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[[File:Ito Integral BdB.png|thumb|right|260px|ウィーナー過程の一試行(青線)の伊藤積分(緑線)の例]] '''伊藤の補題'''(いとうのほだい、Itō's/Itô's lemma)は、[[確率微分方程式]]の[[確率過程]]に関する[[積分]]を簡便に計算するための方法である。[[伊藤清]]が考案した。 == 伊藤積分 == [[確率過程]]、とくに[[ウィーナー過程]] <math> B_t </math> の積分を考えたい。確率的にしか予言できない過程であっても、[[大数の法則]]を認めるような立場では、積分を定義することが出来る。 このような積分の定義の仕方にはいくつかあるが、[[伊藤清]]の定義した伊藤積分が、積分が[[マルチンゲール]]になるという応用上望ましい性質を持つため、しばしば用いられる。 === 伊藤積分の定義 === [[確率過程]] <math> Y_t </math> の区間 <math> [0, t] </math> におけるウィーナー過程 <math> B_t </math> に関する積分を : <math>\int_0^t Y_s\,dB_s = \sum_{i=1}^{n-1} Y(t_{i-1})(B(t_i)-B(t_{i-1})) + Y(t_{n-1})(B(t)-B(t_{n-1})) </math> の分割 <math> 0 = t_0 < t_1 < \cdots < t_{n-1} < t_n =t </math> を細かくした極限で定義する。 関数 <math> Y_t </math> は、よい性質([[可測]]で、<math> B_t </math> が[[適合]]する[[増大情報系]]に適合し、局所二乗可積分)を持っているものとする。 一見、[[リーマン積分]]と似た定義である。しかし、区間 <math> t_{i-1} \le t < t_i </math> のどの <math> t </math> で <math> Y(t)</math> を評価してもリーマン積分は定義できるのに対し、伊藤積分は区間の左端 <math> Y(t_{i-1}) </math> を用いる。 この和は、分割の仕方によらず、分割を小さくする極限で一定の値に収束することが示される <ref>{{cite book|和書|author=伊藤清|title=確率論|publisher=岩波書店|year=1991}} 5.15 章</ref>。 === 確率微分 === この積分のいわば逆計算として、確率過程の微分 <math> dB_t </math> が定義できる。 二次の微分 <math> dB_t dB'_t </math> は : <math>\sum_{i=1}^{m} (B(t_i)-B(t_{i-1}))(B'(t_i) - B'(t_{i-1})) \qquad\qquad\qquad\qquad (1)</math> の分割 <math> {t_0 < t_1 < \cdots < t_m} </math> を細かくした極限で定義する<ref>同書 5.16 章</ref>。 == 伊藤の公式 == [[確率過程]] <math>\{X_t \}</math> が[[確率微分方程式]] : <math>dX_t = f(t) dt + g(t) dB_t</math> に従っているとき, <math> h(t,x) </math> が<math> t, x </math> について二回連続微分可能とすると : <math>dh = \left. \frac{\partial h}{\partial t}\right |_{x=X_t} dt + \left. \frac{\partial h}{\partial x}\right |_{x=X_t} f(t) dt + \left. \frac{\partial h}{\partial x}\right |_{x=X_t} g(t) dB_t + \left. \frac{1}{2}\frac{\partial^2 h}{\partial x^2}\right |_{x=X_t} (g(t))^2 dt</math> が成立する <ref>同書定理 5.38</ref>。 確率過程を含まない積分表示では現れない <math> x </math> の微分に関する二次の項が存在する。これはウィーナー過程の性質<math> (dB_t)^2 = dt </math> による。 === 伊藤ルール === 伊藤の公式は、<math> h(t,x) </math> の二次までのテイラー展開に # <math>(dB_t)^2 = dt</math> # <math>dB_t dt =0</math> # <math>(dt)^2 = 0</math> を適用して得られる形をしている。 伊藤ルールを用いると、次のような計算が出来る。 : <math>de^{B_t^2}= 2B_t e^{B_t^2} dB_t + (e^{B_t^2} + 2B_t^2 e^{B_t^2} )dt</math> === 証明 === 上記の確率過程を含む二回微分の定義(1) を用いる。 第一式<ref>同書補題 5.11</ref>は : <math>S = \sum_{i=1}^{m} (B(t_i)-B(t_{i-1}))^2 </math> と置くと、<math> S </math> の期待値は : <math>E(S) = \sum_{i=1}^{m} E((B(t_i)-B(t_{i-1}))^2) </math> である。 [[ウィーナー過程]]の性質により、それぞれの <math> B(t_i)-B(t_{i-1}) </math> は独立だから<math> S </math> の分散は : <math>V(S) = \sum_{i=1}^{m} V((B(t_i)-B(t_{i-1}))^2) = \sum_{i=1}^{m} E((B(t_i)-B(t_{i-1}))^4) - (E((B(t_i)-B(t_{i-1}))^2))^2</math> である。 [[ウィーナー過程]]の性質により、 <math> B(t_i)-B(t_{i-1}) </math> は平均 0 分散 <math> t_i - t_{i-1} </math> の [[正規分布]]に従う。すなわち、 <math> E(B(t_i)-B(t_{i-1})) = 0 </math>、<math> E((B(t_i)-B(t_{i-1}))^2) = t_i - t_{i-1} </math>、 <math> E((B(t_i) - B(t_{i-1}))^4) = 3(t_i-t_{i-1})^2</math> となるから結局 <math> E(S) = t </math> であり、分割を細かくする極限で : <math> V(S) = 2\sum_i (t_i-t_{i-1})^2 \le 2 \max(t_i-t_{i-1}) \sum_i (t_i-t_{i-1}) = 2 \max(t_i-t_{i-1}) t \to 0 </math> となる。 [[チェビシェフの不等式]]を用いれば、<math> S </math> は <math> E(S) = t </math> に(確率の意味で)収束することが示される。 第二式は : <math> \sum_{i=1}^{m} (t_i - t_{i-1}) (B(t_i)-B(t_{i-1})) \le t \max(B(t_i) - B(t_{i-1})) </math> と評価されて、<math> B(t) </math> は連続であるから分割を細かくすると右辺が 0 に収束する。 第三式は : <math> \sum_{i=1}^{m} (t_i - t_{i-1}) ^2 \le m \frac{t^2}{m^2} \to 0 </math> と評価される。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} {{確率論}} {{DEFAULTSORT:いとうのほたい}} [[Category:解析学]] [[Category:確率論]] [[Category:確率過程]] [[Category:補題]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:数学のエポニム]]
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