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{{About|群論における位数 (order) |数学の他の分野における位数|位数|他の学問分野におけるオーダー|オーダー}} <!--{{Refimprove|date=May 2011}}--> {{Group theory sidebar}} [[数学]]の分野である[[群論]]において、<!--用語'''位数''' (order) は2つの無関係な意味で用いられる: * [[群 (数学)|群]]の位数 (order) はその[[濃度 (数学)|濃度]]である、すなわち、その[[集合]]に入っている元の個数である。また、群の[[元 (数学)|元]] ''a'' の位数(order, ときに period)は {{nowrap|1=''a''{{sup|''m''}} = ''e''}} であるような最小の正の[[整数]] ''m'' である(ただし ''e'' は群の[[単位元]]を表し ''a{{sup|m}}'' は ''a'' の ''m'' 個のコピーの積を表す)。そのような ''m'' が存在しなければ、''a'' の位数は無限であるという。 * 群上の全順序、反対称、推移的な関係 < であって {{nowrap|''g'' < ''g''}} であるときにはいつでも群の任意の ''h'' に対して {{nowrap|''hg'' < ''hg''}} という性質をもつもの。群が order をもてば有限位数の元をもたない。 この記事は1つ目の概念についてのものである。 -->[[有限群]]の'''位数'''({{lang-en-short|order}})はその[[濃度 (数学)|濃度]]、すなわち、その[[集合]]に入っている元の個数である。また、群の[[元 (数学)|元]] ''a'' の'''位数'''(order, ときに period)は {{nowrap|1=''a{{sup|m}}'' = ''e''}} であるような最小の正の[[整数]]''m''である(ただし ''e'' は群の[[単位元]]を表し ''a{{sup|m}}'' は ''a'' の ''m'' 個のコピーの積を表す)。そのような ''m'' が存在しなければ、''a'' の位数は無限であるという。 群 ''G'' の位数は ord(''G'') や |''G''| で表記され、元 ''a'' の位数は ord(''a'') や |''a''| 、それ以外では <math>\operatorname{ord}(\langle a \rangle)</math> で表記される。ここで、やま括弧による記法は生成されたグループをあらわす。 == 例 == '''例'''。[[対称群]] S{{sub|3}} は以下の乗積表をもつ。 :{|cellspacing="0" cellpadding="8" border="1" !• !''e''||''s''||''t''||''u''||''v''||''w'' |- !''e'' |{{Color|#009246"|''e''}}||''s''||''t''||''u''||''v''||''w'' |- !''s'' |''s''||{{Color|#009246|''e''}}||''v''||''w''||''t''||''u'' |- !''t'' |''t''||''u''||{{Color|#009246|''e''}}||''s''||''w''||''v'' |- !''u'' |''u''||''t''||''w''||{{Color|#009246|''v''}}||''e''||''s'' |- !''v'' |''v''||''w''||''s''||''e''||{{Color|#009246|''u''}}||''t'' |- !''w'' |''w''||''v''||''u''||''t''||''s''||{{Color|#009246|''e''}} |} この群は 6 つの元をもつので、ord(S{{sub|3}} = 6 である。定義によって、単位元 ''e'' の位数は 1 である。''s'', ''t'', ''w'' の各々は自乗すれば ''e'' になるので、これらの群の元の位数は 2 である。一覧表を完成するには、''u'' と ''v'' の位数はどちらも 3 である、というのも ''u''{{sup|2}} = ''v'' であり ''u''{{sup|3}} = ''vu'' = ''e'' であり、''v''{{sup|2}} = ''u'' であり ''v''{{sup|3}} = ''uv'' = ''e'' だからだ。 == 位数と構造 == 群の位数と元の位数はよく群の構造の情報をもたらす。大ざっぱに言えば、位数の分解が複雑であればあるほど群も複雑である。 群 ''G'' の位数が 1 であれば、群は[[自明群]]と呼ばれる。元 ''a'' が与えられると、ord(''a'') = 1 と ''a'' が単位元であることは[[同値]]である。また、群''G'' の単位元でない任意の元 ''a'' の位数が2であれば、''a''{{sup|2}} = ''e'' の両辺に右または左から ''a''{{sup|-1}} をかけることで ''a'' 自身が逆元であることが分かり、''G'' の任意の元 ''a'', ''b'' について <math>ab=(ab)^{-1}=b^{-1}a^{-1}=ba</math> が得られるので ''G'' は[[アーベル群]]である。ただし、この命題の逆は正しくない。例えば、6を[[合同算術|法とした]]整数のなす(加法的)[[巡回群]] '''Z'''{{sub|6}} はアーベル群であるが、数 2 は位数 3 をもつ: :<math>2+2+2=6 \equiv 0 \pmod {6}</math>. 位数の2つの概念の関係は次のようである。''a'' によって[[群の生成系|生成される部分群]]を :<math>\langle a \rangle = \{ a^{k} : k \in \mathbb{Z} \} </math> と書けば、 :<math>\operatorname{ord} (a) = \operatorname{ord}(\langle a \rangle).</math> 任意の整数 ''k'' に対して :''a{{sup|k}}'' = ''e'' ⇔ ord(''a'') は ''k'' を[[約数|割り切る]]。 一般に、''G'' の任意の部分群の位数は ''G'' の位数を割り切る。よりきちんと書くと、''H'' が ''G'' の部分群であれば、 :ord(''G'') / ord(''H'') = [''G'' : ''H''], ここで [''G'' : ''H''] は ''H'' の ''G'' における[[部分群の指数|指数]]と呼ばれ、整数である。これは[[ラグランジュの定理 (群論)|ラグランジュの定理]]である。(しかしながらこれは ''G'' の位数が有限のときにのみ正しい。ord(''G'') = ∞ であれば、商 ord(''G'') / ord(''H'') は意味をなさない。) 上から直ちに出る結果として、群のすべての元の位数は群の位数を割り切ることがわかる。例えば、上で示された対称群において、ord(S{{sub|3}} = 6 であったが、元の位数は 1, 2, 3 である。 以下の部分的な逆が[[有限群]]に対して正しい: ''d'' が群 ''G'' の位数を割り切り ''d'' が[[素数]]であれば、''G'' の位数 ''d'' の元が存在する(これは[[コーシーの定理 (群論)|コーシーの定理]]と呼ばれることがある)。主張は[[合成数]]の位数に対しては成り立たない、例えば、[[クラインの四元群]]は位数 4 の元をもたない。これは[[数学的帰納法|帰納法]]によって証明できる<ref>{{Cite journal |title=Proof of Cauchy's Theorem |url=http://www.math.uconn.edu/~kconrad/blurbs/grouptheory/cauchypf.pdf |first=Keith |last=Conrad |format=PDF |accessdate=2011-05-14}}</ref>。定理の結果は次を含む:群 ''G'' の位数が素数 ''p'' のベキであることと ''G'' のすべての ''a'' に対して ord(''a'') が ''p'' のあるベキであることは同値である<ref>{{Cite journal |title=Consequences of Cauchy's Theorem |url=http://www.math.uconn.edu/~kconrad/blurbs/grouptheory/cauchyapp.pdf |first=Keith|last=Conrad |format=PDF |accessdate=2011-05-14}}</ref>。 ''a'' の位数が無限であれば、''a'' のすべての<!--0乗は除く-->ベキも同様に無限の位数をもつ。''a'' の位数が有限であれば、次の公式が ''a'' のベキの位数に対して成り立つ:すべての整数 ''k'' に対して :ord(''a{{sup|k}}'') = ord(''a'') / [[最大公約数|gcd]](ord(''a''), ''k'') とくに、''a'' とその逆元 ''a''{{sup|−1}} は同じ位数をもつ。 任意の群において、 :<math> \operatorname{ord}(ab) = \operatorname{ord}(ba)</math> 積 ''ab'' の位数を ''a'' と ''b'' の位数に関係付ける一般的な公式は存在しない。実は、''a'' と ''b'' の位数が両方有限であるのに ''ab'' の位数が無限であったり、''a'' と ''b'' の位数が無限であるのに ''ab'' の位数が有限であることがある。前者の例は群 <math>\operatorname{Sym}(\mathbb{Z})</math> において ''a(x) = 2-x'', ''b(x) = 1-x'' で ''ab(x) = x-1''<!--x+1のミス?-->。後者の例は ''a(x) = x+1'', ''b(x) = x-1'' で ''ab(x) = id''。''ab'' = ''ba'' であれば、少なくとも ord(''ab'') は [[最小公倍数|lcm]](ord(''a''), ord(''b'')) を割り切るということは言える。その結果、有限アーベル群において、''m'' で群の元のすべての位数の最大値を表せば、すべての元の位数は ''m'' を割り切ることを証明できる。 == 元の位数で数える == ''G'' を位数 ''n'' の有限群とし、''d'' を ''n'' の約数とする。''G'' の位数 ''d'' の元の個数は、位数 ''d'' の巡回部分群の個数を ''m'' とすれば、''m''φ(''d'') である。ここで φ は[[オイラーのφ関数|オイラーのトーシェント関数]]で、''d'' 以下でそれと[[互いに素 (整数論)|互いに素]]な正の整数の個数を与える。例えば S{{sub|3}} の場合 φ(3) = 2 であり位数 3 の元がちょうど 2 つある。定理は位数 2 の元については何の有益な情報ももたらさない、なぜならば φ(2) = 1 であるからで、''d'' = 6 のような合成数 ''d'' に対する限られた有用性しかない、なぜならば φ(6) = 2 だからだ、そして S{{sub|3}} に位数 6 の元は 0 個存在する。 == 準同型との関係 == [[群準同型]]は元の位数を減らす傾向にある: ''f'': ''G'' → ''H'' が準同型で ''a'' が''G'' の位数有限の元であれば、ord(''f''(''a'')) は ord(''a'') を割り切る。''f'' が[[単射]]であれば、ord(''f''(''a'')) = ord(''a'') である。このことは(単射)準同型が2つの具体的に当てられた群の間に存在しないことを証明するのにしばしば使える。(例えば、非自明な準同型 ''h'': S{{sub|3}} → '''Z'''{{sub|5}} は存在しえない、なぜならば '''Z'''{{sub|5}} の 0 以外のすべての数は位数 5 であり、これは S{{sub|3}} の元の位数 1, 2, 3 を割り切らない。)さらなる結果は[[共役類|共役元]]は同じ位数をもつことである。 == 類等式 == 位数についての重要な結果は[[類等式]]である。それは有限群 ''G'' の位数をその[[群の中心|中心]] Z(''G'') の位数とその非自明な[[共役類]]のサイズに関連付ける: :<math>|G| = |Z(G)| + \textstyle\sum\limits_i d_i</math> ただし ''d{{sub|i}}'' は非自明な共役類のサイズである。これらは 1 よりも大きい |''G''| の真の約数であり、それらはまた非自明な共役類の代表系の ''G'' における中心化群の指数にも等しい。例えば、S{{sub|3}} の中心はただ 1 つの元 ''e'' からなる自明群で、方程式は |S{{sub|3}}| = 1+2+3 となる。 == 未解決問題 == 群とその元の位数についてのいくつかの深い問題は様々な[[バーンサイド問題]]に含まれている。これらの問題のいくつかはまだ解決されていない。 == 参考文献 == {{Reflist}} == 関連項目 == * [[ねじれ群]] == 外部リンク == * {{高校数学の美しい物語|905|位数の性質と原始根の応用}} {{DEFAULTSORT:いすう}} [[Category:群論]] [[Category:数学に関する記事]]
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