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<!--用語の訳語は基本的に、岩永恭雄,佐藤眞久『環と加群のホモロジー代数的理論』日本評論社,に従っています.一様加群にわざわざ移動する必要があったのかわかりませんが,一様加群という訳もあるのなら(私は未確認)ユニフォーム加群に戻さなくてもいいかもしれません.[[利用者:新規作成|新規作成]]--> [[抽象代数学]]において、加群は、任意の2つの0でない部分加群の共通部分が0でないときに'''ユニフォーム加群''' (uniform module) と呼ばれる。このことは ''M'' のすべての0でない部分加群が[[本質部分加群]]であると言っても同じである。環はそれ自身の上の右(左)加群としてユニフォームであるときに'''右(左)ユニフォーム環''' (right (left) uniform ring) と呼ばれる。 {{仮リンク|Alfred Goldie|en|Alfred Goldie}} はユニフォーム加群の概念を加群の[[次元]]のはかりかたを構成するために使った。今では加群の'''ユニフォーム次元''' (uniform dimension)(あるいは '''Goldie 次元''' (Goldie dimension) として知られている。ユニフォーム次元は[[ハメル次元|ベクトル空間の次元]]の概念の側面をすべてではないがいくつか一般化する。有限ユニフォーム次元はどの環が[[半単純環]]において[[右整環]](right order)であるかを特徴づける{{仮リンク|ゴルディーの定理|en|Goldie's theorem}}を含むいくつかの定理のための鍵となる仮定だった。有限ユニフォーム次元の加群は[[アルティン加群]]と[[ネーター加群]]の両方を一般化する。 文献によってはユニフォーム次元はまた単に'''加群の次元''' (dimension of a module) あるいは'''加群のランク''' (rank of a module) とも呼ばれる。ユニフォーム次元はこれも Goldie によるが関連した概念である加群の{{仮リンク|被約ランク|en|reduced rank}}と混同してはならない。 == ユニフォーム加群の性質と例 == ユニフォーム加群であることは通常直積や商加群で保存されない。2つの0でないユニフォーム加群の直和はつねに共通部分が0の2つの部分加群すなわち2つのもともとの成分加群を含む。''N''<sub>1</sub> と ''N''<sub>2</sub> がユニフォーム加群 ''M'' の真の部分加群でありどちらの部分加群も他方を含まなければ、<math>M/(N_1\cap N_2)</math> はユニフォーム加群でない、なぜならば :<math>N_1/(N_1\cap N_2)\cap N_2/(N_1\cap N_2)=\{0\}.</math> {{仮リンク|単列加群|en|Uniserial module}}はユニフォーム加群であり、ユニフォーム加群は直既約である必要がある。任意の可換整域はユニフォーム環である、なぜならば ''a'' と ''b'' が2つのイデアルの0でない元であれば、積 ''ab'' はイデアルの共通部分の0でない元であるからだ。 == 加群のユニフォーム次元 == 次の定理によって加群の次元をユニフォーム部分加群<ref>uniform submodule すなわち部分加群であってそれ自身がユニフォーム加群になっているようなものの意味。</ref>を使って定義することができる。それはベクトル空間の定理の加群版である。 定理: ''U''<sub>i</sub> と ''V''<sub>j</sub> が加群 ''M'' のユニフォーム部分加群の有限個の集まりの元であって <math>\oplus_{i=1}^nU_i</math> と <math>\oplus_{i=1}^mV_i</math> がともに ''M'' の[[本質部分加群]]であれば、''n'' = ''m'' である。 加群 ''M'' の'''ユニフォーム次元''' (uniform dimension) は、u.dim(''M'') と表記されるが、次のようなとき ''n'' と定義される。ユニフォーム部分加群 ''U''<sub>i</sub> の有限集合が存在して <math>\oplus_{i=1}^nU_i</math> は ''M'' の本質部分加群である。先ほどの定理によってこの ''n'' が well defined であることが保証される。もし部分加群のそのような有限集合が存在しなければ、u.dim(''M'') は ∞ と定義される。環のユニフォーム次元を話すときには、u.dim(''R''<sub>''R''</sub>) と u.dim(<sub>''R''</sub>''R'') のどちらがはかられているのかを明確にする必要がある。環のユニフォーム次元が左右で異なることはあり得る([[#環のユニフォーム次元|下記]]参照)。 ''N'' が ''M'' の部分加群であれば、u.dim(''N'') ≤ u.dim(''M'') であり、等号が成立するのはちょうど ''N'' が ''M'' の[[本質部分加群]]であるときである。とくに、''M'' とその[[移入包絡]] ''E''(''M'') はつねに同じユニフォーム次元をもつ。次のこともまた正しい。u.dim(''M'') = ''n'' であることと ''E''(''M'') は ''n'' 個の直既約[[移入加群]]の直和であることは同値である。 u.dim(''M'') = ∞ と ''M'' が 0 でない部分加群の無限直和を含むことが同値であることを示すことができる。したがって ''M'' がネーターあるいはアルティンであれば、''M'' のユニフォーム次元は有限である。''M'' が有限の[[組成列|組成長]] ''k'' をもてば、u.dim(''M'') ≤ k であり、等号成立はちょうど ''M'' が[[半単純加群]]のときである{{harv|Lam|1999}}。 標準的な結果は右ネーター整域は右{{仮リンク|オール整域|en|Ore domain}} (Ore domain) であるというものである。実は、この結果を Goldie による別の定理から導くことができる。その定理は、以下の3つの条件が整域 ''D'' に対して同値であるというものである。 *''D'' は右オール *u.dim(''D''<sub>''D''</sub>) = 1 *u.dim(''D''<sub>''D''</sub>) < ∞ == 環のユニフォーム次元 == ''R'' を関係 ''yx'' = ''y''<sup>2</sup> = 0 をもった元 ''x'' と ''y'' で生成される '''Z'''-代数とすると、これは左ネーター環だが右ネーター環でない([[ネーター環#例]]参照。)したがって上述の性質から u.dim <sub>''R''</sub>''R'' < ∞ である一方、 :<math>R\supset\mathbb{Z}y\oplus\mathbb{Z}xy\oplus\mathbb{Z}x^2y\oplus\dotsb</math> であるから ''R'' は 0 でない部分右加群の無限直和を含み u.dim ''R''<sub>''R''</sub> = ∞ である。 == ホロー加群とコユニフォーム次元 == ユニフォーム加群の[[双対]]概念は'''ホロー加群''' (hollow module) の概念である。加群 ''M'' を次のときホロー (hollow) という。''N''<sub>1</sub> と ''N''<sub>2</sub> が ''M'' の部分加群であって <math>N_1+N_2=M</math> であれば、''N''<sub>1</sub> = ''M'' であるかまたは ''N''<sub>2</sub> = ''M'' である。同値なことだが、''M'' のすべての真の部分加群は[[余剰部分加群]]であるということもできる。 これらの加群によってまたユニフォーム次元の類似物、'''コユニフォーム次元''' (co-uniform dimension)、'''コランク'''、'''余階数''' (corank)、'''ホロー次元''' (hollow dimension)、'''双対 Goldie 次元''' (dual Goldie dimension) と呼ばれるものが考えられる。ホロー加群とコユニフォーム次元の研究は {{harv|Fleury|1974}}, {{harv|Reiter|1981}}, {{harv|Takeuchi|1976}}, {{harv|Varadarajan|1979}}, {{harv|Miyashita|1966}} において行われた。読者は Fleury は Goldie 次元を双対化する異なる方法を研究したことに注意すべきである。ホロー次元の Varadarajan, Takeuchi, Reiter のバージョンはほぼ間違いなくより自然なものだ。Grzeszczuk と Puczylowski は {{harv|Grzeszczuk|Puczylowski|1984}} において加群のホロー次元が部分加群の双対{{仮リンク|加群格子|label=格子|en|Lattice (module)}}のユニフォーム次元であるような{{仮リンク|モジュラー束|en|Modular lattice}}に対するユニフォーム次元の定義を与えた。 [[有限余生成加群]]は常に有限ユニフォーム次元をもつ。これから問題が生じる。[[有限生成加群]]は有限ホロー次元をもつだろうか?答えは否定的であることがわかる。{{harv|Sarath|Varadarajan|1979}} において加群 ''M'' が有限ホロー次元をもっていれば ''M''/''J''(''M'') は[[半単純加群|半単純]][[アルティン加群]]であることが示された。''R''/''J''(''R'') が半単純アルティンでないような単位的環はたくさん存在し、そのような環 ''R'' が与えられれば、''R'' 自身は有限生成だがホロー次元は無限である。 Sarath と Varadarajan はその後 ''M''/''J''(''M'') が半単純アルティンであることはまた ''J''(''M'') が ''M'' の余剰部分加群であれば ''M'' が有限ホロー次元をもつために十分であることを示した<ref>同じ結果は {{harv|Reiter|1981}} と {{harv|Hanna|Shamsuddin|1984}} においても見つけられる</ref>。ホロー次元が左あるいは右 ''R''-加群として有限な環 ''R'' はちょうど[[半局所環]]であるということをこのことは示している。 Varadarajan の結果のさらなる系は ''R''<sub>''R''</sub> はちょうど <sub>''R''</sub>''R'' が有限ホロー次元をもつときに有限ホロー次元をもつということである。これは有限ユニフォーム次元のケースとは対照的である。環が一方の側で有限ユニフォーム次元をもつがもう一方では無限ユニフォーム次元をもつことがあるからだ。 == 脚注 == {{Reflist}} == 教科書 == *{{Citation | last1=Lam | first1=Tsit-Yuen | title=Lectures on modules and rings | publisher=[[Springer-Verlag]] | location=Berlin, New York | series=Graduate Texts in Mathematics No. 189 | isbn=978-0-387-98428-5 |mr=1653294 | year=1999}} ==一次情報源== *{{citation |author=Fleury, Patrick |title=A note on dualizing Goldie dimension |journal=Canadian Mathematical Bulletin |volume=17 |year=1974 |pages=511–517 |doi=10.4153/cmb-1974-090-0 }} *{{citation |author=Goldie, A. W. |title=The structure of prime rings under ascending chain conditions |journal=Proc. London Math. Soc. (3) |volume=8 |year=1958 |pages=589–608 |issn=0024-6115 |mr=0103206 |id=(21 \#1988)}} *{{citation |author=Goldie, A. W. |title=Semi-prime rings with maximum condition |journal=Proc. London Math. Soc. (3) |volume=10 |year=1960 |pages=201–220 |issn=0024-6115 |mr=MR0111766 |id=(22 \#2627)}} *{{citation |author1=Grezeszcuk, P |author2=Puczylowski,E |title= On Goldie and dual Goldie dimension, |journal=Journal of Pure and Applied Algebra |volume=31 |year=1984 |pages=47–55 |doi= 10.1016/0022-4049(84)90075-6}} *{{citation |author1=Hanna, A. |author2=Shamsuddin, A. |title=Duality in the category of modules. Applications, |journal=Algebra Berichte 49 |publisher=Verlag Reinhard Fischer, Munchen |year=1984}} *{{citation |author=Miyashita, Y. |title=Quasi-projective modules, perfect modules, and a theorem for modular lattices |journal=J. Fac. Sci. Hokkaido Ser. I (contd. as Hokkaido Journal of Mathematics) |volume=19 |year=1966 |pages=86–110 |mr=0213390 |id=(35 \#4254)}} *{{citation |author=Reiter, E. |title=A dual to the Goldie ascending chain condition on direct sums of submodules |journal=Bull. Calcutta Math. Soc. |volume=73 |year=1981 |pages=55–63}} *{{citation |author1=Sarath B. |author2=Varadarajan, K. |title=Dual Goldie dimension II |journal=[[Communications in Algebra]] |volume=7 |year=1979 |number=17 |pages=1885–1899 |doi=10.1080/00927877908822434}} *{{citation |author=Takeuchi, T. |title=On cofinite-dimensional modules. |journal=Hokkaido Journal of Mathematics |volume=5 |number=1 |year=1976 |pages=1–43 |issn= 0385-4035 |mr=0213390 |id=(35 \#4254) |doi=10.14492/hokmj/1381758746}} *{{citation |author=Varadarajan, K. |title=Dual Goldie dimension |journal=Comm. Algebra |volume=7 |year=1979 |number=6 |pages=565–610 |issn=0092-7872 |mr=MR524269 |id=(80d:16014) |doi=10.1080/00927877908822364}} {{DEFAULTSORT:ゆにふおおむかくん}} [[Category:加群論]] [[Category:環論]] [[Category:数学に関する記事]]
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