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{{変調方式}} '''位相偏移変調'''(いそうへんいへんちょう)もしくは'''位相シフトキーイング'''({{lang-en|phase-shift keying, PSK}})は、基準[[信号 (電気工学)|信号]]([[搬送波]])の[[位相]]を[[変調]]することによって、[[データ]]を伝送する、[[デジタル変調]]方式である。 == 概要 == PSKでは、基本波の位相を不連続に変化させることにより、[[デジタルデータ]]を表現する。例えば、4種の位相を用いて表現する時(QPSK)、一つの位相には2ビット(00、01、10、11)が割り当てられる。 位相に割り当てられる各々のビットパターンを[[ボー|シンボル]]と呼ぶ。 [[復調|復調器]]は、[[変調]]において使用されたシンボルと位相の組み合わせに基づいて設計される。まず、受信信号の位相を明らかにし、次に、各位相が表現しているシンボルを基に、ビット列を組み立てることで元のデータを復元する。 [[受信]][[信号 (電気工学)|信号]]と基準信号の位相差により、デジタルデータを表現する方式を、coherent phase-shift keying (CPSK)と呼ぶ。この場合、復調器は、基準信号と[[同期信号|同期]]していなければならない。 受信信号における、位相の相対的な変化の量によってデジタルデータを表現する方式を、'''差動(差分)位相偏移変調'''(DPSK)と呼ぶ。この場合、復調器は基準信号と同期する必要がないため、比較的実装が容易となるが、復調時の誤りが生じやすくなるため、[[誤り検出訂正|誤り訂正]]などによる補正が重要である。 == 序論 == [[デジタル]]信号の伝送で使用される、主な[[デジタル変調]]技術は、次の三種類である。 *[[振幅偏移変調]] *[[周波数偏移変調]] *'''位相偏移変調''' 全て、データ信号に応じて、基準信号、[[搬送波]](通常[[シヌソイド]])の一部の特性を変化させることによってデータを伝送する。 PSKの場合、データ信号を表すために位相を変化させる。 この様にPSKで信号の位相を利用するためには、以下の二つの方法がある。 *情報を伝達する信号の位相自体を見る方法。この場合、復調器は受信信号の位相を比較する基準信号を持たなければならない。 *情報を伝達する信号の位相の「変化」を見る方法。すなわち、位相の差を判断する。この方式の一部の構成では、基準搬送波を必要としない。 [[Image:8PSK Gray Coded.svg|thumb|200px|8PSKの信号空間ダイヤグラム]] PSKを表現する便利な方法に、[[信号空間ダイヤグラム]]がある。 これは、同相の信号を実数軸に、直角位相の信号を虚数軸にとった[[ガウス平面]]上に信号点を示す方法である。 垂直な軸におけるそのような表現は、簡単な実現に適している。 同相軸に沿ったそれぞれの信号点の振幅は[[コサイン]](または[[正弦|サイン]])波を変調し、さらに直角位相軸に沿った振幅はサイン(またはコサイン)波を変調する。 PSKでは、選ばれる信号点は、通常円のまわりに、均一の角度間隔で配置される。 これにより、隣接点間の位相距離を最大にし、干渉に対する耐性を最大にする。 それらの点は全て同一のエネルギーで送信が可能であるように、[[円 (数学)|円]]上に配置される。 この方法によって、それらが表す複素数の[[ノルム]]は等しくなり、コサインとサイン波に必要となる振幅も同じになる。 いくつの位相を用いても良いが、一般的な例として、二つの位相を使用する、'''二位相偏移変調'''や、4つの位相を使用する'''四位相偏移変調'''が存在する。 伝達されるデータは通常バイナリであるので、PSKは通常、2の累乗である信号点の数で設計される。 === 定義 === 誤り率を数学的に計算するためには、いくつかの定義が必要となる。 *<math>E_b</math> = 1ビットあたりのエネルギー *<math>E_s</math> = 1シンボルあたりのエネルギー = <math>kE_b</math> 1シンボルあたり''k''ビットのエネルギー *<math>T_b</math> = ビット間隔 *<math>T_s</math> = シンボル間隔 *<math>N_0/2</math>= ノイズ電力スペクトル密度( [[ワット|W]] / [[ヘルツ|Hz]] ) *<math>P_b</math> = [[符号誤り率]] *<math>P_s</math> = シンボル誤り率 {{Indent|<math>Q(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{x}^{\infty}e^{-t^{2}/2}dt = \frac{1}{2}\,\operatorname{erfc}\left(\frac{x}{\sqrt{2}}\right),\ x\geq{}0</math>.}} Q(x)は、平均がゼロ、分散が1となるガウスの[[確率密度関数]]でランダムな過程から得られた単一のサンプルがx以上である確率である。 それは相補ガウスエラー関数の規格化された形である。 ここで示した誤り率は[[加算性白色ガウス雑音]]([[AWGN]])のものである。 この誤り率は[[フェージング]]のものよりは低く、理論的な比較に適している。 == 用途 == 比較対象として挙げられる[[直交振幅変調|QAM]]と比較すると、PSKはその単純さのため、既存の技術を用いて広く利用されている。 最も一般的な[[無線LAN]]規格[[IEEE 802.11b]]<ref name="ref80211">[http://standards.ieee.org/getieee802/download/802.11-1999.pdf IEEE Std 802.11-1999: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications] — the overarching IEEE 802.11 specification.</ref><ref name="80211b">[http://standards.ieee.org/getieee802/download/802.11b-1999.pdf IEEE Std 802.11b-1999 (R2003)] — the IEEE 802.11b specification.</ref>は、要求されるデータ転送速度に応じて、様々なPSKを組み合わせて利用している。 1Mbit/sの基本速度では、DBPSKを使用し、拡張された2Mbit/sの速度では、DQPSKが使われ、5.5 Mbit/s と11Mbit/sのフルレートでは、QPSKが利用される。このとき、[[IEEE_802.11#IEEE_802.11b|CCK]](Complementary Code Keying)も併用される。 高速無線LAN規格[[IEEE 802.11g]]<ref name="ref80211" /><ref name="80211g">[http://standards.ieee.org/getieee802/download/802.11g-2003.pdf IEEE Std 802.11g-2003] — the IEEE 802.11g specification.</ref>では、6, 9, 12, 18, 24, 36, 48 そして 54 Mbit/sの8つのデータ転送速度を持つ。6、9Mbit/sのモードではBPSKが、12、18Mbit/sのモードではQPSKが、残りの4つの高速なモードでは、QAMが利用される。 その単純さのため、BPSKは低コストの受動的な送信機に利用され、[[ISO14443]]を満たす[[RFID]]に利用されている。このRFIDは、[[バイオメトリック・パスポート|生体認証パスポート]]、[[クレジットカード]]やその他の用途に利用されている。 [[Bluetooth]] 2は、低いレート(2 Mbit/s)ではπ / 4-DQPSKが、2台の装置のリンクが十分に強いとき高いレート(3 Mbit/s)では8-DPSKが使われる。Bluetooth 1は、ガウス[[最小偏移変調]]で変調され、バージョン2では、どちらの変調方式を選択するかにより、より高速の転送速度を出すことができる。 == 二位相偏移変調 (BPSK) == [[Image:BPSK Gray Coded.svg|thumb|200px|BPSKにおける[[信号空間ダイヤグラム]]]] BPSK({{lang-en|binary phase-shift keying}})はPSKで最も単純な形式である。 これは180°分離された2つの位相を使い、「2-PSK」とも呼ばれる。 [[信号点]]がどこに置かれるかは必ずしも特に重要ではなく、そしてこの形ではそれらは実軸において0°と180°に示される。 この方式は、誤った内容に復号されるには、致命的なほどの妨害波が必要であるため、全てのPSKの中で最も強力なものである。しかし、図にあるように1シンボルあたり1ビットのみの変調が可能であるため、[[帯域幅]]が限定されている場合高速のデータ転送には不適切である。 [[AWGN]]環境下におけるBPSKの[[符号誤り率]](BER)を示すと以下のとおりになる: {{Indent|<math>P_b = Q\left(\sqrt{\frac{2E_b}{N_0}}\right)</math>}} 1シンボルにつき1ビットだけなので、これはシンボル誤り率(SER)でもある。 通信伝送路によってもたらされる任意の位相シフトがある状態で、復調器はどの信号点がどれかを伝えることができない。 そのため、データは変調前にしばしば特異的に[[符号化]]される。 === 計算 === バイナリデータは、以下の信号でしばしば伝達される: {{Indent| <math>s_0(t) = \sqrt{\frac{2E_b}{T_b}} \cos(2 \pi f_c t + \pi ) = - \sqrt{\frac{2E_b}{T_b}} \cos(2 \pi f_c t)</math> [[バイナリ]]"0"を示す。<br /> <math>s_1(t) = \sqrt{\frac{2E_b}{T_b}} \cos(2 \pi f_c t) </math> バイナリ"1"を示す。 <math>f_c</math> は[[搬送波]]の[[周波数]]。 }} 従って、信号スペース(signal space)は一つの[[基底関数]]によって表すことができる。 {{Indent|<math>\phi(t) = \sqrt{\frac{2}{T_b}} \cos(2 \pi f_c t) </math>}} 1は<math>\sqrt{E_b} \phi(t)</math>によって表現され、0は<math>-\sqrt{E_b} \phi(t)</math>によって表現される。 この割り当てはもちろん、任意である。 <!--この基底関数の使用は、信号タイミング図を用いて、次のセクションの終わりに示される。 一番上の信号は[[余弦波]]を調整しているPSKを示しており、BPSK変調器が出す信号である。 この出力を引き起こすビットストリームは信号上に示される(この図の他の部分はQPSKにだけ関連している)。 --> == 四位相偏移変調 (QPSK) == [[Image:QPSK Gray Coded.svg|thumb|200px|QPSKの[[信号空間ダイヤグラム]]。隣のシンボルと1ビットだけ異なる。]] {{lang|en|quaternary}} または {{lang|en|quadriphase}} PSK、 4-PSK、4-QAMとも言われる<ref>4-QAMとQPSKは概念が異なるが、変調構成は結果として同じとなる</ref>。 QPSKは[[信号空間ダイヤグラム]]で4点使用し、円状に配置される。 4段階の位相を用いて、QPSKは1シンボルにつき2ビットを符号化することができる。さらに[[グレイ符号]]を用いて[[符号誤り率]]を小さくできる。<!--twice the rate of BPSK.--> <!--Analysis shows that this may be used either to double the data rate compared to a BPSK system while maintaining the bandwidth of the signal or to maintain the data-rate of BPSK but halve the bandwidth needed.--> <!--Although QPSK can be viewed as a quaternary modulation, it is easier to see it as two independently modulated quadrature carriers.--> <!--With this interpretation, the even (or odd) bits are used to modulate the in-phase component of the carrier, while the odd (or even) bits are used to modulate the quadrature-phase component of the carrier.--> <!--BPSK is used on both carriers and they can be independently demodulated.--> QPSKの[[ビット誤り率]]は、BPSKと同じになる {{Indent|<math>P_b = Q\left(\sqrt{\frac{2E_b}{N_0}}\right).</math>}} しかしながら、BPSKと同じ[[ビット誤り率]]を達成するためには、電力を2倍必要とする。(2ビットが同時に送られるため) [[シンボル誤り率]]は次のように与えられる: <!--Note this needs to be in a table to make the alignment and spacing right. --> {| |<math>\,\!P_s</math> |<math>= 1 - \left( 1 - P_b \right)^2</math> |- | |<math>= 2Q\left( \sqrt{\frac{E_s}{N_0}} \right) - Q^2 \left( \sqrt{\frac{E_s}{N_0}} \right)</math>. |} もし、[[信号対雑音比]]が高い(実用的なQPSKシステムのために必要であるような)ならば、[[シンボル誤り率]]は次のように近似される: {{Indent|<math>P_s \approx 2 Q \left( \sqrt{\frac{E_s}{N_0}} \right )</math>}} <!--As with BPSK, there are phase ambiguity problems at the receiver and differentially encoded QPSK is used more often in practice.--> {{節スタブ}} == 差動(差分)位相偏移変調 (DPSK) == ===差動符号化=== {{Main article|差動符号化}} 差動位相偏移変調(DPSK)は搬送波の位相を変更することでデータを伝達する一般的な形式の位相変調である。BPSKとQPSKで説明したように信号が通過する通信路で何らかの効果によりコンステレーションが回転すると位相が不明確になる。この問題はデータを使用して位相を「設定」するのではなく「変更」することで解決することができる。 例えば、差動符号化されたBPSKでは、現在の位相に180°を加えることでバイナリ"1"を送信でき、0°を加えることで"0"を送信できる{{Anchors|SDPSK}}SDPSK。DPSKの変形は対称差動位相偏移変調(SDPSK)であり、この場合、"1"の場合は+90°、"0"の場合は−90°である。 差動符号化されたQPSK(DQPSK)では、位相シフトは0°、90°、180°、−90°でありデータ"00"、"01"、"11"、"10"に対応する。この種の符号化は非差動PSKと場合と同じ方法で復調できるが、位相のあいまいさは無視できる。したがって、各受信符号はコンステレーションのM点の1つに復調され、[[コンパレータ]]はこの受信信号と前の信号との間の位相差を計算する。差は上記のようにデータを符号化する。対称差動四位相偏移変調(SDQPSK)はDQPSKに似ているが、符号が対称的であり、位相シフト値は−135°, −45°, +45°,+135°である。 上記のDBPSKとDQPSKの両方の変調信号を以下に示す。この図では「信号が0位相で始まる」と仮定されており、<math>t = 0</math>で両方の信号に位相シフトがある。 [[File:DBQPSK timing diag fixed.png|thumb|center|600px|DBPSKとDQPSKのタイミング図。バイナリデータストリームはDBPSK信号の上にある。DBPSK信号の個々のビットはペアにまとめられDQPSK信号となり、''T<sub>s</sub>'' = 2''T<sub>b</sub>''ごとのみ変化する。]] 解析により、差動符号化は通常の<math>M</math>-PSKと比較してエラー率が約2倍になるが、これは<math>E_b/N_0</math>を少し増やすだけで解決できる可能性がある。さらに、この解析(および以下のグラフ結果)は改悪が[[加算性白色ガウス雑音]](AWGN)のみであるシステムに基づいている。しかし、通信システムの送信機と受信機の間の物理チャネルもある。このチャネルは一般的にPSK信号に未知の位相シフトを導入する。これらの場合、微分スキームは正確な位相情報に依存する通常のスキームよりも「優れた」エラー率を生み出すことがある。 DPSKの最も一般的な応用の1つは<math>\pi/4</math>-DQPSKと8-DPSKが実装された[[Bluetooth#バージョン|Bluetooth規格]]である。 ===復調=== [[Image:DPSK BER curves.svg|thumb|280px|[[グレイ符号]]及び[[ホワイトノイズ]]で動作している時のDBPSK、DQPSKおよびそれらのnon-differential formsのBERの比較。]] 差分符号化された信号の場合、復調の明白な代替方法がある。通常のように復調しキャリア位相のあいまいさを無視する代わりに、2つの連続する受信符号間の位相が比較され、データが何でなくてはならなかったのかを決定するために使用される。この方法で差分符号化が使用される場合、このスキームは差動位相偏移変調(DPSK)と呼ばれる。これは受信時に受信符号が1つずつコンステレーション点に復号されるのではなく直接互いに比較されるため、単に差動符号化されたPSKと微妙に異なることに注意。 受信符号をk番目のタイムスロット<math>r_k</math>で呼び出し、位相を<math>\phi_k</math>にする。一般性を失うことなく搬送波の位相が0であると仮定する。[[加算性白色ガウス雑音]](AWGN)項を<math>n_k</math>として示すと、次式 :<math>r_k = \sqrt{E_s}e^{j\phi_k} + n_k.</math> となる。(k-1)番目の符号とk番目の符号の決定変数は<math>r_k</math>と<math>r_{k-1}</math>の位相差である。つまり、<math>r_k</math>が<math>r_{k-1}</math>に投影されると、結果として複素数の位相が得られる。 :<math>r_kr_{k-1}^* = E_se^{j\left(\varphi_k - \varphi_{k-1}\right)} + \sqrt{E_s}e^{j\varphi_k}n_{k-1}^* + \sqrt{E_s}e^{-j\varphi_{k-1}}n_k + n_kn_{k-1}^*</math> 上付きの*は[[複素共役]]を表す。ノイズがない場合、この位相は<math>\phi_{k}-\phi_{k-1}</math>であり、送信されたデータを決定するために使用できる2つの受信信号の間の位相シフトである。 DPSKのエラーの確率は、一般に計算が困難であるがDBPSKの場合は次のようになる。 :<math>P_b = \frac{1}{2}e^{-\frac{E_b}{N_0}},</math><ref>G.L. Stüber, “Soft Decision Direct-Sequence DPSK Receivers,” IEEE Transactions on Vehicular Technology, vol. 37, no. 3, pp. 151–157, August 1988.</ref> 数値で評価すると、特に<math>E_b/N_0</math>の値が高い場合に、通常のBPSKよりわずかに悪いだけである。 DPSKを使用すると、複雑かもしれないキャリア回復スキームにより正確な位相推定を行う必要がなくなり、通常のPSKの魅力的な代替手段となる。 [[光通信]]では、データを差動方式で[[レーザー]]の位相に変調できる。変調は[[連続波]]を放出するレーザーと、電気バイナリデータを受信する[[マッハ・ツェンダー干渉計]]である。BPSKの場合、レーザーはバイナリの'1'のフィールドを変更せずに送信し、'0'の極性は逆にする。復調器は1ビットを遅延させる{{仮リンク|遅延干渉計|en|delay line interferometer}}で構成されているため、2ビットを同時に比較できる。その後の処理では、[[フォトダイオード]]を使用して光学場を電流に変換し、情報を元の状態に戻る。 右のグラフではDBPSKとDQPSKのビット誤り率を差動ではないものと比較している。DBPSKを使用することによる損失はBPSKを使用する通信システムでしばしば使用される複雑さの低減と比較して十分小さい。ただしDQPSKの場合、通常のQPSKと比較して動作の損失が大きく、システム設計者はこれと複雑さの低減とのバランスをとる必要がある。 ===例: 差動符号化BPSK=== [[File:Differential Codec.png|thumb|center|500px|Differential encoding/decoding system diagram]] k番目のタイムスロットで変調されるビット<math>b_k</math>、差動符号化ビット<math>e_k</math>、結果得られる変調信号<math>m_k(t)</math>を呼び出す。コンステレーション図は符号を±1(BPSKでは)に配置すると仮定する。差動符号化器は以下を生成する。 :<math>\,e_k = e_{k-1} \oplus b_k</math> <math>\oplus{}</math>は[[バイナリ|二進法]]または[[合同算術|モジュロ2]]の加算を示す。 [[File:Diff enc BPSK BER curves.svg|thumb|280px|BPSKとホワイトノイズで動作するグレイコーディングを使用した差動符号化BPSKのBER比較。]] そのため、<math>b_k</math>はバイナリ"1"である場合、<math>e_k</math>は状態を変更するだけである(バイナリ"0"からバイナリ"1"に、またはバイナリ"1"からバイナリ"0"に)。それ以外の場合は以前の状態のままである。これが上記の差動符号化BPSKの説明である。 受信信号は復調され、<math>e_k = \pm 1</math>が生成され、差分復号器が符号化手順を逆にして :<math>b_k = e_k \oplus e_{k-1},</math> を生成する(バイナリ減算はバイナリ加算と同じであるため)。 したがって、<math>e_k</math>と<math>e_{k-1}</math>が異なる場合<math>b_k=1</math>であり、同じ場合<math>b_k=0</math>である。したがって、<math>e_k</math>と<math>e_{k-1}</math>が「反転」していても<math>b_k</math>は正しく復号される。よって180°の位相のあいまいさは問題にならない。 他のPSK変調の差動スキームも同様の方法で考案できる。DPSKの波形は2つのスキーム間の唯一の変更が受信器で行われるため、上記で与えられた差動符号化PSKの波形と同じである。 この例のBER曲線は右側で通常のBPSKと比較される。上で述べたように、エラー率はおよそ2倍になるが、これを解決するために<math>E_b/N_0</math>に必要な増加量はわずかである。しかし、符号化システムの差動変調を乗り切るために必要な<math>E_b/N_0</math>の増加は大きく、通常は約3 dBである。動作の低下は[[非コヒーレント伝送]]の結果である。この場合は位相の追跡が完全に無視されていることを示す。 == 脚注 == <references/> == 関連項目 == * [[変調方式]] * [[デジタル変調]] * [[PSK31]] {{Tech-stub}} {{DEFAULTSORT:いそうへんいへんちよう}} [[Category:変調方式]]
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