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'''リープ・フロッグ法'''は、[[微分方程式]]の[[数値積分|数値積分法]] ([[常微分方程式の数値解法]]) の一種、2次の[[シンプレクティック数値積分法]]である<ref>{{Cite web|和書 |url=https://www.cfca.nao.ac.jp/~cfca/hpc/muv/text/note.pdf |title=N体シミュレーション啓蟄の学校教科書 |author=牧野淳一郎, 福重俊幸, 小久保英一郎, 川井敦, 台坂博, 杉本大一郎 |publisher=国立天文台 |page=48-56 |date=2007.3.13 |accessdate=2020-05-24 }}</ref>。リープ・フロッグ法は、 : <math>\ddot{x}=\frac{d^2x}{dt^2}=F(x)</math> または : <math>\dot{v}=\frac{dv}{dt}=F(x),\quad \dot{x}=\frac{dx}{dt}=v</math> という形式の微分方程式を解く際に用いられ、特に、[[古典力学]]における[[力学系]]の計算で重要である。 リープ・フロッグ法における時間積分は、互いの上を蛙跳び (Leap-frog) するように位置 <math>x(t)</math> と速度 <math>v(t)=\dot{x}(t)</math> をずらして時間発展させるのが特徴である。リープ・フロッグ法は、[[オイラー法]]が一次精度であるのとは対照的に、二次精度の数値積分法である。また、オイラー法とは異なり、時間幅が定数 <math>\Delta t</math> でありなおかつ <math>\Delta t\leq 2/\omega </math> なる周期運動で安定となる<ref>C. K. Birdsall and A. B. Langdon, ''Plasma Physics via Computer Simulations'', McGraw-Hill Book Company, 1985, p. 56.</ref>。 リープ・フロッグ法では、以下の式で位置と速度を更新する。 : <math>\begin{align} x_i&=x_{i-1}+v_{i-1/2}\Delta t,\\ a_i&=F(x_i),\\ v_{i+1/2}&=v_{i-1/2}+a_i\Delta t. \end{align}</math> ここで、<math>x_i</math> は <math>i</math> ステップ目での位置で、<math>v_{i+1/2}</math> は <math>i+1/2</math> ステップ目の速度、<math>a_i</math> は <math>i</math> ステップ目の加速度である。<math>\Delta t</math> は時間ステップの大きさである。これらの式は、半整数ステップを消去することによって以下のような整数ステップのみの式で表現することができる<ref>[http://www.artcompsci.org/vol_1/v1_web/node34.html 4.1 Two Ways to Write the Leapfrog]</ref>。 : <math>\begin{align} x_{i+1}&=x_i+v_i\Delta t+\frac{1}{2}a_i\Delta t^2,\\ v_{i+1}&=v_i+\frac{1}{2}(a_i+a_{i+1})\Delta t. \end{align}</math> ただし、この形式では、時間ステップ <math>\Delta t</math> が一定値でない限り安定ではない<ref>Skeel, R. D., "Variable Step Size Destabilizes the Stömer/Leapfrog/Verlet Method", [[:en:BIT Numerical Mathematics]], Vol. 33, 1993, p. 172–175.</ref>。 リープ・フロッグ法は、加速度が速度に非依存である、[[多体問題|重力計算]]に用いられることが多い<ref name="BinneyTremaine2008">{{Cite book |last = Binney |first = James |last2 = Tremaine |first2 = Scott |year = 2008 |title = Galactic Dynamics |page = 200 |edition = Second |publisher = Princeton University Press |isbn = 978-0-691-13027-9 }}</ref>。なお、重力計算には[[ルンゲ=クッタ法|ルンゲ・クッタ法]]のような高次精度の数値積分法もよく用いられている。 力学系のシミュレーションに際して、リープ・フロッグ法にはいくつか利点がある。一つ目は、[[時間可逆性]]である。これは、<math>n</math> 段時間積分したのち、時間を逆向きに <math>n</math> 段数値積分すると、初期位置に戻るという性質である。二つ目は、[[シンプレクティック性]]であり、これはエネルギー保存性を意味している。この性質は、軌道力学において有用である。4次ルンゲ・クッタ法のような他の多くの数値積分法は、エネルギーが保存せず、時間とともに誤差がどんどん増大してしまう。時間可逆性やシンプレクティック性から、リープ・フロッグ法は[[ハミルトニアン・モンテカルロ法]]にも用いられている。ハミルトン・モンテカルロ法は、直接サンプリングが困難な確率分布からランダムサンプルを得るための手法である<ref>{{Cite book|last=Bishop|first=Christopher|title=Pattern Recognition and Machine Learning|year=2006|publisher=[[Springer-Verlag]]|ISBN=978-0-387-31073-2|pages=548–554|location=New York}}</ref>。 == 関連項目 == * [[オイラー法]] * [[ルンゲ=クッタ法|ルンゲ・クッタ法]] * [[ハミルトン力学]] * [[多体問題]] * [[N体シミュレーション]] * [[シンプレクティック数値積分法]] == 参考文献 == {{Reflist}} [[Category:数値微分方程式]] [[Category:解析学]] [[Category:数値解析]] [[Category:ハミルトン力学]] [[Category:天体力学]] {{デフォルトソート:りいふふろつくほう}}
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