位相因子のソースを表示

'''位相因子'''（いそういんし、{{lang-en-short|phase factor}}）とは、[[複素数]]が {{Mvar|r[[ネイピア数|e]]<sup>[[虚数単位|i]]&theta;</sup>}} などの[[極形式]]で書かれたときの[[複素指数]]因子 {{Mvar|e<sup>i&theta;</sup>}} のことである。位相因子は[[単位複素数]]、つまり[[絶対値]]が1である。位相因子を一般化したものが[[フェーザ表示|フェーザ]]で、1以外の大きさも持ち得るので、[[円周群]]の一部であるとは限らない。位相因子は[[量子力学]]においてよく用いられる。

変数 {{Mvar|&theta;}} は、一般的に[[位相]]と呼ばれる。[[平面波]] {{Math|''Ae''<sup>''i''('''k'''&sdot;'''r''' &minus; ''&omega;t'')</sup>}} に位相因子を掛けると、波の位相が {{Mvar|&theta;}} だけシフトする。
:<math>e^{i\theta}Ae^{i\left({\mathbf{k}\cdot\mathbf{r}-\omega t}\right)}=Ae^{i\left({\mathbf{k}\cdot\mathbf{r}-\omega t+\theta}\right)}</math>
[[量子力学]]における位相因子は、[[ブラ-ケット記法|ケット]] {{math|{{ket|''&psi;''}}}} や[[ブラ-ケット記法|ブラ]] {{math|{{bra|''&phi;''}}}} にかかる複素係数 {{Mvar|e<sup>i&theta;</sup>}} である。この位相因子 {{Mvar|e<sup>i&theta;</sup>}} は物理的意味を持たない。なぜなら {{math|{{bra|''&phi;''}}''A''{{ket|''&phi;''}}}} と {{math|{{bra|''&phi;''}}''e''<sup>&minus;''i&theta;''</sup> ''Ae<sup>i&theta;</sup>''{{ket|''&phi;''}}}} は同じ値であるため{{Sfnp|Messiah|1999|p=296}}、位相因子を導入しても[[物理量]]を表す[[エルミート演算子]]の[[期待値]]は変化しないからである。しかし相互作用する2つの[[量子状態]]間の位相因子の差は観測されることがあり、重要な結果を生じさせる。

[[光学]]では、[[干渉 (物理学)|干渉]]を扱うときに位相因子が重要となる。

==脚注==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}

==参考文献==
* {{Cite book|last=Messiah|first=Albert|authorlink=:en:Albert Messiah|title=Quantum Mechanics|series=Dover Books on Physics|location=[[ミネオラ (ニューヨーク州)|Mineola]]|publisher=[[ドーヴァー出版|Dover]]|edition=1st|year=1999|ncid=BA4899380X|oclc=868078121|asin=B002A76D2A|isbn=0-486-40924-4|ref=harv}}

==関連項目==
* [[Berry位相|ベリー位相]]
* [[ブラ-ケット記法]]
* [[オイラーの公式]]
* [[フェーザ表示]]
* [[平面波]]

{{Physics-stub}}
{{DEFAULTSORT:いそういんし}}
[[Category:情報理論]]
[[Category:量子情報科学]]
[[Category:表記]]