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交点数 (代数幾何学)
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{{要改訳}} {{otheruses|代数幾何学|結び目理論|交点数 (結び目理論)|グラフ理論|{{仮リンク|交点数 (グラフ理論)|en|Crossing number (graph theory)}} }} [[代数幾何学]]では、'''交点数'''(intersection number)とは、直感的な 2つの曲線の交わる数という考えを、高次元へで(2つ以上の)交叉する曲線や、[[接線|接する]]場合も適切に数え上げる考えたものである。[[ベズーの定理]]のような結果を記述するために、交点数の定義を正確に定義する必要がある。 x-軸と y-軸のような場合には、交点数は明らかに 1 である。一点で接している場合や、正の次元の集合の中での交点数になると複雑になってくる。例えば、平面がある直線に沿って接しているときは、交点数はすくなくとも 2でなければならない.これらの疑問は[[交点理論]]で系統的に議論される。 == リーマン面での定義 == X を[[リーマン面]]とすると、X 上の 2つの閉じた曲線の交点数は、積分の項として単純に定義することができる。全ての X 上の閉じた曲線 c 、つまり、滑らかな函数 <math>c : S^1 \to X</math> を、[[微分形式]] <math>\eta_c</math> へ、次の式のように X 上の積分で計算可能な c にそった積分として関連付けることができるという適切な性質を持っている。 :X 上の任意の閉じた 1-形式 <math>\alpha</math> に対して、<math>\int_c \alpha = -\int \int_X \alpha \wedge \eta_c = (\alpha, *\eta_c),</math> ここに、<math>\wedge</math> は微分形式の[[外積代数|ウェッジ積]]で、<math>*</math> は[[ホッジスター]]とする。すると、X 上の 2つの閉じた曲線 a と b の交点数は、 :<math>a \cdot b := \int \int_X \eta_a \wedge \eta_b = (\eta_a, -*\eta_b) = -\int_b \eta_a</math>. として定義することができる。<math>\eta_c</math> は次のような定義の直感的な解釈を持つ。この交点数の定義は、c に沿った[[ディラックのデルタ関数|ディラックのデルタ函数]]の一種であり、c に沿って 1 から 0 に値を落とす[[ヘヴィサイドの階段関数|単位ステップ函数]]の微分することで完了する。さらに形式的には、X 上の閉じた曲線 c に対し函数 f<sub>c</sub> をアニュラスの形の中に c の周りの小さな帯状領域(strip)を <math>\Omega</math> ととることから始める。<math>\Omega \setminus c</math> の左の部分と右の部分をそれぞれ、<math>\Omega^{+}</math> 及び <math>\Omega^{-}</math> と名付ける。c の周りのさらに小さい帯状の部分領域 <math>\Omega_0</math> をとって、左、右の部分をそれぞれ、<math>\Omega_0^{-}</math> 及び <math>\Omega_0^{+}</math> として、f<sub>c</sub> を次により定義する。 :<math>f_c(x) = \begin{cases} 1, & x \in \Omega_0^{-} \\ 0, & x \in X \setminus \Omega^{-} \\ \mbox{smooth interpolation}, & x \in \Omega^{-} \setminus \Omega_0^{-} \end{cases}</math>. すると、この定義は任意の閉曲線に対して拡張できる。X 上の全ての閉曲線 c は、いくつかの単純閉曲線 c<sub>i</sub> が存在し、<math>\sum_{i=1}^N k_i c_i</math> と[[ホモロジー論|ホモロジー同値]]となる。すなわち、 :全ての微分形式 <math>\omega</math> に対し、<math>\int_c \omega = \int_{\sum_i k_i c_i} \omega = \sum_{i=1}^N k_i \int_{c_i} \omega</math> である。従って、<math>\eta_c</math> を次により定義する。 :<math>\eta_c = \sum_{i=1}^N k_i \eta_{c_i}</math>. == 代数多様体での定義 == 代数多様体の場合の普通に構成するときの定義は、段階を踏む。以下に与える定義は、非特異多様体 X の上の[[因子 (代数幾何学)|因子]]の交点数の定義である。 1. 定義から直接計算することのできる唯一の交点数は、x で一般の位置にある超曲面(X の余次元 1 の部分多様体)の交点の場合である。特に、X を非特異と仮定し、次の関係を満たすような多項式 f<sub>i</sub>(t<sub>1</sub>, ..., t<sub>n</sub>) に対して、x の近傍で局所的に方程式 f<sub>1</sub>, ..., f<sub>n</sub> をもつ n 個の超曲面 Z<sub>1</sub>, ..., Z<sub>n</sub> をとる。 * <math>n = \dim_k X</math>. * 全ての i に対し、<math>f_i(x) = 0</math>(つまり、x は超曲面の交叉である。) * <math>\dim_x \cap_{i=1}^n Z_i = 0</math>(つまり、因子は一般の位置にある。) * x で <math>f_i</math> は非特異である。 すると、x での交点数は、 :<math>(Z_1 \cdots Z_n)_x := \dim_k \mathcal{O}_{X, x} / (f_1, \dots, f_n)</math>, で定義される。ここに、<math>\mathcal{O}_{X, x}</math> は、X の x での局所環であり、次元は k-ベクトル空間としての次元である。このことは、[[環の局所化|局所環]] <math>k[U]_{\mathfrak{m}_x}</math> として計算することができる。ここに、<math>\mathfrak{m}_x</math> は、x でゼロとなる多項式の極大イデアルで、U は x を含み f<sub>i</sub> の特異点を含まない開アフィン集合である。 2. 一般の位置にある超曲面の交点数は、各々の交点の交点数の和として定義される。 :<math>(Z_1 \cdots, Z_n) = \sum_{x \in \cap_i Z_i} (Z_1 \cdots Z_n)_x</math> 3. 線型性により'''有効因子'''へ定義を拡張すると、 :<math>(n Z_1 \cdots Z_n) = n(Z_1 \cdots Z_n)</math> であり、<math>((Y_1 + Z_1) Z_2 \cdots Z_n) = (Y_1 Z_2 \cdots Z_n) + (Z_1 Z_2 \cdots Z_n)</math> となる。 4. 一般の位置にある任意の因子への定義の拡張は、ある有効因子 P と N に対して一意的な表現 D = P - N を持つので、D<sub>i</sub> = P<sub>i</sub> - N<sub>i</sub> とおき、 :<math>((P_1 - N_1) P_2 \cdots P_n) = (P_1 P_2 \cdots P_n) - (N_1 P_2 \cdots P_n)</math> というルールを決めると、(因子と因子との)交点と解釈することができる。 5. 従って、一般の位置にある線型同値因子を見つけることができることを保障する「'''周の移動補題'''([[:en:Chow's moving lemma|Chow's moving lemma]])」を使うことにより、交点を持つと解釈できるので、任意の因子にたいする交点数を定義することができる。 この(因子にたいする)交点数の定義は、因子の順番にはよらないことに注意する必要がある。 == さらに一般化された定義 == 定義をもっと大きく一般化することもできる。例えば、点の代わりに部分多様体にそった交叉へ拡張する、あるいは任意の完備多様体へ拡張するといったことが可能である。 代数トポロジーでは、[[カップ積]](cup product)の[[ポアンカレ双対]]として、交点数が現れる。特に、2つの多様体 X と Y が多様体 M で横断的に交わっていると、交点のホモロジー類は、X と Y のポアンカレ双対のカップ積 <math>D_M X \smile D_M Y</math> のポアンカレ双対である。 == 平面曲線の交叉多重度 == 3つ組 (''P'', ''Q'', ''p'') を ''K''[''x'', ''y''] の中の多項式のペア ''P'' と ''Q'' と、''K''<sup>2</sup> の中の点 ''p'' とする。この 3つ組に対して、数 ''I''<sub>''p''</sub>(''P'', ''Q'') を対応させる、以下の性質を満たす対応が一意的に存在し、''p'' での ''P'' と ''Q'' の'''交叉多重度'''と呼ばれる。 # <math>I_p(P,Q) = I_p(Q,P).\,</math> # <math>I_p(P,Q)</math> が無限大であることと、''P'' と ''Q'' が ''p'' でゼロとなる共通要素を持つこととは同値 # <math>I_p(P,Q)</math> がゼロであることと、''P''(''p'') もしくは ''Q''(''p'') がゼロでない(つまり、点 ''p'' はどちらかの曲線には属さない)こととは同値 # ''p'' = (''a'', ''b'') のとき、<math>I_p(x-a,y-b) = 1</math> # <math>I_p(P,Q_1Q_2) = I_p(P,Q_1) + I_p(P,Q_2)</math> # ''K''[''x'', ''y''] の中の任意の ''R'' に対して、<math>I_p(P + QR,Q) = I_p(P,Q)</math> これらの性質は交叉多重度を完全に特徴付けるが、実際にはいくつかの異なった方法で実現される。 交叉多重度のひとつの実現方法は、べき級数環 ''K''[[''x'',''y'']] のある商空間の次元を通しての実現方法がある。必要ならば、変数変換をすることで、''p'' が (0,0) であることを前提としてよい。今、注目している代数曲線を定義する多項式を ''P''(''x'', ''y'') と ''Q''(''x'', ''y'') とする。元の方程式が同次であれば、これらは ''z'' = 1 とおくことで得られる。''I'' = (''P'', ''Q'') を ''P'' と ''Q'' で生成される ''K''[[''x'',''y'']] のイデアルとすると、交叉多重度は ''K'' 上のベクトル空間として ''K''[[''x'', ''y'']]/''I'' の次元である。あるいは、冪級数環ではなく局所環 :<math>\mathcal{O}_p(\mathbb{A}^2)=\left\{\frac{f}{g}\in K(x,y):g(p)\ne0\right\}</math> を用いてもよい。 別の交叉多重度の実現方法としては、2つの多項式 ''P'' と ''Q'' の[[終結式]](resultant) から実現する方法がある。''p'' が (0,0) である座標では、曲線は ''y'' = 0 以外に交点を持たず、''x'' に関する ''P'' の[[多項式#多項式の次数|次数]]は、''P'' の全次数に等しいので、''I''<sub>''p''</sub>(''P'', ''Q'') は(''P'' と ''Q'' を ''K''[''x''] 上の多項式と見て) ''P'' と ''Q'' の終結式を割る ''y'' の最高次のべきとして定義することができる。 また、交叉多重度は、曲線を少し摂動したときに存在する異なる交叉の数としても実現できる。より正確には、''P'' と ''Q'' が開集合 ''U'' の[[閉包 (位相空間論)|閉包]]の中で一度だけ交叉する曲線を定義するとすると、''K''<sup>2</sup> の (ε, δ) からなるある稠密な集合に対し、''P'' − ε と ''Q'' − δ は、''U'' でちょうどある数 ''n'' 回なめらかで横断的に交叉する(つまり、ことなる接する直線をもつ)。''I<sub>p</sub>''(''P'', ''Q'') = ''n'' である。 ===例=== ''x''-軸と放物線 :<math>y = x^2\ </math> の交点を考える。すると、 :<math>P = y\ </math> で :<math>Q = y - x^2\ </math> とすると、 : <math>I_p(P,Q) = I_p(y,y - x^2) = I_p(y,x^2) = I_p(y,x) + I_p(y,x) = 1 + 1 = 2\,</math> となる。このように、交点数は 2 である。これは通常型[[接線]]である。 ==自己交点数== 計算が最も興味深いものの一つに'''自己交点数'''がある。これはナイーブな意味と解釈すべきではない。これの意味は、ある特別な種類の[[因子 (代数幾何学)|因子]]の同値類の中で、2つの表現が、互いに{{仮リンク|一般の位置|en|general position}}の中で交叉する。この方法で、自己交点数は[[well-defined|うまく定義する]]ことができ、しかも負になる。 == 応用 == 交点数は、部分的には、[[ベズーの定理]]を満たす交叉を定義せよという要求に動機を持っている。 交点数は、[[不動点|固定点]]の研究から発生している。固定点は、[[対角線]]をもつ函数の[[グラフ (関数)|グラフ]]の交叉として、うまく定義することができる。固定点での交叉数の計算は、'''多重度'''をもつ固定点を数え、数値的な形をした[[レフシェッツ不動点定理]]を導く。 ==参考文献== * {{cite book | author=William Fulton | authorlink=William Fulton (mathematician) | title=Algebraic Curves | series=Mathematics Lecture Note Series | publisher=W.A. Benjamin | year=1974 | isbn=0-8053-3082-8 | pages=74–83 }} * {{cite book | author=Robin Hartshorne | authorlink=Robin Hartshorne | title=Algebraic Geometry | series=[[Graduate Texts in Mathematics]] | volume=52 | year=1977 | isbn=0-387-90244-9 }} Appendix A. * {{cite book | author=William Fulton | authorlink=William Fulton (mathematician) | title=Intersection Theory| publisher=Springer | year=1998 | edition=2nd | id=ISBN 9780387985497 }} * ''Algebraic Curves: An Introduction To Algebraic Geometry'', by William Fulton with Richard Weiss. New York: Benjamin, 1969. Reprint ed.: Redwood City, CA, USA: Addison-Wesley, Advanced Book Classics, 1989. ISBN 0-201-51010-3. [http://www.math.lsa.umich.edu/~wfulton/CurveBook.pdf Full text online]. * {{cite book | author1=Hershel M. Farkas | author2=Irwin Kra | title=Riemann Surfaces | series=[[Graduate Texts in Mathematics]] | volume=71 | year=1980 | isbn=0-387-90465-4 }} {{デフォルトソート:こうてんすう}} [[Category:代数幾何学]] [[Category:交点理論]] [[Category:数学に関する記事]]
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