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{{Otheruses|工学用語|等差数列における <math>a_n</math> と <math>a_{n+1}</math> の差|等差数列}} '''公差'''(こうさ、tolerance)とは、[[機械工学]]に代表される[[工学]]において許容される差のこと。 基準値と許容される範囲の最大値および最小値の差を'''許容差'''、最大値と最小値の差を'''公差'''と呼ぶ。 == 概要 == 次のような値の範囲を公差または許容差と呼ぶ。 # 物理的な寸法や面積 # 原料、製造物、システム、サービスなどの測定値や物理的特性 # その他の測定値(温度、湿度など) # 物理的な[[距離]]や空間([[貨物自動車]]、[[列車]]、[[橋]]の下の[[ボート]]、[[トンネル]]内の列車など)[[建築限界]]と[[車両限界]]を参照。 寸法や特性や条件は、装置やプロセスの機能に大きく影響することなく一定の実用的範囲内で変化する可能性がある。性能を損なわずに固有の変動性と不完全さに対する妥当な余裕を許すべく、公差が指定される。 公差は、標準値への係数やパーセンテージ、標準値からの最大偏差、許容される値の明示的[[レンジ|範囲]]などで指定され、標準規格書などに記される。あるいは、標準値の数値的正確さで暗に示される場合もある([[有効数字]])。公差は対称的に 40±0.1 などとされることもあるが、非対称に 40+0.2/−0.1 などとされることもある。 機能を正しく保つには、可能な範囲で最大の公差を指定することが望ましい。「狭い」あるいは「きつい」公差では達成が難しく、コストがかかる場合がある。逆に「大きい」あるいは「ゆるい」公差差では、装置などの運用に問題を生じる可能性がある。 公差は[[安全率]]とは異なるが、適正な安全率は他と同様に適切な公差を考慮する。 == 寸法の許容限界 == 精密加工は、[[費用]]および[[時間]]がかさむ。[[製品]]の[[生産]]において、[[機能]]上さしつかえない限り、できるだけ大きな許し得る寸法の範囲を考えなければならない。 ; 実寸 : 製品のできあがりの寸法。 ; 許容限界 : あらかじめ許された誤差の限界の範囲内。 ; 許容限界寸法 : 大小二つの限界を示す寸法。大きい方を'''最大許容寸法'''、小さい方を'''最小許容寸法'''といい、その差を'''寸法公差'''という。 == はめあい == [[穴]]と[[軸]]が互いにはまりあう関係を'''はめあい'''という。 === はめあいの種類 === 穴と軸のはめあいにおいて、軸の[[直径]]が穴の直径より小さい場合の両方の直径の差を'''すきま'''という。逆に、軸の直径が穴の直径より大きい場合の両方の直径の差を'''しめしろ'''という。この二つの関係から、はめあいには次の三つの種類がある<ref>{{Cite web|和書|date=2020-02-12 |url=https://koyo.jtekt.co.jp/2020/02/column-beginner-01.html |title=ベアリングコラム 初心者講座 「はめあい」 |publisher=[[ジェイテクト]]/[[光洋精工]] |accessdate=2021-03-21}}</ref>。 ; すきまばめ : 穴の最小許容寸法より軸の最大許容寸法が小さい場合のはめあい。 ; しまりばめ : 穴の最大許容寸法より軸の最小許容寸法が大きい場合のはめあい。 ; 中間ばめ : 穴の最小許容寸法より軸の最大許容寸法が大きく、かつ穴の最大許容寸法より軸の最小許容寸法が小さい場合のはめあい。 == 公差の種類 == * [[寸法]]公差 - 寸法のズレがどのくらいまで許せるかの差のこと。 * 幾何公差 - 中心軸など、寸法ではなく、位置の関係における公差。 === 幾何公差 === [https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=B0021 JIS B 0021] で規定されている幾何公差は次の通り。 {| class="wikitable" style="text-align:left" |- ! 公差の種類 || 特性 || 記号 || データム表示 || 定義 |- ! rowspan="6" | 形状公差 | 真直度 | [[ファイル:Rectitude.png|50px]] | 否 | 直線形体の幾何学的直線からの狂いの大きさ。 |- | '''平面度''' | [[ファイル:Planeite.svg|50px]] | 否 | 平面形体の幾何学的平面からの狂いの大きさ。 |- | 真円度 | [[ファイル:Circularite.svg|50px]] | 否 | 円形形体の幾何学的円からの狂いの大きさ。 |- | 円筒度 | [[ファイル:Cylindricite.png|50px]] | 否 | 円筒形体の幾何学的円筒からの狂いの大きさ。 |- | 線の輪郭度 | [[ファイル:Forme ligne.png|50px]] | 否 | 理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの線の輪郭の狂いの大きさ。 |- | 面の輪郭度 | [[ファイル:Forme_surface.png|50px]] | 否 | 理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさ。 |- ! rowspan="5" | 姿勢公差 | 平行度 | [[ファイル:Parallelisme.svg|50px]] | 要 | [[データム直線]]または[[データム平面]]に対して平行な幾何学的直線または幾何学的平面からの平行であるべき直線形体または平面形体の狂いの大きさ。 |- | 直角度 | [[ファイル:Perpendicularite.png|50px]] | 要 | [[データム直線]]または[[データム平面]]に対して直角な幾何学的直線または幾何学的平面からの直角であるべき直線形体または平面形体の狂いの大きさ。 |- | 傾斜度 | [[ファイル:Inclinaison.png|50px]] | 要 | [[データム直線]]または[[データム平面]]に対して理論的に正確な角度をもつ幾何学的直線または幾何学的平面からの理論的に正確な角度をもつべき直線形体または平面形体の狂いの大きさ。 |- | 線の輪郭度 | [[ファイル:Forme ligne.png|50px]] | 要 | 理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの線の輪郭の狂いの大きさ。 |- | 面の輪郭度 | [[ファイル:Forme_surface.png|50px]] | 要 | 理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさ。 |- ! rowspan="6" | 位置公差 | 位置度 | [[ファイル:Localisation.svg|50px]] | 要・否 | [[データム]]またはほかの形体に関連して定められた理論的に正確な位置からの点、直線形体または平面形体の狂いの大きさ。 |- | 同心度(中心点に対して) | [[ファイル:Coaxialite.svg|50px]] | 要 | [[データム円]]の中心に対するほかの円形形体の中心の位置の狂いの大きさ。 |- | 同軸度(軸線に対して) | [[ファイル:Coaxialite.svg|50px]] | 要 | [[データム軸直線]]と同一直線上にあるべき軸線の[[データム軸直線]]からの狂いの大きさ。 |- | 対称度 | [[ファイル:Symetrie.png|50px]] | 要 | [[データム軸直線]]または[[データム中心平面]]に関して互いに対称であるべき形体の対称位置からの狂いの大きさ。 |- | 線の輪郭度 | [[ファイル:Forme ligne.png|50px]] | 要 | 理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの線の輪郭の狂いの大きさ。 |- | 面の輪郭度 | [[ファイル:Forme_surface.png|50px]] | 要 | 理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさ。 |- ! rowspan="2" | 振れ公差 | 円周振れ | [[ファイル:Battement simple.svg|50px]] | 要 | [[データム軸直線]]を軸とする回転体を[[データム軸直線]]のまわりに回転したとき、その表面が指定された位置または任意の点において指定された方向に変位する大きさ。 |- | 全振れ | [[ファイル:Battement_total.png|50px]] | 要 | [[データム軸直線]]を軸とする回転体を[[データム軸直線]]のまわりに回転したとき、その表面が指定された方向に変位する大きさ。 |} == 公差設計 == * 互換性の方法 複数の部品からなる製品において、すべての部品の公差が最悪の状態(最大・最小)で組みつけられた場合を計算する方法。 * 不完全互換性の方法 [[統計的ばらつき]]を考慮した公差の計算法。 == 動的公差線図 == 寸法公差と幾何公差の関係を見るために用いられる。 == 脚注 == {{Reflist}} == 関連項目 == *[[バックラッシュ (機械)]] *[[仕様]] *[[統計的プロセス制御]] *[[品質工学]] *[[標準数]] {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:こうさ}} [[Category:機械工学]] [[Category:統計学]] [[Category:工業規格]] [[Category:度量衡]] [[Category:機械設計]] [[Category:品質管理]] [[Category:工学の概念]]
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