偏角の原理のソースを表示
←
偏角の原理
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
[[Image:argument principle1.svg|frame|right|単純閉曲線 ''C'' (黒)、 ''f'' の零点(青)、''f'' の極(赤)。このとき <math>\oint_{C} {f'(z) \over f(z)}\, dz=2\pi i (4-5)</math>.]] [[複素解析]]において、'''偏角の原理'''(へんかくのげんり、{{lang-en-short|argument principle}})(あるいは'''コーシーの偏角の原理''' ({{en|Cauchy's argument principle}}))は[[有理型関数]]の[[零点]]と[[極 (複素解析)|極]]の個数の差を関数の[[対数微分]]の[[周回積分]]と結びつける。 具体的には、''f''(''z'') がある閉じた経路 ''C'' 上および内側で有理型関数で、''f'' が ''C'' 上に[[零点]]も[[極 (複素解析)|極]]ももたなければ、 : <math>\oint_{C} {f'(z) \over f(z)}\, dz=2\pi i (N-P)</math> ただし ''N'' と ''P'' はそれぞれ経路 ''C'' の内側の ''f''(''z'') の零点と極の個数を各零点と極をそれぞれ[[重複度 (数学)|重複度]]と位数をこめて数えたものを表す。定理のこのステートメントは閉経路 ''C'' が単純であること、すなわち自己交叉がないことと、反時計回りに向き付けられていることを仮定している。 より一般に、''f''(''z'') が[[複素平面]]の[[開集合]] Ω 上の有理型関数で ''C'' が Ω 内の閉曲線で ''f'' のすべての零点と極を避け Ω の内側の点に[[可縮]]であるとする。各点 ''z'' ∈ Ω に対し、''n''(''C'', ''z'') を ''z'' のまわりの ''C'' の[[回転数 (数学)|回転数]]とする。このとき :<math>\oint_{C} \frac{f'(z)}{f(z)}\, dz = 2\pi i \left(\sum_a n(C,a) - \sum_b n(C,b)\right)</math> ただし最初の和は重複度も数えて ''f'' のすべての零点 ''a'' を渡り、二番目の和は位数も数えて ''f'' の極 ''b'' を渡る。 ==周回積分の解釈== 周回積分 <math>\oint_{C} \frac{f'(z)}{f(z)}\, dz</math> を2通りに解釈できる: * ''z'' が ''C'' を一周するときの ''f''(''z'') の[[複素数の偏角|偏角]]の総変化量として。これは定理の名前を説明する。これは次から従う。 :<math>\frac{d}{dz}\log(f(z))=\frac{f'(z)}{f(z)}</math> と、偏角と対数の間の関係。 * 2π''i'' 掛ける原点の周りの道 ''f''(''C'') の回転数として。これは代入 ''w'' = ''f''(''z'') によって説明される: :<math>\oint_{C} \frac{f'(z)}{f(z)}\, dz = \oint_{f(C)} \frac{1}{w}\, dw</math> ==偏角の原理の証明== ''z''<sub>''N''</sub> を ''f'' のある零点とする。''f''(''z'') = (''z'' − ''z''<sub>''N''</sub>)<sup>''k''</sup>''g''(''z'')、ただし ''k'' は零点の重複度、と書くことができるので、''g''(''z''<sub>''N''</sub>) ≠ 0 である。 : <math>f'(z)=k(z-z_N)^{k-1}g(z)+(z-z_N)^kg'(z)\,\!</math> であり : <math>{f'(z)\over f(z)}={k \over z-z_N}+{g'(z)\over g(z)}.</math> である。''g''(''z''<sub>''N''</sub>) ≠ 0 であるので、''g' ''(''z'')/''g''(''z'') は ''z''<sub>''N''</sub> で特異性をもたないことが従い、したがって ''z''<sub>N</sub> で解析的であり、これは ''f' ''(''z'')/''f''(''z'') の ''z''<sub>''N''</sub> における[[留数]]が ''k'' であることを意味する。 ''z''<sub>''P''</sub> を ''f'' のある極とする。''f''(''z'') = (''z'' − ''z''<sub>''P''</sub>)<sup>−''m''</sup>''h''(''z'')、ただし ''m'' は極の位数、と書くことができ、 ''h''(''z''<sub>''P''</sub>) ≠ 0 である。すると上記と同様に : <math>f'(z)=-m(z-z_P)^{-m-1}h(z)+(z-z_P)^{-m}h'(z)\,\!.</math> であり : <math>{f'(z)\over f(z)}={-m \over z-z_P}+{h'(z)\over h(z)}</math> である。''h''(''z''<sub>''P''</sub>) ≠ 0 なので ''h''′(''z'')/''h''(''z'') は ''z''<sub>P</sub> で特異性をもたないことが従い、したがってそれは ''z''<sub>''P''</sub> で解析的である。 ''f''′(''z'')/''f''(''z'') の ''z''<sub>''P''</sub> における留数は −''m'' であることがわかる。 これらを合わせて、''f'' の重複度 ''k'' の各零点 ''z''<sub>''N''</sub> は留数 ''k'' の ''f''′(''z'')/''f''(''z'') の一位の極を作り、''f'' の位数 ''m'' の各極 ''z''<sub>''P''</sub> は留数 −''m'' の ''f''′(''z'')/''f''(''z'') の一位の極を作る。さらに、''f''′(''z'')/''f''(''z'') は他に極をもたずしたがって他の留数をもたないことが示せる。 [[留数定理]]によって ''C'' についての積分は 2π''i''と留数の和の積である。また、各零点 ''z''<sub>''N''</sub> に対する ''k'' たちの和は零点の重複度も数えた零点の個数であり、極も同様で、したがって結果が成り立つ。 ==応用と結果== 偏角の原理は有理型関数の零点と極をコンピューターで効率的に位置を決めるために使うことができる。誤差を丸めたとしても式 <math>{1\over 2\pi i}\oint_{C} {f'(z) \over f(z)}\, dz</math> は整数に近い結果を生み出す。異なる経路 ''C'' に対してこれらの整数を決定することによって零点と極の位置についての情報を得ることができる。[[リーマン予想]]の数値テストはこのテクニックをクリティカルラインと交わる長方形の内部の[[リーマンのグザイ関数|リーマンの <math>\xi(s)</math> 関数]]の零点の個数の上界を得るために使う。 [[ルーシェの定理]]の証明は偏角の原理を使う。 Feedback control theory に関する現代的な本はかなり頻繁に偏角の原理を {{ill2|Nyquist stability criterion|en|Nyquist stability criterion}} の理論的基礎として用いる。 偏角の原理のより一般的な定式化の結果は、次のようなものである。同じ仮定の下で、''g'' が Ω の解析的関数であれば、 :<math> \frac{1}{2\pi i} \oint_C g(z)\frac{f'(z)}{f(z)}\, dz = \sum_a n(C,a)g(a) - \sum_b n(C,b)g(b).</math> 例えば、''f'' が[[多項式]]で単純閉曲線 ''C'' の内部に零点 ''z''<sub>1</sub>, ..., ''z''<sub>''p''</sub> をもち ''g''(''z'') = ''z''<sup>''k''</sup> であれば :<math> \frac{1}{2\pi i} \oint_C z^k\frac{f'(z)}{f(z)}\, dz = z_1^k+z_2^k+\dots+z_p^k,</math> は ''f'' の根の {{ill2|power sum symmetric polynomial|en|power sum symmetric polynomial}} である。 別の結果は、複素積分 : <math>\oint_C f(z){g'(z) \over g(z)}\, dz</math> を ''g'' と ''f'' の適切な選択に対して計算すれば、離散和とその積分の間の関係を表す {{ill2|Abel–Plana formula|en|Abel–Plana formula}}: : <math> \sum_{n=0}^{\infty}f(n)-\int_{0}^{\infty}f(x)\,dx= f(0)/2+i\int_{0}^{\infty}\frac{f(it)-f(-it)}{e^{2\pi t}-1}\, dt. </math> ==一般化された偏角の原理== 偏角の原理からすぐ出る一般化がある。''g'' は領域 <math>\Omega</math> で解析的とする。このとき : <math>\oint_{C} {f'(z) \over f(z)} g(z) \, dz = 2\pi i \left(\sum_a g(a) n(C,a) - \sum_b g(b) n(C,b)\right)</math> ただし最初の和は再び 重複度も数えて ''f'' のすべての零点 ''a'' を渡り、二番目の和は再び位数も数えて ''f'' の極 ''b'' を渡る。 ==歴史== {{ill2|Frank Smithies|en|Frank Smithies}} の本 (''Cauchy and the Creation of Complex Function Theory'', Cambridge University Press, 1997, p. 177) によると、[[Augustin-Louis Cauchy]] はフランスから逃げて(当時 the Kingdom of Piedmont-Sardinia の首都だった) Turin に自ら亡命していた間 1831 年11月27日に上記と類似の定理を発表した。しかしながら、この本によると、零点のみが言及されていて、極はされていなかった。コーシーによるこの定理はかなり後になって1974年に手書きの形式で出版されただけでありかなり読むのが難しい。コーシーは零点と極両方について議論した論文を1855年、彼の死の2年前に出版した。 == 関連項目 == * [[対数微分]] * {{仮リンク|ナイキストの安定性判定法|en|Nyquist stability criterion}} ==参考文献== * {{cite book | last=Rudin | first=Walter | title = Real and Complex Analysis (International Series in Pure and Applied Mathematics) | publisher=McGraw-Hill | year=1986 |isbn=978-0-07-054234-1}} * {{cite book | last=Ahlfors | first=Lars | title = Complex analysis: an introduction to the theory of analytic functions of one complex variable | publisher=McGraw-Hill | year=1979 |isbn=978-0-07-000657-7}} * {{cite book | last1=Churchill | first1=Ruel Vance | last2=Brown | first2=James Ward | title = Complex Variables and Applications | publisher=McGraw-Hill | year=1989 |isbn=978-0-07-010905-6}} * Backlund, R.-J. (1914) Sur les zéros de la fonction zeta(s) de Riemann, C. R. Acad. Sci. Paris 158, 1979-1982. {{DEFAULTSORT:へんかくのけんり}} [[Category:複素解析の定理]] [[Category:数学に関する記事]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Cite book
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:En
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Ill2
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Lang-en-short
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:仮リンク
(
ソースを閲覧
)
偏角の原理
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報