([[#ラマン分光法|ラマン分光法]]節参照)。 物質に光が入射すると,ある確率で散乱光が発生し,入射光とは異なる方向に進むようになる。このとき,散乱光のほとんどは弾性散乱([[レイリー散乱]])となり, 散乱された光子は入射された光子と同じエネルギー(すなわち同じ振動数, 波長, 色)を持つ。レイリー散乱は光源の0.1%から0.01%の強さで発生するが,さらに微弱な割合(1千万分の1程度)は非弾性散乱となり,入射する光子とは異なるエネルギーを持つ。これがラマン散乱である。エネルギー保存則から, この現象によって物質はエネルギーを獲得したり失ったりする。 レイリー散乱は19世紀に発見され説明された。ラマン効果はインドの物理学者[[チャンドラセカール・ラマン]]の名前に由来する。ラマンは[[1928年]]に, 彼の学生K・S・クリシュナンとともにこの現象を発見した。この発見によってラマンは1930年にノーベル物理学賞を受賞した。ラマン効果は1923年に{{仮リンク|アドルフ・スメカル|en|Adolf Smekal}}が理論的に予測していた。 == 歴史 == 入射光と等しいエネルギーの光が散乱光となる弾性散乱は,19世紀から知られるレイリー散乱に加え,1908年に発見されたミー散乱がある。 光の非弾性散乱は1923年にアドルフ・スメカルによって予言され, 古い独語文献ではスメカル・ラマン効果と呼ばれている。1922年, インドの物理学者[[チャンドラセカール・ラマン]]は「分子による光の散乱」という論文を出版し, それは最終的に1928年2月28日のラマン効果の発見につながった。ラマン効果の最初の報告はラマンと彼の共同研究者のK・S・クリシュナンによるものと、{{仮リンク|グリゴリー・ランズベルク|en|Grigory Landsberg}}と{{仮リンク|レオニード・マンデルスタム|en|Leonid Mandelstam}}がモスクワで1928年2月21日に出したもの (ラマンとクリシュナより1週間早かった)である。ソビエト連邦ではラマンの貢献は常に議論されてきた。従ってロシアの科学的文献では通常、 この効果は"combination scattering"や"combinatory scattering"と呼ばれている。ラマンは1930年に光の散乱に関する業績でノーベル賞を受賞した。 1998年にラマン効果は, 液体, 気体, 固体の組成を解析するツールとしての有用性が認められ, 米国化学会によって[[National Historic Chemical Landmark]]に指定された。 == 原理 == {{main|光散乱}} ラマン効果は[[光と物質の相互作用]]に伴う[[光散乱]]現象のひとつである。下記のとおり[[古典論]]では分極率の変調による光周波数変化に対応するが、共鳴効果や選択則、強度などを考えるには[[量子論]]による取り扱いが必要である。 === 古典論 === 古典的には、ラマン効果は光が物質に入射した時、固体や分子の振動・回転等により光が変調され、その結果生じた[[うなり]]が、もとの波長とは異なる波長の光として観測されることに対応する。 一般に、原子・分子に光が照射されると、光電場によって[[電気双極子]]モーメント <math>\begin{align} \mathit{P} = \alpha \mathit{E} \end{align}</math> が誘起される。αは分極率、''E'' は光の[[電場]]である。 ここで、分極率αが、分子のある振動(振動数ν<sub>vib</sub>であるとする)によって <math>\begin{align} \alpha = \alpha_0 + \alpha_1 \cos 2 \pi \nu_{vib} \mathit{t} \end{align}</math> のように変化していたとする。(''t'' は時間)<br /> また入射光の電場''E'' が振幅''E<sub>0</sub>'' 、振動数ν<sub>in</sub>を用いて {{Indent|<math>\begin{align} \mathit{E} = \mathit{E}_0 \cos 2 \pi \nu_{in} \mathit{t} \end{align}</math>}} と書けたとする。 このとき、誘起双極子モーメント''P'' は {{Indent|<math>\begin{align} \mathit{P} & = \alpha \mathit{E} = ( \alpha_0 + \alpha_1 \cos 2 \pi \nu_{vib} \mathit{t} ) \mathit{E}_0 \cos 2 \pi \nu_{in} \mathit{t} \\ & = \alpha_0 \mathit{E}_0 \cos 2 \pi \nu_{in} \mathit{t} + \frac{1}{2} \alpha_1 \mathit{E}_0 \cos 2 \pi ( \nu_{in} - \nu_{vib} ) \mathit{t} + \frac{1}{2} \alpha_1 \mathit{E}_0 \cos 2 \pi ( \nu_{in} + \nu_{vib} ) \mathit{t}\end{align}</math>}} となり、ここで出てきた第2項・第3項がラマン散乱光に対応する。 実際には、[[電場]]は3次元空間の[[空間ベクトル|ベクトル]]であり、分極率は6つの独立な成分を持つ2階の対称[[テンソル]]である。 ラマン散乱には[[レイリー散乱]]の振動数より低くなったストークス成分と、レイリー散乱の振動数より高くなった反ストークス(アンチ・ストークス)成分があるが、上式の第2項がストークス成分・第3項が反ストークス成分となる。 === 量子論 === [[File:RamanScattering.png|thumb|300px|ストークス・反ストークスラマン散乱過程と、レイリー散乱、赤外線吸収の各光学過程]] 量子論による描像では、入射光・ラマン散乱光の2個の光子により、[[振動準位]]が中間状態を経由して変化する。 このうち、振動基底状態から振動励起状態への遷移がストークス成分、振動励起状態から振動基底状態への遷移が反ストークス成分となる。このことから、ラマン散乱のストークス・反ストークス成分の強度比は物質が各々の[[基底状態|振動基底状態]]、[[励起状態|振動励起状態]]をとる確率の比を反映することになる。 自然放出による自発ラマン散乱の場合、[[クラマース・ハイゼンベルグの分散式|クラマス-ハイゼンベルク-ディラック(KHD)の分散式]]と[[断熱近似]]、[[Placzekの分極率近似]]より、ラマン散乱が起きる確率(もしくは強度)は、古典論における分極率テンソルの変調成分(上述のα<sub>1</sub>)に対応した量である[[ラマン散乱テンソル]]'''a'''で表される。ラマン散乱テンソル'''a'''の''σ''、''ρ''成分は次のように表される。 {{Indent|<math>\mathit{a}_{\rho \sigma} = \sum_{e \neq m , n} \left\{ \frac{\left\langle m \right| D_\sigma \left| e \right\rangle \left\langle e \right| D_\rho \left| n \right\rangle}{ E_e - E_m - E_i - i \Gamma_e} + \frac{\left\langle m \right| D_\rho \left| e \right\rangle \left\langle e \right| D_\sigma \left| n \right\rangle}{ E_e - E_n + E_i + i \Gamma_e} \right\}</math>}} ここで|m>, |n>, |e>は各々始状態、終状態、中間状態を、''E<sub>m</sub>'' 、''E<sub>n</sub>'' 、''E<sub>e</sub>'' 、''E<sub>i</sub>'' は各々始状態、終状態、中間状態のエネルギー準位と、入射光のエネルギー。また''D<sub>σ</sub>'' 、''D<sub>ρ</sub>'' は物質の双極子モーメント演算子であり、''Γ'' は共鳴条件でαの発散を防ぐために導入されたダンピング定数である。 == 共鳴ラマン散乱 == ラマン散乱の中間状態は特定の振動状態や電子状態(振電状態)ではなく、多くの状態の集合とみなされるが、入射光のエネルギー近傍に対応する電子状態が存在する場合、中間状態が特定の振電状態となり、ラマン散乱強度が著しく増大する。これを'''共鳴ラマン散乱'''と呼び、電子状態による共鳴効果を利用して元々は非常に弱いラマン信号を検出可能にする手法としても用いられている。 共鳴ラマン散乱では[[分極率近似]]が成立しない。よってラマン散乱テンソルは非対称になりうる。つまり通常ではラマン不活性であるものが、共鳴ラマン散乱では活性になりうる。 == 非線形ラマン効果 == ラマン散乱の光学過程を含む[[非線形光学]]過程として、[[誘導ラマン散乱]]、[[ラマン増幅]]、逆ラマン、[[コヒーレント・反ストークスラマン散乱(CARS)]]、[[コヒーレント・反ストークスラマン散乱(CARS)|コヒーレント・ストークスラマン散乱(CSRS)]]、[[ハイパーラマン散乱]]など<ref>{{cite news|author=高柳 正夫|author2=岡本 裕巳|doi=10.5111/bunkou.46.131|url=https://doi.org/10.5111/bunkou.46.131 |title=非線形分光法: 原理と応用 III. 非線形ラマン分光法|journal=分光研究|date=1997|volume=46|pages=131-145}}</ref>があり、非線形ラマン効果として様々な応用例がある。 === 誘導ラマン散乱とラマン増幅 === 通常のラマン散乱は「自発ラマン散乱」とも呼ばれ、ランダムな時間間隔で、入射された多数の光子のうちの一つが物質によって散乱される。 一方、「誘導ラマン散乱」はいくつかのストークス光子が既に自発ラマン散乱により生成されている(かつ何らかの理由で物質内に残っている)場合、もしくは意図的にストークス光(シグナル光)を元々の光(ポンプ光)と同時に入射している場合に生じる。このような場合、ラマン散乱レートは総計で自発的ラマン散乱のものよりも飛躍的に増加する。ポンプ光子がより高速に新たなストークス光子に変換されるのである。より多くのストークス光子が存在すれば、より速く変換が起こる。実効的には、ポンプ光の存在によりストークス光が「増幅」されるので、[[光増幅器|ラマン増幅器]]や{{仮リンク|ラマンレーザー|en|Raman laser}}に応用される。 誘導ラマン散乱は[[非線形光学]]現象であり、三次の非線形感受率 <math>\chi^{(3)}</math>を用いて記述することができる。 === 空間的コヒーレンスの必要性 === 励起光中の点 A と 点 B が互いに {{Math|''x''}} だけ離れているものとする。一般的に、励起周波数は散乱されたラマン周波数と等しくないので、対応する波長 {{Math|λ}} および {{Math|λ'}} も等しくない。したがって、位相シフト {{Math|Θ {{=}} 2π''x''(1/λ − 1/λ')}} が引き起こされる。{{Math|Θ {{=}} ''π''}} の場合、点Aと点B由来の散乱光は互いに打ち消しあい、AB方向についてのラマン散乱光は弱くなってしまう。 ここで、複数の入射光を用いてビームを交差させることで、入射光と散乱光の位相シフトが起きない方向ができることがあり(位相整合条件)、この場合非線形ラマン散乱は光ビームとして出力される。こうした非線形ラマン散乱光を効率よく得るためには、いくつかの位相整合の技法が存在する。 - 光学的に非等方な結晶中では、二つの偏光の異る光線の伝播モードに対して屈折率が異る場合がある。もし、これらのモード間で四重極(ラマン)共鳴によるエネルギー移動が存在するとき、位相は全経路にわたってコヒーレンスを保ち、エネルギーの移動も大きくなりうる。これを[[光パラメトリック増幅器]]と呼ぶ。 - うなりが現われないように、光をパルスにすることもできる。 これがインパルシブ誘導ラマン散乱 (ISRS)<ref>{{cite journal|date=Jun 1991|title=Femtosecond multiple-pulse impulsive stimulated Raman scattering spectroscopy|url=http://josab.osa.org/abstract.cfm?URI=josab-8-6-1264|journal=J. Opt. Soc. Am. B|volume=8|issue=6|pages=1264-1275|ref=harv|first1=A. M.|last1=Weiner|first2=D. E.|last2=Leaird|first3=Gary P.|last3=Wiederrecht|first4=Keith A.|last4=Nelson|doi=10.1364/JOSAB.8.001264}}</ref><ref>{{cite journal|year=1994|title=Time-resolved vibrational spectroscopy in the impulsive limit|url=https://doi.org/10.1021/cr00025a006|journal=Chemical Reviews|volume=94|issue=1|pages=157-193|ref=harv|first1=Lisa|last1=Dhar|first2=John A.|last2=Rogers|first3=Keith A.|last3=Nelson|doi=10.1021/cr00025a006}}</ref><ref>{{cite journal|year=1985|title=Femtosecond time-resolved measurements of optic phonon dephasing by impulsive stimulated raman scattering in α-perylene crystal from 20 to 300 K|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0009261485801433|journal=Chemical Physics Letters|volume=116|issue=2|pages=146-152|ref=harv|issn=0009-2614|first1=S. De|last1=Silvestri|first2=J.G.|last2=Fujimoto|first3=E.P.|last3=Ippen|first4=Edward B.|last4=Gamble|first5=Leah Ruby|last5=Williams|first6=Keith A.|last6=Nelson|doi=10.1016/0009-2614(85)80143-3}}</ref><ref>{{cite journal|date=Oct 1992|title=Excitation without demolition: Radiative excitation of ground-surface vibration by impulsive stimulated Raman scattering with damage control|url=http://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevLett.69.2172|journal=Phys. Rev. Lett.|volume=69|issue=15|pages=2172-2175|ref=harv|first1=Ronnie|last1=Kosloff|first2=Audrey Dell|last2=Hammerich|first3=David|last3=Tannor|doi=10.1103/PhysRevLett.69.2172}}</ref><ref>{{cite journal|year=1995|title=Transient Grating Optical Heterodyne Detected Impulsive Stimulated Raman Scattering in Simple Liquids|url=https://doi.org/10.1021/j100009a027|journal=The Journal of Physical Chemistry|volume=99|issue=9|pages=2684-2695|ref=harv|first1=Peter|last1=Voehringer|first2=Norbert F.|last2=Scherer|doi=10.1021/j100009a027}}</ref> であり、パルス長は関連する時定数よりも短くなくてはならない<ref>{{cite journal|date=Apr 1971|title=Analytical Descriptions of Ultrashort Optical Pulse Propagation in a Resonant Medium|url=http://link.aps.org/doi/10.1103/RevModPhys.43.99|journal=Rev. Mod. Phys.|volume=43|issue=2|pages=99-124|ref=harv|first1=G. L.|last1=Lamb|doi=10.1103/RevModPhys.43.99}}</ref>。ラマン光と入射光との干渉がうなりの出現を許すには短すぎるため、周波数シフトはおおよそ、ベストな条件でパルス長の三乗に反比例する。パルス長が長すぎると ISRS は非常に弱くなってしまうため、実験室内でこれを達成するにはフェムト秒レーザーパルスを用いる必要がある。したがって、ISRS は通常の時間的コヒーレント光の生成に使われるナノ秒パルスでは達成できない。 == 応用 == [[ラマン分光法]]は、ラマン効果を物質分析に利用する。ラマン散乱を受けた光のスペクトルはそこに存在する構成分子によって違うため、このスペクトルを調べることにより物質を同定および分析することができる。ラマン分光法は気体、液体、固体を問わず幅広い物質を分析することができる。生物や人体組織などの非常に複雑な物質<ref>{{cite news|author=Katia Moskvitch|date=27 September 2010|newspaper=BBC News|title=Painless laser device could spot early signs of disease|url=http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-11390951}}</ref>でもラマン分光法により分析することが可能である。 対象が固体の場合、ラマン散乱は高周波数のフォノンや[[マグノン]]を検知する道具として使うこともできる。 ラマン[[LIDAR]](ライダー)は、大気物理において大気の消光率の計測や水蒸気の垂直分布の計測に応用されている。 誘導ラマン遷移は捕捉イオンのエネルギー準位操作に広く応用されており、これに基いて[[量子ビット]]状態を構成することもできる。 ラマン分光法は赤外吸収スペクトルを持たない分子の結合長や結合定数の計測にも応用することができる。 [[ラマン増幅]]を応用する[[光増幅器]]も存在する。 === ラマン分光法 === {{main|ラマン分光法}} [[File:RamanSpectrum_CCl4.png|thumb|390px|四塩化炭素のラマンスペクトル。ピークの各々が特定の分子振動に対応する。]] ラマン散乱光の振動数と入射光の振動数の差(ラマンシフト)は物質の構造に特有の値をとることから、ラマン効果は赤外分光法と同様に分子の構造や状態を知るための非破壊分析法として利用されている。ラマン散乱と赤外線吸収の選択則は異なるため、[[赤外分光法]]とは相補的関係にある。しかし赤外分光法によって得られるのは吸収スペクトルであり、ラマン分光法で得られるのは散乱スペクトルであるので本質的に考え方は異なる。 現代では、光源として単色光である[[レーザー]]光を物質に照射して、発生したラマン散乱光を[[分光器]]、もしくは干渉計で検出することでラマンスペクトルを得ることができる。通常、ラマンスペクトルは縦軸にラマン散乱強度、横軸にラマンシフト([[波数]]、単位は通常cm<sup>-1</sup>)をとったグラフとなる。 === 超連続スペクトルの生成 === 高強度連続波(CW)レーザーの場合、SRS を用いてスペクトルを広帯域化することができる。この過程は、二つの入射フォトンの周波数が等しく、[[フォノン]]のエネルギー分だけ放射スペクトルが入射フォトンのものから二つのバンドに分かれているような、{{仮リンク|四光波混合|en|Four-wave mixing}}過程の特殊な場合と見ることができる。最初のラマンスペクトルは自発放射により生じ、その後増幅されていく。長い光ファイバー内を高いポンプレベルに保つことで、生じたラマンスペクトルを新たな出発点として高次のラマンスペクトルが生じていき、連鎖的に振幅を減じながらスペクトルが拡がっていく。最初の自発放射過程に起因する固有ノイズの不利は、最初のスペクトルに種を混入させたり、フィードバックループを共鳴器のように用いて過程を安定化することにより克服することができる。この技術は急速に進歩している[[ファイバーレーザー]]分野に適しており、ブロードバンド通信や撮像法における横コヒーレント高強度光源への需要のため、近い未来にラマン増幅およびスペクトル生成の幅広い応用が期待される。 == 出典 == {{Reflist}} == 参考文献 == * {{Cite journal|author=C. V. Raman|author2=K. S. Krishnan|authorlink=チャンドラセカール・ラマン|url=http://www.nature.com/physics/looking-back/raman/index.html|title=A New Type of Secondary Radiation|journal=[[ネイチャー|Nature]]|date=1928|volume=121|pages=501-502}} * {{Cite book|和書|author=水島三一郎|author2=島内武彦|authorlink=水島三一郎|title=赤外線吸収とラマン効果|publisher=共立全書|date=1958|isbn=432000129X}} * {{Cite book|和書|editor=[[浜口宏夫]]、平川暁子編|title=ラマン分光法|publisher=学会出版センター|date=1988|isbn=4762215686}} * {{Cite book|和書|editor=[[日本化学会]]編|edition=第5版|title=実験化学講座 9|chapter=物質の構造Ⅰ 分光|publisher=[[丸善]]|date=2005|isbn=4621073087}} * {{Cite book|和書|author=田隅三生|author2=浜口宏夫|authorlink=田隅三生|authorlink2=浜口宏夫|title=ラマン分光の基礎}} * {{Cite journal|和書|title=赤外・ラマン・振動[I]|journal=化学の領域 増刊|issue=139|editor=[[坪井正道]]・田中誠之・[[田隅三生]]|publisher=[[南江堂]]|pages=19-30|date=1983}} * {{Cite book|和書|author=浜口宏夫、岩田耕一編著|title=ラマン分光法|publisher=講談社|date=2015|isbn=978-4061569010}} == 関連項目 == * [[分光学]] * [[構造化学]] * [[赤外分光法]] * [[電子準位]] * [[振動準位]] * [[回転準位]] * [[散乱]] * [[ブリルアン散乱]] * [[非線形光学]] * [[光増幅器]] * {{仮リンク|表面分析手法の一覧|en|List of surface analysis methods}} * {{仮リンク|ラマンレーザー|en|Raman laser}} * [[ラマン分光法]] * [[表面増強ラマン分光法]] (SERS) * {{仮リンク|逆ラマン効果|en|Inverse Raman effect}} * {{仮リンク|共鳴ラマン分光法|en|Resonance Raman spectroscopy}} (RR) * {{仮リンク|コヒーレント反ストークスラマン分光法|en|Coherent anti-Stokes Raman spectroscopy}} (CARS) * {{仮リンク|脱分極比|en|Depolarization ratio}} == 外部リンク == * [http://hamalab.com/basic/RamanTheory.html ラマン散乱の古典論と量子論] * [http://www.horiba.com/jp/scientific/products-jp/raman-spectroscopy/about-raman/1/ ラマンのすべて] * [http://www.nanophoton.jp/raman/feature.html ラマン効果とは] * [http://www.incom.co.jp/company/?Command=Costom&id=7 ラマンアプリケーション] * {{Kotobank|ラマン散乱|2=法則の辞典}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:らまんこうか}} [[Category:光学]] [[Category:散乱]] [[Category:物理化学の現象]] [[Category:物理学のエポニム]]
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