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[[ファイル:4LemonCircuit.jpg|250px|thumb|right|レモン電池による電流の発生]] '''レモン電池'''(レモンでんち)は[[レモン]]の果実に[[亜鉛]]板と[[銅]]板を差し込んで作る簡易な[[電池]]である。 [[ボルタ電池]]と同様の原理であり、銅板と亜鉛板が[[電極]]、レモンに含まれている果汁が[[電解液]]となって[[電力]]を発生する。レモン以外に[[ウンシュウミカン|みかん]]、[[グレープフルーツ]]など他の果実を使って実験することも可能で、'''果物電池'''(くだものでんち)または'''フルーツ電池'''とも呼ばれる。[[ジャガイモ]]を使った'''ジャガイモ電池'''も原理は同様である。また、銅・亜鉛以外の金属を電極として使うこともできる。 子供向けの科学実験の題材としてよく用いられる。 == レモン電池の実験方法 == [[ファイル:Lemon Battery With LED V2.svg|150px|thumb|right|レモンに亜鉛板(灰色)と銅板(黄色)各1枚を差し込んで作ったレモン電池3個を直列接続し、[[発光ダイオード|LED]]を接続して点灯させた図]] 実験には以下のものが使用される。 * レモン - [[電解質]]となる。他の果物や野菜、ジャガイモなど、様々な食品を使うことが可能。 * 銅板 - 正極となる。銅貨でも代用可能。 * 亜鉛板 - 負極となる。[[トタン]]板や亜鉛めっき釘などでも代用可能。入手しやすい[[アルミニウム]]板やアルミニウム貨を使う例もみられる。 * [[リード線]] * [[発光ダイオード|LED]](あるいは電子オルゴール、小型デジタル時計、[[回路計|テスター]]など) - 電池の電力で作動する機器。 レモンに銅板・亜鉛板を1枚ずつ差し込んでレモン電池を作り、LEDの陽極と銅板、陰極と亜鉛板をそれぞれリード線で接続する。レモン電池1個では[[起電力]]が十分でなくLEDが点灯しない場合、右図のように複数のレモン電池を直列接続する。 上記のレモン以外の実験道具一式を同梱した実験用キットが販売されている。 == 発生する化学反応 == [[ファイル:ZnCuVoltaicCell.svg|150px|thumb|right|硫酸電解液を用いた銅/亜鉛電池の断面図。図面は化学反応の原子モデルを示す。レモン電池は本質的に同じモデルを有する。]] 負極に亜鉛、正極に銅を使用した場合は[[ボルタ電池]]と同様に、以下のような[[反応式]]で表される。 : 負極:<chem>Zn -> Zn^2+\ + 2\mathit{e}^-</chem> : 正極:<chem>2H^+\ + 2\mathit{e}^- -> H2</chem> 亜鉛原子は2個の[[電子]]を放出して亜鉛イオン (Zn<sup>2+</sup>)となり、レモン果汁など食品中の電解質に入る。溶解した亜鉛原子からの2つの負に帯電した電子が亜鉛金属中に残る。酸性電解液中の2つの溶解したプロトン(H<sup>+</sup>)は互いに結合して水素分子(H<sub>2</sub>)となり、銅電極から水素の気泡となって放出される。 == レモン以外の材料による電池 == [[ファイル:Potato-Battery-5495.jpg|250px|thumb|right|ジャガイモ電池の例。左側の - 印の部分にある電極は亜鉛めっきねじを差し込んだ負極。右側の + 印の部分にある電極は銅線を差し込んだ正極。]] 多くの果物や液体を酸性電解質として使うことができる。レモン、みかん、グレープフルーツなどの[[柑橘類]]には[[クエン酸]]が含まれている。その酸性度 ([[水素イオン指数|pH]]) は様々である。 [[ジャガイモ]]には[[リン酸]]が含まれており、リン酸が電解質となり電池となる。電力のない地域でLED照明を付けたジャガイモ電池を使うことが提案されている。[[ヘブライ大学]]のラビノヴィッチ教授は、1個のジャガイモを8分間茹でたあと4つまたは5つに切り、それぞれに銅電極と亜鉛電極を差し込み直列に接続してLEDに電力を供給する実験を行い、40日間にわたってLEDを点灯させることができたことを発表した<ref name="Kalan">{{Cite web | last = Kalan | first = Jonathan | title = Potato power: the spuds that could light the world | work = BBC - Future - Technology | language = 英語 | accessdate = 2017-01-06 | url = http://www.bbc.com/future/story/20131112-potato-power-to-light-the-world }}</ref>。ジャガイモを茹でることで、ジャガイモの内部の有機組織を分解して抵抗を減らし、電子がより自由に動くことができるようになるという<ref name="Kalan" />。 また、[[キャラニア大学]]のジャヤスリヤ教授の研究チームは、[[プランテン]]の茎を煮沸して切り刻んで実験を行い、乾燥が防止されていれば500時間以上にわたってLEDを点灯させることができることを発見している<ref name="Kalan" />。 ほかに、[[野菜]]で実験を行うこともできる。[[酢|食酢]]などの液体を容器に入れて電極を浸し、電解液として使うこともできる。 使った食品によって電池の[[起電力]]は異なる。同じ食品でも、銅や亜鉛以外の金属を電極として使った場合、銅/亜鉛とは[[イオン化傾向]]の差が異なるため、起電力が異なる。たとえば亜鉛の代わりに亜鉛よりもイオン化傾向の大きい[[マグネシウム]]を負極として使い銅/マグネシウムの電池とした場合、銅/亜鉛の電池よりも起電力は高くなる。 == 各種作品での登場例 == * ゲーム『[[Portal 2|ポータル2]]』に登場する。[[GLaDOS]]がジャガイモ電池に取り付けられる<ref>{{cite web|last1=Noble|first1=Mckinley|title=Portal 2 Science Kit Has Talking, Evil Potato GLaDOS|url=http://www.techhive.com/article/246545/portal_2_science_kit_has_talking_evil_potato_glados.html|website=techhive|language=英語|accessdate=2017-01-06|date=2011-12-19}}</ref>。 == 脚注 == <references /> == 参考文献 == * {{PDFlink|[http://www.tohoku-epco.co.jp/kids/pdf/jikken_fruit.pdf フルーツ電池]}} - 東北電力 * {{PDFlink|[https://www.jpower.co.jp/plus/pdf/contents03.pdf 食べ物で発電!?]}} - ぷらすまいなす VOL 03、[[電源開発]]、2004年。 * {{Cite journal|和書|author=植島雄飛, 原口豊史, 星野由雅 |date=2009-03 |url=https://hdl.handle.net/10069/25924 |title=電池の仕組み |journal=教育実践総合センター紀要 |publisher=長崎大学教育学部 附属教育実践総合センター |volume=8 |pages=253-255 |hdl=10069/25924 |id={{CRID|1050287297274729984}} |ref=harv}} * [http://ascii.jp/elem/000/000/800/800329/ 果物電池の最強は何だ!? 限界に挑戦] - 藤山哲人、ASCII.jp、2013年6月18日-6月20日 == 関連項目 == * [[アレッサンドロ・ボルタ]] ** [[ボルタ電池]] * [[ガルバニ電池]] {{リダイレクトの所属カテゴリ | redirect = ジャガイモ電池 | 1 = 電池 | 2 = ジャガイモ }} {{DEFAULTSORT:れもんてんち}} [[Category:電池]] [[Category:レモン]]
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