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仮想仕事の原理
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{{出典の明記|date=2011年9月}} {{Expand English|Virtual work|date=2024年5月}} '''仮想仕事の原理'''(かそうしごとのげんり、{{Lang-en-short|principle of virtual work}}<ref>{{Cite book|1 =和書|author =[[文部省]]|coauthors =[[土木学会]]編|title =学術用語集 土木工学編|edition =増訂版|url =http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi|year =1991|publisher =土木学会|isbn =4-8106-0073-4|page =}}{{リンク切れ|date=2017年9月 |bot=InternetArchiveBot }}</ref>)とは、[[力学]]におけるエネルギー原理の一つで、「ひとつの物体が複数の力の影響下で釣り合っているとき、その物体が十分小さい仮想変位を受けるときはその力のする[[仕事 (物理学)|仕事]]は 0 であり、逆もまた真である。もし十分小さい仮想変位中に、この力のなす仕事が 0 であれば、それらの力の影響を受ける物体は釣り合っている」<ref name=kato>{{cite|和書 |author=加藤勉 |title=仮想仕事の原理と応用 |publisher=鹿島出版会 |year=2013 |isbn=978-4-306-03370-2 |pages=3-4, 8}}</ref>という原理である。大雑把に言えば、仮想的な変位に対して、外力のなす仕事と内力のなす仕事が等しくなることである。 詳細に言うと、(力学的境界でのつりあい条件を含む)静的なつりあい[[方程式]]を満たす[[内力]]([[連続体]]では[[応力]]、離散系では部材力など)と外力の対を[[応力#平衡方程式|静力学的可容]]とし、(変位境界での変位条件を含む)変位-変形関係式を満たす変位と変形(連続体では[[ひずみ]]、離散系では伸びなど)の対を[[ひずみ#適合条件式|運動学的可容]]としたとき、静力学的可容系の[[外力]]と運動学的可容の変位の積和(これを仮想外力仕事ということもある)と、静力学的可容の内力と運動学的可容系の変形の積和(これを仮想内力仕事ということもある)はつねに等しくなることをいう。静力学的可容系と運動学的可容系は互いに独立であって、両者に力学的な相互関係は不要であるため、仮想仕事の原理は材料の物性([[構成式]])に無関係に成立する。 1725年ごろに[[ヨハン・ベルヌーイ]]が創始したとされる<ref name=kato/>。ヨハンの子[[ダニエル・ベルヌーイ|ダニエル]]とダニエルの弟子[[オイラー]]が[[材料力学]]へ適用した。その後、[[カスチリアノの定理]]、[[マクスウェル・ベティの相反作用の定理]]、[[マクスウェル・モールの変形適合式]]などがベルヌーイの仮想仕事の原理の流れを引く研究成果としてある。 一般に仮想仕事の「原理」と呼ぶことが多いが、証明なしに成り立つという意味での[[原理]]ではない。実際、つりあい方程式に運動学的可容の変位を乗じて[[部分積分]]をするか、あるいは変位-変形関係式に静力学的可容の内力を乗じて部分積分をすることにより導出されるものである。前者の方法で導いた場合は'''仮想変位の原理'''、一方、後者の方法で導いた場合は'''仮想荷重の原理'''と呼ばれることがある。それぞれはつりあい方程式および変位-変形関係式の[[弱形式]]でもある。 [[有限要素法]]などを用いた構造物の[[数値解析]]においては、力のつりあい方程式の代用として用いられる。具体的には、最小ポテンシャルの原理から弱形式を導くことで仮想仕事の原理の形が現れる。 ==仮想仕事式== 連続体において仮想仕事の原理は次の'''仮想仕事式'''<ref>{{cite|和書 |editor=非線形CAE協会|author=京谷孝史 |title=よくわかる連続体力学ノート |publisher=森北出版 |year=2008 |isbn=978-4-627-94811-2 |pages=177-178}}</ref>で表される。左辺は仮想内力仕事を、右辺第1項は仮想外力仕事のうち[[表面力]]によるものを、第2項は[[体積力]]によるものをそれぞれ表している。 :<math>\int_{B_t}\boldsymbol{\sigma}: \delta\boldsymbol{\epsilon} \,dv = \int_{\partial B_t^\sigma}\boldsymbol{t}^0 \cdot \delta\boldsymbol{u} \,ds + \int_{B_t}\rho\boldsymbol{g} \cdot \delta\boldsymbol{u} \,dv</math> または :<math>\int_{B_t}\sigma_{ij} \delta\epsilon_{ij} \,dv = \int_{\partial B_t^\sigma}t_i^0 \delta u_i \,ds + \int_{B_t}\rho g_i \delta u_i \,dv</math> ただし * 積分領域 ** ''B<sub>t</sub>'' :現在時刻''t'' における物体がある領域 ** ∂''B<sub>t</sub>''<sup>σ</sup> :荷重境界。''B<sub>t</sub>'' の境界∂''B<sub>t</sub>'' のうち、境界条件が荷重で与えられている部分 * 力 ** '''σ''', σ<sub>''ij''</sub> :応力テンソル ** '''''t'''''<sup>0</sup>, ''t<sub>i</sub>''<sup>0</sup> :荷重境界上における表面力ベクトル。境界の法線ベクトルを'''''n''''', ''n<sub>j</sub>'' として、'''''t''''' = '''σ''n''''', ''t<sub>i</sub>'' = σ<sub>''ij''</sub> ''n<sub>j</sub>'' ** ρ'''''g''''', ρ''g<sub>i</sub>'' :重力などの体積力ベクトル * 仮想変位 ** δ'''''u''''', δ''u<sub>i</sub>'' :仮想変位ベクトル。変位境界(∂''B<sub>t</sub><sup>u</sup>'' = ∂''B<sub>t</sub>'' ∖ ∂''B<sub>t</sub>''<sup>σ</sup> )上でδ'''''u''''' = '''0''', δ''u<sub>i</sub>'' = 0 を満たす。 ** δ'''ε''', δε<sub>''ij''</sub> :仮想変位に対応する仮想ひずみテンソル である。 <!--テンソルの式を2通りの表現で書くのは冗長だったかもしれません。また、但し書き部分の記号類をTeXを使わずに書くのも見づらいかもしれませんので、必要があれば修正してください。--> 仮想仕事式は、仮想変位を仮想速度に置き換えても同様の式が成り立つ。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} {{Architecture-stub}} {{Physics-stub}} {{デフォルトソート:かそうしことのけんり}} [[Category:構造力学]] [[Category:連続体力学]]
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