二乗検波のソースを表示
←
二乗検波
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
'''二乗検波'''(にじょうけんぱ、square-law detection)とは、[[振幅変調]]された信号(AM信号)を[[復調]]するための方法の1つである。 PN接合の半導体[[ダイオード]]のI-V特性([[電流]]-[[電圧]]特性)の非線形性を利用する方法である。非常に簡便な手法であるので多用されている。 == 原理 == 入力されたAM信号の電圧''v''<sub>in</sub>を全てダイオードにかけた時にダイオードに流れる電流を考える。簡単のために被変調波は正弦波であると仮定すると、{{Indent|<math>{v}_{in}={v}_{s}(1+{m}_{f}\sin{\omega}_{m}t)\cos{\omega}_{c}t</math>}}ただし、''v''<sub>s</sub>、''m''<sub>f</sub>、ω<sub>m</sub>、ω<sub>c</sub>、''t''はそれぞれ搬送波の電圧振幅、変調度、被変調波の角振動数、搬送波の角振動数、時刻である。 PN接合の半導体ダイオードのI-V特性は、[[半導体]]の一般論から次のように与えられることが知られている{{Sfn|黒田|1996|p=237}}。{{Indent|<math>{I}_{D}={I}_{S}(\exp( e{V}_{D}/({k}_{B}T))-1)</math>}}ここで、''I''<sub>D</sub>はダイオードに流れる電流、''V''<sub>D</sub>はダイオードの両端にかかる電圧、''I''<sub>S</sub>は飽和電流である。また、''e''、''k''<sub>B</sub>、''T''はそれぞれ、[[電子]]の[[電荷]](正の値として定義)、[[ボルツマン定数]]、[[絶対温度]]である。 この式において''V''<sub>D</sub>は'''正負両方の値をとってよい'''ことに注意したい。したがって、''I''<sub>D</sub>も正負両方の値をとり得る <ref group="注釈">ただし、上式のI-V特性において電圧降伏特性は考慮されていないことに注意</ref>。特に、''V''<sub>D</sub>が負の値でその絶対値が十分大きいならば指数関数の値はほとんどゼロであるから''I''<sub>D</sub>''=-I''<sub>S</sub>、つまり''I''<sub>S</sub>はダイオードに逆電圧をかけた時の漏れ電流に相当している。飽和電流の値は不純物をドープする割合などに依存するので使用するデバイスによって異なるが、一般的には''10''<sup>-16</sup>''(A)''から''10''<sup>-10</sup>''(A)''程度である{{Sfn|黒田|1996|p=237}}。 さて、今 θ''=V''<sub>D</sub>''/v''<sub>0</sub>が十分小さいと仮定する。ただし、''v''<sub>0</sub>''=k''<sub>B</sub>''T/e''である。すると、 {{Indent|<math>\exp\theta\simeq 1+\theta+{\theta}^{2}/2</math>}} と近似されるから {{Indent|<math>{I}_{D}\simeq{I}_{S}(\theta+({\theta}^{2}/2))</math>}} である。仮定により''V''<sub>D</sub>は入力されたAM信号に等しいから、''V''<sub>D</sub>''=v''<sub>in</sub>を代入すると、 {{Indent|<math>{I}_{D}\simeq\alpha{v}_{in}+\beta{v}^{2}_{in}</math>}} である。ただし、α''=I''<sub>S</sub>''/v''<sub>0</sub>、β''=I''<sub>S</sub>''/(2v''<sub>0</sub><sup>2</sup>'')''と定義した。ここで右辺第2項の中身を見ると、[[三角関数]]の半角の公式を用いて、 {{Indent|<math>\begin{align}\beta{v}^{2}_{in}&=\beta{V}^{2}_{c}(1+{m}_{f}\sin{\omega}_{m}t)^{2}\cos^{2}{\omega}_{c}t\\ &=\beta{V}^{2}_{c}\left(1+2{m}_{f}\sin{\omega}_{m}t+{m}^{2}_{f}\frac{1-\cos2{\omega}_{m}t}{2}\right)\frac{1+\cos2{\omega}_{c}t}{2}\end{align}</math>}} であるから、この中に復調波 β ''m''<sub>f</sub> ''V''<sup>2</sup><sub>c</sub> ''sin''ω<sub>m</sub>''t'' が含まれていることがわかる。したがって、電流を測定しそれを[[ローパスフィルタ]](LPF)に通して低周波成分のみ取り出せば復調できることがわかる(ただし、直流成分が含まれているのでその分は除去する必要がある)。 == 高調波ノイズ == 2次高調波が高調波ノイズとして発生する点は2乗検波の欠点の1つである。その電流振幅は {{Indent|<math>\beta{m}^{2}_{f}{V}^{2}_{c}/4</math>}} で与えられることは上式からわかる{{Sfn|コナー|1985|p=91}}。基本波の振幅はβ''m''<sub>f</sub>''V''<sub>c</sub><sup>2</sup>であるから、その比は {{Indent|2次高調波の振幅/基本波の振幅<math>={m}_{f}/4</math>}} である{{Sfn|コナー|1985|p=91}}。したがって、変調度の大きなAM信号を復調するのには向かないことがわかる。 == SN == 以上は入力信号にノイズを含まない場合の説明である。入力信号にノイズが含まれている場合、当然復調波のSN比は悪化する。考えるノイズのモデルにもよるが、2乗検波、直線ダイオード検波、同期検波を比較すると、2乗検波が性能的に最も劣っている{{Sfn|コナー|1985|p=102}}。 == 実装 == 原理の項の説明からわかるように、入力されるAM信号の電圧はあまり大きな値であっては困る。したがって、ラジオ電波を受信する場合、強電界地区では回路的に対策をとらないまま2乗検波で復調するのは困難である。(そのような場合は、むしろ直線ダイオード検波が適している。)また、逆にあまりにも小さな値では、ダイオードに流れる電流が小さくなりすぎて実用的ではない。通常、ダイオードとしてシリコンダイオードが使われることはなく、ゲルマニウムダイオードの使用例が多い。理由は、ダイオードがオンになる(つまり、ある程度大きな電流が流れ始める)電圧がゲルマニウムダイオードの方がより低いからである。 ダイオードに流れる電流は、ダイオードに直列に抵抗を入れて抵抗の両端にかかる電圧を測定して検出する。この電圧をLPFに通して低周波成分のみ取り出せば復調できる。なお、この抵抗に発生する電圧は原理からのずれであるので誤差になる。 == 注釈 == {{Reflist|group="注釈"}} == 出典 == {{Reflist}} == 参考文献 == * {{Cite journal|和書|author=黒田徹|year=1996|title=トランジスタの基本特性|journal=トランジスタ技術|issue=4月号|publisher=CQ出版社|ref=harv}} * {{Cite book|和書|ref=harv|last=コナー|first=F.R.|title=変調入門|year=1985|publisher=森北出版}} {{DEFAULTSORT:にしようけんは}} [[Category:無線工学]] [[Category:通信工学]] [[Category:変調方式]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Cite book
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Cite journal
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Indent
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Reflist
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Sfn
(
ソースを閲覧
)
二乗検波
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報