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亜硝酸
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{{chembox | 画像ファイル = Nitrous acid acsv.svg | 画像サイズ = |画像1=Trans-nitrous-acid-3D-balls.png |画像サイズ1= | IUPAC名 = ジオキソ硝酸 (系統名) | 別称 = ジオキソ硝酸 | Section1 = {{Chembox Identifiers | 略称 = | CAS番号 = | EINECS = | PubChem = | SMILES = ON=O | InChI = | RTECS = | MeSHName = | ChEBI = | KEGG = | ATC分類 | ATCCode_prefix = | ATCCode_suffix = | ATC_Supplemental =}} | Section2 = {{Chembox Properties | C = | H = | N = |O = | 分子 = | 化学式 =HNO<sub>2</sub> | モル質量 =47.01g/mol | 外観 =[[パールブルー]] | 密度 = ~1g/cm<sup>3</sup> | 融点 = | 融点注 = | 沸点 = 103℃ | 沸点注 = | 溶解度 = [[混和性]] | SolubleOther = | Solvent = | pKa = 3.38 | pKb = | LogP = | 等電点 = | 味 = | 相対蒸気密度 = }} | Section3 = {{Chembox Structure | 結晶構造 = | 配位構造 = | 分子構造 = }} | Section4 = {{Chembox Thermochemistry | 標準生成熱 = | 標準燃焼熱 = | エントロピー = | 熱容量 = }} | Section5 = {{Chembox Pharmacology | 投与経路 = | 生物学的利用能 = | 代謝 = | 半減期 = | 血漿タンパク結合 = | 排泄 = | 法的分類 = | Legal_US = | Legal_UK = | Legal_AU = | Legal_CA = | 胎児危険度分類 = | PregCat_AU = | PregCat_US = }} | Section6 = {{Chembox Explosive | 衝撃感度 = | 摩擦感度 = | 爆速 = | RE係数 = }} | Section7 = {{Chembox Hazards | EU分類 = | EUIndex = | 主な危険性 = | NFPA-H = | NFPA-F = | NFPA-R = | NFPA-O = | Rフレーズ = | Sフレーズ = | RSPhrases = | 引火点 = | 発火点 = | 許容曝露限界 = }} | Section8 = {{Chembox Related | その他の陰イオン = 硝酸 | その他の陽イオン = 亜硝酸ナトリウム | 関連する官能基 = | 官能基 = | 関連物質 = }} }}<!-- Text starts below-->'''亜硝酸'''(あしょうさん、nitrous acid)とは、[[窒素]]の[[オキソ酸]]のひとつで化学式 HNO<sub>2</sub> で表される弱酸である。[[IUPAC命名法]]系統名は'''ジオキソ硝酸''' (dioxonitric(III) acid) である。遊離酸の状態では不安定で分解しやすい為、'''[[亜硝酸塩]]'''または'''[[亜硝酸エステル]]'''等の形で保存あるいは使用されることが多い。 == 製造 == 遊離酸を得るには[[亜硝酸バリウム]]に当量の[[硫酸]]水溶液を加え、[[硫酸バリウム]]を沈降濾別したり、[[硝酸]]に[[一酸化窒素]]を作用させるとよい<ref name=Cotton> F.A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年</ref>。 : <chem>Ba(NO2)2\ + H2SO4 -> BaSO4\ + 2HNO2</chem> 遊離酸は不安定なので、反応に用いる場合[[亜硝酸塩]]を酸性条件下で加えて発生させたり、亜硝酸エステルを亜硝酸の等価体として用いることも多い。 == 性質 == 遊離酸の亜硝酸は高濃度では自己酸化還元反応を起こすので、低濃度で使用するか、または低温で亜硝酸塩を酸性にしてつくられる。 : <chem>3HNO2 -> HNO3\ + H2O\ + 2NO</chem> 酸化あるいは還元の両方が起こりやすい。例えば、酸性溶液中、ヨウ化物イオン I<sup>−</sup> と反応し、ヨウ素 I<sub>2</sub> を遊離させる。また、過マンガン酸塩などの酸化剤と反応すると酸化されて硝酸イオンになる。酸化剤および還元剤としての[[標準酸化還元電位]]は以下の通りである<ref name=Allen>Allen J. Bard, Roger Parsons, Joseph Jordan, Standard Potentials in Aqueous Solution, Marcel Dekker Inc (1985).</ref>。 : <chem>NO2(g)\ + {H^+} + \mathit{e}^- =\ HNO2</chem> , <math> E^\circ = 1.093 \rm{V}</math> (還元剤) : <chem>HNO2\ + {H^+} + \mathit{e}^- =\ NO(g)\ + H2O</chem> , <math> E^\circ = 0.996 \rm{V}</math>(酸化剤) 亜硝酸アンモニウムは自己酸化還元反応で窒素を発生するので、実験室で窒素を発生させるときに用いる。しかしこの塩は不安定であるので、実際は濃亜硝酸ナトリウム水溶液と濃塩化アンモニウム水溶液を混合することで代用する。 : <chem>NaNO2\ + NH4Cl -> NaCl\ + 2H2O\ + N2</chem> 希薄水溶液中における[[酸解離定数]]は硝酸よりも10<sup>5</sup>程度小さく、弱酸である<ref name=tanaka>田中元治 『基礎化学選書8 酸と塩基』 裳華房、1971年</ref>。 : <chem>HNO2\ \leftrightarrows\ {H^+} + NO2^-</chem> , {{pKa}} = 3.3 == 生体への作用 == 亜硝酸自体あるいは亜硝酸塩、亜硝酸エステルは分解すると一酸化窒素を発生するので、強い血管拡張作用を示す。{{main|NO合成酵素}} 脂肪族2級アミン類と反応すると[[ニトロソアミン]]体となる<ref>{{Cite web|和書| title=アミンの亜硝酸との反応| url=http://www1.jiu.ac.jp/~chem/Y-2/05-amine.pdf| publisher=城西国際大学| format=pdf| accessdate=2017年7月9日 }}</ref>。ニトロソアミン体は[[発癌性]]が高いことが示唆されており、食品添加物の亜硝酸塩や(窒素肥料を過剰に与えた)根菜などに含まれる亜硝酸の摂取に対しては注意が喚起されている。ほかに[[タバコ]]に含まれる[[ニコチン]]とも反応してニトロソアミンとなる。 亜硝酸イオンが[[ヘモグロビン]]の2価鉄を3価に酸化し、酸素運搬機能がない[[メトヘモグロビン]]を生成し[[メトヘモグロビン血症]](ブルー・ベビー症候群)の原因となる<ref>[http://stu.isc.chubu.ac.jp/bio/public/ann_rep_res_inst_biol_funct/annual-report_v7_2007/pdf/037.pdf 生物機能開発研究所紀要 7:37-41(2007)葉菜中硝酸イオンの低減化法]</ref>。 == 用途 == 亜硝酸はアミン類と反応し、二級アミン類とはニトロソアミン体となる。特に芳香族一級アミンと反応した場合は脱水により芳香族ジアゾニウムイオンまで進む。 : <chem>Ar-NH2 + HNO2 <=> Ar-N^+#N</chem> ジアゾニウムイオンは反応性が高く、[[ザンドマイヤー反応]]などによる置換反応、[[ジアゾカップリング]]による[[アゾ化合物]]の合成などの用途がある。アゾ化合物には呈色するものが多いため[[色素]]の合成上有用である。{{main|ジアゾ化}} 亜硝酸塩は亜硝酸がヘム鉄に配位して鮮赤色を呈するので、ソーセージなどの食品添加物として利用される。この場合、[[ボツリヌス菌]]による食中毒予防の意味もある。 == 関連化合物 == === 亜硝酸イオン=== 亜硝酸イオンは多くの金属に配位することが知られているが、中心の窒素で配位する場合と、末端の酸素で配位する場合とが知られている。中心の窒素で配位した錯体を'''ニトロ錯体'''、酸素で配位した錯体を'''ニトリト錯体'''と呼ぶ。 === 亜硝酸塩 === 代表的な亜硝酸塩を次に示す。 {| class="wikitable" !化合物名!!読み!!英名!![[化学式]]!![[分子量]]!![[CAS登録番号]]!![[融点]]!![[沸点]]!![[密度]]!![[比重]]!!備考 |- |[[亜硝酸カリウム]]||あしょうさんかりうむ||potassium nitrite||KNO<sub>2</sub>||85.1||7758-09-0||350℃ <br/>(分解)|| || ||1.915|| |- |[[亜硝酸カルシウム]]||あしょうさんかるしうむ||calcium nitrite||Ca(NO<sub>2</sub>)<sub>2</sub>||132.09||13780-06-8|| || || ||2.23|| |- |[[亜硝酸銀]]||あしょうさんぎん||silver nitrite||AgNO<sub>2</sub>||153.87||7783-99-5||140℃|| || ||4.453|| |- |[[亜硝酸ナトリウム]]||あしょうさんなとりうむ||sodium nitrite||NaNO<sub>2</sub>||69||7632-00-0||271℃|| || ||2.168|| |- |[[亜硝酸バリウム]]||あしょうさんばりうむ||barium nitrite||Ba(NO<sub>2</sub>)<sub>2</sub>||229.34||13465-94-6|| || || || ||自己反応性 |} === 亜硝酸エステル === 代表的な亜硝酸エステルを次に示す。 {| class="wikitable" !化合物名!!読み!!英名!![[化学式]]!![[分子量]]!![[CAS登録番号]]!![[融点]]!![[沸点]]!![[密度]]!![[比重]]!!備考 |- ||亜硝酸エチル||あしょうさんえちる ||ethyl nitrite||CH<sub>3</sub>CH<sub>2</sub>ONO||75.07||109-95-5|| ||17℃|| ||0.90|| |- |亜硝酸イソアミル||あしょうさんいそあみる||3-methylbutyl nitrite||(CH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>CHCH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>ONO||117.15||110-46-3|| ||97-99℃|| ||0.875||異性体混合物は[[亜硝酸アミル]]と呼ばれる |- |亜硝酸イソブチル||あしょうさんいそぶちる||2-methylpropyl nitrite||(CH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>CHCH<sub>2</sub>ONO||130.18||542-56-3|| ||67℃|| ||0.870|| |- |亜硝酸イソプロピル||あしょうさんいそぷろぴる||2-propyl nitrite||(CH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>CHONO||89.09||541-42-4|| ||39-39.5℃|| ||0.844|| |- |亜硝酸 ''t''-ブチル||あしょうさんたーしゃりーぶちる||1,1-dimetylethyl nitrite||(CH<sub>3</sub>)<sub>3</sub>CONO||103.12||540-80-7|| ||63℃|| ||0.8671||[[ジェット燃料]] |- |亜硝酸 ''n''-ブチル||あしょうさんのるまるぶちる||butyl nitrite||CH<sub>3</sub>(CH<sub>2</sub>)<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>ONO||103.12||544-16-1|| ||78.2℃|| ||0.9114|| |- |亜硝酸 ''n''-プロピル||あしょうさんのるまるぷろぴる||propyl nitrite||CH<sub>3</sub>CH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>ONO||89.09||543-67-9|| ||46-48℃|| ||0.8864||[[ジェット燃料]] |} == 参考文献 == {{reflist}} == 関連項目 == * [[硝酸]] * [[窒素]] * [[亜硝酸菌]] * [[亜硝酸態窒素]] * {{ill|バンスライク反応|en|Van Slyke determination}} {{水素の化合物}} {{窒素の化合物}} {{Normdaten}} {{デフォルトソート:あしようさん}} [[Category:無機窒素化合物]] [[Category:オキソ酸]] [[Category:危険物]]
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