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{{Redirect|Coker (数学)||:en:Coker (disambiguation)}} {{no footnotes|date=February 2013}} [[数学]]において、[[ベクトル空間]]の[[線型写像]] ''f'' : ''X'' → ''Y'' の'''余核''' (よかく、cokernel) は ''f'' の[[終域]] の ''f'' の像による[[商線型空間|商空間]] ''Y''/im(''f'') である。余核の次元は ''f'' の''余次元'' (corank) と呼ばれる。 余核は[[核 (圏論)|圏論の核]]の[[双対 (圏論)|双対]]であるので、その名前がついている。核は定義域の[[部分対象]]であるのに対し(それは定義域に写す)、余核は終域の{{仮リンク|商対象|en|quotient object}}である(それは終域から写す)。 直感的には、解きたい方程式 ''f(x) = y'' が与えられると、余核は方程式が解を持つために ''y'' が満たさなければならない''制約'' - 解の障害物 - を測り、一方核は解の''自由さの度合''を、存在すれば、測る。これは下で[[#直感|直感]]で詳述される。 より一般に、ある[[圏論|圏]]において[[射]] ''f'' : ''X'' → ''Y'' (例えば[[群 (数学)|群]]の間の[[群準同型|準同型]]や[[ヒルベルト空間]]の間の[[有界線型作用素]])の余核は対象 ''Q'' と射 ''q'' : ''Y'' → ''Q'' であって合成 ''q f'' が圏の{{仮リンク|ゼロ射|en|zero morphism}}であり、さらに、''q'' はこの性質に関して[[普遍性|普遍的]]であるようなものである。しばしば写像 ''q'' は省略され ''Q'' 自身が ''f'' の余核と呼ばれる。 [[アーベル群]]、[[ベクトル空間]]、[[環上の加群|加群]]といった[[抽象代数学]]の多くの状況において、[[準同型]] ''f'' : ''X'' → ''Y'' の余核は ''Y'' の ''f'' の[[像 (数学)|像]]による[[商集合|商]]である。ヒルベルト空間の間の有界線型作用素のような[[位相]]的な設定においては、典型的には商にいく前に像の[[閉包 (位相空間論)|閉包]]をとらなければならない。 == 正式な定義 == [[圏論]]の一般的な枠組みで余核を定義できる。定義が意味を持つには問題の圏が{{仮リンク|ゼロ射|en|zero morphism}}をもたなければならない。[[射]] ''f'' : ''X'' → ''Y'' の'''余核''' (cokernel) は ''f'' とゼロ射 0<sub>''XY''</sub> : ''X'' → ''Y'' の[[余等化子|コイコライザ]]として定義される。 明示的には、これは次を意味する。''f'' : ''X'' → ''Y'' の余核は射 ''q'' : ''Y'' → ''Q'' をともなった対象 ''Q'' であって図式 <div style="text-align: center;">[[Image:Cokernel-01.png]]</div> が[[可換図式|可換]]なものである。さらに射 ''q'' はこの図式に対して[[普遍性|普遍的]]でなければならない、つまり任意の他のそのような ''q''′: ''Y'' → ''Q''′ は ''q'' を一意的な射 ''u'' : ''Q'' → ''Q''′ と合成することによって得られる: <div style="text-align: center;">[[Image:Cokernel-02.png]]</div> すべての普遍的な構成がそうであるが、余核は、存在すれば、一意的な[[同型]][[up to|を除いて]]一意的である、あるいはより正確には: ''q'' : ''Y'' → ''Q'' と ''q‘'' : ''Y'' → ''Q‘'' が ''f'' : ''X'' → ''Y'' の2つの余核であれば、一意的な同型 ''u'' : ''Q'' → ''Q‘'' が存在して ''q‘'' = ''u'' ''q'' となる。 すべてのコイコライザのように、余核 ''q'' : ''Y'' → ''Q'' は[[エピ射]]である必要がある。逆に、エピ射はある射の余核であれば{{仮リンク|正規射|label=''正規''|en|normal morphism}} (normal) (あるいは ''conormal'')と呼ばれる。圏はすべてのエピ射が正規であるときに ''conormal'' と呼ばれる(例えば[[群の圏]]は conormal である)。 === 例 === [[群の圏]]において、[[群準同型]] ''f'' : ''G'' → ''H'' の余核は ''H'' の ''f'' の像の{{仮リンク|正規閉包 (群論)|label=正規閉包|en|Normal closure (group theory)}}による[[商群|商]]である。[[アーベル群]]の場合、すべての[[部分群]]は正規なので、余核は単に ''f'' の像を[[イデアル|法とした]] ''H'' である: :coker(''f'') = ''H'' / im(''f''). === 特別な場合 === [[前加法圏]]において、射を足したり引いたりすることは意味がある。そのような圏において、2つの射 ''f'' と ''g'' のコイコライザは(存在すれば)それらの差の余核にすぎない: :<math>\mathrm{coeq}(f, g) = \mathrm{coker}(g - f)</math>. [[アーベル圏]](前加法圏の特別な種類)において、射 ''f'' の[[像 (圏論)|像]]と[[余像]]は :<math>\mathrm{im}(f) = \ker(\mathrm{coker} f)</math> :<math>\mathrm{coim}(f) = \mathrm{coker}(\ker f)</math> によって与えられる。 とくに、すべてのアーベル圏は正規(また conormal)である。つまり、すべての[[モノ射]] ''m'' はある射の核として書ける。具体的には、''m'' はそれ自身の余核の核である: :<math>m = \ker(\mathrm{coker}(m))</math> == 直感 == 余核は方程式が満たさなければならない''制約''の空間として、''障害物''の空間として、考えることができる。ちょうど[[核 (代数学)|核]]が''解''の空間であるように。 フォーマルには、核と余核を[[完全列]]によって結びつけることができる :<math>0 \to \ker T \to V \to W \to \mathrm{coker}\,T \to 0.</math> これらは次のように解釈できる:解くべき線型方程式 ''T(v)=w'' が与えられると、 * 核は''斉次''方程式 ''T(v)=0'' の''解''の空間であり、存在すれば、その次元は解の ''自由さの度合い'' の数である。 * 余核は方程式が解を持つならば満たされなければならない ''制約'' の空間であり、その次元は方程式が解を持つために満たされなければならない制約の数である。 商空間 ''W/T(V)'' の次元は単に空間の次元から像の次元を''引いた''ものだから、余核の次元と像の次元(階数)を足すと終域の空間の次元になる。 簡単な例として、''T(x,y) = (0,y)'' で与えられる写像 ''T'': '''R'''<sup>2</sup> → '''R'''<sup>2</sup> を考えよう。このとき方程式 ''T(x,y)=(a,b)'' が解をもつためには、''a=0'' でなければならず(1つの制約)、その場合解空間は ''(x,b)'' である、あるいは同じことだが、''(0,b)+(x,0)'' である(1 次の自由性)。核は部分空間 ''(x,0) < V'' として表現できる: ''x'' の値は解の自由さである – 一方余核は実数値写像 ''W: (a,b) → (a)'' を通して表現できる: ベクトル ''(a,b)'' が与えられると、''a'' の値は解があるための''障害物''である。 付け加えると、核が単射を「検知する」のと同じように、余核は全射を「検知する」ものとして考えることができる。写像が単射であることと核が自明であることは同値であり、写像が全射であることとその余核が自明であること、あるいは言い換えると、''W=im(T)'' であることは同値である。 == 参考文献 == *[[Saunders Mac Lane]]: [[Categories for the Working Mathematician]], Second Edition, 1998. *Cokernels - page 64 {{圏論}} {{デフォルトソート:よかく}} [[Category:抽象代数学]] [[Category:同型定理]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:射]] [[de:Kern (Mathematik)#Kokern]]
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