ルーマのソースを表示

[[映像信号]]において、'''ルーマ'''は画像の明るさを表す（「白黒」ないし無彩色の部分）。
ルーマは通常、[[彩度|クロマ]]と組み合わされる。
ルーマは[[灰色|無彩色]]画像を表し、クロマが[[色]]情報を表している。R'G'B'信号源（3CCDカメラの出力など）をルーマとクロマに変換すると、ヒトの視覚は色の違いよりも輝度（白黒）の違いに対してより細かい空間感覚を有しているので、[[クロマ・サブサンプリング]]が可能となり、ビデオシステムは色差情報を低解像度で保存および送信でき、所定の帯域で知覚できるディティールを最適化できる。

== ルーマ対相対輝度 == 

{|class="floatright" cellpadding="3" style="border: 1px solid black; max-width: 50%;"
|-
| style="background-color:#ff93ff;color:#000;"| 255, 147, 255 || style="background-color:#ffaaaa;color:#000;"| 255, 170, 170 || style="background-color:#d3d300;color:#000;"| 211, 211, 0 || 
|-
| style="background-color:#c0c0ff;color:#000;"| 192, 192, 255 || style="background-color:#c8c8c8;color:#000;"| 200, 200, 200|| style="background-color:#7af400;color:#000;"| 122, 244, 0 ||
|-
| style="background-color:#00ebeb;color:#000;"| 0, 235, 235 || style="background-color:#00fa7d;color:#000;"| 0, 250, 125 || style="background-color:#00ff00;color:#000;"| 0, 255, 0 ||
|-
| colspan="3" style="text-align: center;" | 2.2の[[ガンマ補正]]に'''NTSC（1953年）'''の原色を使用し、最も明るい原色（緑）と同じ相対輝度となるサンプル色のRGB値
|}

{|class="floatright" cellpadding="3" style="border: 1px solid black; max-width: 50%;"
|-
| style="background-color:#ffcbff;color:#000;"| 255, 203, 255 || style="background-color:#ffd0d0;color:#000;"| 255, 208, 208 || style="background-color:#e3e300;color:#000;"| 227, 227,0 || 
|-
| style="background-color:#d8d8ff;color:#000;"| 216, 216, 255 || style="background-color:#dbdbdb;color:#000;"| 219, 219, 219|| style="background-color:#7cf800;color:#000;"| 124, 248, 0 ||
|-
| style="background-color:#00f4f4;color:#000;"| 0, 244, 244 || style="background-color:#00fc7e;color:#000;"| 0, 252, 126 || style="background-color:#00ff00;color:#000;"| 0, 255, 0 ||
|-
| colspan="3" style="text-align: center;" | 2.2の[[ガンマ補正]]に'''BT. 709'''の原色を使用し、最も明るい原色（緑）と同じ相対輝度となるサンプル色のRGB値
|}

ルーマはカラービデオのガンマ圧縮されたR'G'B'成分の加重和である（[[プライム|プライム記号]] ' は[[ガンマ補正|ガンマ圧縮]]を示す）。この用語はビデオ技術で使用されている輝度と、色彩科学で使用されている[[相対輝度]]（[[国際照明委員会|CIE]]によって定義されている）の混同を防止するために提案された。相対輝度はガンマ圧縮されていない「線形な」RGB成分の加重和で形成される。それでも、ルーマは誤って輝度と呼ばれることがある<ref>Charles Poynton, "YUV and luminance considered harmful: a plea for precise terminology in video," [http://www.poynton.com/PDFs/YUV_and_luminance_harmful.pdf PDF]</ref>。[[SMPTE]] EG 28は、ルーマを表すためには記号Y'を、相対輝度を表すためには記号Yを推奨している<ref>Engineering Guideline EG 28, "Annotated Glossary of Essential Terms for Electronic Production," SMPTE, 1993.</ref>。

=== 相対輝度の使用 ===
映像工学の分野では、モニターの明るさを表現する際に「ルーマ」のほかに相対輝度が用いられることがある。相対輝度の計算式ではCIEカラーマッチング関数と、赤、緑、青の標準色度（[[NTSC]]の原色、SMPTE C、[[Rec. 709]]など）に基づいた係数を使用する。Rec. 709（およびsRGB）の原色の場合、純粋な測色学的考察と、相対輝度の定義に基づいた線形結合は次式で表される：
: <math>Y = 0.2126 R + 0.7152 G + 0.0722 B</math>

Rec. 709仕様のルーマの計算式では、ガンマ圧縮された色成分を用いて、この同じ係数を使用している：
: <math>Y' = 0.2126 R' + 0.7152 G' + 0.0722 B',</math>
ここで[[プライム|プライム記号]] ' は[[ガンマ補正|ガンマ圧縮]]されていることを示す。

== Rec. 601のルーマ対Rec. 701のルーマの係数 ==

{|class="floatright" cellpadding="3" style="border: 1px solid black; color: #ffffff; max-width: 50%;"
|-
| style="background-color:#9e004f"| 158, 0, 79 || style="background-color:#a50000"| 165, 0, 0 || style="background-color:#8c4600"| 140, 70, 0 || 
|-
| style="background-color:#8e008e"| 142, 0, 142 || style="background-color:#5f5f5f" rowspan="3" | 95, 95, 95 || style="background-color:#646400"| 100, 100, 0 ||
|-
| style="background-color:#6800d0"| 104, 0, 208 || style="background-color:#3a7400"| 58, 116, 0 ||
|-
| style="background-color:#0000ff"| 0, 0, 255 || style="background-color:#007700"| 0, 119, 0 ||
|-
| style="background-color:#005bb6"| 0,91,182 || style="background-color:#007070"| 0, 112, 112 || style="background-color:#00763b"| 0, 118, 59 ||
|-
| colspan="3" style="text-align: center;" | <span style="color:black"> 2.2の[[ガンマ補正]]に'''NTSC (1953)'''の原色を使用し、<span style="color:blue">最も暗い原色（青）</span>と同じ相対輝度となるサンプル色のRGB値</span>
|}

{|class="floatright" cellpadding="3" style="border: 1px solid black; color: #ffffff;  max-width: 50%;"
|-
| style="background-color:#98004c"| 152, 0, 76 || style="background-color:#9c0000"| 156, 0, 0 || style="background-color:#7a3d00"| 122, 61, 0 ||
|-
| style="background-color:#890089"| 137, 0, 137 || style="background-color:#4d4d4d" rowspan="3"| 77, 77, 77 || style="background-color:#505000"| 80, 80, 0 ||
|-
| style="background-color:#6600cc"| 102, 0, 204 || style="background-color:#2c5800"| 44, 88, 0 ||
|-
| style="background-color:#0000ff"| 0, 0, 255 || style="background-color:#005a00"| 0, 90, 0 ||
|-
| style="background-color:#004c98"| 0, 76, 152 || style="background-color:#005656"| 0, 86, 86 || style="background-color:#005a2d"| 0, 90, 45 ||
|-
| colspan="3" style="text-align: center;" | <span style="color:black"> 2.2の[[ガンマ補正]]に'''BT. 709'''の原色を使用し、<span style="color:blue">最も暗い原色（青）</span>と同じ相対輝度となるサンプル色のRGB値</span>
|}

'''[[Rec. 601|CCIR 601]]'''に準拠したディジタル形式（つまり、ほとんどのディジタル標準画質映像）では、ルーマは次式で得られる：

:<math> Y'_\text{601} = 0.299 R' + 0.587 G' + 0.114 B'</math>

[[ITU-R]]勧告'''BT. 709'''に準拠した形式では異なる数式を使用する：

:<math> Y'_\text{709} = 0.2126 R' + 0.7152 G' + 0.0722 B'</math>

最新の[[HDTV]]システムは709の係数を使用しているが、移行期の1035i HDTV形式ではSMPTE 240Mの係数を使用している場合がある：

:<math> Y'_\text{240} = 0.212 R' + 0.701 G' + 0.087 B' = Y'_\text{145}</math>

これらの係数は、規格策定時に使用されていてSMPTE RP 145（「SMPTE C」とも呼ばれる）の原色に対応している<ref>Charles A. Poynton, ''Digital Video and HDTV: Algorithms and Interfaces'', Morgan–Kaufmann, 2003. [https://books.google.com/books?vid=ISBN1558607927&id=ra1lcAwgvq4C&pg=PA289&lpg=PA289&dq=luma+luminance+709+601&sig=HXmxZa35yf3Zqj_Eb4PIlrU10Fo online]</ref>。

ルーマ係数の変更は、赤、緑、青の各原色に対応する標準的な色度（「色」）を反映した「理論的に正しい」係数を提供するためである。しかしながら、この判断には賛否両論がある<ref>[http://poynton.com/papers/SMPTE_98_YYZ_Luma/index.html Luminance, luma, and the migration to DTV]</ref>。Rec. 601とRec. 709の間で正確な色を表示するために、ルーマ係数が違うことからコンポーネント信号を相互に変換する必要がある。民生機器では（コスト削減のために）この変換に必要なマトリクス回路が省略されている場合があり、その結果として色が不正確になっている。

また、Rec. 709のルーマ係数が必ずしも性能が良いとは限らない。ルーマと相対輝度の違いにより、ルーマは画像の輝度を正確に表現していない。その結果、クロマの誤差が輝度に影響を与えることがある。ルーマ単独では輝度を完全に表すことができず、輝度を正確に表現するためには正確なルーマとクロマが必要である。したがって、クロマのエラーは画像の輝度に影響する。

[[クロマ・サブサンプリング]]が広く使用されているため、通常、解像度/帯域幅を下げるとクロマの誤差が発生する。この帯域幅の低下と、高周波のクロマ成分が相まって輝度に目に見えるエラーが発生する。高周波のクロマ成分の例としては、[[カラーバー#SMPTEカラーバー|SMPTEカラーバー]]テストパターンの緑のバーとマゼンタのバーの間のラインが挙げられる。輝度の誤差が、この部分に発生するダークバンドとして観察される<ref>[http://poynton.com/notes/video/Constant_luminance.html Constant Luminance]</ref>。

== 関連項目 ==
* [[クロマ・サブサンプリング]]
* [[彩度|クロマ]]
* [[ガンマ補正]]

== 脚注 ==
{{reflist}}


{{DEFAULTSORT:るうま}}
[[Category:色]]
[[Category:映像技術]]