一様有界性のソースを表示

[[数学]]の分野における[[有界関数]]とは、[[順序集合#下界|下界]]と[[順序集合#上界|上界]]、すなわちその関数のどの値の[[絶対値]]よりも大きい定数が存在する関数のことを言うが、そのような関数の[[族 (数学)|族]]を考えた場合には、関数によってそのような定数が異なるものとなる場合がある。もしもそれら全てを抑えるような一つの定数を見つけることが出来るなら、そのような関数の族は'''一様有界'''（いちようゆうかい、{{Lang-en-short|uniform bounded}}）であると呼ばれ、そのような性質のことを'''一様有界性'''（いちようゆうかいせい、{{Lang-en-short|uniform boundedness}}）と呼ぶ。

[[関数解析学]]における{{仮リンク|一様有界性原理|en|uniform boundedness principle}}は、作用素の族が一様有界であるための十分条件を与える。

== 定義 ==
=== 実数直線および複素平面において === 
:<math>\mathcal F=\{f_i: X \to K, i \in I\}</math> 
を、<math>I</math> によって[[添字記法|添え字]]付けられている関数の族とする。ここで <math>X</math> は任意の集合で、<math>K</math> は[[実数]]あるいは[[複素数]]の集合である。<math>\mathcal F</math> が'''一様有界'''であるとは、
:<math>|f_i(x)|\leq M \qquad \forall i \in I \quad \forall x \in X </math>
を満たすようなある実数 <math>M</math> が存在することを言う。

=== 距離空間 ===
一般的な場合として <math>Y</math> を、距離 <math>d</math> を備える[[距離空間]]とする。このとき、集合
:<math>\mathcal F=\{f_i: X \to Y, i\in I\}</math> 
が'''一様有界'''であるとは、
:<math>d(f_i(x), a) \leq M \qquad \forall i \in I \quad \forall x \in X </math>
を満たすような <math>Y</math> の元 <math>a</math> と、ある実数 <math>M</math> が存在することを言う。

== 例 ==
* 有界関数の[[一様収束]]列は、一様有界である。

* すべての[[実数]] <math>x</math> と[[整数]] <math>n</math> に対して定義される関数 <math>f_n(x)=\sin nx\,</math> の族は、1 によって抑えられ、一様有界である。

* 上の例の関数の[[導関数]] <math>f'_n(x)=n\, \cos nx</math> の族は、一様有界ではない。各 <math>f'_n\,</math> は <math>|n|\,</math> によって抑えられるが、<math>|n|\le M</math> をすべての整数 <math>n</math> に対して満たすような実数 <math>M</math> は存在しないからである。

== 参考文献 ==
*{{cite book
 | last       = Ma
 | first      = Tsoy-Wo
 | title      = Banach-Hilbert spaces, vector measures, group representations
 | publisher  = World Scientific
 | date       = 2002
 | id         = {{ISBN2|981-238-038-8}}, important to look up the site on its preface
 | page      = 620pp
}}

{{DEFAULTSORT:いちようゆうかいせい}}
[[Category:解析学]]
[[Category:数学に関する記事]]