七角形のソースを表示

{{出典の明記|date=2012年1月}}
[[ファイル:Heptagon.svg|thumb|202x202px|正七角形]]
[[File:Regular polygon heptagon.svg|thumb|203x203px|正方形に収めることができる最も大きな正七角形]]
'''七角形'''（しちかくけい、しちかっけい、ななかくけい、ななかっけい、{{lang-en|heptagon, septagon}}）とは、7個の[[頂点]]と7本の[[辺]]により構成される[[多角形]]の総称である。通常の（[[単純閉曲線|単純]]な）七角形の内角の総和は5πラジアン（900度）。凸七角形の[[対角線]]の数は14本。

== 正七角形 ==
'''正七角形'''（せい - 、{{Lang-en-short|regular heptagon}}）とは、各辺の長さが等しく、全ての[[内角]]の大きさも等しい七角形を指す。その一つの内角は5π/7[[ラジアン]]（128と4/7[[度 (角度)|度]]）で、一つの外角と中心角はどちらも2π/7ラジアン（51と3/7度）である。一辺の長さを''a''とすると周長は7''a''であり、面積''A''は以下のように表される。
:<math>A \approx 3.63391 a^2,</math>
:<math>A = \frac{7}{4}a^2 \cot \frac{\pi}{7},</math>
:<math>A = \frac{7}{4}a^2 \tan \frac{5 \pi}{14},</math>
:<math>A = \frac{7}{12}a^2 \left( \sqrt{7} + 4 \cos \left( \frac{ \arctan{3 \sqrt3} }{3} \right) \right),</math>
:<math>A = \frac{a^2}{4} \sqrt{\frac{7}{3}(35+2\sqrt[3]{14^2(13+3\sqrt{-3})}+2\sqrt[3]{14^2(13-3\sqrt{-3})})}</math>
ただしarctan関数の値域は <math>\left( -\frac {\pi}{2}, + \frac{\pi}{2} \right)</math> にとる。

中心から頂点までの距離は、[[外接円]]の半径''R''に等しく
:<math>R = \frac{1}{2} a \frac{1}{\sin \frac{\pi}{7}}</math>
である。[[辺心距離|中心から辺までの最短距離]]は、[[内接円]]の半径''r''に等しく
:<math>r = \frac{1}{2} a \cot \frac{\pi}{7}</math>
である。

[[File:Heptagrams.svg|200px|thumb|正七角形の辺と対角線]]
正七角形には、全部で14本の[[対角線]]を引くことができるが、対角線の長さは2種類しかない。すなわち、2つ隣の頂点を結ぶ短い対角線''b''と、3つ隣の頂点を結ぶ長い対角線''c''である。7本の対角線''b''からなる図形と、7本の対角線''c''からなる図形は、どちらも[[七芒星 (図形)|七芒星]]と呼ばれるが、{{要出典範囲|date=2019年8月|日本では前者の意匠は特に[[茅の輪]]（ちのわ）と呼ばれることがある。}}

上記の3つの長さは
:<math>a = 2R \sin \frac{\pi}{7},~ b = 2R \sin \frac{2\pi}{7},~ c = 2R \sin \frac{3\pi}{7}</math>
と表せる。これらの間には次のような関係式が知られている。
:<math>\frac{1}{a} = \frac{1}{b} + \frac{1}{c}</math>

正七角形にまつわる諸量は、求めづらいものが多い。例えば、正七角形の作図を論じるときに重要となる <math>\cos \frac{2\pi}{7} \approx 0.62349</math> は[[三次方程式]] <math>8x^3+4x^2-4x-1=0</math> の解の一つである。同様に、正七角形にまつわる角度の三角関数の値の多くは、その[[有理数]]体上[[最小多項式 (体論)|最小多項式]]が三次式や六次式になる<ref>{{MathWorld|title=Trigonometry Angles--Pi/7|urlname=TrigonometryAnglesPi7}}</ref>。

=== 正七角形の作図 ===
正七角形を[[コンパス]]と[[定規]]（長さの計測が不可能なもの）のみによって[[作図]]することは不可能であることが証明されている<ref>このことを、内角あるいは中心角が整数度にならないことと結び付けるのは、初学者にありがちな誤解である。</ref>。現代では、これは長さが <math>\cos \frac{2\pi}{7}</math> の線分が作図できないことに帰着して説明されることが多い。

その一方で、他のさまざまな道具による作図方法が発見されている。

例えば、7が[[ピアポン素数]]であることから、正七角形は、任意の[[角の三等分問題|角の三等分]]を遂行する能力をもつ道具である印付き定規（長さの計測が可能なもの）を用いたり、あるいは折り紙を用いたりすることで作図可能であることが証明されている<ref name="Cox">{{Cite book|和書|author=デイヴィッド・A.コックス |translator=梶原健 |year=2008-2010 |title=ガロワ理論 |volume=下 |publisher=日本評論社 |isbn=978-4-535-78455-0}}「第10章 作図」</ref>。

[[ファイル:正七角形の作図.png|thumb|320x188px|円と放物線を、交点が正七角形をなすように配置する例（2017年、松田康雄<ref>『[[数学セミナー]]』2017年7月号, pp.36-37. ただしこの記事が史上初であるかは不明。</ref>）。ルール次第ではこれを利用して正七角形を作図することもできる。]]
古くは紀元前に[[アルキメデス]]（前287 - 前212）がその著書『円に含まれる七角形について』（英題: ''On the Heptagon in the Circle''）において{{要検証範囲|[[円錐曲線]]の交わりを使って|date=2024年12月}}正七角形を作図していたとみられるが、この本は現存しない。[[サービト・イブン・クッラ]]（826 - 901）などの[[イスラム数学|イスラムの数学]]者が、アルキメデスの本に言及して、正七角形を作図しているという<ref name="Cox" />。

定規とコンパスに加えて任意の角の三等分ができる道具（角の三等分器、angle trisector）を用いるとき、正七角形は作図できる。それは次の式が根拠となっている。
:<math>\cos \frac{2\pi}{7} = \frac{1}{6} \left( 2\sqrt{7} \cdot \cos \left( \frac{ \arctan{3 \sqrt3} }{3} \right) - 1 \right)</math>
つまり、縦横比が 3√3:1 であるような直角三角形の鋭角の一方を三等分する操作を経ればよいのである。

[[折り紙公理]]にのっとって折り紙をするとき、正七角形は作図できる。折り紙は、すでに作図された数を係数とする任意の[[三次方程式]]を解く能力をもっている。任意の整数が作図可能であることから <math>8x^3+4x^2-4x-1=0</math> の解も作図可能であるといえるのである。

ちなみに、折り紙作図の分析においては、平面上の座標を[[複素数]]とする流儀もあり、その際は、整数から加減乗除と平方根と立方根のみによって
:<math>\cos \frac{2\pi}{7} = \frac{1}{6} \left( \sqrt{7} \cdot \sqrt[3]{ \frac{ 1+3 \sqrt{3} \cdot i}{2 \sqrt{7}} } + \sqrt{7} \cdot \sqrt[3]{ \frac{ 1-3 \sqrt{3} \cdot i}{2 \sqrt{7}} } - 1 \right)</math>
と表すことができることも根拠にできる（一意に定まらない複素数の立方根のうちどれを採るかには注意せねばならないが）。加減乗除と実冪根のみではこういった表示はできない。

印付き定規とコンパスを用いて[[ネウシス作図]]（印付き定規を紙の上ですべらせながら位置をさぐる作図）を行うとき、正七角形は作図できる。
[[ファイル:01-Siebeneck-nach Johnson.gif|450px|サムネイル|左|ネウシス作図の例。]]
{{Clear}}

その他、より汎用的な{{仮リンク|ヒッピアスの円積曲線|en|Quadratrix of Hippias}}を利用することや、角の七等分器を製作することによっても理論上は正確に作図できる。

==== 近似的作図 ====
[[ファイル:7-gone_approx.png|230x240px|サムネイル|近似的作図の例。赤い線分を、緑の線分の代用とする。]]
正七角形に非常に近い七角形を作図する方法がいくつか考案されている。これらはしばしば誤差があることを伏せて紹介される。
{{Clear}}

== その他の事物 ==
[[2011年]]現在、[[イギリス]]では正七角形をした2種類（{{仮リンク|50ペンス|en|Fifty pence (British coin)}}と{{仮リンク|20ペンス|en|Twenty pence (British coin)}}）の[[硬貨]]が流通している。ただし、これらの硬貨の辺は曲線的であり、厳密には七角形ではなく、[[ルーローの多角形|ルーローの七角形]]である。また、[[ユーロ]]貨幣の20[[セント (通貨)|セント]]硬貨は[[円形]]であるが、正七角形の頂点に当たる部分に7つの溝を持つ。

2011年[[12月]]、[[タイ王国|タイ]]で国王[[ラーマ9世]]の誕生日を祝い、世界初の七角形の[[切手]]が発売された<ref>[http://bangkok.keizai.biz/headline/801/ タイで七角形の切手発売（バンコク経済新聞）]</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
{{Commonscat}}
{{ウィキポータルリンク|数学}}
*[[定規とコンパスによる作図]]
*{{仮リンク|七角形的三角形|en|heptagonal triangle}}

{{Clear}}
== 外部リンク ==
*{{MathWorld|title=Heptagon|urlname=Heptagon}}
*[https://www.youtube.com/watch?v=og2Uashq0fk 正七角形が折り紙で"作図"できる理由【数学 解説 / #豊穣ミノリ / VTuber】]

{{多角形}}

{{Elementary-geometry-stub}}
{{DEFAULTSORT:しちかくけい}}
[[Category:多角形]]
[[Category:数学に関する記事]]<!--
[[Category:幸せ]]-->