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[[ファイル:Float_mantissa_exponent.png|thumb|200px|仮数 (mantissa) と[[冪乗|指数]] (exponent) を使って数値を表す[[浮動小数点数]]]] '''仮数'''(かすう)とは、[[浮動小数点数]]の一部で、[[有効数字]]を構成する部分である。英語では {{Lang|en|significand}}、{{Lang|en|coefficient}}、{{Lang|en|mantissa}} などと呼ぶ(後述)。[[冪乗|指数]]の表現によって、[[整数]]で表される場合もあるし、[[小数]]で表される場合もある。 == 例 == 123.456 78 という数について、仮数部を整数で表すと、仮数は12345678、指数は −5 となる。したがってその値は次の式で表される([[指数表記]])。 : 12 345 678 × 10<sup>−5</sup> 同じ値を[[指数表記#正規化|正規化]]表現することもできる。この場合、仮数を 1.2345678 という小数で表し、指数を +2 とする。 : 1.234 5678 × 10<sup>+2</sup> 同じ値を{{仮リンク|ISO/IEC 10967|en|ISO/IEC 10967|label=言語独立算術}}規格で指定されたフォーマットで表現することもできる。[[Ada]]、[[C言語]]、[[FORTRAN]]、[[Modula-2]] などがこの規格に従っている。JIS X 0210-1986(情報交換用文字列による数値表現)では、この形を「正規形」と呼称している<ref>[http://kikakurui.com/x0/X0210-1986-01.html JIS X0210-1986 情報交換用文字列による数値表現] 7.5 、p. 5</ref>。 : 0.123 456 78 × 10<sup>+3</sup> なお、第9回 [[CGPM]](1948,決議7)<ref>[http://www1.bipm.org/en/CGPM/db/9/7/] Resolution 7 of the 9th meeting of the CGPM (1948) "Numbers may be divided in groups of three in order to facilitate reading; neither dots nor commas are ever inserted in the spaces between groups."</ref>及び第22回 [[CGPM]](2003,決議10)<ref>[http://www1.bipm.org/jsp/en/ViewCGPMResolution.jsp?CGPM=22&RES=10] Resolution 10 of the 22nd meeting of the CGPM (2003) '''reaffirms''' that "Numbers may be divided in groups of three in order to facilitate reading; neither dots nor commas are ever inserted in the spaces between groups", as stated in Resolution 7 of the 9th CGPM, 1948.</ref>により、小数部を3桁ごとにスペースで区切るのが通例である<ref>「国際文書第8版(2006) [[国際単位系]](SI)日本語版」[http://www.nmij.jp/library/units/si/R8/SI8J.pdf]pp.45-46</ref>。 == 仮数と hidden bit == [[二進法]]で浮動小数点数を表す場合、仮数は二進数で表され、その桁数(つまり[[ビット]]幅)が特徴となる。常に正規化されるため、仮数の最上位ビットは常に1となるので、一般にはそのビットを格納せず "hidden bit" や「けち表現」などと呼ぶ。仮数のビット幅を数える際、この hidden bit を加える場合と加えない場合がある。例えば、[[IEEE 754]] の[[倍精度]]形式は、hidden bit を含めるか否かによって仮数のビット幅を53ビットと言ったり、52ビットと言ったりする。hidden bit があるのは二進表現の場合のみである。IEEE 754 は精度 p を仮数の桁数と定義しており、その際に暗黙の前置されるビットも含むとしている(例えば、倍精度形式の精度 p は 53 である)。 ちなみに、[[x87]]の内部表現に用いられる[[拡張倍精度浮動小数点数|80ビット拡張倍精度浮動小数点数]]の仮数部は、他の形式と異なりケチ表現ではない。 == 英語での呼称 == {{Lang|en|significand}} は[[有効数字]]を意味する "significant digits" に由来し、20世紀に生まれた言葉である。{{Lang|en|coefficient}} は通常「[[係数]]」と訳されるが、指数部に付属する係数という意味で仮数も意味する。 アメリカ英語では、もともと仮数を ''mantissa'' と呼んでいた (Burks ''et al.'')。[[計算機科学]]者の間では今(2005年)でもよく使われている。しかし、[[IEEE 754]] の浮動小数点規格を策定した委員会は、''mantissa'' のこのような用法を好ましくないとしており、[[ウィリアム・カハン]]や[[ドナルド・クヌース]]といった専門家も同意見である{{要出典|date=2011年11月}}。というのも、''mantissa'' はもともと[[対数]]の小数点以下の部分を指す用語として使われているためである。 ''mantissa'' の本来の意味である対数の小数点以下の部分は、(底が同じ)浮動小数点数の仮数の対数に(正規化に依存する)ある定数を加えたものに等しい。一方、浮動小数点数の指数部は対数の整数部分に対応する。 :<math>\qquad\log_{a}(xa^p)=\log_{a}x+p</math> ''mantissa'' が対数の小数点以下を指す用法は18世紀まで遡り、さらに古くは "minor addition"(小さな付加)を意味する言葉だった。 == 引用 == <references /> == 参考文献 == * Burks, Arthur W.; [[ハーマン・ゴールドスタイン|Goldstine, Herman H.]]; [[ジョン・フォン・ノイマン|Von Neumann, John]] (1946). ''Preliminary discussion of the logical design of an electronic computing instrument''. Technical Report, Institute for Advanced Study, Princeton, NJ. In Von Neumann, ''Collected Works'', Vol. 5, A. H. Taub, ed., MacMillan, New York, 1963, p. 42: *:5.3. 'Several of the digital computers being built or planned in this country and England are to contain a so-called "floating decimal point". This is a mechanism for expressing each word as a characteristic and a mantissa—e.g. 123.45 would be carried in the machine as (0.12345,03), where the 3 is the exponent of 10 associated with the number.' {{DEFAULTSORT:かすう}} [[Category:コンピュータの算術]]
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