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[[ファイル:Varignon_parallelogram_convex.svg|サムネイル|300x300ピクセル|''四角形EFGHの面積は四角形ABCDの半分の面積と等しい''。]] [[ユークリッド幾何学]]において、'''ヴァリニョンの定理'''<ref>{{Cite journal|和書|journal=学芸大数学教育研究|first1=亮太|last1=佐藤|year=2011|title=四面体の辺の中点を結んでできる図形について|issue=23|pages=41-48|last2=今野|first2=雅典|last3=細矢|first3=和博|last4=高橋|first4=均|last5=清水|first5=宏幸|last6=吉原|first6=史朗|last7=吉川|first7=行雄|last8=半田|first8=進|last9=太田|first9=伸也}}</ref>(ヴァリニョンのていり、{{Lang-en-short|Varignon's theorem}})とは、任意の[[四角形]]の辺の[[中点]]を結んでできた四角形が[[平行四辺形]]になるという定理である。この平行四辺形は'''ヴァリニョンの平行四辺形'''と呼ばれている。1731年に証明を公表した [[ピエール・ヴァリニョン]]にちなむ<ref>Peter N. Oliver: ''[https://maa.org/sites/default/files/images/upload_library/46/NCTM/mt2001-Varignon1.pdf Pierre Varignon and the Parallelogram Theorem]''. Mathematics Teacher, Band 94, Nr. 4, April 2001, pp. 316-319</ref>。 == 定理 == 任意の[[四角形]]の辺の[[中点]]を結んでできた四角形は[[平行四辺形]]になる。[[凸多角形|凸]]または[[凹多角形|凹]]四角形の場合、すなわち自己交叉しない場合、その平行四辺形の[[面積]]はもとの四角形の半分の面積である。 [[多角形]]に符号付き面積を導入すれば自己交叉する四角形においても、同様のことが成立する。<ref name="Coxeter">[[ハロルド・スコット・マクドナルド・コクセター|Coxeter, H. S. M.]] and Greitzer, S. L. "Quadrangle; Varignon's theorem" §3.1 in Geometry Revisited. Washington, DC: Math. Assoc. Amer., pp. 52–54, 1967.</ref> ヴァリニョンの平行四辺形はどのような[[四角形|斜四角形]]にも存在する。 またヴァリニョンの定理は任意の多角形に一般化することができる。 == 証明 == 四角形ABCDについてAB,BC,CD,DAの中点をそれぞれE,F,G,Hとする。 [[三角形]]''ADC''と''HDG''は[[中点連結定理]]より相似で、''HG'' と''ACは[[平行]]である。同様に、EFとACも平行であるので、HGとEFは平行である。同じようにして、HEとGFは平行であるので四角形EFGHは平行四辺形である。'' ヴァリニョンの定理は、線形結合を係数の和が1になるように調整した線形代数を用いて、[[アフィン幾何学]]の定理として証明することもできる。 この証明は、あらゆる次元の空間における斜四角形にも適用できる。 任意の3点''E'',''F'',''G''と''E-F+G''は平行四辺形を構成するが、''E-F+G=(A+B)/2−(B+C)/2+(C+D)/2 =(A+D)/2=Hより、E,F,G,Hは平行四辺形をなす。''これより、四点A,B,C,Dの[[幾何中心]]はヴァリニョンの平行四辺形の対角線の交点に等しい。 元の四角形の各辺の1/2の大きさのベクトルを用いて、元の四角形の面積を求め、ヴァリニョンの平行四辺形の各辺で分割された4つの三角形の面積を求めることができる。 {| class="wikitable" !凸四角形 !凹四角形 !自己交叉する四角形 |- | [[ファイル:Varignon_parallelogram_convex.svg|300x300ピクセル]] | [[ファイル:Varignon_parallelogram_nonconvex.svg|300x300ピクセル]] | [[ファイル:Varignon_parallelogram_crossed.svg|300x300ピクセル]] |} [[ファイル:Varignon_parallelogram.svg|サムネイル|数式を用いない証明{{Ordered list|元の四角形とその対角線|青い三角形の底辺は1の青い対角線と平行である。|赤い対角線についても同様である。|4つの底辺は平行四辺形を成す。}}]] == ヴァリニョンの平行四辺形 == === 性質 === ヴァリニョンの平行四辺形は以下の性質を持つ。 * ヴァリニョンの平行四辺形の各辺は元の四角形の対応する対角線に平行である。 * ヴァリニョンの平行四辺形の各辺は元の四角形の平行な対角線の半分の長さを持つ。 * 元の四角形が[[凸多角形|凸]]または[[凹多角形|凹]]四角形の場合、ヴァリニョンの平行四辺形の面積は元の四角形の半分の面積に等しい。自己交叉する四角形の場合、それが成す二つの四角形の差を面積として定義することで満たすようになる<ref name="Coxeter" />。 * 元の三角形の対角線の長さの和はヴァリニョンの平行四辺形の[[周長]]と等しい。 * 四角形の対角線の中点とヴァリニョンの平行四辺形の対角線の中点は共線であるこの線は[[ニュートン線]]と呼ばれる<ref name="Altshiller-Court">Altshiller-Court, Nathan, ''College Geometry'', Dover Publ., 2007.</ref>。 凸四角形の辺の長さをそれぞれ''a'', ''b'', ''c,'' ''d、対角線の長さをそれぞれp, qとし、aとcの中点を結んだ直線の長さは以下の様に与えられる''<ref>[http://www.artofproblemsolving.com/Forum/viewtopic.php?t=363253 Mateescu Constantin, Answer to ''Inequality Of Diagonal'']</ref>''。'' : <math>m=\tfrac{1}{2}\sqrt{-a^2+b^2-c^2+d^2+p^2+q^2}</math> ''bとdの中点を結んだ直線の長さは以下の様に与えられる。'' : <math>n=\tfrac{1}{2}\sqrt{a^2-b^2+c^2-d^2+p^2+q^2}.</math> したがって以下が成り立つ。 : <math>\displaystyle p^2+q^2=2(m^2+n^2).</math> これは[[中線定理]]の系である。 対角線の長さは、対角線の中点間の距離''x''で表すこともできる。これは[[オイラーの四辺形定理]]と呼ばれる<ref>{{Citation|title=The Area of a Bicentric Quadrilateral|last=Josefsson|first=Martin|year=2011|url=http://forumgeom.fau.edu/FG2011volume11/FG201116.pdf|journal=Forum Geometricorum|volume=11|pages=155–164}}.</ref>。 : <math>m=\tfrac{1}{2}\sqrt{2(b^2+d^2)-4x^2}</math> : <math>n=\tfrac{1}{2}\sqrt{2(a^2+c^2)-4x^2}.</math> 凸四角形において, 対辺の中点を結んだ直線と対角線は [[双対]] の関係にある<ref name="Josefsson">{{Citation|title=Characterizations of Orthodiagonal Quadrilaterals|last=Josefsson|first=Martin|year=2012|url=http://forumgeom.fau.edu/FG2012volume12/FG201202.pdf|journal=Forum Geometricorum|volume=12|pages=13–25}}.</ref>。 * 二つの対角線が[[直交]]することと、二つの対辺の中点を結んだ直線の長さは等しいことは[[同値]]である。 * 二つの対辺の中点を結んだ直線が[[直交]]することと、二つの対角線の長さは等しいことは[[同値]]である。 === 特別な場合 === 元の四角形の2つの対角線の長さが等しいこととヴァリニョンの平行四辺形が[[ひし形]]であることは同値である<ref name="deV">{{Citation|title=Some Adventures in Euclidean Geometry|last=de Villiers|first=Michael|year=2009|url=https://books.google.com/books?id=R7uCEqwsN40C&pg=PA58|publisher=Dynamic Mathematics Learning|page=58|isbn=9780557102952}}</ref>。 元の四角形の2つの対角線が直交する、つまり[[直交対角線四角形]]であることとヴァリニョンの平行四辺形が[[長方形]]であることは同値である<ref name="Josefsson" /><ref name="deV" />。 == 関連項目 == * [[モーリーの定理]] == 出典 == <references /> == 関連 == * H. S. M. Coxeter, S. L. Greitzer: ''Geometry Revisited''. MAA, Washington 1967, pp. 52-54 * Peter N. Oliver: [http://www.maa.org/sites/default/files/images/upload_library/46/NCTM/mt2001-Varignon1.pdf ''Consequences of Varignon Parallelogram Theorem'']. Mathematics Teacher, Band 94, Nr. 5, Mai 2001, pp. 406-408 == 外部リンク == * <templatestyles src="Module:Citation/CS1/styles.css"></templatestyles>{{MathWorld|urlname=VarignonsTheorem|title=Varignon's theorem}} * [http://www.vias.org/comp_geometry/geom_quad_varignon.html Varignon Parallelogram in Compendium Geometry] * [http://dynamicmathematicslearning.com/octagoncentroids.html A generalization of Varignon's theorem to 2n-gons and to 3D] at [http://dynamicmathematicslearning.com/JavaGSPLinks.htm Dynamic Geometry Sketches], interactive dynamic geometry sketches. * [http://www.cut-the-knot.org/Curriculum/Geometry/Varignon.shtml Varignon parallelogram] at cut-the-knot-org {{デフォルトソート:うありによんのていり}} [[Category:ユークリッド幾何学]] [[Category:四角形に関する定理]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:数学のエポニム]]
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