北美濃地震のソースを表示

{{地震|
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|caption = 地震の震央の位置を示した地図
|date=[[1961年]]（昭和36年）[[8月19日]]
|time=14時33分33秒（[[日本標準時|JST]]）
|center={{JPN}} [[石川県]]・[[福井県]]・[[岐阜県]]県境付近<br />北緯36度6分42秒<br />東経136度42分0秒（{{Coord|36|6|42|N|136|42|0|E|}}）
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|scaletype=マグニチュード(M)
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|shindo=4
|shindoarea=中部地方から近畿地方<sup>注1</sup><br>(震度5～6：[[岐阜県]][[白鳥町_(岐阜県)|白鳥町]]<sup>注2</sup>)
|tsunami=
|type=[[直下型地震]]
|after=3回
|mostafter=1960年8月20日20時10分、M3.8、最大震度1
|deaths=死者:8人 負傷者:48人
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|area=主に[[岐阜県]]、[[福井県]]、[[石川県]]。
|data=気象庁
|plus=注1:気象庁の記録による。<ref name="jma">[http://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/Event.php?ID=39302 気象庁震度データ] 気象庁、2020年1月17日閲覧。</ref><br>注2:現地調査による。
}}
'''北美濃地震'''（きたみのじしん）は、[[1961年]][[8月19日]]14時33分33秒に[[石川県]][[加賀地方]]<ref name="jma" />を震源として発生した[[地震]]。

== 概要 ==
震央は北緯36度6分42秒、東経136度42分0秒の[[石川県|石川]]・[[福井県|福井]]・[[岐阜県|岐阜]]県境付近、震源の深さは10km、地震の規模はM=6.5〜7.5<ref name="余震観測">[https://hdl.handle.net/2261/12036 35.北美濃地震余震観測 : 岐阜県八幡町における観測] 東京大学地震研究所彙報. 第39冊第4号, 1962.3.15, pp. 895-908</ref>、[[モーメントマグニチュード|Mw]] 6.4と推定されている<ref>[https://hdl.handle.net/2261/13063 Takeo, M. and N. Mikami: Fault heterogeneity of inland earthquakes in Japan] Bulletin of the Earthquake Research Institute, 65, 1990, pp.541-569., {{hdl|2261/13063}} （英文）</ref>。被害地周辺に鳩ヶ湯-小池断層と呼ばれる地質断層があるが、東京大学地震研究所による震央付近の現地調査の結果この地震で活動した形跡は見られず、震源断層とみられる断層は発見されなかった<ref name="家屋">森本良平, 松田時彦、「[https://hdl.handle.net/2261/12038 37.北美濃地震被害地の地質 : 第1報 福井県打波川上流～岐阜県石徹白川上流地域]」 東京大学地震研究所彙報. 第39冊 第4号, 1962.3.15, pp.935-942, {{hdl|2261/12038}}</ref>。

=== 震度 ===
気象庁の記録による各地の震度は次の通り<ref name="jma" />

{| class="wikitable"
|-
! style="width:2em" | 震度
! style="width:4em" | 都道府県
! 観測所
|-
! style="{{震度色|4}}" rowspan="7" | 4
| [[福井県]]
| [[福井地方気象台|福井]]・[[大野市|大野]]通報所・[[敦賀市|敦賀]]
|-
| [[長野県]]
| [[諏訪市|諏訪]]・[[飯田市|飯田]]
|-
| [[岐阜県]]
| [[御嵩町|可児川]]通報所・[[白鳥町 (岐阜県)|白鳥]]通報所
|-
| [[愛知県]]
| [[名古屋地方気象台|名古屋]]
|-
| [[三重県]]
| [[亀山市|亀山]]測候所・[[津地方気象台|津]]
|-
| [[京都府]]
| [[舞鶴海洋気象台|舞鶴]]
|-
| [[兵庫県]]
| [[豊岡市|豊岡]]
|-
! style="{{震度色|3}}" rowspan="15" | 3
| 長野県
| [[長野地方気象台|長野]]・[[天龍村|平岡]]通報所・[[三岳村 (長野県)|三岳]]通報所
|-
| 岐阜県
| [[高山市|高山]]・[[萩原町 (岐阜県)|萩原]]通報所 [[恵那市|恵那]]通報所・[[八百津町|丸山]]通報所・[[岐阜地方気象台|岐阜]]
|-
| 愛知県
| [[伊良湖岬|伊良湖]]
|-
| 三重県
| [[伊賀市|上野]]
|-
| 京都府
| [[京都地方気象台|京都]]
|-
| 兵庫県
| [[神戸地方気象台|神戸]]
|-
| [[新潟県]]
| [[上越市|高田]]
|-
| [[山梨県]]
| [[甲府地方気象台|甲府]]・[[富士河口湖町|船津]]
|-
| [[富山県]]
| [[富山地方気象台|富山]]・[[高岡市|伏木]]
|-
| [[石川県]]
| [[輪島市|輪島]]・[[金沢地方気象台|金沢]]
|-
| [[静岡県]]
| [[浜松市|浜松]]・[[天竜区|佐久間]]通報所
|-
| [[滋賀県]]
| [[彦根地方気象台|彦根]]
|-
| [[大阪府]]
| [[大阪管区気象台|大阪]]
|-
| [[奈良県]]
| [[奈良地方気象台|奈良]]
|}

[[直下型地震]]であったため、震源地周辺は激しく揺れた。岐阜県北部の[[白山中居神社]]付近や[[石徹白川|朝日添川]]の流域、[[白川村]][[御母衣ダム|大白川第二御母衣ダム]]建設工事現場付近で震度5、白山中居神社から白山登山路銚子ケ峰までの大杉林道では震度6を観測した<ref name="験震">{{PDFlink|[https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kenshin/vol27p043.pdf 北美濃地震調査報告]}} 気象庁 験震時報第27巻 pp.43-67</ref>。揺れは[[中部地方]]西部を中心に、東は[[関東地方]]、西は[[中国地方]]までの広い範囲で観測された。

=== 余震 ===
[[余震]]活動はほぼ同規模とされる[[三河地震]]に比べきわめて不活発で、地震の規模をM=7.2とした場合の余震域も余震域の面積を Aとして

<math>\log A= M - 4</math>

で推定されるものに比べて著しく狭かった。本震の約1週間後の8月27日から9月20日にかけて岐阜県[[八幡町_(岐阜県)|八幡町]]で行われた余震観測では余震数は順調に減少し、本震よりMが1から2程度小さいM 5-6のやや大きめの余震は観測されず、観測された余震はすべて規模が小さいものだけだった<ref name="余震観測" />。

また、本震との関連性は不明であるが余震域以外の場所で局地的に地震が集中して発生していることが明らかになった<ref name="余震観測" />。

== 被害 ==
被害の多くは福井県に集中している。福井県における主な被害は道路の亀裂や山崩れで、[[大野市]]湯上では100mにわたって4-5条の道路の亀裂が発生し、垂直沈下が約30cm、水平移動が20cm発生した。その先300mも1-3条の道路の亀裂が発生した。国鉄バスの運転手によれば、朝日〜石徹白間の道路やその間の山では広範囲にわたって沈下し、人間が入れる幅で落差30cmの場所もあったという。落石の被害も多く、[[九頭竜峡|魚止]]付近では2mの大きさの落石があった。これらの被害を含め、福井県内では94ヵ所の山崩れや111ヵ所の道路損壊などが発生した<ref name="験震" />。

山奥の人家の少ない地域を震源として発生した地震であり、家屋の被害は比較的少ない。主な家屋被害は地震動による家屋部分の直接被害に加え、家屋の基礎部分が損壊したことによる不同沈下の被害が多かった<ref name="家屋" />。福井県内では中村地区で藁葺き家屋10戸のすべての柱が3cm反時計回りに動いた<ref name="験震" />。

人的被害は岐阜県と石川県で多く、岐阜県[[大野郡]][[白川村]]では[[御母衣ダム|御母衣第2発電所]]の建設現場付近で大規模な[[地すべり]]が発生し、作業員が生き埋めとなり4名が死亡した<ref name="家屋" />。石川県[[石川郡 (石川県)|石川郡]][[白峰村]]（現・[[白山市]]）では登山中の大学生2名を含む4名が死亡した<ref>{{Cite book |和書 |editor=日外アソシエーツ編集部 |title=日本災害史事典 1868-2009 |publisher=日外アソシエーツ |year=2010-09-27 |page=154|isbn=9784816922749}}</ref>。

都道府県別の各被害は以下の通り<ref name="験震" />。
{| class="wikitable"
|-
! style="width:6em" | 被害項目
! style="width:4em" | 石川県
! style="width:4em" | 福井県
! style="width:4em" | 岐阜県
! style="width:4em" | 富山県
! style="width:4em" | 合計
|-
| 死者
| 4人
| 1人
| 3人
| 0人
| 8人
|-
| 負傷者
| 7人
| 15人
| 15人
| 6人
| 43人
|-
| 家屋全壊
| 0戸
| 12戸
| 0戸
| 0戸
| 12戸
|-
| 家屋半壊
| 1戸
| 2戸
| 3戸
| 0戸
| 6戸
|-
| 家屋一部破損
| 0戸
| 2戸
| 0戸
| 0戸
| 2戸
|-
| 非住家被害
| 3戸
| 5戸
| 0戸
| 0戸
| 8戸
|-
| 水田流出埋没
| 0he
| 1he
| 0he
| 0he
| 1he
|-
| 畑流出埋没
| 0he
| 2he
| 0he
| 0he
| 2he
|-
| 道路損壊
| 5ヵ所
| 111ヵ所
| 4ヵ所
| 0ヵ所
| 120ヵ所
|-
| 山崩れ
| 5ヵ所
| 94ヵ所
| 0ヵ所
| 0ヵ所
| 99ヵ所
|-
| 鉄道被害
| 0ヵ所
| 3ヵ所
| 0ヵ所
| 0ヵ所
| 3ヵ所
|-
| 通信施設被害
| 0ヵ所
| 6ヵ所
| 0ヵ所
| 0ヵ所
| 6ヵ所
|-
| 罹災世帯数
| 0世帯
| 14世帯
| 0世帯
| 0世帯
| 14世帯
|}

== 他の地震との関連 ==
吉田明夫、青木元らの研究によれば、1948年の[[福井地震]](M7.1)、1969年の[[岐阜県中部地震]](M6.6)、1984年の[[長野県西部地震]](M6.8)と続いた一連の地震との関連性が指摘されている<ref>吉田明夫、青木元、「[https://doi.org/10.5026/jgeography.111.2_212 大地震の前に日本海沿岸の広域に現れた地震活動の静穏化]」 地学雑誌 2002年 111巻 2号 p.212-221, {{doi|10.5026/jgeography.111.2_212}}</ref>。

== 脚注 ==
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[地震の年表]]

{{日本近代地震}}
{{Disaster-stub}}
{{DEFAULTSORT:きたみのししん}}
[[Category:岐阜県の歴史]]
[[Category:石川県の歴史]]
[[Category:福井県の歴史]]
[[Category:1961年の地震]]
[[Category:1961年の日本における災害]]
[[Category:大地震]]
[[Category:1961年8月]]
[[Category:気象庁が命名した自然現象]]