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[[組合せ数学|組合せ論]]において、'''写像12相'''(しゃぞうじゅうにそう、{{lang-en-short|twelvefold way}})とは、[[有限集合]]の間の[[写像]]の[[数え上げ]]問題を、12種に、体系的に分類したものである。 [[順列]]、[[組合せ (数学)|組合せ]]、[[多重集合]]、[[集合の分割]]、[[自然数の分割]]の数を求める古典的な数え上げ問題を含む。 12種類に分類するというアイデアは、数学者・哲学者である[[ジャン・カルロ・ロタ]]によって与えられた。 == 概要 == 有限集合 {{mvar|N}} と {{mvar|X}}、それらの[[濃度 (数学)|濃度]] <math>|N|=n</math> と <math>|X|=x</math> を定める。 ここで考えたい一般的な問題は、[[写像]] <math>f: N \to X</math> の[[同値類]]の[[数え上げ]]である。 写像 {{mvar|f}} に、次の3つの[[論理包含|条件]]のいずれかを適用する: # 条件なし:{{mvar|f}} は {{mvar|N}} を {{mvar|X}} の任意の {{mvar|b}} に写さなくても(写しても)よい。また、ある {{mvar|b}} に、{{mvar|N}} の複数の {{mvar|a}} を写してもよい。 # {{mvar|f}} は[[単射]]である:{{mvar|f}} が写した {{mvar|X}} の値 {{math2|''f''(''a'')}} は、互いに異なる。言い換えると、{{mvar|f}} は、{{mvar|X}} のどの {{mvar|b}} にも複数回写すことはない([[高々 (数学)|高々]] 1回である)。 # {{mvar|f}} は[[全射]]である:{{mvar|f}} は {{mvar|N}} を {{mvar|X}} の全ての {{mvar|b}} に写す。言い換えると、{{mvar|f}} は、{{mvar|X}} のどの {{mvar|b}} にも {{mvar|N}} から写している。 (条件2. かつ 3. の場合は「{{mvar|f}} は[[全単射]]である」となる。これは {{math2|1=''n'' = ''x''}} の場合のみ成立可能である。) 写像 {{mvar|f}} に、4種類の[[同値関係]]が定義される: # [[等式|等しい]] # {{mvar|N}} の[[置換 (数学)|置換]]による[[違いを除いて]]、等しい # {{mvar|X}} の置換による違いを除いて、等しい # {{mvar|N}} および {{mvar|X}} の置換による違いを除いて、等しい 結局、写像 {{mvar|f}} に適用する条件は、上記の3条件と4つの同値関係の、{{math2|1=3 × 4 = 12}}通りがある。 写像の同値類を数え上げる12種の問題は、各々は同じ難易度ではなく、また、これらを統一的に解く方法は知られていない。12種の問題のうち、2つの問題は自明(同値類の数は0または1)であり、5つの問題は解が {{math2|''n'', ''x''}} の乗法的な公式で与えられる。残る5つの問題は、組合せに関わりのある関数([[スターリング数]]、[[分割数]]など)によって解が与えられる。 == 観点 == 写像12相における問題を考えるにあたり、集合と写像による現代数学の記法を身近で具体的な例(またはいくつかの同様の視覚化)に置き換えて説明し理解することができる。 === 球と箱 === 伝統的に、写像12相での問題の多くは、「有限個の球全てを有限個の箱にどのように入れるか」といったモデルで説明されてきた。[[集合]] ''N'' を有限個の球からなる集合、集合 ''X'' を有限個の箱からなる集合とし、写像 {{math2|''ƒ'' : ''N'' → ''X''}} は、それぞれの球 ''a'' を箱 ''ƒ''(''a'') に入れる操作に置き換えて考えることができる。 ''f'' が単射であることは、「箱に入る球は1個だけ」、''f'' が全射であることは「箱には必ず球を入れる」に対応する。 ''N'' の置換による違いを同一視するのは「球を区別しない」、''X'' の置換による違いを同一視するのは「箱を区別しない」に対応する。 == 公式 == {|class="wikitable" style="margin-left:auto;margin-right:auto;text-align:center;border:none" |+12種類の対象と数え上げの公式 !写像の<br />同値類 !条件なし !単射 !全射 |- <!--|{{mvar|f}} |[[#case f|any function ''f'': ''N'' → ''X'' ]] |[[#case i|injective function ''f'': ''N'' → ''X'']] |[[#case s|surjective function ''f'': ''N'' → ''X'']] |{{mvar|f}} |- --> !{{mvar|f}} |[[#case f|''X'' の点の ''n''点数列<br /><math>x^n</math>]]<br />[[重複順列]] |[[#case i|''X'' の ''n''点順列<br /><math>x^{\underline n}</math>]]<br />[[順列]](下降[[階乗冪]]) |[[#case s|''N'' の ''x''人への集合分配<br /><math>x! \left\{ {n\atop x} \right\}</math>]] |- !{{math|''f'' ∘ S{{sub|''n''}}}} |[[#case fn|''X'' の ''n''点部分多重集合<br /><math>\binom{x+n-1}n</math>]]<br />[[重複組合せ]] |[[#case in|''X'' の''n''点部分集合<br /><math>\binom xn</math>]]<br />[[組合せ]] |[[#case sn|''n''個の ''x''人への分配<br /><math>\binom{n-1}{x-1}</math>]]<br />組合せ |- !{{math|S{{sub|''x''}} ∘ ''f''}} |[[#case fx|''N'' の ''x''個以下への集合分割<br /><math>\textstyle\sum\limits_{k=0}^x \displaystyle\left\{ {n\atop k} \right\}</math>]]<br />[[ベル数]] |[[#case ix|''N'' の ''x''個以下への要素分割<br /><math>[n\leq x]</math>]]<br />(0 or 1) |[[#case sx|''N'' の ''x''個への集合分割<br /><math>\left\{{n\atop x}\right\}</math>]]<br />[[スターリング数]](第2種) |- !{{math|S{{sub|''x''}} ∘ ''f'' ∘ S{{sub|''n''}}}} |[[#case fnx|''n'' の ''x''個以下への和分解<br /><math>p_x(n+x)</math>]]<br />[[分割数]] |[[#case inx|''n'' の ''x''個以下への単位分割<br /><math>[n\leq x]</math>]]<br />(0 or 1) |[[#case snx|''n'' の ''x''個への和分解<br /><math>p_x(n)</math>]]<br />[[分割数]] |} == 関連項目 == * [[Permutation]](曖昧さ回避) * [[置換 (数学)]] * [[集合の分割]] * [[自然数の分割]] * [[重複置換]] * [[完全順列]] * [[多重集合]] * [[写像]] == 外部リンク == * {{高校数学の美しい物語|893|写像12相(場合の数の有名問題)}} {{DEFAULTSORT:しやそうしゆうにそう}} [[Category:組合せ論]] [[Category:置換]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:名数12]]
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