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[[画像:九章算術細草圖說.jpg|right|thumbnail|九章算術の1頁。[[劉徽]]の註釈本。]] [[画像:九章算術.gif|thumbnail|九章算術の影宋本([[宋 (王朝)|宋]]代の本を復刻した本)]] 『'''九章算術'''』(きゅうしょうさんじゅつ)は、古代[[中国]]の[[数学書]]。 著者は不明だが、加筆修正を経て次第に現在に伝わる形に完成したとされている。研究によると[[前漢]]の[[張蒼]]や{{仮リンク|耿寿昌|zh|耿寿昌}}も加筆した。[[263年]]に[[三国時代 (中国)|三国時代]]の[[魏 (三国)|魏]]の[[劉徽]]が本書の註釈本を制作したことなどから、制作年代は[[紀元前1世紀]]から[[2世紀|紀元後2世紀]]と考えられている。『{{仮リンク|算数書|zh|算数书}}』(1983年12月に[[湖北省]][[荊州区|江陵県]]張家山で発見された<ref>[http://www.nichinoken.co.jp/column/essay/sansu/2012_m11.html 覆面算のこと ~数学典故「教我如何不想他」について~] - 日能研{{リンク切れ|date=2024年12月}}</ref>)に続いて、古い数学書である。 == 構成 == 9章に分かれ、延べ246個の問題を収めた、[[問題集]]形式の数学書である。『九章算術』の書名は9章からなる構成に由来する。 #'''方田''' - 主に[[田]][[畑]]の[[面積]]の[[計算]]([[年貢]]のため)、[[分数]]の計算。長方形、三角形、台形、円の面積を求める方法が書かれている。 #'''粟米''' - 交換比率が異なる商品を[[物々交換]]するための計算、[[比例]]算。粟や米に関する比例や比率について書かれている。 #'''衰分''' - 商品とお金との分配、比例按分、[[利子|利息]]の計算。財産や金銭に関する分配の問題が中心で、等比級数や等差級数になっている場合もある。 #'''少広''' - 面積・[[体積]]から[[辺]]の[[長さ]]を求める、[[平方根]]・[[立方根]]。土地の測量についての問題が書かれている。 #'''商功''' - 土石の量などを求める[[土木工学|土木]]の計算、体積。城、家屋、運河などの建設に関係のある問題が書かれている。 #'''均輸''' - [[租税]]の計算、複雑な比例の問題。 #'''盈不足''' - [[鶴亀算]]、復仮定法。原語は、多すぎることや足りなすぎることを意味する。 #'''方程''' - [[ガウスの消去法]]による[[線型方程式系|連立一次方程式]]の解法、そのための[[正の数と負の数|負の数]]とその演算規則の導入。二個ないし三個の未知数の連立方程式を扱う。 #'''句股''' - [[ピタゴラスの定理]]に関する問題、[[測量]]など。 == 内容 == 「(引き算の時)同符号は引き、異符号は加える。正を'''無入'''から引いて負とし、負を無入から引いて正とする」との一文がある。この無入(別の説には'''無人''')とは[[0]]のことである。ここから著者らは0と正負の計算を理解していたことが分かる。実際に第8章「方程」の部において、連立一次方程式の問題をこの計算法によって巧みに解いている。 == 影響 == 『九章算術』には[[周]]以来の古代中国の数学問題と、[[漢]]の時代の最新の数学問題が収められている。『九章算術』は内容の量と質の良さから古代中国の中心的な算書として用いられ、[[数学史#中国での数学の発展|中国の数学史]]において数学の体系を完成させた本とされている。『九章算術』で完成された数学のスタイルの影響は[[清]]の中期頃に西洋数学が入って来るまで続いた。現代の日本と中国では、[[数学]][[教科書]]のコラムで、『九章算術』が言及されている。 『九章算術』は問題を出し答えと計算法を出す[[帰納]]的なアプローチである。具体的には問題の記述の後に、「答曰く、」で始まる答えと、「術曰く、」で始まる計算式(時には問題の解法としての役も得る)の記述という具合である。[[演繹]]的な手法の[[ヨーロッパ]]・[[アラビア数学]]とは異なり、以後の中国の数学書はこの記述方法を採った。このスタイルは日本にも輸入され、[[和算]]の書籍や[[和算#算額|算額]]なども「答曰く、」や「術曰く、」を含む形で書かれている。 歴史上この本を註釈した数学者は多く、三国時代の魏の劉徽と[[唐]]の{{仮リンク|李淳風|zh|李淳风}}による註釈本は有名である。例えば『九章算術』の原本では[[円周率]]を3としているのに対して、劉徽は :<math> 3.14 + \frac{64}{62500} < \pi < 3.14 + \frac{169}{62500} </math> であり近似値として3.14を使うのがよいと註釈をしている。これは当時([[3世紀]]頃)の世界における最高精度の[[近似]]であった。彼の名を称えてこの値は徽率と呼ばれた。 唐代に李淳風らが[[国子監]]での教科書のために編纂した{{仮リンク|算経十書|zh|算经十书}}の一つに『九章算術』が取り上げられ、最も重要視された。その後に著された教科書には『九章算術』に倣って9章仕立てにしたものが散見される([[秦九韶]]『[[数書九章]]』(1247年ごろ)、[[程大位]]『{{仮リンク|算法統宗|zh|算法统宗}}』([[1593年]])など)。古代日本でも[[大宝律令]]・[[養老律令]]において、[[大学寮]][[算道]]の教科書として『九章算術』が用いられ、[[算博士]]がこれを教授した他、[[暦道]]でも教科書として用いられていた。 ただし、数学の発展にともなってその内容は古くなり、やがて用いられなくなってしまう。[[元 (王朝)|元]][[明]]のころには散逸の危機に晒され、「九数」や「九章」を表題に掲げていても『九章算術』を参照せずに書かれたと思われる算書も現れる。再び底本が確立されるのは[[清]]代の半ば、『[[四庫全書]]』において[[戴震]]が『[[永楽大典]]』をもとに[[校訂]]してからである。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{reflist}} == 参考文献 == * [[ジョージ・G・ジョーゼフ]]『非ヨーロッパ起源の数学』[[垣田高夫]]、[[大町比佐栄]]訳、[[講談社]]、1996年。 == 関連項目 == * [[中国の数学]] * [[周髀算経]] * [[籌算]] * {{ill2|数学における重要な書物一覧|en|List of important publications in mathematics}} == 外部リンク == {{Wikisource|zh:九章算术|九章算術{{zh icon}}}} {{ウィキプロジェクトリンク|数学|[[画像:Nuvola apps edu mathematics blue-p.svg|34px|Project:数学]]}} * [http://ctext.org/nine-chapters/zh 九章算術(中文)] - [[中国哲学書電子化計画]] *[http://www.nichinoken.co.jp/column/essay/sansu/2010_m04.html#no09 塹堵(ぜんと)、陽馬(ようま)、鼈臑(べつどう)]{{リンク切れ|date=2017年9月 |bot=InternetArchiveBot }} *[http://www.nichinoken.co.jp/column/essay/sansu/2010_m06.html#no06 内棊(ないき),合蓋(ごうがい)] {{数学}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:きゆうしようさんしゆつ}} [[Category:古代の数学]] [[Category:中国の数学]] [[Category:数学書]] [[Category:秦漢の書籍]] [[Category:魏晋南北朝の書籍]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:中国の名数9|しようさんしゆつ]]
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